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『ドラマ「狼狩りの犬」』
桃李la3954

●登場人物
桃李(la3954)
体術と暗器の扱いを得意とする暗殺者……だったが、ひょんなことからグスターヴァス(lz0124)が所属する組織に拾われる。
順応性が非常に高く、かつての依頼人でも敵なら叩きのめす。

グスターヴァス
桃李を拾った張本人。名前は本名かどうか不明。拾った桃李のことをたいそう気に入って可愛がっている(本人談)。
頭のネジが抜けているかと思いきや、冷酷な面を見せることもあり……?

ヴァージル(lz0103)
通信係にしてツッコミ役。本人は射撃が得意らしいがほとんど披露する場面がない。「さっさとしろ」が口癖。
昔は狙撃中心で暗殺を請け負っていたらしい。

●シリーズあらすじ
暗殺者の桃李は、ある日何者かに襲撃されて深手を負う。ここで死ぬか、という時に目の前に現れたのはグスターヴァスと名乗る背の高い男だった。彼は桃李に医療を手配した上で、自分が所属する組織に勧誘する。
「これも神の思し召しです。その命、我々に預けませんか?」
「……良いよ。その方が面白そうだしねぇ」
その組織の活動内容は、暗殺や破壊工作の阻止。奇しくもかつて自分がいた業界を相手取る、桃李の新しい日々が幕を開けたのだった。

●第一話 「手負いの獣」(初回拡大スペシャル)(あらすじ)
グスターヴァスの求めに応じて組織の本部に赴いた桃李。早速暗殺阻止の指令が入り、グスターヴァスと共に現地へ向かう。

●第一話ハイライト
 「通信室」と書かれた部屋に入ると、着古した作業着を着た金髪の男が頭を掻きむしってモニターに向かっているのが見えた。
「おはようございます」
「今何時だと思ってんだよ馬鹿」
 振り返った目は灰色だった。犬科の動物を思わせる鋭さ。桃李を見るや、
「またでかい男拾ったな。紹介しろ」
「桃李さんです。桃李さん、こちらヴァージルさん……通信係さんです。こんなですが銃の腕はまあまあ良いですよ」
「こんなってのは余計だ。で、聞いてんのか?」
「聞いてます。これから行ってきますよ。桃李さん、早速で申し訳ないんですが、仕事です」
「何をしたら良いのかな?」

 指定されたのは高層ビルだった。スナイパーが張っているのだと言う。
「ヴァージルさんも実は狙撃手だったんですよ」
「そうなんだ」
「今は一線を退きましたがね」
『人の事情ベラベラ喋ってんじゃねぇぞ。五階にいるはずだ。音は立てるな。何もない限り俺からも何も言わないからな。さっさとしろ』
「はいはい」

 だが、相手も警戒していたのだろう。移動の気配で気付かれた。この至近距離からライフルで撃たれたらひとたまりもない。
『だーから言ったんだよ音立てるなって! バーカバーカ!』
 インカムからヴァージルの罵倒が聞こえてくる。愉快な人だなぁ、と思いながら、桃李は相手に話しかけた。
「君がここで引いてくれるなら、俺たちも事を荒立てるつもりはないんだ──俺は善良な一般人だからね」
『つまんねぇ冗談言うな』
 ヴァージルが間髪入れずに口を挟む。相手はライフルを構えたまま拳銃を抜いた。
 相手の注意が、桃李から一瞬だけ拳銃に向く瞬間、彼は鉄扇を思いっきりぶん投げた。宙を飛びながら開かれたそれを、何かの罠だと思った相手は撃ち落とす。
 けれど、その隙に桃李は相手に肉薄していた。ライフルを持った手首を押さえ、顔面に頭突きを食らわせる。その間にグスターヴァスも駆け寄って、拳銃を取り上げた。
『うるせー!!!! もっと静かにやれ!』
 ヴァージルの絶叫がインカムから聞こえた。
「ごめんごめん。さっさとやるから、良いよね?」
 桃李は狙撃手を押さえつけながらのんびりとした声音で告げる。相手はグスターヴァスから全体重を掛けられて、降参した。

 匿名で警察に通報すると、二人は帰路に就いた。インカムからずっとヴァージルの愚痴が聞こえる。
『インカムしたまま頭突きなんかするんじゃねぇよ、馬鹿』
「ごめんってば。でも、あれがなかったらさっさとなんか終わらなかったよ」
『人の言葉尻を捉えるんじゃねぇ』
「ヴァージルさんうるさいですよ。無事に済んだんだから良いじゃありませんか。それより、依頼主はわかったんですか?」
『別働隊がやってるよ。お前らは直帰で良いそうだ』
「だそうです。このままお送りしましょう。寝てて良いですよ」
「それじゃあ、お願いしようかなぁ」
 桃李はあくびをした。
(一時はどうなるかと思ったけど、どうにかやっていけそう、かな……)
 ヴァージルがまだ何か言っているが、それも今の桃李には心地良いノイズだ。通信係のマシンガントークに苦笑するグスターヴァスを横に、彼は眠りに落ちたのであった。

●第六話 「ブラス・バレット」(あらすじ)
罠に掛かったグスターヴァスを助けに行くことになった桃李。単独行動かと思ったが、危険すぎるとヴァージルが猛反対。山ほど銃器で武装した彼が同行することに。

●第六話ハイライト
 ヴァージルが振り返ると、ライフルを振り上げた男が立っていた。振り下ろされる。その間に、桃李が滑り込んで銃身を受け止めた。鋭い足払いを掛けて相手を倒す。しかし相手も手練れではあるようで、転んだ状態から起き上がると同時に蹴りを放ってきた。半歩下がってやり過ごすと、桃李は羽織っていた着物を脱いで相手にかぶせる。その上から閉じた鉄扇で強かに殴りつけた。呻き声。
「おい! 撃たせるなよ!」
 ヴァージルの怒声が飛んだ。桃李もそれは承知している。着物を取り去ると同時に、闇雲に発砲しようとした手を蹴り飛ばした。
 その時、銃声が響いた。カン! と高い音もして、相手が呻く。手から血が出ていた。桃李はライフルを取り上げて、ヴァージルを見る。硝煙の立ち上る銃口を向けていた。
「跳弾かな」
 射撃が得意と聞いていたから、桃李は特別驚かなかった。ヴァージルはその笑顔を受けると、目を逸らして、
「下手になったよ」
 苦々しげに言う。

 発見したグスターヴァスは自分で拘束を解いて待っていた。本人曰く、
「私の体格に対して紐が短かったんですよね」
 と言うことだが、どこまで本当かは不明である。
「与太だから話半分で聞いとけ」
 と言うのがヴァージルの談だった。本人は桃李にひしとしがみついて、
「桃李さんなら来てくれると思いました!」
 などと言っている。桃李はその頭をよしよしと撫でて、
「怖かったのかな?」
 怖がっているグスターヴァスはさっぱり想像できなかったが、慰めてくださいアピールをされていたら乗ってあげる。「善良な一般人」ならそうするだろうと言う極めて模範的な態度だ。ここが敵陣でなければ。
「帰ってからやれ!」
「ヴァージルさん声が大きいです。人が来ちゃうじゃないですか」
「来てるから言ってんだよ!」
 そう言って彼は銃を抜いた。物音を聞きつけて駆けつけた見張りに向かって発砲する。桃李もするりとグスターヴァスから離れて、小刀を抜いた。
「ヴァージルくん、さっきのやってくれる?」
 桃李の言葉に、ヴァージルはすぐに発砲した。跳弾が相手を怯ませる。その一瞬の隙だけあれば良かった。既に撃たれて動けない一人を飛び越えて、その後ろのもう一人に小刀で斬りかかった。

 その後無事に脱出して本部に戻ると、何故かグスターヴァスが死んだことになっており、本人の登場で阿鼻叫喚になったのだがそれはまた別の話。

━あとがき━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・
こんにちは三田村です。ご発注&企画ご参加ありがとうございました。
午後10時以降にやってるドラマのイメージで書かせていただきました。
元暗殺者の桃李さん。一回くらい過去回がありそうな感じですね。楽しんで頂ければ幸いです。
またご縁がありましたらよろしくお願いします。
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三田村 薫 クリエイターズルームへ
グロリアスドライヴ
2020年06月15日

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