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『くらべてみたらどうなるだろう。 』
シリューナ・リュクテイア3785)&ファルス・ティレイラ(3733)

 今に始まった事じゃない。
 何度やっても懲りる訳も無い。
 いや、「懲りる」なんてそもそも考えの外。
 これは趣味と実益を兼ねた崇高な芸術活動の一端。

 そう、今日もまた趣味人足るシリューナ・リュクテイア(3785)は、『高尚な趣味』の事で頭が一杯なのである。

 場所は己の営んでいる魔法薬屋――魔法薬だけでは無く、「趣味が高じて」の品も少なからず置いてあるささやかな店舗のバックヤード。別世界よりこの東京に訪れた紫の翼を持つ竜族――と言う本性を持つシリューナは、ここでは基本的に人の姿を取って生活をしている。人の中で暮らすには生活空間的にも世間的にもそうした方が都合が良い訳で――と言うか、装飾品や美術品の類を作るのも所蔵するのも「この世界」では人である。つまり極論、人の姿を取るのは数多の装飾品や美術品を蒐集・鑑賞するのが主目的、その為にこそ人の姿を取っている、とさえ言えるかもしれない。
 いや、それは流石に言い過ぎか。
 ……そうは思っても、店の商品の整理と言う名目で美しい造形美を持つ装飾品を思う様眺め、こうやって日がな過ごしていると――そんな気がして来てしまう訳でもある。

 この様な物に魔力を込めると良い魔法効果が得られそう。

 次に店内でのディスプレイを予定している首飾りに触れ、硬質な石の質感を確かめつつも殆ど反射的に思案。こういった目にもあやな美しい物を見て触れて――例えほんの僅かな間でも「鑑賞」してしまっていると、シリューナは大体そんな事を考えてしまっている。
 そんな視界の隅に、ふと、気になる何かが目に留まった。何だったかと思いつつ、鑑賞中の首飾りを丁寧に置き直して――気になった方を改めて見、何があったかを確かめる。業務上、兼、趣味にも関わる事になるチラシの類が取り敢えず纏めてある所。その一番上に――とある美術館の広告があった。確か、魔法の装飾品等を常々取り引きしている知り合いの女性が置いて行った物。チラシに書かれている内容は――曰く、彼女が運営しているその美術館で、名工達が作った素晴らしい芸術品の特別展示イベントが開催されると言う話。

 あら、素敵。

 チラシ自体をあまり確り見ていなかったので、その時点で内容に初めて気付く。こういったチラシは事ある毎に各方面から何だかんだとこまめに渡される物なので、幾ら趣味に合う事柄が載っている物であっても、一枚一枚じっくり内容を確かめる事無く放置してしまう事も結構多いのだ。
 そして今回のこの美術館の件もそうだった訳なのだが――と。

「お姉さまー、お店番終わりましたー!」

 耳に心地好い、可愛らしい弟子の溌溂とした声が聞こえて来た。
 同族にして、可愛い可愛い妹の様な存在でもある魔法の弟子、ファルス・ティレイラ(3733)である。



 元々、時間を区切って頼んでいた表の店番。その区切った時間までに誰も来なかったら取り敢えず今日は店を閉めていい――そう頼んでおいたのだが、もうそんな時間だったか。思いつつ、シリューナはティレイラの姿を見、労う――労おうと思ったが。
 それより先に、悪戯心がちょっと疼いてしまった。

 ……感情豊かにくるくると動き回っている普段通りの可愛らしい姿。それだけでも勿論、いつ見ても飽きが来ない最高の逸材だが、ティレは――ティレイラは「止まって」いたって勿論可愛らしい。
 どうしたんですかお姉さまー? と小首を傾げて無邪気にこちらに訊いてくる姿もまた可愛らしさに変わりはないけれど――今はチラシを見たせいか、ちょっと「止まっている」所が見てみたい気分になってしまった。
「止まっている」所。つまりティレイラを素材に呪術で封じて「作った」オブジェとしての姿。これもまた、その時にしか見る事が出来ない美しくも可愛らしい貴重な造形になるから、いつ見ても飽きない。
 と言うか元々、そんな風に可愛らしい最高の素材をオブジェ化させて愛でるのが、まぁ、シリューナの『高尚な趣味』な訳だけれど。

 大体の場合で失敗のお仕置きにかこつけてだとか、新しい面白い魔法道具が手に入ったから試したいだとか、火が付く切っ掛けは何かしらある事が多い物で。
 けれど時には、そういった理由付けはさておき、ただ「その姿」を求めて堪能したくもなる、のである。



 どうしたんですかお姉さまー? と。
 私を見た時の反応が妙に薄かったのがちょっと気になったので、声を掛けては見たけれど。

 声を掛けると同時に、あっ、何か変だ――とティレイラの方でも気が付いた。いや、変と言うより、お姉さまからそこはかとなく不穏な気配が向けられた様な気がする。何か良からぬ事を企んでいる様な……そう、こういう時は、警戒に警戒を重ねて然るべき!
 折角お店番が終わって一区切り付いた所。美味しいお茶会タイムにするんだと楽しみにしていた所なのに――ここでお姉さまの魔手に絡め取られては敵わない。
 今のティレイラとしては、お仕事終わった所でのんびりゆっくりまったりとお茶会やりたいのがどうしたって優先である。お姉さまの「趣味」にお付き合いするのは……絶対に嫌だとまでは言わないが、せめて後にさせて貰いたい。

 の、だが。

「こっちの服はどうかしら? それともこっち?」
「むー……これ、何か危ない魔法掛かってたりする服じゃないですよね」
「あら、これらは貴方だって前から家にあるのを知ってる筈の服でしょう?」
 勿論、そうやって警戒してきちんと魔法が掛かっているか確かめるのも、師匠として頼もしい限りだけれど。
「……元々何でもない服でも、後から何か魔法掛けておく事だって出来ますよね?」
「そうね。じゃ、そうやって不意打ちした方がよかったかしら?」
「全然よくないです。……服自体は可愛いからいいんですけれど」

 と、何故かちょっとしたフォトスタジオめいた事になっていた。
 ティレイラの周りにはティレに似合うからとシリューナが前に買ってくれた可愛らしい服が幾つか持ち出されている。アクセサリーや帽子に靴、ストールとか手袋とかの小物もそれぞれ合いそうな物が用意されていて、まるでこれから改まった写真でも撮るかの様に、色々と済し崩しにコーディネートされ続けていた。

 これではお茶会が出来ない。

 けれど普通に可愛い衣装を何度も着替えているだけの状態なので、これもこれで――もし何の裏も無いのなら、ティレイラにとっても楽しい事になる。
 だから着替える事自体に抵抗はしていないのだが……お姉さまの事だからただこうしているだけで済むとも思えず、微妙な警戒はどうしてもしてしまう。

「えぇと、こうですか?」
「そう。そのポーズがいいわね。あ。そこでちょっとターンしてみて」
「はい。っと――こうですか?」
「そう。いいわ。この瞬間がいいかしらね」
「……お姉さま。やっぱり私の事オブジェ化させようとしてませんか」
「だってティレがあんまり可愛いんだもの」
「そこは否定して下さいよぉ」
「無理。芸術の前で嘘は吐けないわ――そういう訳で、衣装は決まったから、後は一番素敵な瞬間を見計らって石化の呪術を掛けさせて貰うわね?」
「いーやーでーすー! 私はお姉さまとお茶会タイムしたいんですっ」
「じゃ、このままでお茶会にしましょう」
「やったっ! ……って途中で石化させられるんじゃ嫌ですよ?」
「そこは諦めて欲しいのよ」
「お姉さまこそ諦めてくれませんかっ」

 む〜、とこれ見よがしにむくれてシリューナに迫るティレイラ。途端、唐突にその姿がシリューナの琴線に触れる。殆ど反射的に石化の呪術を施行――可愛らしく頬を膨らませむくれていた所からぎょっとした驚きの貌に切り換わる、ちょうどその刹那を切り取る事に成功する。直前、んにゃあああ、と猫の様な声を上げて慌てもしていたが、程無くその声も途絶えた。ぴしり、ぱきりと石の色がティレイラの全身を――コーディネイトした衣装ごと覆い尽くす。
 勿論、色だけでなくその質感も。

 あまり硬化過程に時間を掛けられなかったが、その分、瞬間の微妙な表情が造形に上手く出ている。ささやかな怒りから驚愕へ――今にも動き出しそうな躍動感まで封じ込めた逸品。こういう遣り方の場合偶然が生み出す芸術も多いが、狙って美を引き出し形に仕上げるのもまた乙ではなかろうか。
 思いつつ、シリューナは石と化したティレイラのその表情をとっくりと眺め、滑らかな曲線を描く肌――石となった肌にそっと触れ、つぅと撫でて感触を味わってみる。

 ああ、素敵。

 ティレを素材に石のオブジェを作るのは初めてでは無くとも、切り取られたこの瞬間だけは、どうしたっていつでも初めての造形なのだ。
 やはり素晴らしくて、一度触れたらもう、離れ難くなる。頬。髪。首筋。肩。腕。手指。カチューシャ。フリル。ストール。空気を孕んでの膨らみ――だった服の襞部分。太腿。膝。脹脛。足先。一つ一つ触れ、ひんやりした滑らかな硬質の感触と、可愛い可愛いティレイラの造形美を心行くまで愉しむ。ああ、と何度も感嘆を吐いてしまう。いつもの事と言えばいつもの事ながら、シリューナは己の昂揚が止められない。理性が蕩かされてしまうのは、ティレイラが可愛過ぎるのが悪い。

 ……と、そうじゃなかった。
 これを思う様堪能するのは勿論だけどそれだけじゃなく、確かめたかったんだった。

 可愛い可愛いティレの事、自分で愛でるだけでも勿論それなりに満足だけれども――機会があれば、他に自慢してみたくもなる。
 だから。

 くらべてみたらどうなるだろう。
 ……あのチラシの、名工達の手掛けた逸品と。

 そう思って、今、「作ってみた」のだから。

 あのチラシの、美術館の特別展示。
 そこに私の自慢のティレを紛れ込ませて、評判を探ってみたいと思うのは――悪戯が過ぎるかしら。ねぇ、ティレ?

 貴方は、どう思う?

【了】



━ORDERMADECOM・EVENT・DATA━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・

登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【3785/シリューナ・リュクテイア/女/212歳/魔法薬屋】
【3733/ファルス・ティレイラ/女/15歳/配達屋さん(なんでも屋さん)】

ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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 紫の翼を持つ竜族な御二人にはいつもお世話になっております。
 今回も発注有難う御座いました。
 そして今回はGW明けまでといつもにも増して大変お待たせしてしまっております。

 内容ですが、今回は石化時描写が少しあっさり過ぎたかなと思っております。ティレイラ様が根負けしたと言うよりシリューナ様の不意打ちになっている様な気もしますし。
 そんなこんなと上手く反映出来ているのか気になっている所はあるのですが(汗)……如何だったでしょうか。
 少なくとも対価分は満足して頂ければ幸いなのですが。

 では、またの機会が頂ける時がありましたら、その時は。

 深海残月 拝
東京怪談ノベル(パーティ) -
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東京怪談
2019年05月07日

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