▼作品詳細検索▼  →クリエイター検索


『幼馴染メイド』
吉良川 鳴la0075)&吉良川 奏la0244

 とある休日――。
 気ままな一人暮らしを謳歌している吉良川 鳴(la0075)が自室のベッドで惰眠を貪っていると……。
「Zzz……Zzz……」
 急に携帯端末の電話着信音が鳴った!
「!? ふあ〜〜、一体誰だよ……今日は依頼入れてないはずだぞ……って、この着信音は…………まあ、出なくていいか」
 見知った……というか知りすぎた相手だったので鳴は着信を無視、ガン無視を決め込むことに。
 せっかくの休日なのに邪魔されてたまるか〜〜といった風に未だ鳴り続ける着信音を無視(※切りはしない)し、再びベッドに寝転がり、寝直そうとする――
 が、着信音は一向に鳴り止む気配が無かった……。どうやら相手は出るまで鳴らし続けるつもりらしい……。
「今日はやけにしつこいな……」
 普段なら無視すれば長くても数分で鳴り止むのだが――既に十分くらいが経過。……相手から『絶対出るまで鳴らし続ける』という確固たる意志を感じる……。
 ……そういえば相手も今日は休日だったはずだ。要するに「構ってほしい」ということなのだろう……。
 鳴は観念して、携帯端末の通話ボタンをタップ。
「もしm」
「もう〜〜!! 鳴くんのおバカ〜〜!! なんで出てくれないの〜〜!!!!」
 相手の第一声がこれである。まあ十分近く待たせたのだから仕方ない。
 鳴は「はぁ」と一息ついてから、
「……結果的に出たんだから勘弁しろよ……。こっちは休みで寝てたんだぞ……」
「…………それは、ごめんだけど」
 通話の相手は幼い頃から交流がある女の子、水無瀬 奏(la0244)だった。
 そんな奏はさすがに悪いことをしたと思ったのか、しゅんとした声になる……。
「いやまあいいけどさ。で、何の用事だよ?」
 普段から別に用事が無くても通話することはあったが。
「…………ええと、ね。今から鳴くんの家に行ってもいいかな〜〜って」
「…………」
 こちらも予想済みではあった。ので、
「いいけど。いつ来るんだ?」
「今から! すぐ!!」
 即答であった。……やはり「構ってほしい」ということなのだろうと思う。
「あいあい、いいよ。気を付けて来いよ」
「うん! もう準備はしてあるからすぐに行くね! それじゃ!」
 めっちゃ元気な声での返答の後、通話が切れた……。
「マジか」
 準備が出来ている……? うちに来て何かをするつもり? いつものようにただ駄弁るだけではなく……。
 とりあえず。
「着替えるかあ」
 Tシャツに下着姿であった鳴は流石に、部屋着程度には着替えて奏を迎えることにした――。

 ***

「やっほ〜! 鳴くん! 来たよ〜! おはよう!」

 インターホンが鳴ったので家の扉を開けたら満面の笑みを浮かべた奏が居た。

「あ、ああ。おはよう」

 鳴は奏の元気パワーに若干押され気味に答える。そして……。
 奏はやけに大きなショルダーバッグを肩にかけている。
 何故にそんな大荷物を……? 少し、嫌な予感がする……。

「さっそく上がらせてもらうね! ……あ〜! やっぱり散らかってる〜!! もう〜! 鳴くんたら〜!! 全然掃除してないんでしょ〜??」

 ……その声は、やけに嬉しそうであった……。絶対何かがある……。

「一人暮らしの男の部屋なんてこんなもんだろ……」
「これは仕方がないから私が掃除してあげるね! あ、その前に向こうの部屋貸して! 少しだけ待ってて!」
「いいけど……」

 やはり悪い予感しかしない……。

 ***

「じゃーん! メイドさんだよー? どうかなー?」
「…………」

 少しして、何をするかと思ったら、目の前にはメイド服姿の奏が居た……。

「幼馴染メイド!! どう? グッと来ない?? 普段は少しだらしないかもしれない幼馴染の女の子がシャキッとしたメイドさんになってご奉仕してくれるんだよ? これは嬉しくないわけがない!!」

 なんかめっちゃ張り切っている……。

「ねえねえ、メイドさんだよ? どう? どう??」
「……いや、別に、なんとも」

 すごい感想を求めてくる奏……。圧を感じる……が、寝起きでまだ頭があまり起きていないので特に感想は浮かばなかった。

「鳴くんひどい! ふ〜ん……そうなんだ……いいけどっ。これから『解からせて』いくから!」
「……一体俺に何を求めてるんだ」
「とりあえず〜〜……鳴くん眠たそうだから何か目が覚めそうな飲み物淹れてあげるね。メイドさんと言えば紅茶! だけど、紅茶とコーヒーどっちがいい?」
「コーヒー。ブラックで」
「即答!? 私がブラックコーヒー苦手って知ってて言ってない!?」
「いや知らんし。……知ってるけど。コーヒーでなんか問題あるのか?」
「……べ、別にない、けど……」

 メイド姿の奏はほんのり頬を染めて口をとがらせ、俯きがちに両手の人差し指をつんつんと合わせる。
 ……その姿は少しだけ可愛いと思ってしまった……。
 鳴は自分の思考に気付き、ぶんぶんと頭を振ってそれを飛ばす。

「もう! 鳴くん乙女心がわかってない! 一緒に紅茶を飲みたかったの! 女の子に言わせないでよ!」
「……メイドでご奉仕するんじゃなかったのかよ……。メイドが主人と一緒に紅茶を飲むのか?」
「あっ! ……えへへ、まあそれは、ね? 気にしないで!」

 てへぺろと舌を出して誤魔化す幼馴染メイドであった……。先が思いやられる……結局いつもの奏じゃないか。

 ***

 奏が淹れてくれたコーヒーを飲んでいる間、メイド姿の彼女は部屋を掃除中……。今は掃除機がけをしてくれているところ。まあ、正直助かる。
 その様子を眺めながら鳴はコーヒーを啜る。少し目が覚めてきたかもしれない。
 そして、メイド姿で掃除中の奏は部屋の隅から掃除機がけをして、鳴が座っているソファーの近くへやって来ると――
 ……屈んで掃除機をかけているメイド服姿の奏――そのスカートの中、美脚と形の良いぷりんとしたお尻が包まれた黒タイツ……つまり、黒タイツ越しのおパンツが鳴の位置から丸見えに!

「ぶふー!?」

 それを目にした鳴は思わずコーヒーを噴き出した。

「!? どうしたの鳴くん??」
「……い、いや、何でもない……」
「? ほんとう? それならいいけど。また汚れちゃったじゃない! もう!」
「……どうでもいいけどさ、そのメイド服、スカートが短くないか?」
「ん? 鳴くんはロングスカートのほうが好みだった?」
「……いや、そういうわけじゃないけど……」
「ふふ〜ん、このスカート丈は黒タイツの脚がよく見えるようにするためだよ! 美脚には自信があるからね!」

 ふんす! と、形が良く大きさも程良いお胸を張って鼻息を荒げる彼女。奏はライセンサー業の傍ら、アイドル活動もしており、その肢体・スタイルは抜群だ。
 今はメイド姿の彼女は布巾でテーブルを拭いた後、再び掃除機がけに戻った……。

「……くすっ」
「?」

 ……実は、奏のメイド服のスカートが短めであり、黒タイツに包まれた美脚がよく見えるほか、黒タイツ越しのおパンツも屈んだ際、鳴に見えしてしまうのは奏の思惑通りだった。
 まあ、そんなことは少し鈍感くん(?)な彼の知るところではない。

 ***

 床の掃除機がけが終わったころには……もう太陽が真上に上る時間になっていた。

「もうお昼だね〜。鳴くん、お昼ご飯なにがいい? 買い出しに行って来るけど」
「まさか奏が作るのか!? それはマジ勘弁だぞ!?」
「ひどいな〜! ……ん、出来合いのお惣菜とかを買って来るだけだよ」
「……それなら、まあ――」

 しかし、鳴の胸には何かモヤモヤしたものが浮かぶ……。
 奏は「パンとか、パックのご飯とかは〜〜」と台所を物色中。……鳴は台所まで歩いて行き――

「やっぱりダメだ」

 背後から、奏の身体を包むようにきゅっと抱き締めた。

「鳴くん……?」
「……その姿の奏を他の奴(男)に見せたくない」

 胸のモヤモヤの正体はそれだった。鳴の心には奏への独占欲が生まれていたが……別に彼自身が気づいたわけではなく、衝動的な行動……。

「幼馴染メイドなんだろ。だったら今日は俺の専属で居ろ」
「……ふふっ」

 その言葉に奏は嬉しそうに笑って、自分の腰に回された彼の手をぎゅっと握る。

「うん、わかった。今日の私は鳴くん専属の幼馴染メイドだね」
「…………」

 それを聞くと鳴は奏の身体から手を放し、なぜ自分はこんなことを衝動的にしてしまったのかと考えつつ、視線を逸らして頬をぽりぽりとかいた。
 奏はそんな彼の様子に、彼の口から発せられた恥ずかしい言葉を頭の中で反芻させて頬を赤らめつつ、満面の笑みを浮かべたそうな。

 ***

 鳴と奏は昼食のレンジでチンした冷凍チャーハンを一緒に食べ終えて、更に部屋の片付けやら窓拭きやら、丸々部屋の掃除を終えたら……もう夜。

「よっし! お掃除完了! 綺麗になったね! ……って、お外真っ暗!?」
「マジか。もうそんな時間か」

 時計を見ればもう20時。

「夜道は危ないから送って――」

 家まで送って行くと言おうとした鳴だったが、ふと無造作に床に置かれた奏の大きなバッグが視界に入る……。

「……今日は泊ってくか?」
「うん! やった! 今日の私は鳴くん専属の幼馴染メイドだからね! 日付が変わるまで有効だからね!」

 嬉しそうに、にっこにこ笑顔を浮かべる奏と、「……恥ずかしいから言うなよ……」と頬を染め、彼女から視線を逸らして後ろ髪を片手でくしゃくしゃする鳴であった。

━あとがき━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・
お待たせ致しました。遅れてしまい、大変申し訳ありません。
今回は「幼馴染という距離から中々縮められない」お二人ということで「奏さんが積極的に行動に出る!」という内容にしてみました。
楽しんでいただければ幸いです。

この度はご発注ありがとうございました。
おまかせノベル -
とりる クリエイターズルームへ
グロリアスドライヴ
2020年06月12日

投票はログイン後にできます。

ログインはこちら












©Frontier Works Inc. All Rights Reserved.