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『アルバと不思議な悪夢の話』
アルバ・フィオーレla0549

●目覚めると幼稚園の先生だった
 そこはグロリアス幼稚園。アルバ・フィオーレ(la0549)が幼稚園教諭として務める場所である。

「おはようなのだわー! ……あれ? 皆は……?」

 朝の挨拶、そしてお歌の時間のはずなのに、そこにいるのは北欧系の生真面目そうな少年だけだった。優等生のザルバ(lz0139)くんである。

「ザルバくんっ……皆は!?」
「外で好き勝手しているが」
「こ……こらーっ! 皆〜っ!」

 先生と呼ばれたなら勤めを果たさなきゃなのだわ。大慌てで外に飛び出すアルバ先生。
 見渡せば、坊主頭の気怠そうな少年バルペオル(lz0128)くんは原っぱで爆睡していた。辺りが金の煙でモヤモヤしている。燃え盛るわんぱく小僧ゴグマ(lz0136)くんはゲラゲラ笑いながら猛烈にブランコで180度スイングしている。ロシア系美少年エヌイー(lz0088)くんはアリの巣に液体金属を流し込んでいた。

「全くもうっ……お歌の時間なのだわ〜!」

 アルバ先生も慣れたもので、まずはブランコの傍にいくと両手を広げて「おいで!」。そうすればゴグマくんはスイングの勢いに乗って先生の胸に飛び込んでくる。衝撃がヤバだが踏みとどまったのだわ。そして寝こけているバルペオルくんを回収、両手にそれぞれ抱えた状態でエヌイーくんへ。

「アリさんに何をしてるのだわー!?」
「溶けたアルミを巣に流し込んでいるのですよ。固まると面白い造詣になります」
「こら〜〜っ!」

 と叱ったところでゴグマくんが「先生あそぶぞあそぶぞあそぶぞ」と頭に上ってくる。前が見えないが、手が空いたのでエヌイーくんを抱えた。ザルバくんが「真っ直ぐだ」「右だ」とナビゲーションしてくれなければコケていた。

「ハァ……ハァ……さあ、改めて皆――」

 室内に戻ったところで異変に気付く。バルペオルくんとエヌイーくんがいない。

「あれ!?」
「連中なら液体金属化と霧化して逃げたぞ」

 椅子に座って読書しているザルバくんがしれっと言う。

「こ……こら〜〜っ!」

 先生、再びダッシュ。取っ捕まえた小僧共をずるずる引きずる。

「ンだよ眠いんだよほっとけよ」
「私には解明すべき謎があるのです」
「朝のご挨拶が先なのだわ!」

 と連行していたところで。

「せんせぇ! おいかけっこか!? 僕もやるぞな! ザルバも遊ぶぞ!」
「私はここで読書をしている」
「そっかーっ!」

 バーンとゴグマくんが部屋から大脱出。アッと気を取られたところでまた逃げる液体金属と煙。

「フリーダムを極めすぎてるのだわーー!? ザルバくん手伝って!」
「なぜ?」
「なぜって」
「あくまでも私はこの施設の園児だ。園内のトラブルを解決する上での責務は負えん。そういったことの役目を担うのは幼稚園教諭のお前ではないのか」
「ウエーン! 正論で殴らないで欲しいのだわー!」

 泣きながらダッシュする先生。がんばれ先生。
 そうしてようやっと、4人がお部屋に集まった。先生はボロボロだったが、笑顔で皆を見渡した。

「さて! 皆、おはようございまーす、なのだわ!」

「うむ」「ドーブラエ ウートラ」「……」「おはよお!」と性格の出すぎる挨拶。
 なんだかんだ、最後は言うことを聞いてくれるいい子達なのだわ。それに元気でなによりなのだわ。しみじみしながらアルバはピアノの前に座る。

「それじゃあお歌を歌いましょう!」
「うむ」
「承知いたしました」
「……」
「おー!」


●目覚めるとゴグマが生き残っていた
 最後の決戦でメルトダウンした怪物ゴグマであるが、その極点から小さな消えぬ火が見つかった。
 それはほとんどの力を失ったゴグマであると解析され、EXISでもあるカンテラ型の容器に収容封印されたそれは――どういう訳か、アルバが管理をすることになった。
 自宅も兼ねている「花の工房」。アルバは手にしているカンテラを覗き込んだ。

「お店だと花が燃えそうね。工房の方に行きましょうか♪」

 返事の代わりか、火が揺らめいた。
 緑に囲まれた工房、窓から射し込む穏やかな陽だまりの中のソファに、アルバは腰を下ろした。

「うーん……危ないから開けちゃダメって言われたけど……」

 閉じ込められているのはなんだか可哀想だ。そう思って、アルバはえいっとカンテラを開いた。
 そうすれば炎がぴょいと逃げ出して――人の形をとるが、それは体のほとんどが火で崩れた少年の姿をしていた。居るだけで周囲を焼く熱は、せいぜい暖房器具の前にいる程度となっている。

「がアッ!」

 力を取り戻さんと襲いかかってくる怪物だが、アルバが両手で脇の下からガッシと抱き上げてしまえば、それ以上は動けなくなるほどの脆弱さだった。手足をばたつかせるがアルバには届かない。

「おいたはダメなのだわ。……傷付けたり酷いことはしないから、落ち着いて」
「ザルバをどうした!」
「あの子ならSALFの管理下にいるのだわ。大丈夫、殺されたりしないから……いいこにしていたら、きっと会えるのだわ」

 そう言うと、ゴグマは力量差も察してか大人しくなった。アルバはそのまま彼を膝に抱く。触ると熱いが、シールドのおかげで火傷には至らない。燃える体を撫でると居心地悪そうに身動ぎをして、ガッと掌を噛んできたが、その牙はアルバのシールドを貫くことすらできなかった。アルバは表情を崩さないまま、

「今日からここがあなたのおうち。のんびり過ごして欲しいのだわ」
「……」
「お腹空いてる? 何かご飯を作りましょうか?」
「人を喰わせるのか」
「ごめんね、人は食べさせられないわ」
「じゃあ人以外の生き物」
「それなら……」

 そうだ、とアルバは思いついた。ゴグマを抱っこして立ち上がる。

「植物達のお世話を手伝ってくれる? 虫さんなら、食べてもいいのだわ」

 かくして二人の奇妙な生活は始まった。ゴグマにできることや好ましいことが増えていくことを願って、アルバは努めて優しく根気よく接し続ける。
 そうして、ゴグマの姿が崩れた人型から少しマトモになった頃。
 彼は前のように敵意を剥き出しにしてくることはなくなっていた。懐いた訳ではないけれど、現状を受け入れてある程度は気を許してくれた……ように思う。改めてゴグマとは、とてもナイトメアらしい――ある種の気高さを持った個体なのだと知った。
 今は宙を漂って、キッチンで食事を作っているアルバをじいっと眺めている。相変わらず人の食事に興味を示さない彼は、猛禽類や肉食爬虫類用の生き餌であるヒヨコやマウスを糧にしていた。

「……たまご、割ってみる?」

 あんまりじっと見てくるから、アルバは卵をゴグマに手渡してみた。白いそれを手にした彼は……ぐしゃりと握り潰してしまう。

「あ〜……もっと優しく、こうやって角にコンコンって」

 丁寧に教えてやると、実に3つの卵を粉砕してしまったが、4個目で殻入りではあるが綺麗にボウルの中に落とすことができた。

「すごい! 上手なのだわ!」
「人間のやることはよく分からんなあ」

 卵でべたべたに汚れた手をアルバの背中で拭いている。「あ!」とアルバが気付いた時にはもう遅い。

「も〜……」

 苦笑をする。ゴグマは悪びれていない。叱ってもマトモに聞いてくれないのでいつもこんな感じだ。ゴグマは小さな火の姿になって、アルバの肩に乗った。シールドがあればゴグマに触れても肉は焼けない。アルバの耳元で火の爆ぜる音がする。

「お前どうするんだ。いつか僕が力を取り戻したら、お前の家なんて消し炭だぞ」
「その時は……その時に考えるのだわ」
「僕とお前は一緒には生きられない生き物だ」
「わたしはそうは思わないのだわ」

 フライパンで溶いた卵を焼きながら、アルバは微笑んだ。

「想いましょう、よりよい未来を。想いは力になるのだから。……ほら、卵焼きの味見をして欲しいのだわ」

 あーん、と言うと伸びる炎が箸の先を卵焼きごと包んだ。おいしいかどうか、味覚のない怪物には分からないが、少なくとも文句は言わなかった。そのまま撫でられるので、噛んだりしないで大人しくじっとしていた。


●目覚めるとナイトメアになっていた
【堕天】の戦いで、人類はエンピレオの攻略に失敗した。
 それに端を発して、ナイトメアとの戦況は一気に悪化していく――。

「それで、こちらが捕獲したライセンサーを使徒を用いてエルゴマンサーに変生させた固体です。――ご挨拶は」

 エヌイーは、自分の脚にしがみついて後ろに隠れているエルゴマンサーにそう言った。ひょっこり、顔を覗かせたのは幼い少女の姿となったアルバである。

「ん……」

 はにかみながら、アルバは相対しているザルバに手を振った。司令官は少女を一瞥だけする。

「ザルバくん、アルバの配属は如何しましょう」
「酒池肉林でしばし力を蓄えさせ――」

 ザルバは言葉を止める。いつの間にかアルバが、座しているザルバの膝の上に「んしょんしょ」と乗ろうとしていたのだ。そのまま無事に上り終えたアルバは、へにゃへにゃの笑みをザルバへ。

「こら、イタズラはいけません」

 と、エヌイーの手が水銀状に溶け、触腕となってアルバを抱え上げて宙吊りに。では失礼します、とエヌイーはアルバをぶら下げたまま下がっていった。ぶらんぶらん状態のアルバは、ずっとザルバに手を振っていた。

 かくしてアルバはバルペオル管理下エルゴマンサーとなり、酒池肉林で霧を介して供給される命を糧にすくすくと育っていった。とはいえ見た目は幼い少女から変わらず、相変わらず口数も少ないが。

「ばるるん! んー!」

 お気に入りは酒池肉林の主の膝の上。大きくて広いそこに寝転がってうごうご身動ぎをしている。払っても払っても白亜の玉座を上って来るので、バルペオルはもう諦めて好きにさせていた。どれぐらい好きにさせているかというと、煙管を勝手に吸われたり(そして盛大に噎せる)、角や頭や黄金の装飾具をぺたぺた触られたりしても、不動なぐらいだった。
 そして散々ぱたぱた遊んだら、アルバはそのままバルペオルの膝の上で爆睡である。腹が出ている上に涎がこぼれているのを、魔神は深い溜息を吐いて看過した。

 そしてエルゴマンサーとしての力を十二分につけた頃、アルバは起動したゴグマと共に戦場を駆ける存在となっていた。全身に纏う黄金の装飾と金煙の魔法は酒池肉林にいた証。しろがねに溶けて凶器と化す体は使徒である証。
 七冠十角の竜に乗り、幼い姿の邪悪な魔女は笑う。

「きみはとても強い!」

 焦土の真ん中、竜から人の姿になったゴグマはアルバを両手で抱き上げた。その笑顔を見ていると、アルバもまたつられるようにふんにゃり笑った。

「ごぐま、ぞなー。うふふ」

 伸ばした両手で、燃える男の頬を包む。熱くはなかった。
 ゴグマはアルバを抱き締める。頬を寄せ合って、二人はくふくふ含み笑いをした。

「次の世界でも、その次の世界でも、ずーっと戦い続けよう。僕ら友達だ」
「ともだち! ん!」
「よーし、ザルバのところに戻ろう。いっぱい褒めてもらえるぞ。エンピレオもバルペオルも、みんなアルバが大好きぞな」
「あるばも! あるばもだいすき!」


●そうして夢から醒める
 ベッドから身を起こしたアルバは、首を傾げた。

「……なんだか不思議な夢を見たような気がするのだわ」



『了』

━あとがき━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・
ご発注ありがとうございました!
オールスターで楽しく書かせて頂きました。
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2021年01月14日

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