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『+ Summer partyにいらっしゃい! + 』
ルド・ヴァーシュ3364



■さまーぱーてぃさんかしゃぼしゅう

 かっこう:なつらしいかっこう!
 にんずう:おおければおおいほど
 にちじ:まんげつのよる
 ばしょ:いくうかんないようかんのいちぶ(かわいい!)

 さんかしゃは『まんげつのよる』に『なつらしいかっこう』でこの『しょうたいじょう』をにぎりしめてまて。
 もしかそうしていないばあいはいたずらしたうえで『きょうせいきがえ』させちゃいます。

 よだん:みんな『ちっちゃい』です。

 ついしん:さきにさんかしちゃっただれかさんのかんそう。


「え、でかかったですよ。……いや、確かに小さいのかな。でも美味しかったし楽しかったです。ええ普段あんなものを食べているなんて信じられませんね。食べ放題って幸せですよねぇ〜」


  ――――――――――――


 それは一週間前の出来事。
 参加者達の目の前に突如現れた一枚の紙切れ。
 ある者の元には住んでいる家の玄関に貼り付けられ、ある者など戦闘中突如空から降ってきた。各々紙を見れば子供の筆跡で上記のような文章が綴られていたのだ。中には子供の悪戯だろうと紙をゴミ箱に捨てるものもいたが、不思議なことにその紙は戻ってきてしまう。


 送り主は誰か。
 「さまーぱーてぃ」とは何か。
 「ちっちゃい」って何か。


 ―― それはパーティ当日、明らかになるだろう。



■■■■



「……妙な手紙だな」
「ふしぎなおてがみ! おむかえくるの、ちょこっときんちょうする。でもルドと一緒にあそびに行くの、わくわく!」


 ルド・ヴァーシュは手紙を手に呟く。
 筆跡と内容から子供より宛てられたものであると推測し、一度は自分には関係ないだろうとゴミ箱に捨てるが、それはいつの間にか机の上に戻ってきていた。
 同居人であるザド・ローエングリンにも同様の手紙が届いている事が判明し二人は顔を見合わせて首を傾げる。その不思議な手紙をどうしようか迷うも折角だし、と二人は参加を決めた。


「夏らしい格好で待て、か」
「どんなふうにかわいいのか、それもきになる!」
「ああ、確かに気になるな。一応何が起こっても平気な服装で待ってみるか」
「うんうん、楽しみー!」
「ザド、買い物に行くぞ。濡れても良い様に水着を買いに行こう」
「みずぎって?」
「それは着てみたら分かる」
「はーい!」


 手紙をテーブルの上に置き二人は部屋の外へ行く。
 街へと出かければ丁度サマーセール中で、衣料品店も夏物を大量に販売していた。物珍しげにザドは水着コーナーへ足を運び自分の気に入った色と形の水着を探し始める。
 一方ルドは水着の上に羽織れるパーカーを探していた。
 やがてザドは自分用に赤い花柄のタンクトップにグリーンのショートパンツの水着、そして浮き輪を手に入れルドの元に戻ってきた。ルドもまたタオル生地の白いパーカーを見つけ腕に引っ掛ける。それから自身に似合いそうな紺色のハーフパンツを選び、二人でレジへと向かう。


「とうじつ、たのしみ!」
「ああ、楽しみだな」


 袋に入れてもらった水着を手に二人は手を繋ぐ。
 パーティまであと数日後。
 その日何が起こるのか、今から心踊らせていた。



■■■■



 突然の閃光。
 約束通り水着という「夏らしい格好」で待っていた二人を襲ったのは目を開く事が困難になる程の光だった。
 顔に腕を当て光を遮り収まるのを待つ。ザドはルドの背に隠れ自身もまたぎゅっと目を硬く瞑っていた。


 光が収まると二人は瞼を持ち上げる。
 何事かと辺りを見渡せば其処に有るのは数々の食べ物。
 カキ氷に切り分けられた西瓜、フルーツパフェ、ざるに入った素麺、氷が入った飲み物……と。
 それだけであればパーティの為に用意された食事だと思えた。そう、それが――。


「でっかぁあいい!!」


 ――自分達より何周りも大きなサイズでなければ。


 全てが規格外。
 辺りを見渡せば自分達同様この場に連れて来られたらしき人物が何人も居た。彼らの多くもザドと同様の感想を口にし、そしてぽかんっと天井の方を眺めている。
 ふと気付く。
 自分達の姿がいつもと違う事に。
 両手を前に出し、足を振ってみる。銀色の容器に映った自分達はまるで頭の大きい人形。三頭身程の随分と愛らしい姿なのだ。


 <サマーパーティ参加者様へ。お知らせ、お知らせ>
 <ちっこい皆様へ。お知らせ、お知らせ>

 <異空間内洋館にようこそ、ようこそ!>
 <夏らしい格好をしてようこそ、ようこそ!>

 <ここにあるもの全て食べてよし、遊んでよし、壊してよし>
 <バカンスを楽しむもよし、ひと夏の恋を楽しむもよし>

 <怪我と病気には気をつけて。ぐっどらっく!!>


 会場内に流れたのは陽気なアナウンス。
 どうやら物が大きいのではなく自分達が小さくなったらしい。
 主催のものかどうかは分からないが、内容の軽さにルドは呆れた様に息を吐く。だがそれとは反対にザドは丸い目を更に見開いてそわそわし始めた。
 アナウンスをきっかけに参加者達は一斉に自分の興味のあるものへと駆けて行く。
 ある者は金魚鉢へ、ある者はアイスの器へ、ある者はクリームソーダーのプールへ。
 そしてザドは――。


「スイカおいしそう!」


 早速近くにあった西瓜の壁にぶつかりに行く。
 普段なら口を大きく開けばそれだけで全て食べ切ってしまえそうな西瓜だが今は違う。食べても食べてもそう簡単には無くならないのだ。西瓜の壁をくり抜くように食べていけばザドが通った後にはぽっかりと丸い穴が出来上がった。
 買ったばかりの水着が汚れる事も気にしていない。


 そんなザドを見守りつつルドは背中の黒い翼を大きく広げた。
 床を蹴り飛び上がると会場全体を見渡せそうな場所を探す。高く高く浮き上がれば浮き上がるほど見えてくる光景はまさに圧巻。テーブルの上に乗った沢山の食べ物に楽しそうに群がる人達は愛らしい人形のよう。
 普段見慣れているはずのものたちが巨大な建造物のようだ。
 彼はガラスの器に盛られているパフェを見つけるとその頂点目指して飛ぶ。クリームに着地する事は戸惑われたので差し込まれていたバナナの先に足を下ろした。


「味はふつうだ。むしろおいしい」


 クリームに手を突っ込み遠慮なく掬い取ってみる。
 味見がてらカットフルーツをぱくつきながらパーティの様子を眺め見る。参加者の中にはあまりの大きさゆえにチェリー一つに潰されそうな者も居たがそれはそれで楽しそうだった。


「あまいしるでからだがぺたぺた……! ん、つめたそうなアイスティー、いいかおり」


 スイカを思う存分食べたザドは次にアイスティーに目を付ける。
 氷が浮いたそれがとても冷えている事はガラスコップに付着した水滴でよく分かった。ザドは持ってきていた浮き輪を手にアイスティーの中に飛び込む。ざぶんっと水飛沫が上がり下の方に居た誰かさんに掛かるが気にしない。
 浮き輪の上に器用に座るとそのままぷかぷか浮く。


「ルドー! ぷかぷか、うかぶのたのしいよ。およぐよりすき!」


 パフェの上に居るルドを見つけると手を振って呼んでみる。それらを見ていたザドは隣の流し素麺の滑り台を使い下まで滑り降りた。
 素麺と一緒に落ちていく彼を見て面白そうだと思った参加者達が同じ様に滑り始める。僅かな水も今の自分達にとっては大きな波。他愛ない物がサイズ違いでとんでもないアトラクションに変わるのだから可笑しくて仕方がなかった。


「……つばさを思いっきりはためかせて、みずあびしたいな」


 思い立ち適した場所を探す。
 飲み物も良いが彼が見つけたのは金魚鉢。羽織っていたパーカーを脱ぎ濡れぬ様に高場に置くと悠々と鉢の中で泳ぐ巨大な――実際は普通のサイズの――金魚に心引かれそのまま翼を使い飛んで縁から飛び込んだ。
 水面近くで金魚と一緒に泳いだり翼を思い切り広げばたばた動かして水浴びしたり、彼もまた今回のパーティを心から楽しんでいた。
 やがて満足したのか、濡れた翼のまま金魚鉢から下りるとザドがぷかぷか浮かんで休んでいるアイスティーの中へと飛び込んだ。


「わわ、ルド。みず、かかった!」
「水着できてせいかいだったな。ぬれる事を気にせずあそべる」
「う〜、からだひえてきたかも。ぼく、あそこのとうきびもらってくるー!」


 言うや否やザドはストローを使いガラスコップから下りて平皿の上に乗せられた唐黍へと駆ける。
 あつあつのそれは湯気がしっかり立ち上り、食欲をそそる。火傷しない様に細心の注意を払いながら一粒もぎ取り両手で掴む。


「きいろがまぶしくて、たいようみたい」


 皿の傍で足を投げ出して座り込み、あんむ、と喰らい付き頬張る。
 ちらっとアイスティーの中で自由気ままに泳いでいるルドの姿を見れば自然笑みが零れた。


 思う存分遊んだら一休み、とルドはタオルの元へ。
 濡れた翼も丁寧に拭いて水気を取るとそのままふかふかタオルの上へ寝転ぶ。空には満月と星が出ていて月見には最高の夜だった。


「ねえ、ルド。そら、きれい」
「楽しいな」
「ん、たのしいし、ちっちゃいし、でっかい!」
「招待状にかいてあったことはたしかだった、っていうことか」
「えへへ、さそってくれたひと、ありがと」
「そうだな。このふしぎな夜をくれた奴には……感謝しよう」


 腹を満たしたザドがルドの隣に寝転ぶ。
 二人で月見をしながら感想を口にしつつ、ルドは目を細め空に手を伸ばす。それは掴める筈の無い月に触れようとするかのように……。
 何処からか風鈴の音が聞こえ、ザドはそれに耳を澄ませ目を伏せた。


―― りーん、りーん。


 虫とも違うガラスがぶつかる音色。
 ザドはそっと腕を動かしルドの手を握る。ルドもその手に応え、指を折り曲げた。


 ふしぎなふしぎなさまーぱーてぃ。
 夜はまだ続く。





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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【3364 / ルド・ヴァーシュ / 男性 / 26歳(実年齢82歳) / 賞金稼ぎ / 異界人】
【3742 / ザド・ローエングリン / 中性 / 16歳(実年齢6歳) / 焔法師 / レプリス】

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■         ライター通信          ■
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 こんにちは、発注有難う御座います!

■ルド様
 いつもお世話になっております! 今回は水浴び中心での描写をさせて頂きました。ばちゃばちゃ泳ぐルド様の姿、ちょっと愛らしいです!


■ザド様。
 こんにちは、そして西瓜にぶつかっていくザド様の豪快さに笑顔が浮かびました! 意外にも浮き輪で浮かぶ方が好きとのことで今回は食欲を中心に書かせて頂きました。

 お二人ともたのしいプレイングを有難う御座います。
 またの機会をお待ちしております!
なつきたっ・サマードリームノベル -
蒼木裕 クリエイターズルームへ
聖獣界ソーン
2009年09月02日

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