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■シナリオタイトル:THE・ストラテジー
■マスター名:恋思川幹
■募集人数 :1〜10人


●オープニング
 冷戦構造の崩壊後、超大国メリカンによる一極支配により、世界情勢は安定を見よ うとしていた。
 だが、時に2001年。世界を震撼させる事件が起きた。
 中世ファンタジーそのものの世界からの来訪者が世界中に出現したのである。
 屈強なる騎士や冒険者達と、彼らが駆る10mほどの人型戦闘兵器『Knight  Walker』(ナイトウォーカー。以下、KW)。
 異世界の存在証明、もたらされた魔法関連技術などに、人々は目を見張った。
 だがしかし、それはすぐさま世界の勢力地図に影響を与えるものでもなかった。
 魔法技術は『こちらの世界』の進んだ科学技術に比べて不安定で微力なものであっ たし、KWは10mのロボットが自在に動き回ることの驚異はあったが、貧弱な武装 や無きに等しいアビオニクスなど現代兵器に敵うものではなかった。
 結局、魔法技術は科学技術に吸収される形で利用され、そうなれば2001年以前から の工業力の差を逆転させる程の原動力足り得なかったのである。
 少しだけ、中世ファンタジー世界の影響を受けた未来社会。それが世界の形とな り、メリカン一極支配の構造も変ることはなかった。

 2041年。
 密かに反メリカンの戦力を蓄えていた極東の小国パニーズが、ついに宣戦布告し た。
 パニーズ軍の秘密の切り札。それは兵器としてはどこの国も見向きもしていなかっ たKWであった。
 パニーズ人はその文化的背景のもとに、KWに近代化改修を施して、新機軸の現代 兵器にまで洗練せしめたのであった。
 Samurai Walker(サムライ・ウォーカー。SW)とも呼ばれたパニーズ軍の人型 兵器群は過去に例のない新戦術の基盤となり、小国パニーズと超大国メリカンの軍事 力の差を縮めることとなった。
 世界にはメリカンの一極支配に対する不満が充満していた。各国はサムライの国パ ニーズに「何か」を期待し、かつ狡猾に情勢を見極めるべく静観の構えを取ってい た。

 超大国メリカンと小国パニーズの戦争の行方は如何に?

初期国力
・メリカン
兵力:◎ 兵器:△ 技術力:○ 士気:△ 経済力:◎
 軍事力、経済力ともに世界随一の超大国。
 既存兵器で構成された軍隊の兵力はパニーズを圧倒する。が、長らく安定していた 世界情勢により、兵器の更新は活発ではなく、旧式化している感は否めない。また、 軍の戦略構想そのものが対テロや小規模な紛争介入を前提として効率化されている。

・パニーズ
兵力:△ 兵器:◎ 技術力:◎ 士気:◎ 経済力:○
 極東の小国ながら、経済力、技術力に秀でた国。
 国家そのものの規模の違いから、メリケンとの兵力の差は埋めがたいものがある が、入念な戦争準備により、兵器は新しく、SWという新機軸の兵器を運用してい る。質においては世界最高の軍隊を要する。


・地理
 メリカン大陸の最東端とパニーズ列島の最西端は細い海峡を挟んで、ほぼ隣接して いる。
 この為、海峡さえ確保してしまえば、互いに陸上戦力を相手国に送り込むことが可 能である。
 むろん、周辺の制海権を確保するメリットがないはずもなく、海軍力も重要な要素 である。
 制空権は言うまでもなく現代戦の重要要素である。
 陸海空いずれも重要性に違いはなく、どの戦力をより重視するのかも戦略のカギの 一つでなろう。

・異世界技術
 異世界からの来訪は2001年の出来事が最初で最後となっている。KWに代表される 魔法技術は科学に吸収されて動力補助などに使われるが、根本的に世界を変える革新 技術にはなっていない。異世界人の子供など魔法を使える人間もいるが、ごく少数で あり、また攻撃魔法なども銃や爆弾に比べれば戦略的価値は無きに等しいと考えられ ている。

●解説
 メリカン、パニーズの2陣営に分かれて、両国の中枢の要人達をPCとした戦略規 模の戦いを楽しんでもらうシナリオです。
 まず、陣営分けから始めてください。人数は均等に近いほうがよいでしょう。
 政治家(内政、外交などの国家戦略)、将軍(軍事上の戦略)、科学者(兵器の開 発)など国家戦略に携わる人間をPCにして下さい。
 概ね、現代社会の延長線と考えて下さって結構ですが、兵器の開発、生産にかかる 期間や費用は現実よりもかなり少なく考えて結構です。
 魔法の種類や威力は概ねAFOと同程度です。魔法使いは数が少なく、戦略価値は 薄いですが、使い道が思いつくなら利用可能です。

PC&プレイング参考
 政治家:戦争目的の決定、経済体制の決定、戦時下の国民指導、第3国との外交、 演説etc
 将軍:陸海空戦力のバランス配分、自軍の戦術スタイルの決定etc
 科学者:兵器のコンセプトの決定(性能重視や生産性重視など)、どんな兵器が自 国の戦略に適するのかを考えるとよいでしょう

 その他、アイデアがあれば、色々とどうぞ。

●マスターより
 皆さま、ごきげんよう。恋思川幹です。
 あまり複雑に考えすぎずに、大らかにやりましょう。
 複雑に過ぎると、視野が狭くなり大局を見失いがちになりますよ  


●リプレイ
 2041年.

 小国パニーズは、超大国メリカンに対して宣戦を布告した。

 パニーズとメリカンの緊張はそれ以前より囁かれていたが、大方の予想はメリカン 軍が手早く鎮圧するというものであった。

 だが、長期に渡る世界情勢の安定により旧式化の進んでいたメリカン軍は兵力で上 回りながらも、最新最高の性能を目指したパニーズ軍の兵器群の前に大敗を喫するこ ととなる。

 例えば、航空機一つをとっても、テロリストやゲリラに対する空爆が主任務となっ ていたメリカン空軍の主力戦闘機は50年前の比較的に安価な多目的戦闘機を改修を繰 り返しながら運用していた。パニーズ空軍の最新鋭戦闘機は、メリカン空軍に対して キルレシオ1:7という圧倒的な性能比によって海峡の制空権を奪取した。海峡の制 海権も然りである。

 メリカンとパニーズを隔てる細い海峡。19世紀のメリカンの東部進出(フロンティ ア)の終着地、パニーズのサムライ達が荒くれの東部開発者の渡海を許さなかった土 地。

 その海峡を21世紀になってパニーズ軍が渡っていく。

 この時、パニーズ陸軍の先陣を切ったのが、伊達正和少将である。彼は専用のサム ライウォーカー「密林英雄」を駆り、粛々と進む輸送艦の上をジャンプジェットで 次々に跳び移り、真っ先にメリカンの領土を踏みしめたのである。後に「雷眉の八艘 跳び」という有名な逸話として後世に語り継がれる第一歩であった。

「皆、見たか! これがSWの性能だ! 俺の部下達は十分に使いこなせるように訓 練をしてきた。俺達に恐れるものはない! この海峡と同じく、国難を乗り越えるの だ!」

 雷のような形の眉毛で「雷眉」と呼ばれた伊達正和少将。彼の「雷眉の八艘跳び」 に代表されるように、SWの最大の特徴は過去の陸戦兵器にはありえない瞬発力の高 い3次元機動である。

 在来兵器との連携戦術により、その機動力を存分に活用する伊達正和(整理NO. 29)少将の戦術により、パニーズ軍は連戦連勝を重ねていった。

 ‥‥だが、メリカンの国土は広大であった。



 メリカンにおける戦争功労者の一人が、若かりし日のルドルフ=レオンハルト(整 理NO.101)であった。

 青年時代には兵士として紛争地域に赴いた経験もあるが、いわゆるタカ派ではな い。むしろ、その作戦中における負傷の経験から、メリカンの一極支配構造に疑念を 感じていたという。

「この戦争で、メリカンの主導権を確保しつつ、世界構造の改革を行う」

 戦争が始まった当時のルドルフの言葉として伝わっている。ルドルフの瞳は目の前 の戦争の勝敗など既に見ておらず、戦後の世界秩序のあり方を見つめていたのであ る。

 戦争当時のルドルフの交友関係は、情報局員、外務官僚、各国大使などが多くを占 めている。外交ルートを活用した対パニーズ戦争工作を展開していたことが窺われ る。

 彼の外交政策における根幹は、古典的とも言えるマリリン主義である。

「メリカンは独立独歩の繁栄が可能であり、必要以上に外国に干渉する必要、される 理由はない! 遠い異国の紛争解決にメリカンの若者の血が流れる謂れはないのだ」

ルドルフの議会における演説の一節である。ルドルフが胸のうちに秘めながらも、戦 前はなかなか口に出す機会を得られなかった言葉であった。




 戦争はパニーズ軍が圧倒的な軍事力を見せ付けながら、メリカンの広大な国土と強 大な兵力を相手に攻めあぐね、膠着状態へと陥り始めていた。

 パニーズ本国の政治家や軍幹部達は中世の土地争いの如き感覚で占領地域の拡大を 喜んでいたが、伊達正和中将(緒戦の勝利により少将から昇進)はそんな本国の認識 に対して苦言を呈している。

「現代の戦争とはまったく外交手段のうちの一手に過ぎず、我らの勝利を糧に政治家 がメリカンや世界から得るべきものを得ることが肝要だ。俺は一介の軍人に過ぎない から、戦って勝てと言われれば一命を賭して全力を尽くす。だが、パニーズが得るべ きものが占領したメリカンの国土であるとは到底思えん」

 この頃にはメリカン軍も、運用コストの大きさからモスボール処理していた高性能 兵器の戦線復帰、最新鋭機の開発生産などに着手している。元々、世界一の超大国で あるメリカンは急速にその軍備の整備統合を進めていた。前線で戦っている伊達正和 中将は、そのことを日に日に大きくなる敵勢力の大きさとして肌で感じていたのであ る。開戦より常勝将軍として名を馳せてきた正和であったが、けして慢心に陥る人物 ではなかった。

 この時期、伊達正和を苦しめていたのは、ある意味でルドルフ=レオンハルトであ ると言ってもよいだろう。ルドルフは国際世論に対して積極的な働きかけを展開して いる。

 ルドルフは交友関係を深めていた情報局員から、パニーズ占領下の都市などの情報 を精力的に収集していた。元々、かつてのフロンティア精神が旺盛である東部地域は 「自分の身は自分で守る」精神に基づいた銃社会であり、パニーズの占領軍との間で 銃撃戦にまで発展する衝突が頻繁に起きていた。ルドルフはこれらの事件の鎮圧に当 たるパニーズ軍の動向を追わせ、それを「パニーズ軍の蛮行」として世界に発表した のである。パニーズ軍が鎮圧行動を行わなければならない事件の過程をすべて省略 し、まるでパニーズ軍が無抵抗のメリカン市民を一方的に虐殺したかのように錯覚さ せる。ルドルフの話術、恣意的に選び抜かれた資料が「パニーズ軍=悪」という構図 を急速に世界へと広げていった。

「本国からしきりに将兵に対する綱紀粛正を徹底せよという命令が繰り返された。途 方にくれる他なかったさ。ルドルフのような詐術師の言に本国の連中までもが騙され ていたんだ。正直、俺の前に立ちはだかったどんな立派なメリカンの将軍よりも、ル ドルフは恐ろしく、そして嫌な敵だった」

「私のことを、まるで詐欺師のようだと誹謗する人物もいるが、メリカン国民として メリカン国民への心配が第一となるのは当然のことではないか。だから、メリカン国 民がパニーズ軍によって鎮圧されているという事実に焦点をあてたまでのことだ」

 前者は正和の言葉であり、後者はルドルフの言葉である、

 ルドルフのうった次の手はメリカン一極支配体制の解体であった。

 パニーズに対する批難を国際的に高めていくのと同時に、世界各地に駐留させてい たメリカン軍の撤退を段階的に開始したのである。メリカン軍の撤退とそれに付随し てメリカンが独占した世界各地の利権を各国に返還していく。

 もともと多くの国がメリカンの一刻支配に対して不満を抱えており、パニーズに期 待する思惑を持つ国も多くあった。だが、メリカンが率先して自ら一極支配構造を解 体にむけたことで、国際的な批難の的になりつつあったパニーズにあえて味方をする 必要はないという判断に傾く国が増えていった。

 この流れにより、分散していたメリカン軍は本国に集結し、対パニーズ戦に備える こととなる。




 やがて戦争が中盤にさしかかる。この時期を中盤と言うことが出来るのは、後世の 歴史家の視点であろう。

「正直なところ、俺は戦争に負けたと思ったね。あの頃、俺はストレスで胃を痛めて いたんだ。本国が明確な戦争目的を持っていなかったばかりに、ずっと最前線任務だ からな。常勝将軍なんて呼ばれていたが、俺も存外神経が細やかだったらしい。その 胃の痛みがもっとも酷くなったのがあの時期だ」

 伊達正和はそのように当時を振り返っている。

 七つの海に散らばっていた艦隊が本国に終結すると、メリカン海軍は国境の海峡封 鎖に乗り出したのである。勝利を重ね続けていたパニーズ陸軍であったが、海峡を封 鎖されて補給を絶たれれば敗北は必至である。

 世界規模で展開していたメリカン海軍はパニーズの攻撃を受ける危険の少ない地域 で順調に兵器の更新を済ませており、海軍力においてパニーズ軍が有利である要素は ほとんどなかったのである。

 第一次海峡海戦において、メリカン海軍の勝利は確実視されていた。

 だが、パニーズ軍の新兵器の登場が大どんでん返しを見せた。

 パニーズ軍の新兵器「スキュラ」は上半身は人型、下半身はホバーユニットという 異形のSWであった。既存機種の生産ラインを流用することで、生産効率、パイロッ トや整備兵の機種転換効率も高く、第一次海峡海戦において多数の機体が出撃し、そ の制海権を維持せしめたのである。



 この第一次海峡戦争の時期から、パニーズ軍の戦略に変化が見られるようになる。

 それまでの無計画とも思える戦略方針が、メリカンの急所を適確に捉える戦略方針 に変化したのである。

 パニーズ軍にとって必要ではない占領地域は躊躇なく切り離し、戦力の適切な配置 によって膠着していた戦線が再び動き始めたのである。

 パニーズ軍幹部の人事にはそれまでと違っているところはまるでない。それがどう して、このような大胆な戦略転換に踏み切れたのか?

 公式の記録にこそ残されていないが、『ハニエル』という名前が史料の中に散見さ れる。この『ハニエル』こそが戦略転換の謎を握っていたと言われている。

 ハニエルとは「神の栄光」を意味する天使の名前である。パニーズの軍中枢には甚 だ似合わないこの名はインターネットで言えばハンドルネームである。パニーズ軍の コンピューターにハッキングを繰り返し、その度に様々な助言を残していく「ハニエ ル」。スタンドオフのコンピューターを除けば、パニーズ軍のネットワークは彼(あ るいは彼女)の庭となっていた。

 当初は取締りを行おうとしていた軍幹部であったが、その見識のあまりの適確さに 徐々にその信頼を得ていくことになる。そして、第一次海峡海戦において、「ハニエ ル」の考案した新型SWスキュラが勝利に多大な貢献を果たしたことで「ハニエル」 の発言力が決定的に高まったのである。

『少ない兵力で大国を倒すには、適確な兵力配分が欠かせない』

 「ハニエル」の助言によって兵力が効率よく再編されたパニーズ軍は再び将兵の質 と士気の高さによってさらなる進撃が開始する。

「それまでの膠着状態が嘘のようだった。本国の戦略転換で俺達もそうとう戦いやす くなって、胃の具合も日に日によくなっていったものさ」

 自ら専用機を駆って前線に出る伊達正和中将のような指揮官は、より大局を俯瞰す る戦略家の指揮下に入っているほうが確実に実力を発揮できる。

 この「ハニエル」の実在を疑わしいとする説もある。だが、戦争中盤以降のパニー ズ軍の魔法のような再進撃を説明するにはパニーズ軍幹部に外的な刺激が与えられた ことは間違いないであろう。それが公式記録に残る人事に残されていない為、「ハニ エル」の如き都市伝説に結実されたのであろう。




 「ハニエル」の力を借りたパニーズ軍の再進撃に、メリカンは窮地に立たされる。

『現時点を戦争の勝利条件と設定し、停戦交渉に入るべきだ。今までの勝利を無駄に するかしないかは政治の仕事だ』

 ハニエルの助言を受けて、停戦交渉がパニーズからメリカン側へと申し入れられ る。この時点での停戦が実現していれば、パニーズはメリカンから様々な利権を手に 入れることができたはずである。

 だが、最後まで粘り強く戦い続けることを主張したのが、外務次官となっていたル ドルフ=ラインハルトであった。

「今、世界にパニーズの味方はいない。海峡の制海権を奪取することはできなかった が、7つの海の制海権は今でもメリカンのものだ。必ず敵は息を切らす。あの小国だ けで支えきれる戦力は我が国よりずっと少ないのだろう?」

 スキュラはホバー移動の特性上、波の高い外洋では運用することが出来ず、もとも との兵力差もあり、海峡を除く制海権はほぼメリカンのものであった。

「パニーズを悪とする国際世論は私が今しばらく支えてみせる。その間に反撃の時が くれば、我々の勝利だ」

 ルドルフは敗北続きであったメリカン軍司令官の肩を叩き、そう激励した。

 ルドルフの言葉はそれがまるで予言であったかのように的中する。

 パニーズ軍の最後の猛攻をメリカン軍が辛うじて凌ぎきった時、逼迫していたパ ニーズ本国の政治と経済がついに破綻したのである。パニーズ軍に撤退命令が下され た。

 ルドルフのような世界規模の大局を見据えた政治家がいたことこそが、メリカンの
勝利に繋がったのである。

 ルドルフは後にメリカンの大統領となる。

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