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『映画「メトロポリタン・デトネーション」』
レオーネ・ティラトーレka7249

●登場人物
レオーネ・ティラトーレ(ka7249)
警察の特殊処理係所属。階級は警部補。ヴィルジーリオ(kz0278)と共に所轄内では「爆発屋」と恐れられている。
高度な運転技術で凶悪犯を追い詰める。本人は否定しているがスピード狂の疑いが掛けられている。
ヴィルジーリオの表情を読める数少ない人間。

ヴィルジーリオ
レオーネの相棒。警察の特殊処理係所属。階級は巡査。特殊処理係に行く前から何かと爆破だなんだしていたので昇進に響いているが全く気にしていない。相方を非常に頼りにしており、レオーネと組むようになってからロケットランチャーの頻度が上がった。
無表情だが感情は豊か。特技は始末書を書くこと。

●あらすじ
工学が少し発達した近未来。
日々凶悪犯たちとのカーチェイスやアジトの破壊などをしているレオーネとヴィルジーリオ。西に囚われのエルフがいれば救出して監禁場所を破壊、東に売買されるオートマトンがいれば解放してアジトを破壊。そんな彼らは、先日カーチェイスでぶっ飛ばした凶悪犯罪者グループが、ドラゴン型の巨大兵器を違法に製造し、大都会を火の海にするということを知る。もちろん放っておける訳もなく、二人は行動を開始したのであった。

●爆発屋
 パトカーのサイレンが鳴り響いている。他の車は道を空けた。それは決して、権力に対する協力の心からだけではない。パトカーから逃げている、猛スピードで走る車の存在もあった。
「大人しく投降しなさい! 命だけは助けてあげるつもりではいますが流石にロケランの威力ばかりは私にも調節が利きませんよ!」
 と、箱乗り状態のままスピーカーでがなっているのは赤毛をなびかせたヴィルジーリオである。すでにロケットランチャーを担いでおり、あれを見て逃げてるんじゃねぇかな……と、それを見送った市民の一人は思ったとか思わないとか。
 向こうも窓から身を乗り出した。お、投降するか? と思ってちょっと期待したヴィルジーリオだったが、飛んで来たのは降参の言葉ではなく銃弾である。
「なんと愚かな。ここで罪を悔い改めれば刑も軽くなると言うのに。多分」
 多分って言ったぞ。
「ヴィオ、援護する」
 レオーネが運転席から叫んだ。器用なもので、ハンドルを片手で握ったまま窓から身を乗り出し、マシンガンで立て続けに銃撃を浴びせた。
「今だ! 撃て!」
「ラジャー!」
 そしてヴィルジーリオはロケットランチャーの引き金を引いた。向こうの速度と進行方向を読み、目の前に着弾するように……。
 車道にロケット弾が炸裂した。卵の殻のように砕け散るアスファルト。爆風でひっくり返る車。窓から飛び出す悪党ども。
「ウワー!」
「ギャー!」
 ぽーんと車道に投げ出されて転がる。シートベルトをしないのは、普通に走行するのであれば言語道断であるが、この時ばかりは正解だった。
 上に吹き飛んだ車が落下し、爆風の中に落ちてガソリンに引火。車も大爆発を起こしたのだから。
「シートベルトを締めないとは愚かな。しかし今回は助かりましたね」
「そうだな。しばらくギプスが標準装備になりそうだが」
 真面目くさって言うヴィルジーリオに、レオーネが肩を竦める。その時背後からサイレンが聞こえた。救急車と消防車、そして複数のパトカーだ。それを何気なく聞いていると……。
 二人を呼ぶ怒鳴り声がした。振り返ると……。
「げっ、警部」
「チャオ、キャピターノ。どうだい、俺たちの活躍は」
 ヴィルジーリオはさっと目を逸らした、その前に、レオーネが愛想良く立つ。
 馬鹿もん! 始末書だ!
「そうだろうと思ったよ」
 レオーネは両手を広げて肩を竦めた。

●嫌な予感
「レオ」
 レオーネが始末書を書いていると、ヴィルジーリオが神妙な顔で声を掛けた。傍から見たら無表情に見えるが、何やら難しい顔をしているな、とレオーネは思う。
「どうしたんだ、ヴィオ」
「見てください、これ」
 と、渡されたのは、先日ロケットランチャーで吹き飛ばした連中の調査報告書。それによれば、違法な大型兵器を港の工場でひっそりと作っているというのだ。目的は……。
「大都会を火の海に……」
「上は明日ガサ入れを考えていますが、嫌な予感がします」
「そうだな」
 レオーネは真面目な顔で頷いた。
「行こう」

●決戦! イル・ドラーゴ!
 オープンカーに積み込むのはマシンガンにロケット弾、そして球根のような手榴弾。
「可愛い可愛いラガッツァたち。綺麗に咲いてくれよな?」
 手榴弾を詰め込んだ箱を一撫でして、レオーネは微笑み掛ける。
「きっと大輪の花を咲かせてくれるでしょう」
 ロケットランチャーを担いだヴィルジーリオが頷いた。

 現場に車を走らせていると、銃声がした。見れば、後ろの車から銃撃されている。五台くらいいるようだ。
「奴らだ! ということはビンゴなんだな! ヴィオ!」
「了解!」
 反撃に出る。レオーネがラガッツァと呼んで可愛がる手榴弾はあちこちで花開き、ヴィルジーリオはまるで拳銃でも撃つようにロケットランチャーをぽんぽん撃ち込んだ。ロケランってここぞと言う時に使う物じゃないんですか。新人の愕然とした台詞が思い出された。
 相手の車を四台ほど吹き飛ばしたところで、あいつらやべぇ! 一旦引くぞ! とばかりに逃げ出した相手の車を見送るわけは当然なく、レオーネはアクセルを踏み込んだ。ヴィルジーリオが、
「待ちなさい! 投降すれば命だけは助けてあげたい雰囲気ですがロケランの威力は私でもどうしようもありませんよ!」
 と、言って止まる筈はもちろんなかった。こちらを撒こうとする運転に、レオーネはドリフトも織り交ぜたドライビングテクニックで食いついた。運転しながらマシンガンで追撃する。
 そして、相手の車は、レオーネたちが突き止めていた工場に逃げ込んだ。やべぇ奴らが追ってきている! イル・ドラーゴを出せ!
「お出ましか」
 ずしーん……ずしーん……夜の空気を震わせる重い音。赤く塗られた機械のドラゴンが地上を睥睨する。どうだ! これが我々の新兵器! これで都会を火の海に……と、悪党どもが口上を述べるが……。
「暇なんですか?」
 ヴィルジーリオは最後まで聞かずにロケットランチャーを撃ち込んだ。邪魔しようとした悪党はレオーネがマシンガンで牽制。あー! そんなー! と悪党どもが叫んでもロケット弾は止まってくれない。煙が尾を引き……喉元に着弾した。レオーネは隣についてロケット弾を次々装填。ジャパンのニューイヤーに行なわれるモチツキの如く息の合った連携に、あっという間にドラゴン型兵器は使い物にならなくなる。
 後ろから声がした。ど、どうしてここまで……振り返ると、どうやらここのドンらしい。貫禄のある男性が膝を突いて呆然とドラゴンを見ていた。
「そんなの決まってるだろ」
「ええ、一つしかありません」

「この大都会は俺たちが守る!」

 言い切ったその時、二人の後ろでドラゴンの首が落ちた。地面に激突したそれは、燃料が既に回っていたのだろうか。衝撃で派手な爆発を起こしたのであった。遠くでサイレンの音がする。救急車と消防車。そしてパトカー……。
 パトカーのサイレンを聞いたレオーネがはっと顔を上げた。
「やべ、キャピターノに言ってくるの忘れてた」
「あ、しまった」

 この後始末書をしこたま書かされたのだがそれはまた別の話。

━あとがき━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・
こんにちは三田村です。ご発注&企画ご参加ありがとうございました。
発注文拝見するや「これ全編画面が赤いやつーーーー!」って思って楽しく書かせていただきました。
ほんと色んなアクション物でのロケランのありがたみとは? みたいなレベルでバカスカぶっ放すのは書いてるだけでも楽しいですね。
爽快っていうか頭のネジを豪快に吹き飛ばしただけの気がしなくもないですが楽しんで頂ければ幸いです。
またご縁がありましたらよろしくお願いします。
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三田村 薫 クリエイターズルームへ
ファナティックブラッド
2020年06月19日

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