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『Let’s cook 』
春月aa4200)&レイオンaa4200hero001

「こうすれば簡単だね!」

 レイオン(aa4200hero001)の視線の先、テレビの中ではコック帽をかぶった少女が料理を作っていた。

「そうか、これなら……」

 その様子を熱心に見ながらレイオンの手が紙に色々書き込んでいる。

 今日も今日とて彼のパートナーの為に簡単なレシピを研究している。

 子供向けの料理番組で紹介されている料理なら彼女にも作れるのではないかと思ったのだ。

「これならそんなに難しくないかもしれない」

 テレビの中で女の子が作っていたのはお好み焼き。

 店によっては自分で焼く店もあるし、生地も今日の番組の通りに作れば出来るのであればそこまで難しいものではない。

「一緒に作ればいいかな」

 レイオンは材料をメモ帳にささっとメモすると買い物へと出かけていった。

  ***

「ただいま」

「あ、お帰り」

 レイオンが帰宅すると、春月(aa4200)が出迎えてくれた。

 入れ違いになったのかと思って彼が尋ねると、今帰ってきたところだと彼女は答える。

「買い物? あ、今日の夕飯何?」

「今日は、お好み焼きだよ」

「やったー! 楽しみだなぁ」

「うん、一緒に作らない? 折角なら好きなものいっぱい入れて作ろう」

「一緒に? うん! 一緒に作ろう。シャワー浴びてきちゃうね」

 跳ねたり、回ったりしながら浴室に向かう彼女を見送りレイオンは袋から材料を取り出し始めた。

「で、お好み焼きに何入れる?」

「その前に、生地を作っちゃおう」

 レイオンはそう言って、長芋とおろし金を春月に手渡す。

「これをすりおろしてくれるかい?」

「うん! 任せて!」

 それなら出来るとばかりに胸元をポンと叩いて春月は受け取ると早速作業に取り掛かった。

「滑るから皮のある所を持つといいよ」

「がってん」

 おろし金がイモをすりおろす音を聞きながらレイオンはキャベツを荒めの千切りにしたり具材の準備をしていく。

「出来たよ! 皮のついてる部分はどうする?」

「お疲れ様。そっちは使わないから今度は小麦粉をふるってボウルに入れてくれる?」

「ふるう? 袋を振ってから入れればいいの?」

 ふるうという言葉が分からないのか春月は首をかしげる。

「ボウルにざるを重ねて、その上から小麦粉を入れるんだよ。ざるの上の小麦粉が全部ボウルに落ちる様にゆすったりすればいいから」

 本当は、専用の道具を使った方がいいのだろうが、あの番組でもざるを使っていた。

 多分、専門の道具を使わないことで、視覚的なハードルを下げているんだろうとレイオンは理解している。

「わかったー」

 春月がこぼれないように慎重にふるっていくと、程なくして小麦粉の山がボウルの中に出来上がる。

「そしたらだし汁を入れるよ。君は小麦粉を混ぜててくれるかい?」

 泡だて器を春月に渡し、レイオンは少しづつだし汁を入れていく。

「一気に入れちゃダメなの?」

「一気に入れるとだまになっちゃうんだよ。一人でやる時は少し入れて混ぜてまた少し入れるんだけど、今日は春月が一緒だからね」

「そうなんだ。なんか料理って大変そうだね」

「そんなことないよ。さ、出来た。次にさっきすりおろしてくれた長芋を入れる。そのまま混ぜてて」

 ドバっと長芋を入れると生地が少し重くなる。

「こっちは一気に入れるんだね」

「もう、だまになる心配がないからね。よく混ぜてね。長芋を入れると生地がふわふわになるんだ」

「ふわふわのお好み焼きっておいしいよね。よーし、頑張るぞ」

 ボウルを抱え込むように持ち直すと、手首のスナップを利かせ混ぜていく春月。

 その様子を見ながら、レイオンは思う。

(混ぜたり、焼いたりって言うのは上手いから、味の加減とか時間を見てって言うのが苦手なんだろうな)

 以前、焼き肉の食べ放題に行った時も、春月の焼く肉は生でもなく焼きすぎでもなく丁度良い火の通り具合だった。

 今も、すごく上手く混ぜられている。

 頭で考える作業が少し苦手なのではないだろうか、そうレイオンは思う。

「もういいよ。じゃあ、そこに卵と、天かすと、青ネギと……。具材に生地を絡ませる感じで今度は軽く混ぜてね」

 春月の持つボウルに用意しておいた材料を入れ、春月は言われた通り、混ぜていく。

 いよいよフライパンの出番。

「何乗っける?」

 火をつけ、おたまで1枚分をお椀掬い入れるとワクワクした様子で尋ねる春月にレイオンは皿に並べた具材を見せる。

 皿の上には、豚バラ、餅、コーン、玉ねぎ、シメジ、ウィンナー……他にも色々なものが並んでいる。

「好きなものを入れていいよ」

 そう言うと、皿の上のものを片っ端からお椀に入れていく春月。

「あ、豚肉は焼いてる途中で乗せるから入れないでね」

「がってん承知」

「その位にしたら? 全部入れると混ざらないよ?」

「あ、そっか」

 山ほどではないが、具材でこんもりとしたお椀を見ながらそっと生地を足すレイオン。

 スプーンで混ぜてみるとやっぱりと言うか予想通りこぼれる具材に。2人から小さく笑いが漏れる。

「いつ、豚肉を乗せるの?」

 フライパンに生地を流しいれてから春月がそう尋ねた。

「3分くらい焼いてからかな……あ、縁の生地が固まってきたら乗せて」

 時間で言うよりも、見た目で言った方が分かりやすいかと、レイオンは言い直す。

 すると、時計をじっと見ていた春月の視線がお好み焼きへ移った。

 やっぱり時間より見た目の方が良いようだと、レイオンは内心頷いた。

「そろそろかな」

「うん、乗せたらひっくり返してね」

 豚バラをお好み焼きを覆うように並べると、慎重にフライ返しを横から差し込み、フライパンとタイミングを合わせひっくり返す。

「上手いね」

 綺麗にひっくり返ったお好み焼きにレイオンはおぉ、と声を上げた。

(やっぱりこういうのは上手いんだよね)

 そのまま蓋をして待つこと数分。

「出来たかな?」

 待ちきれないとばかりに春月が蓋を開け、フライ返しでお好み焼きを軽く叩く。

「ひっくり返してみようか」

 子供の様な彼女の動きに微笑みながらレイオンがそう言うと、春月は今度は勢いよくひっくり返す。

 もうコツをつかんだようだった。

「うん、良いね。じゃあ、もう少し焼いたらソースとか青のりを振りかけて完成だ」

「まだ待つの?」

 お腹すいた、とばかりに口をとがらせる春月にもう少しの我慢だよ、と言い聞かせながら、

「お皿を準備しておこうか」

「うん、焼きあがったらすぐ食べた方が美味しいもんね」

 ソースとマヨネーズ、たっぷりの青のりと鰹節をかけてお皿に移す。

「冷めないうちに食べて」

 レイオンの言葉に、春月は頷くとおもむろにお好み焼きを半分にしてレイオンのお皿へ。

「? 僕はいいから、先に食べていいんだよ?」

「一緒に食べたいからいいの。次の焼いてる間に一緒に食べよう?」

「立ち食いってこと?」

「たまにはいいでしょ?」

 えへへと笑う春月。

「……今日だけだよ」

 レイオンはため息交じりに笑うとお好み焼きを口へ運ぶ。

「ん、美味しい」

「やった! 2人で作ると楽しいね」

「そうだね」

 春月の笑顔を見ながら2人で作るのも悪くないとレイオンは思った。

 料理が上手くなって欲しいという思いはあるが、こうして一緒に作ると彼女が得意なこと、苦手なことが見えてくる。

 そうすれば、彼女に合った教え方も出来るというものだ。

「また、一緒に作ろうか」

「うん!」

 それに、純粋にこうして2人で作るのは楽しい。

 いつまで彼女と一緒にいられるか分からないが、少しだけでも楽しい時間を記憶を残したいとレイオンは思うのだ。

「さて、食べ終わっちゃう前に2枚目焼こ。今度は何を入れようかな」

「今度は入れすぎないようにね」

「わかってるよー」

 楽しそうな2人の声はお互いの皿が空になるまで続いていた。




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登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【 aa4200 / 春月 / 女性 / 19歳 / 料理の楽しさを 】

【 aa4200hero001 / レイオン / 男性 / 28歳(外見) / 優しい手ほどきで 】
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龍川 那月 クリエイターズルームへ
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2019年05月27日

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