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『白き羽、堕ちて再び舞う』
白鳥・瑞科8402

 白鳥・瑞科(8402)は上司の部屋から出る。
 黒いシスターの衣類に身を包み、ヴェールで髪も見えない禁欲的な姿だ。しかし、一見スレンダーであるが、煽情的なふくらみは隠すことが難しい。堂々とした彼女の行動により、何ら違和感も与えない。
 端正な顔に浮かぶのは、あらゆる自信。数々の組織等を殲滅してきたこと、それに見合う知識と武力を持っているから生まれる。
自分の力が求められているということの誇りがある。一筋縄ではいかない事件も、自分は解決すると考える。
 今回は、とある巨大倉庫に巣くっているという組織の殲滅だ。
 そこは最近目立つようになり、この「教会」でも対応が求められた。異界に接触し、妖しい生物を手に入れているという。
 そして、瑞科が向かう。

 瑞科は普段の服から戦闘服に着替える。
 ヴェールをはずした際、収めるようにしていた、長い髪が背中に広がる。さらに蠱惑的な香りも広まった。
 服を脱ぐと、ほっそりとしたウエストと不釣り合いにも見える双丘や腰つきがあらわになる。実のところは、神の造形の奇跡のような美しさだ。
 まずは耐衝撃のための、足元から手首、首元まで覆う黒いラバースーツをまとう。隙間ないそれをまとうと、体のラインは固定され、体の曲線ははっきりする。
 太ももまであるソックスを履く。ラバースーツの上であっても、それは食い込む。しっかり固定されていないと、ずり落ちてしまい意味をなさない。
 太ももにはベルトを着け、ナイフを装備した。
 膝まであるロングブーツを履き、腰から下は装備が完了する。
 腰から胸の下までは、腹周りを守るための防具となるコルセットを着ける。ウエストは絞られ、さらに胸が強調される。
 これらの上から、薄い素材で、体にぴったりと張り付くような縫製がなされている修道服をまとう。動きやすいように腰下までスリットが左右に入っている。
 瑞科が動くと、スリットから滑らかなラインを描く脚があらわになる。
 そこに鞘を下げるベルトを付け、剣を装着した。
 腕も覆うような、ロンググローブをはめる。手先の器用さはある程度担保しないとならない。
 鏡を見て、手直しをする。
 純白いヴェールを頭に付け、同じく純白のケープを羽織る。
 ふわりとまとわりつくそれらは、通常ならば簡単に落ちるし、揺れれば不利になる。
 そうならないのは、彼女の能力が高いからだ。
 鏡に写る姿を確認する。
「これで、完璧ですわ」
 嫣然と微笑んだ。

 瑞科は郊外にある巨大倉庫に到着した。
 そこは複数の倉庫からなり、いくつかの業者が借りて入るものだった。
 そのため、関係ない人たちが多く出入りしていることになる。
「それなりに考えることができる集団ということですわね」
 殲滅する事はいいが、注意しないと関係ない人たちを巻き込むことになる。瑞科はむろん、巻き込むような戦いはしない。手早く確実に行動するからだ。
 関係ないところは潜み、進む。
 そして、現場に到着した。
 照明は同じ物で、きちんとついている。それだというのに、そこは暗く、空気が違う。
 世界の法をゆがめる物があるのだろうか。
 それが何であれ、教会が滅すると決めたモノであるし、躊躇はない。
 倉庫に入ると、それまで聞こえなかった音や匂いがするようになる。
 檻の中には、得体の知れないモノが入っている。
 これらも倒さないとならない。
「誰だ」
 誰何する声がし、重火器を持ち出す音もする。
「あら? 見つかりましたの?」
 カツーンと靴音を響かせ、通路に出た。自分の体型とその魅せ方熟知している、堂々としたポーズだ。
 相手は一瞬動きが止まる。
「女?」
 傭兵がいるにも関わらず、相手は一瞬動きを止めた。彼女の肢体を嘗め回すように見ていた。
「そうですわ、女ですわ」
 にこりと微笑んだ直後、瑞科は剣を引き抜き、一気に間合いを詰める。
 ふわりと飛ぶかのような一瞬の行動。それにより、一人、首を掻き切られる。近くにいた別の兵には、瑞科の足が首に叩き込まれた。瑞科は宙に浮いた状態で、その男の胸に着地するように足を付け、蹴り押した。
 兵はよろめく。指がかかっていたトリガーが引かれ、弾が吐き出される。
「あらあら? お行儀がわるいですわね」
 他の男たちは瑞科に攻撃を仕掛けるが、銃は仲間を巻き込む可能性があるため、近接攻撃となる。
 切れ味がよく重いナイフを持ち、襲い掛かる。
 瑞科はそれをよけ、振り向きざまに蹴りを加える。
「これもおまけですわ」
 瑞科はいくつかの重力弾を浮かべ、一気に放った。幾人かがそれに巻き込まれる。
 一方で、鍛えられた傭兵が前に出ており、連携してナイフで攻撃してくる。瑞科が回避すると、その先を狙われる形だ。
 瑞科は一旦距離を取る。檻の鉄格子に手を掛け、上る。
 宙から下りる際、銃弾をかいくぐり、雷撃を放った。
 着地した直後に、檻の中のモノに対して重力弾をたたきこむ。簡単に倒れないようだったが、攻撃は利いていた。
 何度かナイフや銃撃をかいくぐり、攻撃を仕掛けていく。
 気づけば倒れている人しかいない。無事な人間は陰に潜んだようだ。
「わたくしに触れることなどさせませんわ」
 瑞科は自信たっぷりに言う。傲慢にも見えるその姿だが、現在の状況を考えれば無理はない。

 盲点はあった。
 瑞科は足元をすくわれた。彼女の足元にいた、踏みつけられそうだったやせている男が脚に体当たりしたのだ。
 地面に倒れるまえにどうにかしようとしたが、傭兵が頭や足を狙ってくる。
「ぐっ」
 床に倒れ、瑞科のヴェールがふわりと舞い、落ちる。
 瑞科を殺すより、情報を吐かすつもりだと想像はつく。
 足を抑えられ、殴られる。両手にはナイフを突き立てられた。床に縫いつけられる。
 そこが一番防具が薄いところであり、簡単に通した。
 瑞科は悲鳴を上げた。
 防具があるが、完璧ではない。
 得体の知れない生き物が、瑞科にのしかかる。
 べったりとした唾液が落ちてくる。膨れ上がった顔にそれはまとわりつき、痛みとも不快ともつながる。
 意識が遠のきかかった瑞科にそれは目を覚ますきっかけとなった。
 電撃を放った。
 その生き物はまともに食らう。
 重力弾を用いる形で、手のナイフを床から引き離した。
「っつ……」
 ナイフが首に迫る。
 瑞科は目を見開く。電撃を放った。
 のたうち回る生物の影響で、傭兵や組織の人間はうまく動けない。
「これでもくらいなさい」
 瑞科は剣を拾い上げ、振るう。同時に、重力弾を複数紡ぎ上げ、それは一気に放つ。
 その後も、幾度か力を放ち、刃物を振るった。場所の状況から、逃げることは不可能である。
 それなら、すべて倒すしかない。
 気づけば動くものは自分以外なくなった。
 瑞科の口元に不敵な笑みが浮かんだ。傷つけられたけれども、気にならない。
「これで終わりですわね。わたくしに触れた報いは受けてもらいましたわ」
 彼女はヴェールを拾い、立ち去る。
 次の任務が何か、心を躍らせながら。

━あとがき━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・
 初めまして、発注ありがとうございました。
 何かの事件の徹頭徹尾となりました。
 いかがでしたでしょうか?
東京怪談ノベル(シングル) -
狐野径 クリエイターズルームへ
東京怪談
2020年07月20日

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