▼作品詳細検索▼  →クリエイター検索


『今宵、不思議の国で。』
ウェンディ・フローレンスaa4019)&ロザーリア・アレッサンドリaa4019hero001)&クロエ・ミュライユaa5394)&サキ・ミュライユaa5394hero002)&エウカリス・ミュライユaa5394hero001


 最初に言い出したのが誰だったのか、それははっきりと思い出せない。
 けれど世界が落ち着いて、学生が学生に戻れた夏休み。
 せっかくだから旅行にでも行きたいね……という気持ちは、皆が同じだった。

 サキ・ミュライユ(aa5394hero002)はベッドに寝転がり、スマホを眺めて微笑む。
 スマホに収まったのは笑顔、笑顔。
「うん、やっぱり来てよかったね」
 この世界の乗り物に乗り、あちこちを見て回り、1日はあっという間に過ぎた。
 心地よい疲れを感じながら、ホテルのふかふかのベッドに寝転がって、今日の出来事を振り返るのも楽しい。
「そうね。最初はどうなることかと思ったけれど……」
 クロエ・ミュライユ(aa5394)はそこで言葉を切り、耳を澄ます。
「……長いわね」
「どうしたの?」
 サキが顔を上げると、クロエがすたすたとバスルームへ向かっていく。
「ちょっと、倒れてたりしない?」
 ノックすると、エウカリス・ミュライユ(aa5394hero001)が顔を出した。
「ごめんなさいね。シャワーのお湯がうまく止まらないの」
「どうしてそうなっちゃうの?」
 クロエはため息をつくと、バスルームに入っていく。
「ほらここ! ここを捻るとちゃんと止まるでしょう?」
「あらほんとう。色々あるからわからなくなってしまうの」
 クロエに世話を焼かれながら、エウカリスはおっとりと微笑む。
 このふたりにサキを加えたエウカリス三姉妹に、血縁はない。
 けれど不思議な縁でこうして一緒にいる。
 一見、エウカリスがお姉さんかと思いきや、クロエが世話を焼くことの方が多いのが不思議だ。
「大丈夫?」
 サキが背後から声をかけたとき、隣室とつながる扉にノックの音が響く。

 すぐに駆け寄り、扉を開けると、ウェンディ・フローレンス(aa4019)が立っていた。
 瞳は何かを予感させるように輝き、ウェンディを生き生きと美しく見せている。
「お取込み中でしたの? そろそろお約束の時間でしたので」
「もう少し後にする?」
 ロザーリア・アレッサンドリ(aa4019hero001)は「それでもいいんだけど」と言わんばかりだ。
 ウェンディとロザーリアは三姉妹に劣らず、とても良い関係の能力者と英雄だ。
 というわけで、ロザーリアはウェンディと水入らずで過ごすのも、それはそれでいいと思っているのだろう。
 だがサキより先に、クロエがバスルームから顔を出して答えた。
「大丈夫よ。どうぞ入って」
「ではお邪魔いたしますわ」
 ウェンディはちょっとした冒険のように、楽しそうにこちらの部屋に入ってくる。

 ホテルで用意してもらった部屋は、少し奮発した準スイートの続き部屋だった。
 広めの部屋をエウカリス三姉妹が使い、もう一つの部屋をウェンディとロザーリアが使う。
 間を仕切る扉があって、廊下を通らずに行き来できるのが楽しい。
 三姉妹のほうの部屋にはちょっとした応接セットがあるのも、旅行の夜には最適だった。
 だからそれぞれシャワーを済ませたら集まって、トークに花を咲かせよう……とあらかじめ決めてあったのだ。


 ルームサービスで香り高いお茶を頼み、旅の途中で見つけたお茶菓子を並べる。
 夜更けのティータイムは少し後ろめたくもあり、それがかえってドキドキを盛り上げもする。
 おしゃべりの主な話題は旅行中のあれこれだったが、サキが旅の途中の写真を見せようとして、見せた画面の待ち受けにみんなの視線が釘付けになる。
「これは……この前のミスコンの写真だよね」
 ロザーリアが意味ありげに笑うと、サキは嬉しそうにそっとスマホに手を添える。
「そうよ。とっても綺麗だったから、こうしていつも見ているの」
 皆が額をくっつけるようにして写真を覗き込むので、なんだか狭い。
 エウカリスがふと思いついたように、隣のクロエに顔を向ける。
「ねえクロエ、タブレットも持ってきているのよね? あれならみんなで一緒に見られるわよ」
「え? ……あるけど」
 クロエはいつものクールな表情のまま、ほんの少しだけ視線を泳がせた。
「流石クロエね! バッテリーはたしかこっちに……」
 エウカリスは無意識のうちに、クロエを追い込んでいく。仕方なくクロエも自分のタブレットをテーブルに置いた。
(自分の写真なんて、ちょっと恥ずかしいのよね)

 そんなクロエの気持ちを知ってか知らずか(多分知らないのだろう)、さっそくサキが歓声を上げる。
「やっぱり今見ても、本当に綺麗よね!」
 ミスコンのときには、クロエとウェンディが揃いのドレスで出場したのだ。
 同じデザインのドレスなのだが、ふたりの雰囲気が違うので、並んで撮った写真は雑誌のグラビアのようだ。
「クロエはもちろん何を着ても似合うんだけど、ウェディングドレス姿はやっぱり特別ね」
 サキはうっとりとその写真に見入ってしまう。
 飽きるほど見ているのに、初めて見たように魅入られてしまうのが不思議だ。
「なんというのかな。初々しくて、でも覚悟みたいなのもあって。白いドレスってやっぱり特別よね」
「そうだよね。ウェンディの金の髪が、白いドレスに本当によく映えているよ」
 首を突っ込んできたのはロザーリアだ。
 ウェンディはタブレットを奪うようにして写真を繰ったロザーリアに、思わず声をあげて笑ってしまった。
「まあ、ロザリーったら。でも嬉しいわ、有難う」
「本当によく似合ってたんだから。コンテストでみんなに見せるのがもったいないって思ったぐらいだよ」
 ロザーリアは意味ありげにウェンディを見る。
 その気障な言い回し、悪戯っぽい目つきは、どんな伊達男よりも魅惑的だと、ウェンディは思う。

 だがサキも負けてはいない。
「クロエの赤い瞳が、白いドレスに宝石をあしらったみたいなんだよね」
 またまたタブレットを奪い返し、クロエの写真をアップにする。
 少し離れてお茶を飲みつつ一同を眺め、クロエはそっと溜息をもらす。
(なんでウェンディや私より、盛り上がってるのかしら。コンテストの時と同じね)
 自分でもあの時のドレス姿は気に入っているが、他人にまじまじと見られるのはやっぱり落ち着かないのだ。
 ふと、視線がエウカリスの視線とぶつかり、普段通りのクールな表情に戻るクロエ。
 エウカリスはにこにこしながらクロエ、そしてウェンディを順に見た。
「ふたりともとっても可愛かったし、やっぱり一番きれいだったわよ」
 ここに普段着でいても、ふたりともとても綺麗だ。ドレスが似合うのも当然だろう。
「一緒に支度するのも、本当に楽しかったわ」
 かけがえのない思い出。
 だがエウカリスは、素敵なドレス姿を見ているうちに、あの時の楽しさと一緒に、自分自身の気持ちも思い出す。
(やっぱり、次は私も来てみたいなー、なんて思ってしまうわよね)
 サキは、そしてロザーリアはどうなのだろう。
 エウカリスはふとそんなことを考えた。

 それに気づいたかのように、ウェンディが席を立つ。
「そういえば。少しお待ちくださいね」
 自分の部屋に戻り、羽のように軽い足取りですぐに戻ってくる。
「これを持ってきましたの。よければご覧くださいな」
 胸に抱えていたのは、白い表紙の立派なアルバムだ。
 皆に見えるようにテーブルに置くと、ロザーリアがくすくす笑いながら、ウェンディの腕に腕を絡めて耳元に囁く。
「あたしのドレス姿が見たいんだー、ミスコンの時は着なかったからねー」
「ふふっ、それももちろんありますわ」
 そんな二人の意味ありげな様子に、三姉妹は顔を見合わせる。
「開いてごらんになって。素敵なアルバムですのよ」
 ウェンディの促すままに、クロエが表紙を開く。
「えっ……?」
 クロエは見開いた眼を、すぐに細めなければならなかった。
 アルバムのページからあふれだした不思議な光が、部屋中を満たしていった。


 再び目を開いた時、部屋の様子はすっかり変わっていた。
「どういうことなの?」
 クロエが思わずつぶやく。
 ホテルの部屋もそれなりに広かったが、今いる部屋はそれより広い。
 ふかふかの大きなベッドは消え失せ、四方の壁は無数のドレスに覆われていた。
「びっくりした? これがあのアルバムの不思議な力なんだよね」
 ロザーリアはまるで自分が魔法を使って驚かせたかのように、目を輝かせている。
「きっと気に入りのドレスが見つかりますわ。早速探してみましょう」
 ウェンディは慣れた様子で、けれどこちらもとても楽しそうにロザーリアの腕を取る。
「ロザリーもドレスを着て見せてくださるのでしょう?」
「ウェンディが望むなら喜んで」
 気取った調子でそう言ってから、やっぱり笑いだす。それから迷うことなく壁際へ並んで歩いていった。

 一方、エウカリス三姉妹は互いに顔を見合わせた。
 不思議な力で結びつけられた、奇跡の同姓の仮姉妹とはいえ、全ての不思議に動じないわけではない。
「何なの、ここは」
 クロエは警戒するように周囲を見渡す。
「素敵な部屋ねえ」
 一方、エウカリスは相変わらずだ。目をキラキラさせて、天井から床から壁から、忙しく視線を移す。
「壁の優しい色も、花瓶のお花も、仕切りのカーテンも、どれも本当に素敵! それにあのドレス!」
 エウカリスが立ち上がり、壁際まで近づくと、ドレスの列を見渡す。
「1日1着を着ていっても、死ぬまでに全部着られないんじゃないかしら?」
 その言葉が面白くて、サキは思わず噴き出した。
「女の子が楽しむためだけの空間ね。いったい誰があんなアルバムを作ったのやら」
 サキは想いを籠めて、魔法をかけた誰かを想像する。
「ひょっとしたら、お姫様願望がある魔法使いとかだったりしてね」
「こうなったら、深く考えずに私たちも見てみる?」
 サキは思わずまじまじとクロエを見る。クロエは苦笑いを浮かべた。
「だってロザリーもウェンディも、カリスも、楽しそうだし。折角だからサキもドレスを着てみない?」
「えっと……選んでもらえる?」
「いいわよ」
 クロエの笑顔に、サキは頬が熱くなるような気がした。


 ウェンディは何気なく手を伸ばし、1着を取り出す。
 その瞬間、思わず目を見開いた。
「まあ」
「あれ? あの時のドレスだよね」
 ロザーリアの言う通り、ミスコンで袖を通したのと全く同じデザインのドレスだったのだ。
 オフホワイトの優しい色合い、童話のお姫様のようにタイトな上半身と、大きく広がった裾、ウェストの背中には大きなリボン。
 少し甘めではあるが、女の子なら一度は憧れる、正統派プリンセスラインのウェディングドレスだ。
「良く似合ってたよ。本当に綺麗だった」
 ウェンディが幸せそうに微笑むと、ドレスを体に当てる。
「これにしますわ」
「いいの? 同じもので。折角こんなにたくさんあるんだから、他のドレスを試してみてもいいんじゃない?」
「ええ。これをまた着たいと思っていたのですわ。そうしたら私の元に来てくれたんですのよ」
 皆で選んで、晴れ舞台で身につけた思い出のドレス。
 だからこのドレスとは、不思議な縁で結びつけられていたのだと思うのだ。
「ふうん。じゃああたしも同じデザインにしようかな」
「あら。ロザリーこそ、いろんなデザインのものを着てみてはいかがですの?」
 ロザーリアは照れくさそうに肩をすくめる。
「だって、ウェンディとクロエがお揃いだったんだし。あたしだってウェンディとお揃いでもいいでしょ?」
 ウェンディの頬に、バラ色の赤みが差す。
「もちろんですわ! では一緒に探しましょう。きっとロザリーのドレスも見つかりますわ」
 ふたりは揃って壁をめぐる。
 そして同時に手を伸ばして取り出したのは、同じデザインで少し色合いが違う一着だった。
「シャンパンカラーなんてありましたのね。華やかなのにとても上品で、素敵ですわ」
「うん、同じデザインでも随分違って見えるね」
 ウェンディはドレス越しにロザーリアを見つめ、にっこり笑った。
「ロザリーのイメージにぴったりですわ。きっと素敵ですわよ」
「ウェンディのお墨付きなら、間違いないね」
 ロザーリアはドレスを胸元に当て、裾をつまんで軽く膝を折って見せた。


 クロエは順にドレスを見て回っていた。
 エウカリスの言う通り、数えきれないほどのドレスがあって、決めるのが難しいほどだ。
 だがクロエの想いは決まっていた。
(あの時のドレスを、もう一度着られたらいいんだけど)
 ミスコンで選んだ1着だ。
 袖を通せば、あの時のドキドキとワクワクとが蘇ってくるに違いない。
 そして何より、皆で喜び合ったあの時の沸き立つような気持ちが。
 そんなクロエの気持ちを読み取ったように、エウカリスが呟く。
「あのミスコンの時のドレス、色違いもあったりするのかな。わたしも着てみたいの」
「……探してみる?」
 クロエの言葉に、エウカリスがぱっと顔を向ける。
「あるわよね? だってとっても可愛いドレスだったもの!」
 エウカリスはサキの腕をとると、踊るようにして引き寄せた。
「サキも同じドレスにしない? きっとよく似合うと思うの」
「え? ……ええ、うん」
 サキはびっくりしたようだった。
 勿論、嬉しくないはずがない。
 あのとき、あのドレスを身につけたクロエを、誰よりも近くで見ていたエスコート役だったのだから。
 思わずクロエを見ると、頷いている。
「私もあの時のドレスを探そうと思うの。皆で探しましょ」
「任せて!」
「じゃあ競争ね? 負けないわよ!」
 エウカリスも張り切った声を上げた。
 軽く互いの肩をぶつけると、一斉に散らばっていく。


 部屋の奥にはカーテンで仕切られた着替え室があり、立派なドレッサーもあった。
 それぞれにアクセサリーや小物を選び、ドレスを身につけて、鏡の前に座る。
「サキの髪はこういうときに映えるわね」
 クロエはサキの髪をブラシで梳きながら、楽しそうに言った。
「そうかな? 他のみんなが綺麗な金髪とか銀髪だから、そう見えるのかもね」
 サキは何気なく答えながら、心の中では嬉しくて飛びあがりそうだった。
 クロエはサキの髪に丁寧にブラシを通してから、サイドを残して綺麗なまとめ髪に整えていく。
「サイドはカールさせておろしてみようと思って」
「可愛いわね! じゃあティアラの両脇に小ぶりのお花なんて素敵だと思うわ」
 エウカリスは小花の飾りを選んで、鏡越しにあれでもない、これでもないとかざして確認する。
 エウカリスはサイドの髪だけを複雑に編んで、生花を散らしている。
 異世界でのエルフは森の住人だといわれている。まさに伝説のエルフが現れたようだ。
 そしてクロエ自身は、ミスコンの時と同じように、つややかな髪を上品にカールして、花を散らしている。
「さあできた。立ってみて」
 サキは大きな鏡に映る、自分ではなく、隣で世話を焼いてくれているクロエの姿をじっと見つめた。
(やっぱりきれい)
 誰よりも綺麗な、大切なパートナー。
 それから隣に立つ、頬をバラ色に染めた自分自身を見る。
 クロエと同じデザインのドレスを纏い、クロエに髪を整えてもらった、幸せな自分。
 サキは胸がいっぱいになった。
 気が付けば、クロエのことをぎゅっと抱き締めていた。
「どうしたの? そんなに感動した?」
 クロエの声が直に伝わってくる。
 きっとじゃれていると思われているだろう。それでいい。

 着替えを済ませて、それぞれが元のティーセットのテーブルへ集まってくる。
 いつの間に整えられたのか、香り高いお茶が湯気を立て、銀のトレイにはサンドイッチや小さなケーキが並んでいる。
 でも既に、誰もそれを不思議とは思わなくなっていた。
 この世界では、これが当たり前なのだ。
 それよりも驚きなのは、互いのドレス姿だった。

 ウェンディはクロエと視線を合わせ、優しく微笑む。
 やっぱりあの時、このドレスを特別に愛した気持ちは、同じだったのだ。
 傍らには、同じドレス姿のロザーリア。
 甘めのデザインのドレスは、生地の色がシャンパンゴールドに変わるだけで随分と大人びて見えた。
 エレガントで、スマートで、それでいて遊び心を持ったロザーリアそのもののよう。
「ロザリー、そのドレスの色は本当によく似合っていますわ」
「でしょ? でもウェンディのプリンセスぶりには叶わないけどね」
 ロザーリアは本当に嬉しそうだった。
(やっぱり写真よりも本物のほうがいいものね)
 いろんなドレス姿を見てきたが、どんな衣装をまとっていても、彼女のパートナーは美しかった。
 自分を見つめる瞳はどんな宝石よりも綺麗で、愛おしかった。
(ああ、そうか)
 ロザーリアは手袋の指で、冗談めかしてこめかみを掻いた。
(あのアルバムの世界を望んだのは、あたし自身でもあったのね)
 もう一度、ウェンディの美しいドレス姿を見たい。
 強い願いが、この夢の世界を呼び寄せたのかもしれない。

 ロザーリアは、一緒にこの世界に迷い込んだ同行者にも笑顔を向ける。
「結局、みんな同じデザインなんだね。でもそれぞれ随分違って見えるよ!」
 サキは純白のドレスだった。
 敢えてサイドをおろした艶やかなダークカラーの髪が、良く映えている。
 キリリとしたサキの印象を損なわず、それでいて愛らしい。
「ふふ、だってとってもこだわって選んだドレスなのよ。わたしも着てみたかったから、嬉しいわ」
 エウカリスはオフホワイトよりもっと柔らかいアイボリーホワイトだった。
 ロザーリアのシャンパンカラーより優しい印象で、エウカリスの暖かな雰囲気に良く似合っている。
 意識してかはわからないが、クロエを挟んでサキとエウカリスが並ぶと、真ん中のクロエのオフホワイトが間を取り持って全体のバランスを保っているようだ。
「不思議ですわね。ロザリーもですけれど、色合いが変わるとこのデザインでも大人っぽくエレガントになるのですもの」
 ウェンディの言葉に、エウカリスは胸を張る。
「だってお姉ちゃんだもの!」
「え?」
 クロエが即座に呟いた。
「さっきシャワールームを水浸しにしたのは、誰だったっけ……?」
「あれは! シャワーの使い方が色々違うのが、難しくて!」
「はいはい。じゃあ頑張ってこれから覚えてね、『お姉ちゃん』なんだから」
 ちょっと意地悪く言いながらも、クロエの目は笑っている。
 この関係を楽しんでいるのだ。
 不思議な縁で巡り合い、生まれながらの姉妹のように一緒に過ごすふたりの英雄。
 どんな場所でも、どんな世界でも、こんな風に過ごしていけると、信じられる。

 それぞれに腕を取り合い、手を繋ぎ、写真に納まる。
 お茶を楽しみ、お菓子をつまんで、笑いあう。
 きっとこの日の思い出も、白いアルバムに加わっていくのだろう。

 そしてどんなに時が流れても、アルバムの中の最高の笑顔は美しいまま残り続ける。


━あとがき━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・

ミスコンに続いて、ご依頼いただき有難うございます。
皆さんで同じデザインのドレスという趣向が珍しく、きっと髪型や小物で変化をつけるのだろうななどと思いながら執筆しました。
コンテンツが終わっても、キャラクター様はこれからもおしゃれをしたり、おしゃべりをしたり、時を紡いでいくでしょう。
そんな雰囲気が伝わりましたら幸いです。
リンクブレイブでの思い出をお任せいただき、誠にありがとうございました。
またどこかでお目にかかれましたら、どうぞよろしくお願いいたします。
イベントノベル(パーティ) -
樹シロカ クリエイターズルームへ
リンクブレイブ
2019年10月18日

投票はログイン後にできます。

ログインはこちら












©Frontier Works Inc. All Rights Reserved.