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『本心は包み紙の中に? 』
氷雨 柊羽ka6767)&クラン・クィールスka6605


 雑貨店、宝飾品店、小物屋に菓子屋、花屋に美容室――女性好みの店々が集うこの界隈は、今日も女性客や恋人達で賑わっている。
 そんな中、一際女性客の目を惹く"お一人様"がいた。
 斜に結った銀糸髪。すらりと細く伸びた手足は、ただ歩くだけで様になる。切れ上がった目許はやや鋭くあるものの、それが中性的な面差しを引き締め一層端正なものにしていた。
 不遠慮な視線の束を背に居心地の悪さを感じつつ、柊羽は通りを彷徨っていた。

(んー……どうにも落ち着かないな。でも姉さんの誕生日はもうすぐだし、なんとか今日中にプレゼントを見繕えると良いんだけど)

 品定めのため足早に視線を振り切るわけにもいかず、気にしないよう努めながら歩を進めていく。
 ところが斜め前方、2人組の少女が何やら柊羽を見てひそひそ囁き交わしたかと思うと、小走りにやってくる。

(あっ。これは多分だめなやつ……ごめん!)

 柊羽は心の内で手を合わせ、くるりと方向転換。賑やかな通りを逸れて細い通りへ逃げ込んだ。断るより躱す手間の方が少ないし、何よりいちいち『同性だ』と説明する義理はないのだから。


 表通りを離れてみると、棚を構えた店の間に露店がいくつも出ていた。お客の数もいくらか少なく、ホッと息をつく。

「ここならゆっくり見れそうだね」

 ひとりごち、並べられた品々を覗いて回る。露店の店主達は、表通りの店員達よりおおらかで呼び込みも少ない。気ぜわしさから解放された心地でゆったり眺めていると――

「ん?」

 通りすがりの女性達が、何やら一方を振り返りつつ歩いているのに気がついた。お蔭で柊羽への視線は緩和されているものの、気になって視線の先を追ってみる。
 すると少し先の露店に、この界隈では少し珍しい男性の"お一人様"が。
 無駄のない筋肉に包まれた肢体。露店を覗き込んでいるだけなのに、その立ち姿に隙はない。すぐにハンターか傭兵の類だろうと察しがついた。垣間見える横顔――といっても距離があるので雰囲気が掴めるだけだが――もなかなかに整って見える。彼を振り返る女性達の視線が好奇とともに好意に満ちているのがその左証だろう。
 そんな男前がお一人様なのに声をかけられず済んでいるのは、ひとえに彼が覗いている露店が女性物のアクセサリーの店だからだ。大方彼女か妻への贈り物を選んでいるのだろう。
 それでもなお彼の背へまとわりつく女性達の視線。柊羽は思わず苦笑する。

(色男も大変だな……)

 同情を込めて眺めていると、一見他人の視線などを全く気にしていないかのような彼の背が、わずかばかり丸まっているのに気付いた。居心地の悪さを感じていないわけではないらしい。そう察すると親近感めく感情が湧いた。

(お互い、無事に贈り物を見つけられるといいね)

 心の中でエールを送り、彼のいる露店を過ぎようとした時だ。
 近付けば近付くほど、その背に見覚えがあるような気がしてくる。銀の髪、見たことのある腕輪、刃を持たぬ特徴的な剣。

(……あれ? クィールスさん……?)

 そう、それは誰であろう姉の恋人、クラン・クィールスだった。
 思いがけない遭遇に思わず足を止めると、彼の方も気付いて振り向いた。

「ん? ……柊羽、か?」

 まじまじ見てしまったことにバツの悪さを感じつつ、柊羽は会釈で応じる。

「こんにちは、クィールスさん。アクセサリーを見てるなんて珍しいね?」

 とっさに口にしたものの、店の品揃えから贈り物を選んでいたのは一目瞭然。彼の恋人の妹としては、つい贈り先が気になってしまうところ。
 彼は特に表情を変えるでもなく、目線で並んだ品々を示した。

「あぁ、まぁ……プレゼントを、な。あいつがそろそろ誕生日だろう?」

 その返答に密かに胸を撫で下ろし――別に疑いがあったわけではないけれど、大事な姉に関わることなので、さしもの柊羽も慎重になってしまうのは致し方ない――彼の横顔を仰いだ。

「へえ、じゃあ姉さんの。僕も同じ目的だったんだ」
「ん、……そちらもだったのか。奇遇な事だが……」

 クランは照れ隠しなのか、コホンと小さく咳払い。それを見て柊は思った。

(色男は色男で大変だけど、本当に大変なのは、その恋人である姉さんの方かもしれないなぁ……でも姉さんへのプレゼントを買うために、女性客ばかりの界隈に単身乗り込んで来るなんて、なかなか)

 こっそり微笑み、そんな彼の手伝いができればと口を開く。と、彼の方も同時に口を開いた。

「もし迷ってるなら付き合おうか? アドバイスくらいはできるかも」
「……すまない、そういうことなら少し意見を聞きたいんだが――ん?」
「ん?」

 顔を見合わせ目を瞬く。彼は照れくさそうに頭を掻いた。

「いや……実は、ずっと迷っていてな。……アクセサリーが良いかと思って来てみたものの、前にも髪留めなどを贈ったことがあるし……定石だとは思うんだが、代わり映えしないかな、と」

 先程感じた親近感に似た何かが、より一層確かなものに変わる。女性への贈り物慣れしていないらしいところも、妹としては好印象だ。

「なるほどね。近頃姉さんが大切に身につけているアクセサリーは、クィールスさんからの……っと、野暮だったね」

 からかうなよ、と言いたげな彼を促し歩き出す。
 アクセサリーでないのなら、一体どんな物が良いだろう。自分の分の贈り物案の整理も兼ねて、柊羽は指折り挙げていく。

「んー……姉さんなら和物じゃないかなぁ。簪とか、帯留めとか」
「……ん。和装が多いし、な」

 こっくり頷くクラン。彼は元々口数が多い方ではないので、短い返答も気にならない。

「手拭いや巾着、あとは小物入れとか……――」

 言いながら辺りを眺めた柊羽の目に、東方由来の衣類や反物を扱う店が映った。

「――……服?」

 これは完全に妹である自分用に挙げた案だったが、

「……、服?」

 意外なことにクランが食いついてきた。

「……その案は浮かばなかったが……そうか。服か」

 光明を得たとばかりに嬉しげなクラン。けれど柊羽は狼狽えずにはいられなかった。

「……え? 待ってクィールスさん、本当に渡すの? 姉さんに? 服を? 本当に? いいの?」

 珍しく矢継ぎ早に質問を繰り出す柊羽に、クランは首を傾げる。

「……ん、何かおかしいか?」
「おか……しくは、ない……のかな……。うん。恋人だし……?」
「改めて言われるとむず痒いが……まあそうだな」
「あ、いや、そこを確認しているわけじゃ……あれ? でも妹の僕がそれを是として良いのかな、この場合……」
「ん? ああ、柊羽ならサイズなども分かるだろうが、俺ではな……」
「あー……うん、そこでもなくて。……何だか今、とても複雑な立ち位置にいる気がしなくもないんだけど」
「アレもお洒落好きだった筈だし、良い案だと思ったんだが」

 何だか微妙に会話が噛み合っていない気がする。
 それでも、彼の決意は固いようだと察し、やがて柊羽は複雑なキモチを宥めるよう繰り返し浅く首肯した。

「うん……うん。いや……まあ、それでいいなら止めないけど……そっかぁ……」
「えっと……? 悪い、もしかして柊羽が服を贈るつもりだった、のか?」
「そこは気にしないで、選択肢のひとつだっただけだから。……よし。じゃあ、どんな服がいいか探さないとね? サイズは僕に任せてよ」

 柊羽が腹を括って請け負うと、クランはホッとしたように目許を和らげる。

「……悪いな。それなら、もう少し付き合ってくれ。贈り物だの、この手のはどうにも苦手でな」
「妹としてはむしろ安心だよ」
「良く分からないが、そういうものか……?」
「そういうものだよ」

 そうしてふたり、件の店へ連れ立って入っていった。



 店の中は、東方から持ち込まれた色とりどりの反物、着物、帯や草履に小物類まで、ありとあらゆる和装品が揃っていた。一歩踏み入れた途端、香や樟脳の匂いと、西方とは異なる華やかな色使いが押し寄せる。それらに圧倒されたクランが額を押さえたのを見、

「クィールスさん、大丈夫?」
「……ああ。初っ端からで悪いんだが……女性物、それも和装となると……どういった物が良いか、正直見当もつかない」
「姉さんほどじゃないけど、僕も多少は分かるから任せて。……あ。選択肢を増やすようでごめん、奥の方に和洋折衷のドレスなんかもあるみたいだ」
「なん……だと……」
「落ち着いて? そうだなぁ……まずは姉さんが選ぶ服の特徴から考えてみようか」

 柊羽はよろめくクランの背を押し、反物の棚を抜け、仕立てられた着物やドレスがディスプレイされた方へ。
 正絹の振袖など高価なものから、気軽に洗濯できる普段遣いのものまで、種類も用途も様々あった。

「えーっと。姉さんは足出すのが苦手で……」
「確かに……見たことがないな、そういった服装は」
「だよね? ズボンは全然履かないなぁ」
「なら、一先ずそれらは除外していいな」

 消去法で範囲が狭まってきたことに安堵の息をつくクラン。けれど、柊羽の具体的なアドバイスはそこまでだった。

「あとはクィールスさんの好みに着飾ればいいんじゃない?」
「こ、好み……? 俺のか?」

 目を丸くする彼に、柊羽は苦笑して肩を竦める。

「姉さん、クィールスさんが選んだものなら喜んで着てくれそうだし……贈るってことは、着た姿が見たいんでしょ」

 指摘され、クランは目線を彷徨わす。

「あ……ああ、そうか。そういうことになるのか……服を贈るんだもんな」

 その呟きに今度は柊羽の目が泳ぐ。

「え? ……んっ? 着た姿が見たい、ってことじゃないなら……やっぱり……そういう……?」
「柊羽は、さっきから一体何を言っているんだ……?」

 奇妙な沈黙が落ちたところで、折よく店主が声をかけてきた。柊羽は姉のサイズを伝え、店主おすすめの品、売れ筋の品、季節の新作など一通りピックアップしてもらう。その間クランはまだ不思議そうな顔で首を捻っていた。



 そこからクランの長考が始まった。並べられた衣服と真剣な顔でにらめっこ。
 柊羽は一旦その場を離れ、自分の方の贈り物を探しに出た。姉が好きな猫、そして桜のワンポイントが入った急須と湯のみのセットを見つけ、迷わず買い求める。お茶好きでもある姉はきっと気に入ってくれるだろう。
 それでも何軒か回ったので急ぎ戻ってみると、クランの方もようやく選んだ品を包んでもらっているところだった。

「何にするか決まったんだね」
「ああ……お陰様で、何とか、な」

 無事に贈り物が決まり意気揚々の柊羽とは違い、クランはやたらぐったりしていた。姉のためにそんなに一生懸命悩んだのかと思うと、何だか柊羽までほっこりしてくる。

「で、どんな服にしたの?」

 尋ねると、クランはちょっぴり悪戯っぽく片眉を跳ね上げた。

「その内に、着ているところを見られるんじゃないのか……? 『大切に身につけて』くれているらしいからな」
「それさっきのお返し? ……分かったよ、姉さんより先に見るわけにはいかないからね」

 けれど包んでいる店主の手元がちらりと視界に入ってしまった。品の良い包み紙の間から覗いたのは、春の空の下によく映えそうな美しい青。姉の白い肌にも映えるだろうなと想像しつつ、柊羽はそっと目を逸した。


 そうして各々包みを手に帰路につく。

「……今日は本当に助かった。悪かったな、付き合わせてしまって」
「ううん。姉さんに喜んでもらいたいのは、僕だって同じだからね」

 柊羽の言葉に、クランの双眸がふっと細まる。

「本当に仲が良いんだな……それじゃあ」
「ん、また」

 柊羽は歩き出したクランの背を見送った。出くわした時に比べ、彼の足取りは随分軽い。言葉より雄弁な仕草に、思わず口角が上がる。
 けれど柊羽にはどうしても気になることがあった。


「…………クィールスさん、知ってるのかな。服贈る意味……」


 贈った服を着て見せて欲しい。それは贈り主の当然な欲求として。
 問題はその後とでも言おうか――服を贈る、その行為に秘められた意味は。

 悶々としそうになり、柊羽はぶんぶんかぶりを振った。

「……僕が気を揉んでも仕方がないよね。どうするのかは姉さん次第なんだし」

 そう決め込んで、柊羽も家路に着く。

「……姉さん、頑張って」

 何を頑張れと言うのか我ながら謎ではあるものの、柊羽は祈るようにひとりごつと、あとはもう振り返らず足早に通りを歩いていった。





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登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【ka6767/氷雨 柊羽/女性/17/白銀のスナイパー】
【ka6605/クラン・クィールス/男性/20/オールラウンダー】

ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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お届けまでにお時間を頂いてしまい、大変申し訳ありません。
柊羽さんとクランさんのお話、お届けします。
少しでも楽しんでいただけましたら幸いです。
イメージと違う等ありましたら、お気軽にリテイクをお申し付けください。

この度はご用命下さりありがとうございました。

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2019年05月27日

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