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『ラスト・オブ・デイ』
ネムリアス=レスティングスla1966

 あの事件――空からの光が町一つを消滅させた事件――から数日後、ネムリアス=レスティングス(la1966)は光の正体を突き止めるため、キャリアーで宇宙へと飛び出していた。
 あの事件全てが自分を始末するための罠だったいうのなら、そこに何があるのか、おおよその予想はつく。
 そして、宇宙空間で『それ』を発見した。
「こんな物まで……」
 予想していたとはいえ、ネムリアスは思わず言葉を漏らしていた。
 『それ』は何枚もの羽を広げたかのような巨大な建造物。
 元の世界でネムリアスのオリジナルを食らったナイトメアと戦った舞台、『ラスト・オブ・デイ』と呼ばれていた衛星機動要塞だった。
 あの時、自分達ごと無の世界に飛ばしたはずの、異世界の遺物。
 それが再現されている。

 あの光はこの要塞からの砲撃だったのだ。
(そしてここに……)
 全てを悟ったネムリアスが思った瞬間、要塞から砲撃が放たれる。
「!!」
 砲撃はキャリアーに甚大な被害をもたらし、破壊されて行く。
 撃沈するキャリアーの中から飛び出す一機のアサルトコア。
 間一髪脱出したネムリアスの乗ったアサルトコアは砲撃を潜り抜け、機動要塞に突入した。

 自分が侵入したことはきっと向こうも承知だろうと踏んだネムリアスは、すぐに機体を捨て動力室へと向かう。
 この要塞を止めるために。
 幸い完璧に再現されているため、中の構造はネムリアスの知っているそのままだった。
 雑魚のナイトメアを両手に持った散弾銃で葬りながら走る。
 その姿はまるで蒼い炎を纏った死神のようだ。
 身を反らし、後ろに蹴り付け、銃床で殴り、引き金を引く。
 通路の影から襲って来た敵の眉間に銃弾を撃ち込み、最後の角を曲がって危険を示すマークのある扉の前まで来た。
 本来なら厳重なロックが掛かっているはずだが、ネムリアスは構わず扉ごと破壊する。
 中に足を踏み入れると――。

 そこには、ネムリアスが追い求めたものがいた。

 彼のオリジナルを食らい、今はエルゴマンサーと化したナイトメア――ネムリアスを絶望に落とした、復讐の相手だ。
 仮面の下で、自分はどんな顔をしていただろうか。
 ようやく復讐するべき相手に会えた狂喜の顔か、それとも、憎しみと怒りに満ちた憤怒の顔か。
 ネムリアスの心に冷たい怒りや悲しみ、殺意といったものが入り混じって広がる。
 お互いこの時が来るのを待っていたかのように対峙すると、おもむろにヤツが口を開いた。
 この要塞の情報を知るのはこちらの世界ではネムリアスだけ。
 いずれネムリアスが厄介になる前に、町一つを犠牲にし彼を排除しようとしたのだと、ヤツは語った。
 今でさえも分かっていながら一人で来るとは、お前は愚かな奴だと。
 言葉に込めた嘲笑が感じられる。
 しかしネムリアスは低い声で淡々と言った。
「そんな安い挑発に俺が乗ると思ってるなら、お前も愚かだな」
 相手の顔から揶揄するような笑みが消え、辺りの空気が変わった。
「ここがお前の墓場だ!!」
 ネムリアスが吼え、身に纏う蒼炎が一層激しく燃え上がった。

 最初に攻撃したのはどちらからだっただろうか。
 ネムリアスの銃口が容赦なく火を噴く。
 ヤツも銃を撃ってきた。
 狙いを付ける暇を与えないよう、ネムリアスは動き回りながら両腕の銃を交互に撃つ。
 向こうの戦法も同様のようだった。
(このままじゃ埒が明かない。接近して近接銃撃戦に持ち込む!)
 一旦遮蔽物に身を隠してリロードし、相手の位置を確かめてから駆け出す。
 銃を撃ちながら一直線にヤツへと走った。
 と、次の瞬間、ヤツの方がネムリアスの目の前に迫っていて。
「!?」
 一瞬ネムリアスは混乱しかかる。
 顔をしたたかに殴られ、吹っ飛んだ。
「がっ、は……!!」
 何が起こった?
 今の一撃でイマジナリーシールドがあらかた砕け散ってしまった。
 すぐに体を起こして次の攻撃に備える。
 ヤツが向けた銃を己の銃で絡めとり、胸にもう片方の銃を突き付ける。まさに引き金を引こうとしたその時、銃身を持ち上げられて逸らされた。
 ヤツはネムリアスの銃を持ったまま頭突きをかます。
「っ!」
 顔面にまともに食らい、ネムリアスは思わず一歩後ろによろけた。
 そのネムリアスの後頭部をヤツは鷲掴みにし、床に叩き付ける。
「ぐぁっ!!」
 やばい、とネムリアスは思った。
 気絶しないよう意識を保つので精いっぱいだ。
 エルゴマンサーとの力の差がここまでとは。
 ネムリアスはよろめきながら、勝利の笑みにニヤけた敵を見た。
 ヤツの後ろには動力源がある。当然攻撃なんかしたら大爆発を起こすはずだ。
(道連れにしてでもヤツを……!!)
 いきなりネムリアスは銃を乱射した。
「喰らえぇっ!!」
 ヤツは馬鹿にしたような余裕顔でその銃弾をかわす。
 さぞかし自暴自棄になったように見えただろう。だが、ネムリアスの本当の狙いは動力源を破壊することだった。
 異常を知らせる警告音が室内に鳴り響く。
 ヤツの目が驚きに見開かれ、不安定になったエネルギーが爆発した。

 ネムリアスは辛うじて物陰に身を伏せて爆発をしのいでいた。
「くっ……、ヤツは……?」
 辺りにはヤツの死体らしきものは見当たらない。
 突如、ぐらりと床が揺れ要塞そのものが動いているような振動を感じる。
「なんだ?」
 痛みを訴える身体に鞭打ってコクピットまで行くと、一機の脱出艇が飛び去って行くのが見えた。
 あいつだ。結局どさくさに紛れて逃げたのだ。
 だが今はそれを悔しがっている場合ではない。
 要塞が移動している――地球に向かって。
 不測の事態が起きたら地球に落ちるよう設定されていたらしい。
 悪辣さだけは徹底している。
「クソッ、どこまでヤツは……!!」
 ぎり、と唇を噛むネムリアス。
 早く何とかしなければ地球が危ない。
 コンソールをいじってみるが、落下を防ぐ手立ては見つからなかった。が、代わりに要塞全てを爆破するシステムを見つける。
「自爆すれば地球は助かる」
 それが意味するのは、自分は逃げきれないだろうということ。
 そう思った時、不意にネムリアスの脳裏に地球で出会った人々のことが浮かんだ。
 ネムリアスを仲間として迎え入れ接してくれた、心優しき人達。
 彼らのことを思うと決意が鈍る。
 だけど、これは彼らのための決断なのだ。
「コレが、正しいことなんだ」
 ネムリアスは己の決断を信じ、自爆システムを起動させた。

 ネムリアスの周囲が光と炎に包まれ、音がなくなった。
 自分がどうなっているのかも分からない。けれども不思議と安らかな気分だった。
 その時、友人との約束を思い出して、もう守ることができないな、とそれだけが少し残念で――。
「ああ――お前が勝つ前に逝ってスマン……」
 仮面のなくなったネムリアスは、穏やかに笑っていた。

 そして彼の体は爆炎に飲み込まれた。

 地球には、要塞の数多の残骸が大気圏で燃え尽きながら『空駆ける流星のごとく』地上に降り注ぎ――、それに紛れて、ネムリアスの愛用していた仮面が、人気のない砂浜にひっそりと漂着する……。

 ネムリアスがどこにいるのか、誰にも分からなかった――。



━あとがき━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・
ご注文ありがとうございました!
今回は制作に時間がかかってしまいすみません。

内容が濃かったのでかなりギリギリの描写になってしまいましたが、ご満足いただけたら嬉しい限りです。
精一杯書かせていただきましたが今までのものよりアドリブが多くなってしまったので、どこかご不満な点やイメージと違う部分などありましたら、些細なことでも構いません、リテイクをお申し付けください。

またご注文いただけたら嬉しいです。
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久遠由純 クリエイターズルームへ
グロリアスドライヴ
2019年10月25日

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