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『「CLEAN・HAPPENING」 』
シリューナ・リュクテイア3785)&ファルス・ティレイラ(3733)

 青空が晴れ渡るある日のこと。
 ファルス・ティレイラ(3733)はある倉庫の前にいた。
 (お姉さまに掃除を頼まれちゃったから、頑張って綺麗にしないとね)
 ティレイラは心の中でそう意気込みながら手にした倉庫の鍵を使って倉庫のドアを開けた。
 数時間前。
 妹のようにティレイラを可愛がってくれる魔法薬屋のシリューナ・リュクテイア(3785)から倉庫を掃除するように頼まれてティレイラはそれを引き受けたのだった。
 ティレイラは倉庫の中へと足を踏み入れた。
 薄暗い倉庫の中の棚には数々の魔法の品々類や薬などが並べられていた。ティレイラは薄暗い倉庫の中に置いてあるちいさな魔法のランプに魔力で明かりを灯した。
 (さて、頑張って綺麗にしなきゃ!)
 両手をにぐっと握りこぶしをつくり、気合を入れるティレイラ。
 そしてティレイラは張り切って倉庫の掃除を開始した。
「よし! これは吹いたからその隣の魔法具を隣に移動させて、こっちも綺麗に拭かなきゃ」
 そう言いながらティレイラは棚に置いてある魔法の品々類を拭いたり、床を箒で掃いたりしていた。
 最初埃っぽい倉庫の中だったがティレイラが綺麗に掃除をしていく中で見違えるように綺麗になっていった。
 (ふふ。綺麗になるのって気持ちが良いな)
 倉庫の中が綺麗になっていく様子に上機嫌で気分が良くなったティレイラは調子に乗って掃除を続けていった。
 床を掃くティレイラの尻尾がたまたま近くに置いてあった棚の上にある魔法の品々類に当たってしまい、床に落としてしまったのだった。



 その頃。
 シリューナはとある名匠が創り出す美しい造形美と質感を持った装飾品の素晴らしさにうっとりとした顔で眺めていた。
 (実に素晴らしい装飾品だわ。素晴らしすぎてこれなら何時間でも眺めていられるわね)
 シリューナはそう心の中でそう呟く。
 そしてある程度時間が経ったことに気づいた彼女は先程倉庫の掃除を頼んだティレイラがまだ戻っていないことにふと気づいた。
「あら? ティレまだ戻ってきてないわね……」
 倉庫自体はそんなに広くはなく普通の広さぐらいある。掃除をすると言ってもそんなに長い時間は掛からないものだ。
 ティレイラからまだ終わりの知らせが来ない事に不審に思ったシリューナはその場から離れ、倉庫へと向かって行ったのだった。



 魔法の品々類を床に落としたティレイラは青ざめた表情をして慌てていた。
「どっ、どうしょう……。魔法の品々類床に落としちゃった……」
 そう言いながらティレイラは床に落ちた魔法の品々類のうちの一つを手に取り、確かめるようにして割れている部分はないか確認していく。
「こっちは割れていないみたい……。あとこっちの方は……」
 ティレイラは手にした品を床の上にコトッとした音とともに静かに置くと、次の品へと手を伸ばそうとした。

 その時。

「ティレ」

 ティレイラの後ろから声がし、ティレイラは肩をびくぅと震わせた。
 まさか……。
 嫌な予感を感じながらもティレイラはおそるおそる後ろを振り向く。そこにはティレイラの予感どおりシリューナの姿があった。
「あっ、あのごめんなさいお姉さま。掃除中に私の尻尾が魔法の品々類に当たっちゃって、それで床に落としてしまったんです」
 そしてティレイラは困った表情をしながら必死で言葉を続けていった。
「でも、落としてしまった魔法の品々類を確認したのですが割れている所はありませんでした」
 言い訳で一杯一杯になるティレイラをシリューナは内心可愛く思い眺めていた。
 結局のところ魔法の品々類はシリューナがお客さんから預かった大事なものである為、簡単に破損したりしないように魔法を掛けてあった。
 だが魔法の品々類を落としてしまったティレイラに対してのお仕置きは必要だ。
「大丈夫よティレ。この魔法の品々類は落としても簡単に破損しないために魔法を掛けているの」
「それじゃぁ大丈夫なのですね。良かったぁ」
 心からほっと安心するティレイラへとシリューナは薄く笑みを浮かべながら彼女へと一言告げた。
「でもお仕置きは必要ね」
 そう言いながらシリューナはティレイラへと石化の呪術を掛けた。
 シリューナから掛けられた呪術を浴び、ティレイラは身体に巡る魔力と共に次第に自分の身体の感覚がなくなっていく事を感じていた。
「お姉さま……ごめんなさい……」
 そう言いシリューナに謝りながらもティレイラの身体は徐々に石化してしまっていた。

 足元から脚の方へと。

 脚から胸の方へと。

 そんなティレイラの姿を見ながらシリューナは至福の時間を一人感じていた。
 今しか見られない妹のように可愛いティレイラが、素材の素晴らしいオブジェとして変わっていく姿を目にしているだけでシリューナは時が経つのを忘れるぐらい堪能していた。
 それもじっくりと味わうようにその姿をうっとりとした表情でシリューナはティレイラの姿を眺めていた。
 そして気がつけばティレイラは完全に石化をしてしまっていた。
 シリューナは石像になった愛らしいティレイラの姿をじっくりと眺め、ティレイラの姿が作り出す造形に感嘆の声を上げた。

「素晴らしいわ。この造形最高よ」
 シリューナはティレイラの石像を優しく愛でるように丸みを帯びた頬から身体へと指先で触れていき、硬質で滑らかな曲線の心地良い感触に徐々に高揚していった。
「こんな素敵な素敵なティレを飾らないわけにはいかないわね」
 そう呟きながらシリューナはティレイラを自分の店の中へと飾ったのだった。




―― 登場人物 ――


 シリューナ・リュクテイア

 ファルス・ティレイラ

 ――――――――――

シリューナ・リュクテイア様
ファルス・ティレイラ 様

こんにちは、せあらです。
この度はご指名、ご注文の方誠に有り難うございます。
倉庫のお話しをとの事で、このような感じで書かせて頂きましたが如何だったでしょうか?
少しでも楽しんで頂けましたら幸いです。
シリューナさんとティレイラさんのお二人の物語が書けて本当に嬉しかったです。
書かせて頂きまして本当に有り難うございました。


せあら

東京怪談ノベル(パーティ) -
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東京怪談
2019年05月07日

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