●新しい世界へ
「Man sad tellil? Man sad tellil? Man I eneth lin? 〜♪(どこから来たの、どこから来たの、あなたの名前は?)」
母なる世界の言葉で歌いながら、クローソー(aa0045hero002)は家の屋根に腰を下ろし、ぼんやりと街角を見つめていた。異世界から来訪した様々な容貌の人間達が擦れ違っている。リオ・ベルデは多国籍どころか、多元宇宙的光景へと変わっていた。この都市自体も急激な発展を遂げたから、オフィスビルの立ち並ぶビル街と、昔々の風情が残る商店街まで、さまざま景色がパッチワークのように入り乱れている。
「いい眺めだ。昼寝日和だな……」
彼女は呟くと、モヒートの瓶の蓋を開く。ミントの酸味を味わいながら、屋根に寝転んだ彼女はゆるゆると瞼を閉ざした。飛び交う小鳥の鳴き声が聞こえる。その声は、今日も役所で働いているであろう彼女の娘の活躍を、ぴちくりぱちくり噂しているかのようだった。