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『あの夏の向日葵』
レイヴ リンクスla2313

 世界のどこか。とある真夏の日――放棄された市街地にて、SALFのライセンサー・アサルトコア部隊が奪還作戦を行っていた……。

 アサルトコア部隊(全体では中隊規模・アサルトコア12機)の一員として、MS−00に搭乗したレイヴ リンクス(la2313)は三つに分かれた小隊(アサルトコア4機規模)の仲間の機体と共に索敵しながら市街地を進む――
 ……それにしても荒れ方が酷い。大分前に放棄された市街地なのだろう……。道路の路面はひび割れ、地面が露出している箇所が多い……。

 と、そこで。

「ん?」

 前方の友軍機がマニピュレーターを平手にし、こちらへ静止を促して来た。敵でも発見したのだろうか? しかしレーダーに感は……、
 続いて前方の友軍機は手部の人差し指を立て、地面を指差す。レイヴは機体のメインカメラをそこへ向けると……地面に見事な大輪の向日葵が咲いていた。
 この地方の時期は真夏。本日はカンカン照り。まさに夏……。しかしながら米国暮らしが長かったレイヴにはいまいちピンと来ない。
 とりあえずまあ、いちいち通信を介さずとも意味は理解出来た。アサルトコアで花を踏まないようにしてほしい、ということなのだろう。
 レイヴは自機の手部でOKサインを作り、向日葵の咲く場所を迂回して前進を続ける…………。

 ***

 ほどなくレイヴが所属するアサルトコア小隊は中型のマンティス群と遭遇。交戦を開始する。

(lock-on、fire!)

 前衛でマンティス群と交戦するアサルトコア二機へ、後衛からバズーカ砲を構え、砲撃して援護するレイヴ機。
 隣でエレメント(二機一組)を組む僚機のアサルトコアも前衛の援護の為、AC用アサルトライフルによる砲撃を加えている。

 しばしの戦闘の後……マンティス群を撃破。多少シールドは削られたものの、損害は軽微。
 だが、多方から砲撃音が響いており『交戦』の通信も入っていたので、この市街地に展開する他の小隊もナイトメアと戦闘中であった。
 レイヴ達の小隊は友軍の支援へ向かう――。

 ***

 …………市街地にて突発的に遭遇したマンティス群との戦闘は、三つの小隊、アサルトコア中隊・12機で連携したことで、約一時間ほどで危なげなく終了。
 やはり多少の損害はあったものの、許容範囲内。……ライセンサーのアサルトコア部隊は交代で警戒しつつ休息をし、再び市街地でのナイトメ捜索を再開した。

 レイヴ達のアサルトコア小隊も市街地内を再び索敵中…………。

 警戒を厳にし、進んでいくと…………、

「これは……アサルトコアの残骸か」

 ひび割れた道路に、この街から避難した際に打ち捨てられたと思われる、大破したアサルトコアの残骸を発見。
 ボロボロの装甲の表面は苔生しており…………放棄されてからかなりの年月が経過したのかが窺えた。

(なんだか寂しいな)

 と、思いつつも機体を前進させるレイヴ。その時――警告音。敵性反応!

「!?」

 何事か、とレイヴは機体に回避運動をさせる……と、こちらに攻撃を仕掛けて来たのは……なんと、先ほどの打ち捨てられたアサルトコア!

「なんだ……? 寄生型のナイトメア?」
「いえ、そこまで脅威度の高いものではないようです。内部に軟体型……スライム状のナイトメアを確認」
「なるほどそれか! break!(散開)」

 僚機と通信しつつ、そうしてレイヴの所属する小隊は二機……? 二体……? 出現したアサルトコアもどきと交戦。幸いにして動きは鈍く、苦戦するほどではなかった。

「こちらの機体の残骸を利用するなんて気分が悪いな」

 レイヴは言いながら操縦桿のトリガーを引き、機関砲を連射。無数の砲弾を叩き込む。
 アサルトコアの残骸を外殻として利用しているスライム状のナイトメア……もし寄生型、などというものだったら非常に厄介だったがそんなこともなく、普通に交戦。
 ナイトメアがアサルトコアの残骸を利用〜という胸糞悪い展開に、小隊全体で怒りを持って連携し、即時撃破。

 …………そのあとは、市街地内を隈なく探索し、もちろんアサルトコアの残骸を発見した場合は徹底的にスキャンし、もしナイトメアだった場合は速攻撃破。
 こうして陽が暮れるころには市街地奪還作戦は終了……。イレギュラーな事態はあったものの、ナイトメアの大した抵抗は見られなかった。
 既に人類はこの街には存在せず、重要性は低いのだろう。

 レイヴ達アサルトコア部隊は帰還の準備に入る。……ふと周囲に目をやってみれば『あの向日葵』がまだ咲いていた。
 どうやら戦闘に巻き込まれずに済み、無事だったようだ。

 ほどなく帰還用・迎えのキャリアーが街の郊外へ着陸したとの連絡。レイヴはこの廃墟となった街をあとにしつつ……、この街に……再び人が戻るのだろうかと考える……。
 いや、戻れるように、世界中のナイトメアを駆逐し、人類の生存圏を取り戻すのだ……と、自分の意志を再確認するレイヴであった。

━あとがき━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・
お待たせ致しました。遅れてしまい、申し訳ありません。

今回は「カンカン照りの真夏に咲く向日葵」から想像を広げて書いてみました。
楽しんでいただければ幸いです。

この度はご発注ありがとうございました。
おまかせノベル -
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グロリアスドライヴ
2020年07月07日

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