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『夢が詰まってる』
cloverla0874


 大規模作戦が発令された。南陽インソムニアへの救出作戦である。clover(la0874)も意気揚々と参戦する筈、だったのだが……。
「どうしたんですか。メンテ? 重体?」
「重体ー! エルゴマンサーにやられた」
 目下重体中のcloverである。この状態では大規模作戦に参加しても大したことはできない。おまけに、行こうと思っていた依頼にも行けなくなってしまったらしい。
「つまんない!!」
 ということで、紅色をしたいぬのぬいぐるみ(お手製)を抱いて、近所(?)の気さくなおじさんと思っているグスターヴァス(lz0124)の元へやって来た、という訳だ。
 女の子ボディで。

 説明しよう! cloverは、普段の見た目は少年であるが、その正体はヴァルキュリアであり、重体中やそのボディメンテナンス中、代替ボディとしてそれは可愛い女の子ボディが用意されているのだ!!!!!!!

 銀、というよりは白い髪に金色の瞳。この瞳は普段のcloverと変わらない。髪型もほぼ一緒で、背が縮んだのと、少しだけ全体的に丸みがある、というくらいの違いだから、知り合いが見ればcloverであるとは一目でわかるだろう。四葉柄のショールを、同じく緑の四葉をモチーフにした留め具を使って前で閉じている。
「おじさんのおうちに今は面白い物がありませんから、お散歩しましょうか」
 と、二人は河原までやって来た。cloverの希望もあり、道中のコンビニであんまんを買う。

 いぬのぬいぐるみをぎゅーっと抱きながら、cloverはあんまんにかじりついた。
「重体は残念ですが、死ななかったのは喜ばしいことですよ。神のお導きですね」
 その頭をグスターヴァスの大きな手が撫でる。cloverのことを甥だか姪だかだと思っている節がある。
「むむ」
 あんまんをもぐもぐと食べ、ぬいぐるみの頭に顎を乗せながら河原を睨んだ。それから唐突に、
「おじさんはおっぱいとお尻と足ならどれが好き? 俺は断然おっぱい」
 美少女ボディだからって何でも許されると思ったら大間違いであるが、グスターヴァスは許した。
「美という物は一つのパーツで完成される物ではありませんよ」
 慈愛の笑み。
「ですが強いて言うなら私は顔が好きです」
「ほうほう」
「目は口ほどに物を言いますから……目に人柄も表れることでしょう」
「身体には興味ないってこと???」
「そういうわけではないのですが……あんまり掘り下げると未成年に昼間する話じゃなくなるのでやめましょう」
「そっかぁ……おじさんにもすけべな心があるんだ……」
「私通報されそう」
 そう言えばこの人、グスターヴァスが誤解で警察に連行されかかったとき、紆余曲折の誤解を経て、警官から「彼(グスターヴァス)に近寄らないように」と釘を刺されている。同じ警官に今の状況見られたらノータイムで逮捕されそう。
「おっぱらに行きたかっただけなのに……」
「なんですか、おっぱらって」
「おっぱいパラダイス」
「う〜ん、執念」
 少年が「おっぱい」を連呼するならまだしも、美少女が「おっぱい」を連呼すると逆に鬼気迫る物があった。
「あっ、そーいえば、サイレン(lz0127)ておっぱい……あ、エルゴマンサーて美人? 金髪? 俺より年上?」
「cloverさんはあんなのに興味持たなくて良いんですよ」
 その時のグスターヴァスの目は大変に冷たかったと後にcloverは語る。
「ですが……そうですね。年の頃はcloverさんと同じように見えますね。薄紅色のロングヘアで頭に貝殻だのヒトデだのくっつけてますよ」
「ほうほう」
「あなたが一番気になさっているであろうスリーサイズの一番上ですが、なくもない、という感じですね。巨乳かと言われると微妙ですが……あ、そうそう。身長は結構あると思いますね」
「それって俺のいつものボディより?」
「ちょっと高いでしょうね」
「そっかぁ……じゃあ年上巨乳……じゃないしても年上に甘える疑似体験ができるかもしれない……?」
「再三申し上げますけど、あんなのに近づかない方が良いですよ」
「あんなの」
「あんなの、です。甘える? ハハハご冗談を。あなたが近づく前に私が奴を仕留めます」
 どうやら相当嫌っているらしい。
「そっかぁ」
 cloverは頬杖を突いた。
「どうせ戦うならおっぱいに会いたい……指名とか出来ないのかな……」
「指名ねぇ……」
 エルゴマンサー戦(指名制)。
 バトルクラブ「エルゴマンサー」。男性女性、人間人外、色んなタイプのエルゴマンサーがあなたをお待ちしています。クラブの外には各エルゴマンサーたちの顔写真がずらり。
 名前だって捕食した相手のものだったり人類からの呼称で本名じゃなかったりするし……。
 技名コールがあるのか。
 そんなわけないだろ。

 グスターヴァスも頬杖を突いた。
「もし私がナイトメアに食べられて、私の姿をしたエルゴマンサーが現れたら、指名してくれます?」
「えー、どうしようかなぁ」
「スリーサイズの上はまあある方ですよ」
「それってバストじゃなくてチェストじゃん」
「バレたか」


 その後もcloverはずっと「おっぱい」について熱く語っていた。
 その姿、美少女。
 脳味噌がバグを起こしそうな光景である。いや、女性がおっぱいについて語っていけないことはないのだが、女性の姿をした相手からこんなにもおっぱいについて語られたことはないグスターヴァスである。
(どうしよう、サイレンとcloverさんが行き会ってバストについて語り合ったら……)
 どうしよう、サイレンが「わたしは貧乳派だ! 巨乳派滅ぶべし!」とか言い出してそこからcloverとの戦いが始まったら……。
 バストサイズの好みの相違で討伐されるエルゴマンサー。
 嫌でしょ。SALF史に残りそう。いや公式な文書からは抹消されそうだけどまことしやかに囁かれそう。

「おっぱいに会いたいなぁ」
 まるでクラスの気になる子を恋しがるが如き悩める表情で溜息を吐くclover。グスターヴァスはくすりと笑って頭を撫でる。
「では日々のやるべきことをきちんとこなしなさい。そうしたらあなたの求めるおっぱいに出会う日もそう遠くは……」
 その時、ちょっとそこの人、と声が掛かった。見れば、警察官である。こんなところで未成年と何を? おっぱいって聞こえたんだけど。そう言われて、
「ち、ちがいます。おっぱいが好きなのはこちらの方で」
 少女におっぱいと言わせていた……ちょっと話を聞こうか、とグスターヴァスはパトカーに連行された。後に残されたcloverは、
「おじさん、疑われやすいなぁ」
 残ったあんまんの欠片を口に放り込んだのであった。

━あとがき━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・
こんにちは三田村です。ご発注ありがとうございました。
……実際未成年とおっぱいトークしてる40代ってどうなんだろう……って書き終わってからすごい真顔になっちゃいました。
実際事情を知らない人が見たらかなりやばいのは事実です。やばい。
またご縁がありましたらよろしくお願いします。
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三田村 薫 クリエイターズルームへ
グロリアスドライヴ
2020年07月02日

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