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『Beauty Secret』
ユリア・スメラギla0717

 ここは東京にある某有名大学。
 そこのイベントホールで、とあるイベントが開かれていた。
 若い女性の一般客が数多く訪れており、既にグッズ販売のブースは長蛇の列。
 大きく開け放たれたエントランスの扉の横には、

 『ユリア・スメラギ Beauty Secret発売記念イベント』

 と書かれた看板があった。

 控え室に充てられた二階の一室の窓から、ユリア・スメラギ(la0717)は続々とやって来る人の流れを見ながら、安堵と同時に心地良い緊張を感じた。
 今日はユリアの今までのモデル業の集大成ともいえる写真集の発売を記念した、販売も兼ねたトークや撮影会のイベントなのだ。
 ユリアは高校生の頃からフリーでモデルを続けていたが、ライセンサーとなってからはそちらの仕事も並行してやっている。どちらの活動も精力的に続けた結果、ライセンサーとしての活躍が知られるにつれモデルの方の知名度も上がる結果となり、一気にファンが増えた。
 そして今は芸能事務所に頼れないためSALFに協力してもらい、とうとうイベントホールを貸し切ってのイベントが実現したのだ。

 イベントの開始時刻はもうすぐ。
 既に衣装にも着替え、スタンバイはできている。
「さあて、そろそろね。気合い入れて行くわよ!」
 ユリアは自信満々に笑った。
 コンコン、とドアがノックされSALFから借りたイベントスタッフが顔をのぞかせ呼びに来る。
「OK、行きましょう!」
 ユリアは部屋を出た。

 会場の中はユリアを真似た服を着た女子や派手な髪型と化粧の女性達で一杯で、皆スマホ片手に期待を込めた眼差しで正面のステージを見上げている。
 と、突然照明が暗くなり、軽快な音楽が流れて来た。
 察した客達が色めき立ちきゃあきゃあ言い出す。
『お待たせいたしました。ただ今より、ユリア・スメラギ、ビューティ シークレット写真集発売記念イベントを開始いたします』
 アナウンスが入り、キャーという声に会場が埋め尽くされた。
 パッとライトがステージを照らす。
 舞台の端から赤いドレスを身に纏ったユリアが、颯爽と登場した。その衣装は今回の写真集の表紙で着ているものと同じで、自然拍手と歓声が大きくなり、ユリアは皆に手を振って応える。
「ハァイ、エブリワン♪スーパービューティーモデルのユリア・スメラギよ! 今日はあたしの写真集『Beauty Secret』の発売記念イベントに来てくれてサンクス♪」
 ユリアはパチッとウィンクして大きな拍手に満足する。
「ここで写真集を購入した人には、あたしの直筆サイン色紙をプレゼント♪電子書籍版でもOKよ!」
 既に購入済みの何人もの客がステージの上からでも見え、ユリアはイベントの成功を予感した。
「それと、今日はあたしから重大発表よ」
 重大発表と聞き、場が急に静まり返る。
 何を言うんだろうという期待と不安が入り混じった空気がユリアにも伝わって、ユリアはたっぷり間を取ってから言った。

「2060年の春、イタリア・ミラノのファッションショーへの出演が決まったの!」

 わーーっ!

 ユリアへの祝福の声と拍手が高まる。
 その声が治まるのを待ってから、ユリアは先を続けた。
「皆ありがとう。世界の一流ファッションブランドと美男美女達が集うイベントで、あたしの美しさが世界に通用することを証明してみせるわ!」
 自信にあふれたユリアの言葉は、彼女に憧れる女の子達の目を輝かせる。
 ユリアならできるだろうとその目達が言っていた。
 もちろんユリア自身も、きっとやり遂げるつもりだ。
「それじゃあ、撮影会に移るわね! 皆、あたしの美貌を存分に堪能していってね♪」

 ユリアはランウェイを歩くがごとくステージを歩いてポーズを取り、群がる女の子達は彼女をスマホで撮りまくる。
 他にもいくつか写真集で使った衣装にチェンジして登場し、ちょっとしたファッションショー撮影会も無事に終了した。


「ふぅ……」
 イベントが終わり、ユリアは控え室でやっと一息ついた。
 椅子に深く座り、ペットボトルの水を飲む。
 思った以上の客の入りでイベントは大成功だろう。
 販売の方の売れ行きも上々、写真集以外のグッズもいくつか売り切れになったと聞く。
「今日来てくれた子達は、皆あたしのファンなのよね」
 今になってその数の多さを実感する。
 自分を応援してくれる人がこんなにいるなんて。
 ユリアは素直に嬉しくて感動した。

 写真集の発売や今日のイベントは一つの成果であり到達点ではあるけれど、終着点ではない。
 ユリアは目指す先を思った時、ふと彼の顔が浮かんだ。
(愛する彼のために、もっと美貌を磨かなきゃね……)
 そう。ユリアは何よりも彼のために美しくなりたいのだ。
 その結果、世界の認めるファッションショーに出られることになった。
「今度はミラノであたしの美貌を見せつけてやるわ」
 新しい目標に、ユリアは胸を高鳴らせる。
 生まれ持ったものだけではなくあらゆる努力をして得た美貌で、世界に行くのだ。きっとそこでも得るものがあるだろう。
 それを吸収してさらに美の高みへ。

 彼のために、自分の美しさがもっと誇らしく思えるように。
 ユリアの美の追求に終わりはない――。



━あとがき━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・
ご依頼ありがとうございました!

ユリアさんの美しさは羨ましい限りです。ユリアさんの誇らしさとかお客の女子達の憧れみたいなのを意識して書かせていただきました。
イベントの様子が上手く表現できていると良いのですが。

イメージと違う部分や変えて欲しい部分などありましたら、ご遠慮なくリテイクをお申し付けください。

またご縁がありましたら嬉しいです。
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久遠由純 クリエイターズルームへ
グロリアスドライヴ
2020年01月06日

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