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『恋バナと墓守の行方 』
リューリ・ハルマka0502)&アルスレーテ・フュラーka6148)&アルト・ヴァレンティーニka3109

 今日の喫茶『月待猫』は珍しく客が少なかった。
 時々ではあるが、こういう日がたまにある。
 そんな時は店を早めに閉めて、その日居合わせた店員たちでお茶会をする。
 本日の店番はアルト・ヴァレンティーニ(ka3109)とアルスレーテ・フュラー(ka6148)で……リューリ・ハルマ(ka0502)は彼女達に店じまいの片づけをお願いすると、自身はキッチンに立ち、軽食を作り始めた。
 お客様の為に用意していたケーキは日持ちしないし食べてしまおう。
 あとは、アルスレーテが作り置きしておいてくれたツナサンド、今作っているカナッペがあれば十分だろう。
 今日のお茶はお花の香りがするフレーバーティーにしよう!
 リューリがティーポットを温めて、紅茶を淹れ終わる頃に丁度掃除を終えたアルトとアルスレーテが戻って来た。
「二人ともお疲れ様! 丁度お茶が入ったとこだよ! 座って!」
 リューリに促されるままにカウンターに腰掛けたアルト。その隣で、アルスレーテが首を傾げた。
「こんな早くに店閉めちゃって大丈夫なの?」
「あれ? アルスレーテさん、このお茶会初めてだっけ? 時々やるんだよ、店員だけのお茶会」
「お客さんが少ない日はこうやって早くお店閉めて、のんびりするんだ。いつも働いてくれてる店員さんにもサービスしないとね」
 アルトとリューリの説明に、アルスレーテが納得したように頷く。
「ああ、そういう……てっきりこれから予定のある私に気を遣ってくれたのかと思ったわ」
「予定? どこか行くの?」
「ええ。この後買い物に行くつもりだったのよ。ほら、故郷にいる彼氏に頼まれてるものがあって」
 アルトの問いにさらりと受け答えたアルスレーテ。リューリがお茶を配りながら目を輝かせる。
「ねえねえ。アルスさんの彼氏ってどんな人なの?」
「そういえば聞いたことなかったよね。結婚する予定もあるんでしょ?」
「ええ……。それ聞くぅ?」
「うん! 聞きたい!!」
「勿論無理にとは言わないけどさ」
 ずいっと身を乗り出して来たリューリ。アルトの目も興味ありげに輝いていて……アルスレーテは諦めたようにため息をつく。
「……分かったわよ。話してもいいけど、そんな面白い話じゃないわよ?」
 アルスレーテは琥珀色の紅茶に目線を落としてぽつりぽつりと口を開く。
 ――彼は元ハンターだった人だ。
 何故ハンターを辞めたのか、と問われたら色々と事情はあったのだけれど……彼に言わせれば『ハンターに向いていなかった』と答えるような気がする。
 だって、普段は頼りになるどころか、どちらかというとヘタレと呼ばれる部類の人なので。
 初めて会った日のことは忘れもしない。
 湖で水浴びをしていたアルスレーテのところに、あの人がひょっこり現れたのだ。
 劈くような悲鳴をあげて、手当たり次第にモノを投げつける彼女に、あの人はただひたすら謝っていたような――。
 ……今思い返しても恥ずかしい記憶だ。
 事故とはいえ、一糸纏わぬ姿を見られて、『責任を取ってくれ』と半泣きで訴えた。
 もちろん、それだけであの人を選んだわけではない。彼とて同じことだろう。
 ――アルスレーテは、妹たちから何でもできると思われているけど、何でもできる故にどの分野でも妹達には敵わない。
 何をやっても一番にはなれない。多分、それはこの先もずっとそうだ。
 それでも、あの人はアルスレーテはそれでいいと言ってくれた。
 姉妹達の中でも、自分を選んで恋人とし、『一番』として扱ってくれている。
 足りないものを満たしてくれる彼には感謝しているし、この先も大事にしたいと、そう思う。
「……ヘタレと言いながら良く選んだよね」
「言ってくれるわね、アルト。勿論それだけじゃないからよ!! リューリなら分かってくれるわよね?」
「あはは。彼氏さん素敵な人なんだね」
 ニヤニヤしているアルトとリューリ。アルスレーテはこほんと咳払いをした。
「まあね。で? アルトはどうなのよ。結婚とか考えない訳じゃないんでしょ?」
 突然振られて目を瞬かせるアルト。カナッペを齧りつつ、うーんと唸る。
「結婚……結婚かぁ。そうだねぇ、ボクだって、一応女だからね。そういうことに興味ないわけじゃあないけど……」
 両親もいまだに子供たちが呆れるぐらい仲がいい。
 あの年になるまで熱い愛を貫けるような……そういう人に出会えるなら考えなくもないかな。
 そう続けたアルトに、今度はリューリが首を傾げた。
「レギくんは? 求愛されてるんでしょ?」
「え。レギ君? うーん、そうだね……。確かに、心の強さは目を見張るものがあると思う、うん」
 強化人間となった彼は、邪神と契約状態だったはずなのだ。
 それなのに、どんな状況であっても……邪神の呼び声に晒されてもなお、暴走することなく耐えきった。
 あのブレなさはなかなか真似できないだろうし。そう考えると、彼はいい男に含まれるのだろう。
 そう続けたアルトに、アルスレーテの笑みが深くなる。 
「へえ? じゃあ求愛受けてあげるの?」
「いやー……どうかな。あの子はまだ弟って感じだしなあ」
 アルトは屈指の腕前を持つハンターだが、それでも女の子だ。
 プライベートでは結構甘えたいし……そう考えると、自分よりは背が高くなって欲しいなと思ったりする。
「アルト、結構細かいこと気にするのね」
「細かくないよ! 大事なことだよ!!」
 アルスレーテのツッコミに猛然と言い返すアルト。その様子に、リューリがくすくす笑いながら続ける。
「身長もだけど、レギくん、武者修行しないとじゃない? アルトちゃんのお兄さん、絶対『こいつが欲しければ俺を倒してからにしろ』って言うでしょ」
「あー……。そうだね」
 遠い目をするアルト。
 彼氏が出来ました、なんて言ったら最後、兄は絶対に戦いを挑んで来るだろう。
 ちなみに当然のことながら、アルトの兄はかーなーりー強い。
 結構な勢いで修業しないと、多分攻撃を当てることすら難しい。
「……まあ、ボクより強くなってくれると嬉しいし、そう簡単に死なれたら困るし。これからビシバシ鍛えようかな」
「アルトに鍛えられるって……今、ちょっとだけレギに同情したわ……」
「まあ、レギ君もアルトちゃんの為なら本望なんじゃないかな?」
 今度何か奢ってあげなきゃ、と決意を見せるアルスレーテに笑うリューリ。
 アルトは微かに頬を染めつつ、親友を見る。
「じゃあ、私の話はおしまい! 今度はリューリちゃんの番だよ」
「えっ。私? うーん、そうだな……結婚はまだ考えてないけど、結婚するならあの人かな……という人はいるよ」
「あら、初耳。ちょっと詳しく聞かせなさいよ」
 紅茶を飲みつつ、先を促すアルスレーテに、リューリもケーキを口に運びながら頷く。
「あのね。とってもお茶目で、森好きな人なの。結婚して、カフェ続けても気にしなさそうなのがいいかな」
「お茶目なら、リューリちゃんの価値観に合いそうだねえ」
「お茶目なだけじゃないんだよ! たまに苛めっ子なところもいいなって思うの!」
 満面の笑みを浮かべるリューリに顔を見合わせるアルスレーテとアルト。
 困惑を隠しきれないままに、2人は続ける。
「あの、リューリ。人の趣味をとやかく言うような野暮な真似はしたくないけど……」
「……苛めっ子なところって、長所なのかな……?」
「うん!! ……あ! 燕太郎さんが気になったのは、苛めっ子ぽかったからとか、そういうことじゃないからね!?」
 ――誰もそんなこと聞いてないのに。その弁明は墓穴掘ってないですかね、リューリさん。
 ああ、あの歪虚が死んでくれて本当に良かった。
 これ以上この可愛い友人の人生を狂わせられたらたまったものじゃなかった……!
 目線で会話し、うんうんと頷き合うアルスレーテとアルト。
 だが、リューリはそんな空気も読まず、満面の笑みで友人達を見た。
「あっ。そうだ! 思い出した。あのね、2人に相談があるの!」
「ん? どうかした?」
「何か困ってることでもあるの?」
「ううん。そういうんじゃないんだけど……あのね。辺境に開拓地ホープがあるでしょ。あそこに、『月待猫』の出張店舗置けないかなって思って」
「……ちょっと待って。話が読めないわ。何でまたそんなこと考えたの?」
「ホープって……確かリアルブルーからの転移遭難者のお墓作らせてもらった場所だよね」
「そうなの! ここからお墓参りに通うのも大変だし、『月待猫』の出張店舗があったら、燕太郎さんのお墓参り毎日行けるなって思って……どうかな?」
 ニコニコして続けるリューリに、死んだ魚の目になるアルスレーテとアルト。
 ――手遅れだった。リューリは既にあの歪虚に人生狂わされてた……!
 『月待猫』の店主だけでなく、一生墓守をして過ごす気なのだ、この子は……!
「ねえ、リューリ。あなたの彼氏、喫茶店を続けるのは気にしないかもしれないけど……さすがに恋人が自分の知らない男の墓守するって言ったら面白くないんじゃないの?」
「そう、だよね。ボク達だけじゃなくて、彼氏さんにも相談した方がいいんじゃないかな?」
「そうかな? あそこのお墓に眠ってるの、燕太郎さんだけじゃないし。彼、全然気にしないと思うけど」
 あっけらかんというリューリ。固まるアルスレーテとアルト。
 いやいや。誰が眠ってるかとか関係なく、うら若いリューリに墓守して過ごさせるのが忍びないと言っているのだ。
 自分達が、やんわりと制止したことには全く気付いて貰えなかったらしい。
 しかもリューリの彼氏は彼女と同じ自由人かーー!!
 アルスレーテとアルトは微かに痛むこめかみをさすりつつ、リューリに目線を送った。
「とにかく、一度彼氏に相談なさい」
「出張店舗出すか否かはそれから決めよう? いいね?」
「……?? はーい。わかったよー」

 恋バナに花を咲かせるはずが、とんでもない方向に転んで――。
 そんな話をしつつも、3人のお茶会はまだまだ続く。
 未来がどうなるかは分からないけれど……それぞれが幸せを掴めるといいなあ、なんて。
 思う彼女達だった。


 余談:結局話が盛り上がり、そのままリューリの家に上がり込んで夜中まで話し込んだため、アルスレーテの買い物は翌日になりました。


━あとがき━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・
お世話になっております。猫又です。

お届けまでお時間頂戴してしまい、申し訳ありませんでした。
お友達同士の恋バナ、いかがでしたでしょうか。
普通に彼氏談議で終わるはずが、リューリちゃんの爆弾投下でちょっと毛色が変わってしまいましたが、少しでもお楽しみ戴けましたら幸いです。
話し方、内容等気になる点がございましたらお気軽にリテイクをお申し付け下さい。

ご依頼戴きありがとうございました。
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2019年08月21日

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