『エターナルヴォイスTCG公式大会レポート
〜名人戦(決勝)&タッグマッチ戦〜』
●最強は誰だ?
6月3日、名人戦決勝当日。
この日、決勝の舞台となる『サンワークかながわ』には、既に開場の1時間以上前から数人の棋士たちが集まっていた。
天候も予選の時とは違って非常に恵まれたものとなり、まさにデュエル日よりと言えるだろう(ちょっと違うかも…)。
やがて、開場の知らせと共に会場へと雪崩れ込む棋士たち。大会の開催にあたって多少のトラブルがあったものの、決勝に向けて燃え上がった棋士たちハートを冷ます事にはならなかったようである。
そして、開場から約1時間後、遂に棋士たちの中で最も名誉ある『名人位』の座を巡り、激しくも熱い戦いが開始されるのだった。
●団結力が試される大会?
今回、初めて行われるタッグマッチは、名人戦予選と同じストリートファイト形式で行われた。
前評判として、参加するには必ずパートナーとなる棋士が必要な為、それほど多くの参加者が見込めないのではないかとの話もあったが、実際に蓋を開けてみれば、20組40名という十分な数の参加者が集まっていた。
また、面白かったのは、パートナーがいないまま会場へと乗り込み、その場で初めて出会った相手と即席のチームを組んで参加するという棋士もいた事である。無論、大会のレギュレーションを満たす為のデッキ調整はその場で行わなければならないので、準備にそれなりの時間がかかってしまうという欠点も持ってはいるが…。
ちなみに、ストリートファイト形式というのは、規定の時間内であれば何戦でも試合を行う事ができるというものある。その中で勝率と勝数を伸ばし、最終的に最も勝率の高かったチームと、最も勝数の多かったチームで決勝を行うというのが、今回のレギュレーションだ。
但し、最低試合数という「最低でも消化しておかなければならない試合数」というものもあり、前半は速攻、後半は周囲の状況を伺いながら試合を行うか否かを判断しなければならないという、実にタクティシャンな面も要求される。
この辺りの微妙な駆け引きと、個人戦にはない戦略の広さが、タッグマッチが人気な理由であろう。
また、名人戦の予選時に得たデータから、個人戦であれば規定時間である4時間半もあれば、20〜30戦は行えるという事実が分かってはいるが、タッグマッチにおいてはこの2〜3倍の時間が必要になってくる。実際、速攻を重視した攻撃型のデッキ同士で編成されたチームであれば20分程度で勝負が付くものの、防御型のデッキ同士で編成されたチーム同士が対戦を行うと1時間以上が経過しても勝負が付かないというケースも発生した。
ただ、この辺は参加者である棋士たちがタッグマッチに慣れ、経験を積んで来れば解決される問題であると思える。
●新しいカードたち
今大会は新エクスパンション『evolution』は発売からそれほど日が経っていなかった事もあり、新しいカードをふんだんに組み込んだ全く新しいタイプのデッキで対戦に臨む者は少なかったようだ。多くの棋士は、今まで調整を重ねて使い慣れたデッキやキャラクターに対して相性の良い一部の新カードを加え、逆に新カードの中で警戒すべきカードは何かをチェックして対策を練っているようである。この辺りの微妙な調整が、今大会の鍵を握っているのではなかろうか?
ちなみに、今更だが今大会に参加している棋士たちは、先に東京・名古屋・大阪・札幌の4会場で行われた厳しい予選を勝ち抜いて来た猛者ばかりである。当然ながら、ほんの僅かな油断も即敗北に繋がってしまうという、実にシビアで緊張感溢れる大会だ。
サイドボード1つとってみても、たった1枚のカードを加えるか否かで結果が大きく変わってしまう。ただ、それだけに優勝者へと与えられるものは大きく、棋士たちの勝利に対する情熱が、傍で見ている私にもひしひしと伝わって来るようであった。
●タッグマッチを考える
タッグマッチの特徴として、緒戦に2人分の攻撃が1人の棋士に集中するという可能性が非常に高い。最初に厄介な(と思える)キャラを2人の力を結集して排除し、残った方を安全に始末するという、実に合理的な戦法だ。
この現象もあり、個人戦で優秀な成績を収められるデッキであっても、タッグマッチでは瞬殺される可能性がある。個人戦での強さが広く認知されているが故に、力を発揮する前に排除しようとされてしまうのだ。ミューティやキャロットなどの低スタミナキャラなどは、1度も自分のターンを迎えずにそのままリタイヤという場面すら見かけられた。
この事から、キャラの選択やデッキ構築については、かなり綿密な計画が必要であると思われる。
逆に、個人戦では多過ぎるスタミナが仇となり、遅い展開になってしまうドーベンやジルマなどのキャラが、タッグマッチでは強力な力を発揮する。多少、ダメージを受けても終わらないこれらのキャラは、非常にタッグマッチ向けなキャラであると言えよう。
なお、カード単体だけを見た場合、《女神の手鏡》が非常に有効な事が分かった。対戦相手が2人もいるので、特殊能力の対象とするキャラが倍となり、選択の幅が広がるのである。また、騎乗の能力を持つ召喚獣も、個人戦よりはタッグマッチの方が使い易いという意見が聞けた。
あとは、チーム内で場を共有する事から、二精霊合成魔法も有効なカードであると言えるだろう。
●時を制する者
名人戦本戦には多数の賞品と名誉、そして優勝者にはエターナルヴォイスTCGの次期エクスパンションの『キャラクター作成権』と言う、非常に魅力的な賞品が出される事になっている。しかも、試合形式は希望する者の多かったスイスドロー方式だ。
やがて、1回戦、2回戦と試合は順調に消化されていく。そして、昼休みを挟んでの3回戦、4回戦を終え、長く激しい戦いを制して決勝進出を決めたのは、菅谷裕信棋士(《不死鳥フレイ》使用)と後藤一樹棋士(《銀翼の歌い手ミューティ》使用)の2人だった。
なお、決勝戦は他の棋士たちは全てギャラリーとなり、両者の戦いを観戦できるようになっている。ここまで厳しい戦いを勝ち抜いた両者のプレイスタイルやデッキ内容は、見ていても決して損にはならないであろう。
無論、それが分かっている多くの棋士たちは、この最後の一戦を静かに見守っていた。
会場中の注目を集めながら、遂に最後の戦いが開始される。
その後、息を吐く暇もないようなこの戦いは、1戦目を後藤棋士が取り、2戦目を菅谷棋士が取るという、実に盛り上がる展開となった。
なお、それぞれの使用キャラである《不死鳥フレイ》と《銀翼の歌い手ミューティ》は、スタミナの最大値が45と少なく、一度相手のペースで押され始めてしまうと、そのまま最後まで押し切られる可能性が大きい。実際、1回戦目と2回戦目はそんな感じで勝敗が決まっている。
しかし、最終戦となる3戦目は、両者一歩も譲らない激しい展開となるのであった。
後藤棋士が召喚獣を展開すれば、菅谷棋士が《デスマッチ》と《炎の精霊》で場を切り返す。また、《玄武のお守り》が置かれ両者共に特殊能力を封じられながらも、虎視眈々と相手のミスを誘う。
そんな重苦しい展開であったが、先に勝機を掴み取ったのは菅谷棋士の方であった。
《吹き飛ばし》から《タイムストップ》へと繋ぎ、《炎の精霊》と《大気の乱れ》のコンボにより、相手の召喚獣たちを一掃したのである。
やがて、相手のスタミナをちょうど0まで削り切った菅谷棋士が、4枚目の《タイムストップ》を場に出した時、後藤棋士が敗北を認め、長く厳しい戦いに終止符が打たれるのだった。
●最凶の組み合わせ?
4時間30分激戦を終え、決勝に駒を進めたのは、6戦全勝のガルザスとアーリアのチームと、8勝3敗のガルザスとアーリアのチームであった。
癖の強いガルザスの力を生かすのは、アーリアが1番という事であろうか。
やがて、両チームとも最初の標的をガルザスに絞るという、実に分かり易い展開で試合が進められる。先行を取ったチームが相手側のガルザスに大打撃を与え、後攻になったガルザスが反撃するという図式だ。
だが、初手に大ダメージを与えられた側に挽回のチャンスが訪れる暇もなく、次のターンにはガルザスが葬られてしまう。
そして、その後に残されたアーリアが、凶悪なダメージを撒き散らすガルザスとアーリアのチームを相手に1人で戦うが…。
結果、試合開始からわずか10分ほどで初代タッグチャンピオンが決定するのだった。
石井吉晃(JP000057)さん、村田光太郎(JP000135)さん、優勝おめでとうございます。
●菅谷名人誕生!
こうして、AsuraSystemTCGの初代名人が決まった。
ちなみに、菅谷棋士が名人の座を掴むまでに倒してたライバルは、《安らぎの魔導師アーリア》×2、《砦の守護者サフィア》、《沈黙の聖女レイシェル》、《銀翼の歌い手ミューティ》と、偶然にも女性キャラばかりである。
これは、菅谷棋士の《不死鳥フレイ》に対する信頼と友情が招いた結果であると言えるだろう(本当か?)。
そして、彼は力強く語ってくれた。激しい戦いの末、手に入れた『キャラクター作成権』でどんなキャラクターを作るかという事を。
それは…
「聖獣フェニックスの女性ヴィジョン!」
この時、彼の頭の中では、友情は愛情へと変わっていたに違いない。
菅谷裕信(JP000128)さん、優勝おめでとうございます。
●これが決勝を制した名人のデッキだ!
不死鳥フレイ デッキ |
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フレイムビート |
4枚 |
イーグル |
4枚 |
ルビーの指輪 |
2枚 |
クラウドジェル |
2枚 |
デスマッチ |
4枚 |
飛翔 |
2枚 |
翼を持つ者の扇 |
3枚 |
吹き飛ばし |
4枚 |
飛べない鳥 |
3枚 |
タイムストップ |
4枚 |
ウィンドスラッシュ |
3枚 |
ウィングドラゴン |
4枚 |
ストーム |
1枚 |
雷鳥 |
1枚 |
バジリスクの瞳 |
3枚 |
真空斬 |
1枚 |
サイドボード |
|
|
|
粉砕の矢 |
3枚 |
ストーム |
1枚 |
炎の精霊 |
1枚 |
衝武輪 |
3枚 |
大気の乱れ |
1枚 |
飛翔 |
2枚 |
真空斬 |
1枚 |
影武輪 |
1枚 |
玄武のお守り |
2枚 |
|
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●第3回公式大会〜名人戦(予選)〜名古屋会場の結果
優勝 |
菅谷裕信(JP000128) |
フレイ |
2位 |
後藤一樹(JP000079) |
ミューティ |
2位 |
宮川徹(JP000307) |
ミューティ |
4位 |
坂井稔典(JP000466) |
レイシェル |
5位 |
角野竜也(JP000329) |
ゼルフィード |
※敬称は省略させていただいております。
●これが第1回タッグマッチ戦を制したデッキだ!
黒竜公ガルザス デッキ |
安らぎの魔導師アーリアデッキ |
バジリスクの瞳 |
4枚 |
吹き飛ばし |
4枚 |
エクストラビート |
2枚 |
飛翔 |
3枚 |
チャージ |
4枚 |
白金の戦乙女 |
4枚 |
キック |
4枚 |
ウイングドラゴン |
3枚 |
パンチ |
4枚 |
カバー |
2枚 |
レイブレード |
2枚 |
時の女神 |
4枚 |
ライトビート |
4枚 |
イーグル |
4枚 |
ミドルビート |
4枚 |
スパロー |
4枚 |
ヘビィビート |
4枚 |
サンダードラゴン |
4枚 |
騙まし討ち |
3枚 |
ウインドスラッシュ |
4枚 |
迎撃 |
3枚 |
風の精霊 |
3枚 |
スラッシング |
4枚 |
天使の鎧 |
1枚 |
ライトスラッシング |
2枚 |
ストーム |
2枚 |
ソニックブーム |
2枚 |
感電 |
1枚 |
アッパーブロー |
2枚 |
タイムストップ |
2枚 |
ジャブ |
2枚 |
大気の乱れ |
2枚 |
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|
翼を持つ者の扇 |
2枚 |
|
|
雷撃 |
1枚 |
●第4回公式大会〜第1回タッグマッチ戦〜の結果
優勝 |
村田光太郎(JP000135) |
ガルザス |
優勝 |
石井吉晃(JP000057) |
アーリア |
2位 |
卯野芳徳(JP000181) |
ガルザス |
2位 |
平田邦彦 |
アーリア |
3位 |
五十嵐美和 |
ジルマ |
3位 |
野田純一郎(JP000213) |
ドーベン |
4位 |
浜田明洋(JP000457) |
ジーク |
4位 |
風間敏彦(JP000207) |
ゼルフィード |
5位 |
佐藤志郎 |
ヴァインド |
5位 |
サトウノブユキ(JP000220) |
レイシェル |
※敬称は省略させていただいております。
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