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『雪山症候群』
弾道寺 タキla0723)& 白勢の柚子丸la2167

 これは…………とある依頼での出来事…………。

 真冬の雪山に出現したナイトメアを退治する依頼を受け、現地に赴いた弾道寺 タキ(la0723)と白勢の柚子丸(la2167)。
 ……しかし、討伐対象のナイトメアを捜索しているうちに吹雪に見舞われ……二人は他の依頼参加者達とはぐれてしまった……。

「うわ! 真っ白で何も見えない!! どうする柚子丸!?」
「…………。確かにこの状況は不味いね…………」

 吹雪は強まるばかり…………二人は完全に遭難してしまっていた…………。

「…………うん、このまま歩いてもますます遭難するだけだね。他の皆と合流は難しい。この辺でテントを張って吹雪が止むのを待とう。タキ君も手伝って」
「わかった! 力仕事なら任せろ! やっぱり柚子丸は頼りになるな!」
「とにかく急いで設営しよう、ますます吹雪が強くなって来た……。状況が悪い……」

 猛吹雪の中…………二人は協力し、近くに崖など危険が無い場所を探してテントを急いで設営、中で暖を取ることに…………。

 …………とりあえずテント内で毛布に包まっている二人――。

「……………………。吹雪は強まるばかりだね…………。このままここで夜を明かすことになるかも…………。毛布だけじゃなく、お湯を沸かす道具を持ってくるべきだったな…………食料はあるんだけど…………」
「…………寒い。なんか…………めっちゃ眠いよ…………柚子丸…………」
「タキ君…………?」

 様子のおかしいタキを見て、柚子丸はハッとした。…………タキは先ほどテントを設営した際にかいた汗が冷えて、極端に体温が低下してしまっているのだ…………。

(このままじゃ本当に不味い。どうにかしないと…………!!)
「…………柚子丸…………なんかオレ…………頭がぼーっとしてきた…………、もうすごく眠くて…………目の前が…………」
「タキ君!? 気を強く持って! 今眠っちゃダメだ!」

 どうやらタキは危険な状態らしい…………。柚子丸はどうするべきかと思考をめぐらせる…………。

(…………雪山で遭難したとき…………体温が低下した身体を効果的に温める方法は…………)
「…………!! そうだ…………!!」

 柚子丸は俯いていたが顔を上げ、ぷるぷると寒さに震えながらうつらうつらしているタキへ話し掛ける。

「タキ君、聞いて」
「ん…………? 柚子丸…………?」
「これから僕は服を脱いでタキ君を温めるから…………タキ君も服を脱がすよ? 体温を確実に上げるには人肌が一番だから…………ね? そのまま動かないでいて」
「柚子丸…………」

 …………タキは薄れそうな意識の中…………柚子丸の真剣な顔を見て…………こくりと頷く。

 それを確認すると、柚子丸はタキが着ている服を脱がしていく――。それから冷える前に自分の衣服もするすると脱いで、柚子丸はタキと、素肌同士を密着させた――。

「んっ…………柚子丸…………あったかい…………すごく落ち着く…………」
「…………ふぅ。タキ君とくっ付いていると僕も落ち着く…………。この状態なら眠ってもいいよ…………」
「そう…………か…………、…………。…………すぅ〜〜〜〜、すぅ〜〜〜〜…………」

 柚子丸はタキと肌と肌を密着させ、抱き合った状態で毛布に二重に包まる。すると…………タキはほどなく柚子丸に身体を完全に預けて寝息を立て始めた…………。
 少しして…………震えが収まった様子の…………気持ち良さそうに眠るタキの寝顔を見て、柚子丸は目を細めた…………。

(…………タキ君…………良かった…………。…………吹雪は止みそうにないし…………僕もこのまま寝よう……………………Zzz……………………)


 そして翌朝――昨晩の猛吹雪はすっかり止み、晴天となっていた。
 先に目を覚ました柚子丸はタキの体温が正常に戻っていることを確認してから、タキに服を着せ直し、自分も服を着る。

「山の天気は変わりやすいと言うけど…………本当だった。今度から雪山に登る際にはしっかり準備をしないと…………」
「…………ん、んん…………? おはよう…………柚子丸…………ふあああああ〜〜〜〜」

 タキもしばらくしてから目を覚まし、盛大にあくびをする。

「ふふっ、おはようタキ君。身体はもう大丈夫?」
「うん、大丈夫だ。柚子丸のおかげだな。ありがとう、柚子丸!」
「ん、いやいや。親友として当然だから。…………それにしても良かった…………タキ君の具合が戻って…………」

 柚子丸はふう、と安堵の息を吐く。

「お、携帯端末のスキャンも出来るようになってるね。昨日は磁気嵐も起こっていて使い物にならなかったけど。…………ふむふむ、現在の位置はここか…………」

 テントを出て、携帯端末で周辺の地形データをスキャンする柚子丸。すると――

「おや? これは…………? もしかして…………」

 ***

「おぉ〜〜〜〜! 本当に温泉だ〜〜〜〜!」
「うん、硫黄の匂いがすごいね。本当に天然の温泉みたい」

 二人がテントを張って一夜を過ごした場所の近く、その岩場の開けた場所に、天然の温泉が湧き出している場所を発見。二人はそこでやって来ていた。柚子丸はお湯の成分をスキャン。

「ここに湧き出している温泉のお湯は成分に問題なし。普通に入れるね。お湯の温度は源泉だけに少し熱めだけど。…………タキ君、せっかくだから入っていかない? こんな機会滅多にないよ。だから、ね?」
「…………ん〜〜〜〜。お風呂…………あんまり気は進まないけどお湯で温まりたいのは確かかな。いいぜ♪」

 ――こうして雪山で遭難という危機を脱した二人は天然の露天風呂と雪山の絶景を楽しみ、その後無事に他の依頼参加者と合流。ナイトメアのほうは他の参加者が倒していたらしい。

 危ないところではあったが、二人の仲は今回の出来事でより深まった(意味深)かもしれない。

━あとがき━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・
お待たせ致しました。遅れてしまい、大変申し訳ありません。
今回は「仲の良い少年二人が真冬の雪山で遭難!? テントの密室で二人きり……何も起きないはずはなく……」という内容にしてみました。
楽しんでいただければ幸いです。

この度はご発注ありがとうございました。
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グロリアスドライヴ
2020年06月04日

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