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『Fear and trust』
常陸 祭莉la0023)&アグラーヤla0287

 数多のナイトメアと、対抗するライセンサーたちの攻撃が飛び交う戦場の一角にて、その大立ち回りは始まった。
 ナイトメアはサイズこそ小型のものが多いものの無数。
 対し、その場にいるライセンサーはたった二人。

 ――そのうちの一人、アグラーヤ(la0287)が、まず先陣を切るかのように群れへと突っ込んでいく。
 振りかざされる刃の切っ先を躱して少し群れの内側へと入り込むと、沸騰する血の如く紅き十字架が彼女の周囲のナイトメアを一気に切り刻む。
 一撃離脱、そして次なる手へ。
 しかも闇雲に戦っているのではなく、そうやってナイトメアの注意を自らへと向けた彼女は、高い回避力をも駆使しながら少しずつ敵を引きつけていく。
 ある程度直線状にナイトメアが並べられたところで、もうひとりが動く。

「陸に踊れ、大海の王者。焼き尽くし、須らく支配せよ」
 常陸 祭莉 (la0023)がそう詠唱すると、彼の後方に捻じれた渦を巻く蛇のような姿をした海竜がイメージとして召喚される。
 海竜が咆哮し、海竜自身を構成するイメージが螺旋状のエネルギーに変換して打ち出された。
 そうして、アグラーヤによって射程上に集められたナイトメアを一網打尽にしながらも、祭莉は考える。

 今は頭が妙にすっきりとしている。
 普段は苛まれている頭痛がないからだ。
 ――その頭痛の原因は、「自分が許されない人間である」という漠然とした、しかし確信に近いほどにはっきりした自覚だ。
 けれど、そもそも何故そういう自覚を抱いてしまっているのか、それは未だに祭莉自身分からない。
 ただ……常に見る悪夢のうちに『自分がそこに居たからこそ起こった惨劇』がある以上、自分が居たからこその何かがあり、それがきっと許されないのだろうという感覚はあった。
 だからだろうか。
 頭痛も、悪夢を見ることによる眠気も、戦闘の適度なストレスでかき消えてしまうことが、幸いにすら思ってしまうのは。

 海竜のイメージが消えた後も、祭莉の視線の先では相変わらずアグラーヤがナイトメアの群れの間を縦横無尽に駆け回る。
 祭莉の今の役割は、その援護の為に都度回転式拳銃の引き金を絞ることだった。時々アグラーヤが無軌道にも思える動き方をして振り回されたりもしたけれども。
 もっとも、ナイトメアもそう何度も同じ手は食わないらしい。気づけば今度は祭莉ごと、ナイトメアに包囲される形になっていた。
 すると、アグラーヤは祭莉にとって意外な行動を取った。
「……よしわかった。マツリ、合体だよ」
 ひとつ肯くと、彼女は祭莉を抱き上げたのだ。しかも、所謂姫抱っこの態勢である。
「……待って? そこまで、荷物扱いされる謂われ……なくない?」
 祭莉は当然文句を言ったけれど、状況的にもここでもめるのは許されない。
「大丈夫、当たらないから。……撃つ事に集中して」
 そう言うアグラーヤは動き出している。
 人一人抱えても、戦闘を得手とする彼女には何の負担にもならない。むしろ、すぐ近くに『目』が増えたことでより一層無双感が増していた。
 祭莉も抱えられたまま拳銃の引き金を絞っては、戦況を観察する。
 そして、ナイトメアの配置を見て気づいた。
「……あそこ、薄い」
「分かった。向かうから一気に風穴開けて」
 アグラーヤは言わんとすることをすぐに察してくれたらしく、すぐに目標へと軌道修正すべくターンする。
 言われなくても、祭莉は既に次の召喚のイメージが出来ていた。

「熱に慈悲はない、冷たく、殺すモノ」
 詠唱とともに、戦場の上空に飛竜が顕現する。蛇のような胴に、手足と翼の生えた竜。
 リントブルム――『稲光』『流星』と見なされる名を冠したそれは、二人が進む先に立っていたナイトメアを睨めつける。
 するとその目が光り、冷たく青く、そして燃えるような閃光となった眼光が敵を射抜いた。

 ■

 眼前でナイトメアが閃光に射抜かれるその様をよそに、アグラーヤは一瞬、腕の中の祭莉に視線を落とす。
 彼女にとって祭莉は、妹とともに生き抜くのに必死だった傭兵時代には望むべくもなかった、信用できる戦友の一人である。
 同時に、こと祭莉に関しては、波長が合うと感じる得難き存在でもあった。
 もっとも家事が壊滅的な自分が料理などで『やらかした』時に向けられる、シベリア凍土のような視線だけは苦手だけれど……そういう視線を向けてくるのは、祭莉なりに自分を友人だと思ってくれているからなのだとは思う。
 一方で、もうひとつ気づいていることがある。
 祭莉が常に死を意識している、或いは、自身のことを『いてもいなくてもいい存在』だと考えていることだ。
 当然、一体何が彼をそうさせているのかまでは分からないし、彼の性格上、よほどのことがない限り分かることもないと思う。思うけれど、何となくそれは嫌だと感じてもいた。
 自分を責めるな、なんて無責任なことは言えないけれども、何かできることはないだろうか――。
 なんてことをふと思ったりしているうちに、がら空きになった前方をそのまま直進し、二人は包囲網を抜けた。

 防御態勢を取れないので、流石にアグラーヤもかすり傷を何箇所か負った。
「アグラーヤ……どことなく、雑」
「うん、傭兵の頃から言われ慣れてる」
 呆れるような祭莉の評価に、アグラーヤは笑う。
 普段もガサツなところがあるのだから、こういう場面で適当な部分が出ても致し方ない。
 それよりも、
「……ああそうだ。前から言いたかったんだけど」
 一つ気になったことがある。

「アグでいいよ、呼び方」

 これが彼にとって何の意味を成すかは分からないけれど、少なくとも自分からは信用しているのだから。

 祭莉は一瞬驚いた顔をした後、
「……ちょうど、いい。名前、長くて……言いづらい、気がしてた……し」
 微かに、笑った。

━あとがき━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・
津山佑弥です。
この度はご依頼ありがとうございました、と、大変お待たせして申し訳ありませんでした。

戦場の中だからこそ考えることって色々あるんだな……と思います。
こういう世界だから尚更ですね。

口調など間違いがありましたら、お気軽にご指摘ください。
改めてご依頼ありがとうございました。
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津山佑弥 クリエイターズルームへ
グロリアスドライヴ
2020年03月25日

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