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『絶えず夢中な少女達』
フェリシテla3287)&シリウス・スターゲイザーla2780)&ローテ=アオゲンla3095

 甲高い悲鳴が、耳をつんざく。普段であればナイトメアが暴れているのだろうかと警戒するところだが、仲良く三人並んでゲートの前に立つ少女達の表情は明るかった。
 何せ、ここは戦場などではなく――。
「フェリシテ、遊園地に来るのは初めてです」
 少女の内の一人、フェリシテ(la3287)は興味深そうに周囲を見回しながらそう呟く。
 彼女は、友人二人と大規模な遊園地に遊びにきていた。ここにくるまで長い時間をかけて乗り物に乗り、ゲートに入るまでも列に並んだりしたのだが、一緒にきている二人が仲の良い友人である事と初めて訪れる遊園地への期待も相まってか、大して辛い事には感じなかった。
 むしろ、移動中や並んでいる最中に二人と話せば話す程、フェリシテの胸に芽生えたウキウキとした感情は強くなっていった。そして、そのウキウキはゲートをくぐった今、更に大きなものとなっている。
 それは、一緒にきている二人も同じなようだった。
「僕も初めてきたから楽しみなのだー! わくわく!!」
 ローテ=アオゲン(la3095)もまた、フェリシテと同じように初めて見る遊園地に瞳を輝かせている。
 大事な家族とも言える二人と一緒に来る事が出来た事が嬉しくて仕方ないらしく、ローテは無邪気に飛び跳ねて言葉では表現しきれなかった喜びを表してみせた。
「私も遊園地は初めてきたよ。二人とも、迷子になっちゃ駄目だからね?」
 楽しげにはしゃぐ二人を見守っているのは、シリウス・スターゲイザー(la2780)だ。
 笑みを浮かべるシリウスの表情は、いつもよりもどこか柔らかかった。彼女もまた、今日という日を楽しみに思っていたようだ。
「さて、まずはどれに乗ろうか?」
 シリウスが、二人に遊園地のマップを見せる。マップには、待ち時間の目安や、アトラクションの内容について簡単な解説も書かれていた。
 全てが全て、フェリシテ達は乗った事がない未知の乗り物ばかりだ。三人はマップを覗き込み、気になるアトラクションの解説に目を通す。
 乗り物だけではなく、ショップやショーなどもこの遊園地にはあるらしい。夜になれば、パレードまで開催されるのだと言う。
 さながら宝の地図のように、マップには魅力的な情報ばかりが書かれていた。おとぎ話の中のような、夢みたいな世界に自分達は今居るのだと三人は実感する。
「ジェットコースター! メリーゴーランド! どれも乗ってみたいのだー!」
「これは、どういったものでしょうか? どうやら、人気のアトラクションのようです」
 一番最初に目をひいたアトラクションを、フェリシテの指が示す。ゲートからも近い場所にあるため、ここからでもアトラクションの外観を見る事が出来た。いわゆる、ジェットコースターの類のようだった。
 近づいて行くと、遊園地内に響いていた悲鳴が一層大きくなったような気がする。来園客の乗った乗り物は、凄いスピードでレールの上を駆け、勢いよく急降下していた。
「あれに乗るのですか?」
「……大丈夫なのだろうか?」
 目まぐるしく動く乗り物を見ながら何気なく呟いたフェリシテに、真っ先に反応したのはシリウスであった。というより、無意識に返してしまったと言った方が正しいかもしれない。
 何せ、速い。間近で見るそのアトラクションは、遠目に見た時に予想したよりもずっと速かった。速すぎる。死ぬかもしれない。
 絶叫マシーンの名に恥じず人々に絶えず絶叫を発させているそのアトラクションを見ながら、シリウスはこっそりと胸に不安を抱くのだった。

 そして、その不安は見事に的中する事となる。
 乗り終わった後、近くにあったベンチにはぐったりと項垂れているシリウスの姿があった。
 乗っている最中も「死ぬ死ぬ死ぬ……」と何度も発していた彼女は、まさに瀕死といった表情で頭を抱えている。
 景色を置き去りにする勢いでレールの上を走る乗り物に、シリウスはすっかり翻弄されてしまったようだ。
「なんだって、こんなに恐ろしい機械に乗らなくてはいけないんだ……」
 そのシリウスの言葉にさえもジェットコースターに乗っている者達の悲鳴が被るものだから、彼女はますます顔を蒼白にし目の下の隈をより濃くするしかなかった。
 最初のアトラクションからすでに命の危機を感じる事態となったシリウスとは違い、フェリシテとローテはあの絶叫マシーンがお気に召したらしい。
 アサルトコアやキャリアーを普段操縦しているおかげで慣れているのもあるかもしれないが、一切恐怖を感じた様子はなく乗った感想を楽しげに語り合っている。
「速くて楽しい乗り物でした。アサルトコアとは、また違った乗り心地で新鮮でしたね」
「ものすっごく速かったのだ! びゅびゅーん!」
「まったく、たくましい子達だよ……」
 元気いっぱいな二人を見ながら肩をすくめつつも、シリウスはどこか穏やかな表情を浮かべるのだった。

 ◆

 その後も、三人はいくつものアトラクションを回った。
 次はどこに行こうか、何をしようか。マップを見て吟味している時間すらも、楽しく感じる。
 ふと、香ばしく美味しそうな香りが彼女達の鼻孔をくすぐった。ちょうど食事にしようかと思っていたところだ。
 少女達は誘われるように、フードの売っているワゴンの方へと足を向けた。

「アトラクションも楽しいですが、お食事も美味しいですね」
 買ったばかりのお菓子を口に含み、小さくフェリシテは頷く。
「これは……いいな。うん。甘い」
 超甘党なシリウスの舌にも合う、甘くて美味しいものもこの遊園地にはたくさん売っていた。
 先程食べた蜂蜜味のポップコーンも絶品だったが、このお菓子もなかなかのものだ。キャラクターの形を模した食べ物も多く、遊園地のフードは味だけではなく見た目でも少女達の事を楽しませてくれていた。
 彼女達が変わった影を見かけたのは、そんな風に食べ歩きをしていた時だった。
 明らかに自分達よりも大きなシルエットが視界の端をよぎったため、少女達は思わず足を止める。あれは確か、この遊園地のマスコットキャラクターだ。
「あのキャラクター、僕知ってるのだー!」
 ローテの声に反応したのか、マスコットキャラクターはジェスチャーで嬉しさを表現しながらもこちらに近づいてきてくれた。
 腕を広げた相手に、元気いっぱいにローテは飛びつき、そのまま抱きしめる。ハグ!
 フェリシテとシリウスも、続けてハグをしてもらう。柔らかくて温かな感触が、彼女達を癒やしてくれた。
 シリウスは、これがキグルミだという事をちゃんと理解している。本当にキャラクターがこの世界に飛び出てきたわけではなく、中には人が入っているし、言ってしまえば紛い物。ただのキグルミだ。
「ふぉ……ふぉぉぉ……。ふわふわだ……。ふわふわのもふもふだ……」
 だが、頭ではそう分かっていても、このふわふわさには抗えないし、嬉しいものは嬉しいのだ!
 しばらく、三人はそのふわふわを堪能する事にする。頭を撫でてくれたその手は優しくて、ますます少女達を幸せな気持ちにさせるのであった。

 ◆

 マスコットと別れた後もふわふわの余韻に少し浸ってしまっていたシリウスだったが、不意に目に入ったものに我に返ると、二人へと声をかける。
「これは、先程のマスコットキャラクターではないかね?」
 今少女達がいるのは、様々なグッズが売られているショップだ。
 大事な人や友人へのお土産を買うため、そして今日ここへきた思い出に三人で何かを購入するために、少女達は可愛らしいもので溢れたその店の中を見て回っている最中だった。
 シリウスの示す先には、幾つものカチューシャが並べられている棚がある。ただのカチューシャではない。この遊園地のマスコットキャラクターの耳がついているカチューシャだ。
 他の来園客がこういった耳をつけている姿を、三人ともたびたび目にしていた。そういった外見を持つヴァルキュリアや放浪者かとも思っていたが、なるほど、あの耳は自前ではなくこのカチューシャだったらしい。
 帽子をつけているものや、リボンのついたもの等、カチューシャの種類は様々だった。せっかくなので違った装飾のついているものを三人は購入し、早速装着してみる事にする。
「わあっ、お揃いですね」
 鏡を見て、思わずフェリシテは笑みを深めた。
 鏡には、自分達の姿が映っている。仲良くお揃いの耳を頭につけた、三人の少女の姿だ。
「ローテさんもシリウスさんもお可愛らしいです」
「ハハッ! 二人ともよく似合ってるのだー!」
 ローテは自分が身につけたカチューシャのキャラクターの笑い声を真似しながら、嬉しそうに笑う。特徴を上手く掴んでいるその声真似に、思わずフェリシテとシリウスは笑みを深めるのだった。

 ◆

 お土産をいったんロッカーに預けて、再びアトラクションを回っていた三人の前には、おどろおどろしい雰囲気の建物があった。明らかに、何かが出そうな雰囲気だ。
「お化け屋敷ですか。こういった類のものも、ここにはあるのですね」
 先程乗ったメリーゴーランドや、ほのぼのとした雰囲気のボートとはまた違ったテイストのアトラクションだ。
 ドキドキした様子で、アナウンスに従い三人はお化け屋敷へと足を踏み位入れる。外にいる時よりも、屋敷の中は何だかひんやりとしている気がした。
「何が出てくるのか楽しみだねー!」
「幽霊か……。私は科学者だ。非科学的な事は信じていないとも。人が作ったお化け屋敷ならなおさらだ。――ひぇぇぇ!?」
 シリウスの言葉の後半は、彼女自身の悲鳴によりかき消されてしまった。

 まだ乗りたいアトラクションは他にもあるというのに、どうして楽しい時間というものはあっという間に過ぎてしまうのだろうか。
 気付いた時には、周囲はだいぶ暗くなってしまっていた。
「まさか、こんな時間になっているとはな。だいぶ日も暮れてきてしまったね」
「はい。もうそろそろ、帰らないとなりませんね」
「えー、寂しいよー! まだまだ遊び足りないのだ!」
 ローテの言葉に、二人も素直に頷く。この楽しい一日がもうすぐ終わってしまうのかと思うと、ひどく名残惜しい気持ちだった。
 初めての遊園地。大事な友人達との特別なひととき。出来る事なら、もう少し、もう少しだけこの非日常に浸っていたいと願う。
「二人とも、まだ最後のイベントが残っているよ」
 シリウスが、マップに書かれていたイベントのスケジュールを指でなぞる。
 そこに記されていたのは、ある種遊園地に欠かせない目玉とも言えるイベント。
 ――パレードという四文字だった。

 ◆

 何色もの光が連なり、軽快な音楽と共に人々を夢の世界へと引き込む。明るいきらめきは、夜の暗さを忘れさせる。
 パレードは、想像していた以上に豪華で美しいものだった。
 光は、絶えず輝く。それを見ている少女達の瞳のように。夜空に浮かぶ星のように。人々が胸に抱く、幸せだと思う感情を形にしたかのように。
「これは、お美しいですね」
「ああ。まさかこれ程とはな。忘れられない思い出になりそうだ」
「さっきのキャラクターもいるのだ! あー、今僕達に手を振ってくれたー!」
 ぶんぶん、とローテはパレードの乗り物の上で手を振ってくれたマスコットキャラクターに、手を振り返した。揺れるマスコットの大きな手を見て、その手が与えてくれたふわふわとした柔らかで優しい感触を三人は思い出す。
 賑やかなパレードは、今日という楽しい一日の締めくくりにピッタリであった。帰らなきゃいけないという寂しさを、光と人々の笑顔が覆い隠してくれる。自然と、三人は笑みを浮かべていた。
「人間さんも、みんな楽しそうです」
 きっと今、自分達は同じ事を考えているのだ、とフェリシテは思う。
 三人だけでなく、このパレードを見ているみんなが、自分と同じ様に楽しいという感情で胸を満たしているに違いなかった。
「遊園地とは、幸せがたくさん生まれる場所なのですね」
 人々の笑顔は、パレードに負けず劣らず輝いているようにフェリシテには見えた。
 自分もきっと、今はとびっきりの笑顔を浮かべている事だろう。パレード自体も楽しいが、それ以上に……友人達と一緒にこのひとときを楽しめている事を、フェリシテは嬉しく思った。
「遊園地楽しかったねー! また、みんなで来たいのだー!」
「充実した一日だったね。自分には縁のない場所だと思っていたが、二人と一緒にこれてよかったよ」
「うん! だから、また来るためにも世界を守るのだ! えっへん!」
 大事な人達も、世界も守る。そう、ローテは意気込む。今日の楽しい思い出が、彼女の背中を後押ししてくれているような気がした。
「フェリシテも同じ気持ちでいます。こんな幸せを守るために、これからも頑張りますね」
 幸せだ、とフェリシテは思う。大事な人や友人達のおかげで、日々フェリシテは幸せを感じている。そしてそのたびに、自分以外の人の幸せも守りたいと改めて彼女は思うのだ。
 楽しくて、笑えて、幸せな一日。今日という日もまた、フェリシテが目標に向かって進むための大きな動力となる事だろう。
 パレードは、終わる。それでも、来園客は笑顔を浮かべて楽しそうに遊園地について話していた。
 すれ違う人、みんなが楽しそうに見える。フェリシテ達も彼らから見たらきっと、そう見えているに違いなかった。

 ◆

「ローテ君は眠ってしまったんだね」
「きっとお疲れになってしまったのでしょうね」
「そうだね。着くまで寝かせておいてあげよう」
「笑っておりますし、きっと素敵な夢を見ているのでしょうね」
 帰りの乗り物の中、ローテはいつの間にか眠りについていた。
 たくさんアトラクションに乗り、たくさん遊んで、たくさん食べて、たくさん笑った。たっぷりはしゃいだのから、疲れてしまうのも無理もない話だ。
 不意に、むにゃむにゃと彼女の口が動く。
「楽しかったのだ……。また、絶対……くるのだ……」
 寝言でそう呟いたローテに、シリウスとフェリシテは顔を見合わせる。そして、微笑ましそうに笑い合った。
 ローテは、夢の中ではまだあの遊園地で遊んでいるのかもしれない。
「ああ、約束だ。また一緒に来よう」
「はい。今回乗れなかったアトラクションにも、次回は挑戦いたしましょう」
 寝入ってしまっているローテには届かないかもしれないが、それでもシリウスとフェリシテは返事をした。
 どうしても、彼女の今の言葉に、頷きを返したくて仕方なかったのだ。

 一日が終わる。三人は、夢の世界を後にする。
 けれど、彼女達の夢が途切れる事はない。夢に、目標に向かって進む彼女達の歩みは止まらない。
 この幸せを守るため、また来るという約束を果たすためにも、少女達はこれからも戦い続ける事を誓うのであった。

━あとがき━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・
ご発注ありがとうございました。ライターのしまだです。
遊園地を楽しむお三方のとある一日、このようなお話となりましたがいかがでしたでしょうか。
少しでもお楽しみいただけましたら、幸いです。何か不備等ありましたらお手数ですがご連絡くださいませ。
この度は、素敵なご依頼を誠にありがとうございました。またお気が向きました際は、よろしくお願いいたします!
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2020年02月26日

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