▼作品詳細検索▼  →クリエイター検索


『A Happy New Year!』
アルバ・フィオーレla0549)&桜壱la0205)&化野 鳥太郎la0108

●新年!
 年が明ける。新年を迎えるというのは、どうしてこうもわくわくするのだろう。
 アルバ・フィオーレ(la0549)は駅でそわそわしながら、友人たちを待った。晴れ着姿の人。福袋をたくさん持っている人。つい昨日行われた新年恒例の駅伝の結果を語りあったいる人。
(皆、楽しそう)
「アルバさん!」
 呼ばれた自分の名前にアルバは顔を上げる。
 ぶんぶんと大きく手を振りながら、桜壱(la0205)が近づいてきた。その側には化野 鳥太郎(la0108)が居る。
「桜壱さん、鳥太郎さん。明けましておめでとうございます♪ はいこれ、桜壱さんお年玉なのだわ♪」
「これがお年玉なのですね」
 桜壱はアルバから差し出されたポチ袋を貰い、深々とお辞儀をした。
「ありがとうございます! 大事に使います!」
 鳥太郎は周りをぐるりと見まわしていた。
「やっぱりこの時期は人が多いな……二人ともはぐれないようね」
「はい」
「じゃあ行こうか」
 鳥太郎が二人を促す。はい、と桜壱は元気よく返事をした。それにアルバも続こうと一歩踏み出す。改札へと向かうたくさんの人々が視界に入った。
 ――その刹那。
 アルバの心に衝動が走る。

『お前なんか』『いなくなれ』『憎い憎いにくい』
『大事なの』『愛おしいの』『守りたいの』

『憎い』
『愛してる』

『ニクイ』
『アイシテル』

「……アルバさん?」
 桜壱の声にアルバは我に返る。桜壱と鳥太郎が心配そうにアルバを見つめていた。アルバは深呼吸をして、二人の顔を見て――口を開いた。
「二人とも、ごめんなさい。私、人混み怖くて……手を繋いでもらっても、良い、かしら?」
「もちろんです!」
 桜壱はアルバの手をぎゅっと握った。鳥太郎も笑顔でアルバの手を取る。ありがとうございます、とアルバはお礼を言った。二人の気持ちと温もりに不安が溶けていくのが分かる。ありがとう、ともう一度アルバは口にした。
「そういえば、アルバさんは電車に乗るのが初めてなのですよね? I、電車に乗れるのですよ! お任せ下さい!」
「桜壱さんはもう慣れたもんだね、心強い。じゃあアルバさん、切符の買い方を教えるね」
「はい、お願いします」
 券売機の前に立ち、鳥太郎はアルバに説明をする。その一つ一つをアルバは真剣に聞いていた。むふふ、と得意げに笑いながら桜壱がアルバの分の切符を購入する。
「アルバさんの分です」
「ありがとう、桜壱さん……桜壱さんの分はいいの?」
「ふふ、Iにはこれがあるのですよ」
 格好をつけながら電子カードを取り出し、桜壱は改札に向かう。よしよし、これでかっこよく改札を通るのです……タッチ!
 ピンポーン。
 軽快な電子音と共に桜壱は勢いよく扉にぶつかってしまった。
「あぶぁ!?」
 桜壱の後に続こうとしていた人々が立ち止まって、少々困ったような顔をしながらUターンしていく。
「ま、まさかの残高不足……? I、不覚ですっ……」
「ちょ、桜壱さぁん!」
 鳥太郎は慌てて桜壱に近寄った。


●ショッピングモール
 三人がやってきたのは初売りで賑わうショッピングモールだった。わあ、とアルバと桜壱は顔を輝かせた。建物全体が新年を祝うように華やいだ雰囲気に包まれている。
「これがカドマツ、というものなのですね!」
 I、初めて見ました! と桜壱がはしゃぐ。アルバも同じようにうんうんと頷いていた。鳥太郎はそんな二人を背後から見守る。心がじんわりと温かくなる。アルバと桜壱はさっそく行くと決めていたお店に向かった。
「わあ、このお店のお洋服可愛い! 実物を見ると、更に可愛い! 桜壱さんに絶対似合う! あの、写真とか撮っていいですか?」
 ピンクと白を基調にしたレースたっぷりの女の子の服。その服とは対照的な青と黒のクールなセットアップの男の子の服。
「桜壱さんっ、次はこれどうかしら?」
「……はい、着てみました!」
「可愛いっ」
 がば、とアルバが桜壱に抱き着く。
「かわいい? I、かわいいですか!?」
「可愛すぎるのだわ!」
 はしゃぐ二人の様子を見て、鳥太郎は嬉しくなった。
 何時の間に桜壱はあんな表情をするようになったのだろう。
「じゃあこれプレゼントします!」
「は、いいのですか! ではIもアルバさんに似合うお洋服を探すのです!」
 貰った洋服を早速鳥太郎に渡し、人混みを上手く避けながら桜壱は向かいのお店に向かう。
「ミニスカートとかどうですか! ……あ、これもいい! ふわもこですよ! ぴんくぴんくです!」
 わああ、と桜壱が次々とお店を見ていく。そして、最後にシンプルなデザインの洋服を扱う店の前で足を止めた。
「このお店……あれも可愛い……こっちは綺麗……先生、どれがいいと思いますか?」
「そうだねえ」
 鳥太郎はウィンドウに飾られた洋服の数々をじっくりと見た。それと同時にまた桜壱の成長を感じて、心が温かくなる。可愛いという感覚。綺麗という感覚。その二つが桜壱に生まれているとは。
「……これなんてどうかな。一つこういうの持っておけば、ちょっとしたパーティーとかにも着ていけるし」
 鳥太郎が示したのは、ペールブルーのAラインのワンピースだった。おお、と桜壱が目を輝かせる。
「流石です先生! アルバさん、これをプレゼントします!」
「え、いいんですか?」
「はい!」
 桜壱から渡されたショッパーをアルバは大切に受け取る。
「……よし、じゃああとは鳥太郎さんのお洋服ですね!」
「はい!」
 アルバと桜壱が鳥太郎をじー……と見つめる。その視線に鳥太郎は少々照れてしまった。
「うーん……背が高いし筋肉もあってシルエットがもう恰好良いから、悩むわね」
「先生、一通り着てみて下さいっ」
 桜壱に進められるまま鳥太郎は試着する。スーツ、アウトドア、パンクファッション――。
「はわ……何だか別の人みたいですね……えっと、今度はこっちを”がいあがささやく”って書いてあります」
「所謂ストリートファッションってやつだね。……アルバさんも折角だから着てみない?」
「はい♪」
 アルバはオーバーサイズのTシャツとだぼっとしたサルエルパンツ姿。鳥太郎は黒いジャケット(ファー付き)にボルドーレッドのパンツスタイル。
「おおおお……」
 二人を見比べて桜壱は満足そうに目を輝かせた。アルバがはにかむ。その表情に鳥太郎は勧めてみて良かったと思う。(妖精ではなく、人としての生活も楽しんでもらえたらな)「あ! 桜壱さん見て下さい! このスーツ、鳥太郎さんに似合いそう!」
「黒のスーツにワンポイントで赤のライン……」
「見た目は大人な紳士だけど、話すと子供みたいに可愛く笑う、みたいな……」
「おお、そうですね! Iもそう思います!」
「じゃあこれにしましょう!」
 鳥太郎は頬を掻いた。
「いいのかい? 大切にするよ」
「じゃあ次のお店に行くのです! せっかくですから、Iは色々みたいのです!」
「私も♪」
「折角だからね。色々揃えようか」



●帰り道
「いい買い物をしたのです!」
「そうね」
 たくさんの福袋を抱え、三人は帰路についた。まだ解散するには早いと、何処か邪魔にならない場所で福袋を開けて、交換会をしようと鳥太郎が言い出して、桜壱とアルバはそれに大賛成した。毛色が違う福袋を幾つか買ったから、どんなものが出てくるのか、今から楽しみで仕方がない。ああそうだと、鳥太郎が上着のポケットから電子カードを取り出した。
「はい、アルバさん。これあげる。次電車乗る時に是非使って」
「あ……ありがとうございます!」
「アルバさん、その時はIを誘ってください!」
「はい、是非♪」




 A Happy New Year!







━あとがき━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・
新年らしさが出てますでしょうか? 楽しく書かせていただきました。ありがとうございました!
イベントノベル(パーティ) -
絢月滴 クリエイターズルームへ
グロリアスドライヴ
2020年01月06日

投票はログイン後にできます。

ログインはこちら












©Frontier Works Inc. All Rights Reserved.