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『新しい出会いを探しに 』
ルカ マーシュaa5713

「これ、すごくない?」

 ルカ マーシュ(aa5713)の目は先ほどから輝きっぱなしだった。

 その手には魔法を科学的に研究した書籍が握られている。

「髪は神に通ずると言われ……かぁ。やっぱり髪伸ばそうかな」

 書籍には伝承や超常現象の他におまじないの類を科学的に検証したページもあった。

「あ、でも科学的には証明されてないのか。いや、それなら俺が証明すれば! やっぱ髪伸ばそ」

 姉によってツーブロックに刈り上げられてしまった前髪に指を入れつんつんと引っ張ってみる。

「そういや、これ、なんかの授業で使ってるのかも、って言ってたな……どの授業で使うんだろ。あー、その授業絶対取りたい!」

 一気に読み終えた本を胸に抱いたまま、シラバスを開く。

 そろそろ後期の授業でどれを取るか考えなくてはならない時期だ。

 一刻も早く授業を聞いてみたいルカは、1ページ1ページ丁寧に読んでいく。

「えっと……これでもない、こっちも違う……俺の学科じゃないのかなぁ?」

 ふとそう考えてから首を振る。

 大学受験の時はちゃんと色んな大学の色んな学科を検討して、一番それっぽい学科に入学している。

 他の学科ということは考えにくい。

「あ、これかな? ……えっと……」

 大学の授業名は大体堅苦しい名前で分かりやすくはない。

例えば、『○○概論A』だとか『○○方法論(Bクラス)』だとか先生が違うだけで名前を分けていたりする場合も多い。

 しかも、授業の概要とどの回でどんなことをするのか題名のようなものだけが書かれているのがシラバスだ。

 この回の授業に、この本を使いますなんて細かいことまで書かれていない。

(時期によって返却待ちになるってことは、常に使うテキストとかじゃなくてレポートかなんかの参考資料なんだよな)

 そもそもテキストなら図書館で借りたりはしないはずだ、とルカは思う。

「あー、どっちの先生だろ。AとBがあるー」

 目を付けた授業が後期に取れることは分かったが、同じ名前の授業を2人の先生が受け持っている。

「両方の先生に話聞いてみるかー。とりあえずこの本は買お」

 表紙をスマホで撮影してから、そうだ、と思いつく。

「どうせなら大きい本屋行こう。他にもそう言う感じの本あるかもしれないし」

  ***

「あーもう最悪……」

 突然の雨で逃げ込んだカフェの店先。

 ハンカチで濡れた手や腕を拭きながらルカは大きく息を吐いた。

 先生は2人ともお休みで、本は入荷待ち。

 挙句の果てに帰り道では急な雨と来ている。

 厄日とまでは行かなくても、最悪と言っても間違いではない日だろう。

「まあ、でも、面白そうな本は買えたからよかったかぁ」

 バッグから一冊の分厚い本を取り出し、ルカはにししと笑う。

 お目当ての本を探している途中で面白そうな解説書を見つけたのだ。

「こういうの読むと本当に魔法とかある気がしてくるから好きなんだよな」

 先ほどより雨は強くなってきていて、今出れば本が濡れる事は簡単に予想できた。

 買ったばかりでまだ読んでもいない本を濡らすのはちょっとなぁ、そんなことを思いながら店内の方へ視線を向ける。

「暫く雨宿りするか」

 まだ店内はそんなに混んでいないし、天気予報では今日は晴れだった。

(通り雨みたいなもんだろうしな)

「折角だし、ちょっと読んじゃおうかな」

 雨があがったらすぐに出られるように窓際の席に座り、早速本をバッグから取り出す。

 紹介本の域を出ない本だが、基本的なことは押さえられていることは、同じシリーズの解説本を持っている彼には分っている。

 それでも、興味を持ってしまったら買うしかないとルカは思っている。

 小説やゲームの魔法使いは知的好奇心が旺盛なキャラが多く、たまたま興味を持った本を読んでいたら魔法の力に目覚めたなんてキャラもいる。

 昔はそんな出会いがあるに違いないと思っていたし、今でもたまにそんな不思議な出会いがあったらいいな、と思うことがルカにもある。

 その為にも興味を持った本を買わないという選択肢は彼の中には存在しないのだ。

 続々と入ってくる雨宿り客に見向きもせずルカはページをめくり続ける。

「あー、面白かった!」

 どのくらい経っただろう、巻末まで読み終わったルカはぱたんと本を閉じた。

(本当、買ってよかった)

 そう思いながら、表紙をもう一度見る。

「ん? あー!!!」

 急に上がったルカの大声に、店中の視線が集まる。

「あ、すみません。すみません」

 そう何度も頭を下げてからもう一度、表紙を見る。

「これ、あの先生の名前だ」

 著者のところに、今日話を聞きに行こうと思っていた先生のうち1人の名前が書かれていたのだ。

「もう決まりじゃん。この先生の授業取ろ」

 そう思いながら窓の外を見ると、あんなに暗かった空が明るくなってきている。

 雨ももうすぐで止みそうだ。

(授業、どんな感じなんだろ、楽しみだなぁ)

 近い未来に聞くだろう授業の内容を想像しながら、ルカは雨が完全に止むのを待つのだった。



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【 aa5713 / ルカ マーシュ / 男性 / 18歳 / ワクワクが止まらない 】
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龍川 那月 クリエイターズルームへ
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2019年05月28日

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