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『桜色の微笑み』
ヰ鶴 文aa0626hero002)&グラナータaa1371hero001)&木霊・C・リュカaa0068)&虎噛 千颯aa0123)&秋津 隼人aa0034)&振澤 望華aa3689

 ひらり、紺色の夜空に一枚の薄桃色の花びらが散った。花びらはひらりひらりと舞って、白銀の髪の上にふわりと降りる。
 「かんぱーい!」という虎噛 千颯(aa0123)の大きな声に合わせてビールの缶を桜で覆われた天へと掲げたヰ鶴 文(aa0626hero002)の髪から、桜の花びらは滑り落ちた。
 ぐびりとひと口ビールを飲んで、木霊・C・リュカ(aa0068)はプハーッと息をはいた。ぐびぐびぐびりとビールを半分まで飲んで、千颯はビールを持ったまま立ち上がった。
「俺ちゃん、なにかつまみを調達してくるぜ!」
 そう宣言するやいなや、千颯は颯爽と人混みのなかに消えていく。
「相変わらず、元気な人ッスね」と、グラナータ(aa1371hero001)は笑った。
「お兄さんも屋台見たいな〜」
「じゃぁ、自分と行くッスか?」
 リュカの目の代わりにと、グラナータは手を差し出した。
「ありがとう〜」と、リュカは一見華奢に見える手を握った。そして、一瞬、あれ? という表情を見せるも、それは本当に一瞬のことで、リュカはすぐにいつもの人懐っこい笑顔に戻った。
「お兄さん、唐揚げが食べたいなぁ〜」
 グラナータは自分が男であることがバレたかと思ったが、リュカの見せた表情があまりにも一瞬だったから、自分の勘違いだったようだと結論づけた。
「ここに来る時に行列のできてた唐揚げの屋台があったんッスよ。きっと、そこが美味しいッスよ」
「目星をつけておくとは、グラナータちゃん、なかなかやるね〜!」
 ふたりが喋りながら人混みに消えて行くのを見送った文がふと視線をやると、振澤 望華(aa3689)が両手でリモコンを握って、なにやら操作していた。
 慣れた手つきでリモコンを操作する望華は空を見上げている。その視線を追って、文も空へと視線を向けると、一機のドローンが浮いていた。
「……なに……してるんだ?」
 文の問いかけに望華はどこか得意げな様子で言った。
「上から見た夜桜も、きっと綺麗だと思わない?」
 桜の木々を抜けて、空へと上がっていくドローンを目で追いながら、文は想像した。上から見た夜桜を。街灯や屋台の光で照らされ、暗闇に浮き上がる薄桃色の花たちを。
「……」
 文の口が緩やかに弧を描いた。その文の様子に、望華も微笑み、ドローンを前進させた。

 頭にお面、腰に水風船、口にべっこう飴を咥えて、千颯は真剣な顔で水槽のなかの金魚を見つめていた。そして、慎重かつ素早くポイを動かし、金魚を掬おうとしたところでポイの和紙が破れた。
「あ〜〜〜っくっそ!」
 悔しがる千颯だったが、左手の椀のなかにはすでに大漁の金魚が入っている。
「オヤジ、もう一回だ!」という千颯の言葉に、店主は「勘弁してくれ!」と叫んだ。
「虎噛さん?」
 自分を呼ぶ声に振り返ると、見慣れないラフな格好の秋津 隼人(aa0034)がいた。
「隼人ちゃん! なになに、ひとり!?」
 そうだと返事を返す間もなく、千颯は隼人の肩に腕を回した。
「俺ちゃんたちと一緒に飲もうぜ〜」
「他の方とご一緒ですか? ご迷惑では……」
「ないない! あ! リュカちーん!」
 千颯は唐揚げを持ってほくほくしているリュカを見つけると、隼人を引きずっていった。
「リュカちん、隼人ちゃん見つけた!」
 見つけたのは隼人の方だ。
「えっと、ご迷惑でなければ……」
 皆さんとご一緒してもいいでしょうか? なんて言う間はやっぱりない。
「やったー! 隼人ちゃん、ゲットー!」
 リュカは隼人の腕に腕を回した。
「あー、すみませんッス」とグラナータが隼人に小声で謝る。
「千颯さんはまだしも、リュカさんはまだ酔ってないはずなんッスけど……」
 まだ酔いのテンションではないグラナータがいてくれたことに隼人はほっと胸をなでおろす。
「やはり女性はしっかりしていますね」
 祭りや宴会の時でも場の空気に飲まれすぎずに冷静なのは女性だと考えて隼人がそう言うと、グラナータは胡散臭いくらいに明るく、なにかを誤魔化すように「テヘッ」と笑った。
「……」
 一癖も二癖もありそうな面々だと感じつつも、拒否権を行使するタイミングを完全に失った隼人は千颯とリュカに挟まれて引きずられるように歩いた。
「グラナータちゃん! お兄さん、ポテトも食べたーい!」
「ポテトッスか? ポテトは……」
 リュカの要望を叶えるべく、グラナータは背伸びをしてポテトの屋台を探す。
「あ! 俺ちゃんはイカ焼きとたこ焼き買って来るぜ!」
 そう言うと千颯は隼人を残して離脱する。
「あのふたつって名前似てるのに、なんであんなに別物になっちゃったんだろうね」
 リュカが眉間に深いシワを寄せて考えはじめた。
「リュカさん、ポテト行列発見です!」
「よーし、並ぶぞ〜!」
 たこ焼きとイカ焼きの疑問を早々に忘れたリュカがぐいぐいと隼人を引っ張る。
 そんな慌ただしい様子に隼人は思わず笑い、フライドポテトの屋台に意気揚々と並ぶリュカに自分の疑問を呟いてみる。
「虎噛さんは、イカの姿焼きを買いに行ったんでしょうか? それとも、クレープ状の方ですかね?」
 隼人の言葉にリュカもグラナータもハッとした顔をして、それから二人とも眉間に深いシワを寄せて「「なぜ同じ名前なのか」」と悩みだした。

「すごいすごい! あなた、飲み込み早いわね!」
 望華が文にドローンの操作を教え出してから十分ほどで、文はある程度ドローンを使いこなせるようになっていた。
「結構、面白いでしょ?」
 望華の言葉に、文は素直に頷いた。
 飛行する物を操作するのも面白かったが、自分の操作ひとつで、美しい景色を撮影することができているのかと思うと、そのこと自体もとても興味深かった。
 文が望華から撮影のポイントなどを教えてもらっていると、「文ちゃーん!」というリュカの声が聞こえた。
「ただいま〜! 唐揚げとポテトと隼人ちゃんをゲットしてきた〜!」
「秋津君は途中で会ったんッス」
「あの、お邪魔じゃなかったら、俺も一緒に参加させてもらってもいいですか?」
 隼人が文と望華の顔を交互に見ながら言うと、文は「もちろんだ」と頷き、クーラーボックスからビールを一本出して、隼人に渡してくれた。
「たっだいま〜! たこ焼きとイカ焼き買ってきたぜ!」
 その他にも色々両手に持って千颯は帰ってきた。
「「どっちのイカ焼き?」」と聞いたグラナータとリュカに、千颯は得意げに手に持ったビニールを掲げて見せた。
「なんと、どっちもだ!!」
「「おーーー!」」
 テンションの上がるグラナータとリュカ。
「それでは、改めまして」と、乾杯の音頭をとるのはやはり千颯だ。
「隼人ちゃんの参入を祝して」
「え!? 俺!?」
 急に名前を呼ばれて姿勢を正す隼人。
「かんぱーーーい!」
 千颯の声に続いて、かんぱーーーい! の声が重なる。
「えっと、わざわざ俺のためにすみません」
 隼人がそう恐縮すると、望華が綿菓子を食べながら冷静に言った。
「そんなに恐縮することないわよ。あの人、多分、乾杯したいだけだから」
「さすが望華ちゃん、せいかーーーい!」
 リュカが頭を覆うように両手で大きく丸を作る。
「千颯ちゃん、酔ってるもん〜うふふふ〜」
「リュカさんは雰囲気にのまれすぎッス。まだそんなに飲んでないのに」
 グラナータはすっかりリュカの世話係である。
「そいえば、グラナータちゃんはお酒飲めるの〜? 未成年の飲酒は禁止だからね〜」
「わかってるッス。こう見えて、二十歳超えてるから大丈夫ッス」
 グラナータはごくりとビールを飲むとはぁーっっっと腹の底から息を吐いた。
「あ〜、お酒の飲める歳になってよかったー!」
「そう? 早く歳取っても別にいいことなにもないわよ?」
 望華の言葉にグラナータは頬を膨らませる。
「えー、お酒、美味しいじゃないッスか。何よりこうやってみんなで飲むのは楽しいッス!」
「まぁ、気の合う人と飲むのは楽しいわよね」
 しかし、真に気の合う人物などごく稀であることを望華は知っている。
「にしても、綺麗ッスね〜」
 グラナータが桜を見て言う。
「そうね」と、これに関しては望華も素直に賛同する。
 ふたり揃って桜並木に沿って視線を移していたが、急にグラナータが立ち上がった。
「ちょっとあそこのジャンボフランクフルト、買ってくるッス!」
 ダッシュで屋台に向かうグラナータの背中に、望華はため息をひとつこぼした。

 頭上から舞ってきた桜の花びらがリュカの持つカップ酒に落ちる。酒を煽り、唇にはたりと張り付いたそれに、リュカはふふと笑った。
 上を仰いで瞳を閉じ、そよ風が揺らす花が擦れ合う音と桜の香りを楽しむ。リュカの瞼の裏に満開の桜が映しだされ、リュカは相棒たちを思い出す。
「……ふたりとも、なにしてるかな」
 おそらく、ひとりは部屋にこもってアイドルのブロマイドの整理か、アイドルのコンサートDVDを見ているであろう……いや、その両方かもしれない。
 もうひとりは、大切な人と夕食を食べている頃だろうか? もしかすると、肩を並べて美しい夜桜を見上げているかもしれない。
 リュカは自身の頭上で咲き乱れる桜たちに意識を戻す。
「今年も綺麗に咲いてくれて、ありがとう」
「とても綺麗ですね」
 隼人の声がしたほうへリュカは顔を向ける。
「隼人ちゃん、ちょっとうちの子たちの話を聞いてくれる?」
 さっきまで穏やかに微笑んでいたリュカが急に詰め寄ってきたから隼人は驚いた。
「え? はい……」
「相棒がね、初めて赤点とってきたの〜!!」
「それは、大変でしたね……」
「それで、お兄さん、すごくホッとして」
「……ん?」
 隼人は首を傾げた。どうやら、リュカは相棒が赤点をとってきたことを怒っているわけでも、困っているわけでもないようだ。
「すごく真面目な子で、ソツがないっていうか、あ、不器用だから、別に完璧人間とかじゃなかったんだけど、でも、滅多にウィークポイントは見せないから、この世界では生き難いかもしれないと、すこし心配だったんだけどね」
 隼人は下手な相づちは打たず、聞くことに専念することにした。
「大切な人と過ごすことが多くなって、それで赤点取って、ちゃんとそのことを俺とか相手に伝えてくれてさ……それって、幸せだからミスすることだってあるってことを学んで、そのミスを嘘や誤魔化しで覆い隠さなくてもいい場所に自分がいるってことをちゃんと知っているってことだろう?」
 リュカはサングラスをつけているから、隼人にはリュカの目がはっきりとは見えないけれど、それでも、その言葉と穏やかな声で、リュカの瞳がきらめているのが見えるような気がした。
「そんな風に相手を思える間柄、素敵ですね」
 そう隼人が言った次の瞬間にはリュカの表情は全く違う険しいものになっていた。
「でもね、もうひとりの相棒はさ、本体変えちゃったの。急に。本体だよ? 本体ってさ、そう易々と変えちゃいけないと思うんだよね? どう思う? 隼人ちゃん?」
「……え? 本体?」
『本体』とは眼鏡のことであると隼人が気づくのは、リュカの長い相棒トークの後半の方である。
 
 望華とグラナータは近くにあったスーパーボール掬いの屋台で真剣な顔で針を垂らしている。リュカと千颯は上機嫌で酒を酌み交わし、まさに浴びるように飲んでいる。それを隼人が穏やかな微笑みで見守っている。みんなそれぞれが楽しそうにしている様子に文は満足し、食べ物の追加調達へと出かけた。
 文の目当ては甘いものだ。早速、りんご飴の屋台を見つけた。
 赤いリンゴが飴に包まれてさらに輝きを増している。透明な通常のりんご飴もあるが、青や緑、紫、ピンクの飴に包まれたものもある。さらにりんごだけでなく、いちご、ぶどうやみかんもあり、文は目移りする。十分ほど悩んで、シンプルなりんご飴とぶどうの飴を選んだ。
 次に寄ったたい焼きの屋台でも、つぶあん、こしあん、ごまあん、桜あん、チョコレート、カスタードクリーム……さらには、普通の生地以外にクロワッサンの生地があり、こちらも十数分悩んで、普通の生地であんこ系をひと通りと、クロワッサン生地のチョコレートとカスタードクリームを購入した。
 人形焼は七福神とア●パ●マ●で悩み、無難に七福神を選択。
 クレープ屋さんを探す途中、カルメ焼きを自分で作れる屋台を発見して、屋台のおじさんに教えてもらいながら作った。熱々のカルメ焼きを紙袋に入れてもらって、意気揚々と歩いていくと、クレープ屋さんを発見する。何十と選択肢のあるクレープはイチゴを即決。
「……あとは……」
 アイスがダブルで乗ったクレープを食べながら屋台を見渡すと、タピオカジュースの屋台を発見した。女性に人気があり、長い列ができているのですこし躊躇したが、せっかくだからと文も並ぶ。
 並んでいる間にクレープを食べ終わり、人形焼を食べたり、ぶどう飴を頬張る。そんな文の目の前を一枚の桜の花びらが風に乗って舞う。地面に落ちることなく、ひらひらと目の前を通り過ぎた桜の花びらを文は目で追い、その軽やかな様子に口元が自然とほころんだ。
 文はふと視線を感じて視線を下げると、前に並んでいた女性と手をつないでいる少女がこちらを見上げていた。幼い少女は銀髪の綺麗なイケメンが微笑むのを目の当たりにして凝視していただけなのだが、凝視されている理由を文なりに考えた結果、「……はい」と、りんご飴をあげた。その瞬間、少女にとって文が『王子様』に確定したことを文は知らない。
 定番のタピオカミルクティーを無事に購入してレジャーシートへ戻ると、上半身裸になった千颯がズボンも脱ごうとし、それを隼人とグラナータが必死に止めようとしていた。望華は千颯に冷たい眼差しを送り、リュカは一升瓶を抱えて口にはイカの姿焼きを咥え、レジャーシートの上をころころと転がっていた。
「……カオス……」
 フルオープンパージしようとしている千颯に引きつつも、文はこの場をなんとかすべく、レジャーシートに上がった。
 甘味たちを望華の横に置き、カルメ焼きを紙袋から抜き取ると……まるで刀を振り下ろすようにカルメ焼きを振り下ろし、千颯の頬に押し付けた。
 表面の温度は下がっていたカルメ焼きだったが、「え〜、文ちゃんなにこれ〜」とだらしなく笑う千颯の頬にそのままグッと押し付けると、カルメ焼きが砕け、まだ熱を持っていたなかの部分が千颯の頬にあたる。
「あっっっつっっっ!」
 さすがの千颯も酔いが冷め、涙目になる。
「文ちゃん、なにすんの!?」
「なに……しようと、してたん……だ……?」
 背筋が凍るほどの冷たい視線を向けられ、千颯は思わず背筋を正した。
「……公共の場、だ……女子供の目……汚す、気か?」
 文の言う通り、レジャーシートの周囲には男性だけでなく、多くの女性と子供たちがいて、みんな一様に千颯にドン引きの眼差しを送り、文にはうっとりした眼差しを送っていた。
 千颯は文の気迫に押され、小さくなる。
「しゅみましぇん……」
「わかれば……よろしい……」
 まるで武士のような文が千颯に背を向けた瞬間、レジャーシートの周囲にいた女性たちは文に拍手を送った。
 文は望華とグラナータにタピオカミルクティーを渡し、リュカの口からイカ焼きを引き抜くと、代わりにたい焼きを突っ込んだ。その途端、リュカはその目をカッと見開き、上体を起こした。
「っ! 甘い!? 美味しい!!」
 隼人にもたい焼きを勧め、文もひとつ頬張る。

 隼人は文にもらったたい焼きをひと口食べ、紙コップに注がれた日本酒を飲む。
「……美味い」
 隼人は甘いものと日本酒が意外にも合うことに驚き、そして微笑む。
 この世界にはまだまだ自分の知らない味わいがある。
 賑やかに騒ぐことは隼人には不得意だが、千颯やリュカのような酔っ払いを見ているのは面白い。彼らは、隼人とは全く違う目を持ち、感性を持っている。
 もし、ほかの人の目で世界を見ることができたなら、自分では決して見つけることのできない発見があるのかもしれない。けれど、世界は知らない部分、見えない部分があるから楽しいのだとも隼人は思う。
 文と望華はすこし離れたところに設置されたビデオカメラを覗き込んでなにやら話している。グラナータとリュカはテンション高く、千颯の何度目かの乾杯に付き合っている。そんな賑やかななか、ひとりで心静かに飲む酒もまた味わい深い。
 周囲を見渡すと、スーツを着た人たちが酒を酌み交わしていたり、学生だと思われるグループが談笑していたり、親子連れで和やかに、老夫婦でおっとりと桜を見つめている人たちもいる。その全ての人たちが同じ景色を見て、そして、この賑やかな空気を一緒に作り上げている。
「……」
 隼人は今、改めて、自分たちがなにを守ったのかを知った気がした。
 ひとり、感慨深い思いに浸っていると、そんな隼人の顔を文が覗き込んだ。
「……楽しんで、いるか?」
 表情が乏しい文だったが、隼人を含め、他のメンバーへの気遣いを忘れない。
「ああ。ちゃんと楽しいよ。ありがとう」
「そうか……」と言った文の口元がすこし緩む。
「よかったらだけど、今晩録画したデータを後で送るよ」
 そう言って望華がドローンで撮影した映像をタブレットで見せてくれる。
「ありがとう。じゃ、スマホのほうに」
「散るからこそ美しいとは言っても、咲いているその姿を眺めるのもオツなもんでしょう?」
 そう得意げに笑む望華と隼人が連絡先交換をしていると、二人のやり取りを見ていたグラナータがぴょんぴょん跳ねながら言った。
「あ、自分も映像欲しいッス!」
「お兄さんも!」とリュカが言い、酔っていてなんの話か飲み込めていない千颯も「もちろん、俺ちゃんも!」と、両手を挙げる。
 望華はひとりひとりと連絡先を交換し、さっき屋台で取ったスーパーボールをあげる。
「望華ちゃんは思い出をカタチに残すのがうまいね」
 リュカは望華からもらったそれを両手で包むように触り、それがスーパーボールであることを確認する。
 たくさん取ったスーパーボールのなかに、望華は他のものの倍のサイズのスーパーボールを見つけた。
「あなたには、これね」
 そう望華は文に大きなスーパーボールを差し出した。
「……もらって、いいのか?」
「気の合う人間なんてなかなか出会えるものじゃないけど、今日はあなたのおかげでとても楽しかったわ。そのお礼よ」
「……」
 文はスーパーボールを受け取り、微笑んだ。
 春の穏やかな気候のなかで咲き乱れる桜の花も、陽の光にあたり、風に揺られ、時に雨に濡れ、様々な表情を見せる。
 そして、今は、深い紺色の空の下、人々をその美しい色で包んで、穏やかに微笑んでいるのだった。


*** END ***




━あとがき━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・
この度はご依頼いただきまして、ありがとうございます。
美しい桜の下、楽しいお花見となっているといいのですが…… グラナータの外見年齢が気になります。。。
外見は若いけど、きっと二十代のはずですよね…… お酒は二十歳になってから!
ご期待に添えていましたら幸いです。
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リンクブレイブ
2019年05月08日

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