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『あなたと共になれる日 』
ラドシアス・ル・アヴィシニアaa0778hero001)&エル・ル・アヴィシニアaa1688hero001

●One day.
(……もうすぐかの)
 エル・ル・アヴィシニア(aa1688hero001)はコンロの火を止め、ちらりと時計を見た。
 あと30分。あと25分。あと23分。時計を見てはまだ時間でないと気持ちを落ち着かせ、作った料理を確認したり、自分の姿に変なところはないかと鏡を見たり。そして時計を見て──この繰り返しである。
 しかし時計は予定の5分前を指し示した。もう来たっておかしくない。
 そして、気づく。彼が来たら、家へ招き入れて。それからなんと声をかけたら良いのだろう?
 己が能力者の名を呼びかけて、今この家にはいないことを思い出す。彼も恋人の元に行っていたはずだ。意見を聞きたかったのに、これでは1人で考える他ない。
 などと、考えている間に。
「……っ!」
 インターホンが響く。考えていたことが真っ白になって、玄関へ走ったエルはドアノブへ手をかけ──ようとして、思いとどまった。
 小さく咳払いをして、深呼吸を1つ。心を多少落ち着かせてから、改めてドアノブへ手をかける。鍵のツマミを回し、扉を開ければそこには愛しい人の姿があった。
「ラド」
 名を呼ばれたラドシアス(aa0778hero001)は笑みを浮かべ、「待たせたか」と問うて。
「いいや、ちょうど良い時間だの。こちらへ」
「ああ、邪魔する」
 家へ彼をあげ、料理を並べるエル。その品々にラドシアスは思わず目を瞬かせる。
「これは……」
 目の前に置かれたパスタの皿。食卓を鮮やかに彩るラタトゥイユやキッシュ、優しい色をしたスープ。どれもこれも、ラドシアスの好みが反映されたものばかりである。
「食べてみてくれ」
 促されるままにラドシアスは料理を口にした。隣でエルが見つめている気配がする。彼女の手料理は──良い意味で『手料理』だった。
 ラドシアスの好みに合わせた料理もそうだが、それぞれに優しい想いが詰まっていて。心を込めてくれたことが伝わるから、それが何よりも嬉しい。
「どれも美味いな……ありがとう」
 言葉にすればエルの顔も綻んだ。彼女にも促して2人で食事を楽しみ、言葉を交わす。近況、面白かったこと、楽しかったこと──互いの能力者の話が出るのは必然で。
「ここ最近、輪を掛けて幸せそうだよな」
「ああ、2人一緒に居るとずっとにこにこしておるの」
 彼らは最近婚約したばかり。今日もデートに行っているはずだ。出て行く直前の表情を思い出すと、エルはくすりと小さく笑う。
 ラドシアスもまた、彼女の反応に小さく笑みを浮かべた。
(彼が巣立ったら……なんて話をしたのは、4月の頃だったか)
 彼女と、その能力者のことを考えて──そう思っていたが、エルの反応を見ればそれも杞憂のようだった。
 食事を食べ終え、デザートを出しに行ったエルの背を見送り。ラドシアスはそっとポケットに忍ばせた"それ"の感触を確かめる。
 そして彼女がデザートをテーブルに置き、座ったところでその口を開いた。
「エル」
「……ラド?」
 真剣な視線にエルが目を瞬かせる。その瞳はラドが持っている、開いた小箱に大きく見開かれた。
「……俺と結婚してくれないか?」
 来るとわかっていた言葉に、それでも実際聞けば唇が戦慄いて。
(答えなど、決まっている)
 ただ、嬉しくて、嬉しくて。それは泣いてしまいそうなほどに。
「──はい」
 満面の笑みを浮かべたエルに、ラドシアスもまた何も隠すことのない笑顔を浮かべた。
 ラドシアスに抱き寄せられれば2人の顔は近づいて、重なって。一旦離して笑い合うと、額をこつりと合わせて。
 そんな2人を祝福するように、机へ置かれた小箱──その中に収められた一粒ダイヤがきらりと光った。


●17th June,2019

(──あれから、長かったような、短かったような)
 エルの隣には愛しい人がいる。手を差し出せば、優しくその手を取られた。
「これからも共に」
 言葉とともに嵌められたのは、入籍した今日という日を記念する指輪。2人で選んだ、指輪だ。


 楽しそうだな、という言葉にエルは頷いてみせた。
 楽しくないわけがない。心が浮きたたないわけがない。ラドシアスとエルの、夫婦の証を選びに来たのだから。
 その様子を後ろから見ていたラドシアスは、ふっと笑みを浮かべて。妻となる女性が楽しそうにしている姿を、優しく見守っていた。
 ふとエルが振り返る。ラド、と呼ばれて近づくと、展示されているうちの1つを指差していた。
「これも素敵だの」
「これも……ということは、他にも候補があるのか」
「うむ」
 これか、これか。次々と指さされた指輪はどれも華美過ぎずそれでいて洒落たデザインで。試しに着けてみることもできるというので、2人は順番に試してみることにした。
「──これだの。これがラドにも良く似合う」
 最後に着けた指輪を見て、エルが優しく、嬉しそうに微笑む。
「そうか……エルも良く似合っている」
 彼女に似合っていて、自分も似合っているというのなら何も問題はない。
 ラドシアスは入籍日に間に合わせるよう、指輪のサイズ調整と刻印の依頼をしたのだった──。


 ──そして、今。ピッタリのサイズに、2人のイニシャルと記念日が刻印された指輪がエルの薬指へ収まった。
 嬉しそうな表情を浮かべたエルは、「次はこちらの番だの」と手を差し出す。その手に自分のそれを重ねれば、薬指へ指輪がはめられて。
「幾久しく、宜しくの」
 2人は互いを見つめ合い、けれどエルは思わず視線を逸らして。今、変わったのは恋人から夫婦になったというそれだけのはずなのに──今までより恥ずかしく思うのは何故だろうか。
 けれど今までよりもっと近づきたくて、エルは隣に腰掛けていた彼へ思い切り寄りかかる。ラドシアスも飛び込んできたエルを抱きとめ、その肩へ腕を回した。
(……暖かい)
 彼の体温がわかるほどの距離。いつもは恥ずかしくてこんなことも出来ないが、今ばかりはこの体温を──彼を感じていたくて。
 ラドシアスもまた、彼女を近くで感じながらこの幸せな瞬間を噛み締めていた。

 入籍して、指輪を交換して。
 こうしてエル・ル・アヴィシニアとラドシアス──改め、ラドシアス・ル・アヴィシニアはこうして夫婦となった。

 もう少し、あともう少しだけ。そうしたらケーキと、手料理でささやかなお祝いをしよう。
 幸せな家庭を築くことを誓おう。
 ずっとずっと寄り添って、共に生きよう。

 だから何度だって言葉を交わす。
 ──ラド。これからも宜しくの。
 ──あぁ、こちらこそよろしくな……エル。


━あとがき━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・
 いつもお世話になっております。おめでとうございます。本当におめでとうございます。
 幸せで、けれどそれぞれのシーンで微妙に違う雰囲気を書かせて頂きました。お2人の気持ちの変化が感じ取れるような文章になっていたら幸いです。
 気になる点などございましたら、お気軽にご連絡下さい。
 この度はご発注、ありがとうございました!
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2019年08月13日

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