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『Ex.snapshot 018 マリナ』
マリナla4331

 それは恐らく並行世界の出来事、になるかもしれない。
 もしくは、放浪者としてこのグロリアスベースのある世界に来る前の。

 とある遺跡の内部にて。セクシー過ぎる着こなしで黒のライダースーツを纏った、優しくも快活そうな印象を与える美貌の女性が注意深く歩いている。そうするに当たりまず視界に入るのは靡く青い長髪より同じ色の瞳より、どうしてもまずその胸元。いや“胸元”と言うよりほぼ胴体前部自体が最早“それ”。女性らしい膨らみある双丘が占めているのは胴体の半分以上にもなっている。
 それ、が重力を無視した様に上向いて突き出しているにも拘らず、当人の歩みには響かない。因みに胸の大きさに隠れてしまってもいるがその実、尻の方も胸に応じてかなりある――長身と言えるだけの背丈もあるのに、バランスからして豊満さの方がどうしても先に出る。
 彼女が纏っているのがライダースーツであるのも、ある意味それしかまともに格好が付きそうな服が中々見付からないから――なのではなかろうか。
 ……と言うのは、まぁ傍から見て思い付く様な後付けかもしれない。
 どちらにしてもその“超乳”の女性――マリナ(la4331)は、いつでもそんな姿で“冒険”を重ねている。

 マリナの生業は遺跡の調査。言ってしまえばトレジャーハンター(自称)である。……世界を渡り歩くに当たり必要なそれらしい資格があるのかどうかは――まぁ、突き詰めない事にしておく。だがそれでも、そういった許可や資格の有無にうるさい様な場所にまで堂々と出向く事が出来ている事だけは確かである。
 それは、彼女の“特殊事情”が絡むのかもしれないが。
 ……いや。その辺りも突き詰めない方がいいだろう事ではある。
 世の中には知らない方がいい事も多い。

 そもそも、マリナが赴く先は存在自体が知られていない謎の遺跡である事も多い。だからこそ逆に、現場の地権者や管理者、本来“うるさい”だろう相手からは然程本気だとは思われ難いのかもしれない。その上に、当人が場を荒らす様な不逞の輩――にも何故か思われ難い奇妙な人望があるのも大きいか。
 となれば結果として、何処に行って何をしようが大して気にもされていない、と言う流れになるのかもしれない。
 しれないが――だが、それでもマリナはまず“本物”を見付けてしまうのである。



 今回マリナが調査している遺跡は、洞窟だった。某国都市下町の闇市で見付けてしまった、己の身の内にある超常の力を含んだ胎内結晶――とどうにも共鳴する装飾品様の奇妙な遺物。それに導かれる様にして目星を付けたのが同国の深く茂る森の奥だったのだが――行ったその時にはどう見ても何も無く流石にマリナも途方に暮れた。
 が、そこで諦めないのがマリナである。乏しい手掛かりから必要な答えを導き出す為の情報を一つ一つ拾い出し、それらを試行錯誤し組み合わせ。当の遺物が何を語り掛けているのか予測し、確かめる。
 そして予測した通りにその“声”が聴こえれば成功――即ち、目的の場所にまで辿り着ける事になる訳だ。
 結果として、今マリナはこの未踏の洞窟にまで辿り着けている訳である。

「この声の響き方だと……まだ奥まで行けそうね」

 洞窟内への声の反響を確かめつつ、マリナは恐れもせずに歩を進める。先へ進むにつれ、洞窟内の様子がやや変わって来ている事に気が付いた。
 洞窟自体が、人工物めいて来たのである。例えば壁自体が人工物を持ち込んで設置したかの様な気配。艶々と滑らかな、磨き抜かれた鏡面にすら見える様な壁――になって来ている部分がある。劈開の加減でこう割れただけ――では決して無いだろう仕上げ。
 そしてその鏡面になっている壁の素材と、闇市で見付けた装飾品様の奇妙な遺物の素材は共通の物にしか見えなくもあった。
 確認して、マリナは一人頷く。それだけの僅かな動きでも胸が俄かに揺れる――が、そこはいい。それより今、向かうべき方向が間違っていない事が確かめられたのが何よりだ。
 ならば何処かに、これらの遺物以上の、見付けるべき財宝が必ずある。
 ……マリナはそう確信している。

 が。

 その歩みが、俄かに鈍る。その事自体に違和感。立ち止まる。ふと、鏡面になっている壁を見る。目を見張る――鏡面に映るその身が、膨れ始めている。マリナは己の腹部に触る。……今回もまた胎内の結晶が暴れているか。そうは思うが――それでも今更止めるつもりは無い。思い切って歩を進める。鏡面の壁。そこに映るマリナの姿は、美しい。女性性を強調する部分がいちいち大き過ぎると言う面はあるが、それさえさて置いたなら、聖母の如き絶世の美貌と言っていい。……いや、聖母などと出て来たのは寧ろさて置いた筈の事柄のせいだったかもしれない。
 ただ。
 鏡面に映る姿は、どちらにしても、どうしても目を惹く。
 蠱惑的な程。
 マリナは歩みを止めない。
 一歩一歩進む毎に、まるでゆっくり風船でも膨らませているかの如くその身が膨れていく。胸や尻などと言った女性性らしい部分だけでは無く、まるで赤子を孕んでいる母の如く――いや。赤子で済むだろうか。もっと得体の知れない“何か”がそこに入っているかの様な、人体として異様な膨れ方をし始めている。
 己の身がこの膨れ方をする時はまず胎内の結晶が反応している時とマリナは知っている。ならば鍵は、鏡面か。姿形を映す役割――即ち、美貌を映すとも言える。
 こうなっているのは“本物”が近いから。ついに歩く事にすら支障が出始める。鏡面の洞窟は歩む者を容赦無く映し出す。その者の美醜が、何かの鍵になっているのかもしれない。辛うじてまだ身に付けていられているライダースーツもぱんぱんでいつ弾け飛ぶかわからない――いや。
 弾け飛ぶのがライダースーツだけで済むなら、きっと御の字なのだろう。
 ここまで来て動じないマリナはきっと、もっとずっと凄絶な体験を重ねて来ているのだろうから。

 ……いや、その辺りについても、突き詰めない方がいい。



 マリナはゆったりと長い青の髪をかき上げ、後ろに払う。ふぅ、と気怠げな溜息。今のマリナのその身は、これまで通り胸と尻だけが悪目立ちする以上は、普通に美貌の女性――で通用する姿に戻っている。
 部分構わず異様な膨れ方をしていた時の面影は、今は無い。

 グロリアスベースのある世界。
 ここでのマリナもまた、トレジャーハンターを自称していた。……どうやら自分は他のライセンサーと比べても随分と特殊で奇妙な境遇にあるらしいとも気が付いている。遺跡調査はそれを解き明かす事にも繋がるだろうから積極的に進めていると言う面もあるかもしれない。
 特に、己の体内結晶と共鳴し易いだろう要素のある遺跡には優先して向かう。ライセンサーとしての任務より、どうしてもこちらが先だ。
 そしてそれでも通用するのが、ライセンサーと言う立場のいい所。それだけ、自由で居られるのだ。

 だからまた、マリナは新たな遺跡へと向かう事にする。
 それは己自身の謎を解き明かす為に――かもしれない。

 実は、根拠らしい根拠は特に何も無いのだが。
 全てがただの勘である。
 そして、それでも彼女はいつも、彼女の胎内にある結晶と共鳴する遺跡を何故か探り出す。

 何処までが信用していい話になるのかすら、判然としない。
 ……これもまた、突き詰めない方がいい事になるのかもしれない。

━あとがき━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・

 マリナ様には初めまして。
 今回はおまかせノベルの発注有難う御座いました。
 果たして二重の意味で初めましての当方で本当に良かったのかと思いつつ。お待たせしました。

 内容ですが、おまかせとなると頂いた発注情報からして「こういう事あるんじゃないか」と考えてみたキャラ紹介的な日常、がまず思い付く所なのですが、こんな感じになりました。
 致命的な読み違え等無ければ良いのですが……如何だったでしょうか。
(特に今回事情がありまして、普段はしない様なポカをしてしまっているかもしれないので)

 少なくとも対価分は満足して頂ければ幸いなのですが。
 では、またの機会が頂ける時がありましたら、その時は。

 深海残月 拝
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グロリアスドライヴ
2021年02月04日

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