うさみみ☆くえすと #3 ●にゃんこ仮面!
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■シリーズシナリオ
担当:えりあす
対応レベル:3〜7lv
難易度:やや易
成功報酬:2 G 4 C
参加人数:8人
サポート参加人数:-人
冒険期間:05月01日〜05月06日
リプレイ公開日:2005年05月15日
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●オープニング
――キャメロット某所
「何っ! 『伝説のうさみみ』だと!」
仮面を付けた、ちょっと怪しいおじさんが何やら吠えています。
その頭には‥‥出来の悪いねこみみ? が付いていました。
多分、自分で作った偽物の『ねこみみ』なのでしょう。
「へぇ。どうやら、伝説の獣耳ヘアバンドを作れる職人がいるらしくて、その職人が『伝説のうさみみ』を作るらしいんですよ」
「‥‥『うさみみ』だと‥‥許さん! 獣耳は昔から『ねこみみ』と決まっておるのだ!」
仮面のおじさんが拳を握り立ち上がりました!
‥‥でも、昔からって誰が決めたのでしょう?
「『うさみみ』など邪道! この『にゃんこ仮面』がその根性を叩きなおしてやる!」
「それでこそ『にゃんこ仮面』様です!」
「そして、更生したのならば、この『にゃんこ仮面』の為に『伝説のねこみみ』を作らせるのだ! うはははははは!」
路地裏に『にゃんこ仮面』の声がこだまします。
「ママ〜! あの人達‥‥」
「シッ! 見ちゃいけません!」
周囲の冷たい視線も気にせず、笑い続ける『にゃんこ仮面』でした。
*
――キャメロット・冒険者ギルド
「大変なのー!」
バタン! と、勢い良く冒険者ギルドの扉を開けてソフィーちゃんが飛び込んできました。
「どうしたんだい?」
その慌てた様子を見て、係員のお兄さんがソフィーちゃんに尋ねます。
「『伝説のうさみみ』を作ってくれる職人さんがねー! 『にゃんこ仮面』って言う変なおじさんに捕まっちゃったそうなのー! すぐに助けに行かないとダメなのー!」
「えっ! それは大変だ。すぐに冒険者を集めて救出に向かわないと」
係員のお兄さんも話を聞いて、慌てて依頼書を書き始めます。
「それで、どこに捕まったとかってわかるの?」
「えーっとねー! ちょっと遠い向こうの岡の上に職人さんの小屋があるのー! そこに『にゃんこ仮面』が押しかけて、職人さんを捕まえて『ねこみみを作れ!』って脅しているそうなのー!」
さて。
『伝説のうさみみ』を作る為の素材を手に入れたソフィーちゃんですが、それを作る職人さんが捕まってしまったそうです。
皆さんの手で職人さんを助けてあげてください!
●リプレイ本文
●うさみみ☆くえすと #3 ●にゃんこ仮面!
「何それー! すごいのー!」
ソフィーちゃんはリーラル・ラーン(ea9412)さんの身に着けているモノを見て驚きました。
「これですか? 『まるごとウサギさん』ですよ。可愛いですよね、兎さん♪」
「そんなのあるのー! いいなー! 欲しいなー!」
リーラルさんの着ている『まるごとウサギさん』を見てはしゃぐソフィーちゃんです。
「それにしても、どーして『伝説のうさみみ』が誕生するという直前に職人さんが変なのに捕まっちゃうのよっ!」
シャフルナーズ・ザグルール(ea7864)さんはプンプンの怒っていました。
折角、苦労して手に入れた素材を持って『伝説のうさみみ』を作ってもらう筈だったのに、職人さんは『にゃんこ仮面』という悪い人に捕まってしまったそうなのです。
「そうなのー! 悪い事する人はゆるさないのー!」
「でも、きっと職人さんを助けて、素敵な兎耳さんを作っていただきましょうね?」
同じくプンプンと怒っているソフィーちゃんをなだめるリーラルさんでした。
「『にゃんこ仮面』‥‥ふざけた名前だなぁ。強いのか? ダメっぽいが‥‥」
「名前で判断するのは危ないかもしれません。でも、強くなさそうですね」
劉蒼龍(ea6647)さんとラディス・レイオール(ea2698)さんが『にゃんこ仮面』について話していました。
名前はちょっと強そうではありませんが、油断は禁物です。
*
「ここが職人さんの小屋なのー」
ソフィーちゃんに案内されて、冒険者の皆さんは『伝説のうさみみ』を作れる職人さんの小屋へとやって来ました。
「私は裏口から小屋に侵入して職人さんを助けようと思います」
「あぁ、気をつけろよ」
小屋の裏口に回るアリエス・アリア(ea0210)さんにロート・クロニクル(ea9519)さんが声を掛けました。
小屋の前で冒険者の皆さんが騒いで、その隙にアリエスさんが職人さんを助け出そうという作戦です。
「『ねこみみ』さえ奪ってしまえば、『にゃんこ仮面』はただの仮面のおじさんだね」
ユウン・ワルプルギス(ea9420)ちゃんはレビテーションで小屋の屋根に昇りました。
一緒に蒼龍さんも屋根の上で待機。
『にゃんこ仮面』達を待ち伏せです。
「外で騒いだら、すぐに『にゃんこ仮面』達は出てくるでしょう」
ラディスさんは事前にアイスチャクラを唱えて準備しました。
「準備は大丈夫みたいですね‥‥」
イースター・ラビットの人形を大事そうに胸に抱いているエスナ・ウォルター(eb0752)ちゃん。
「無事に職人さんを助け出せればいいですけど‥‥それでも、やっぱりだめなのかな‥‥はぅぅ」
うさみみを諦めきれないエスナちゃんでした。
「それじゃあ、作戦開始っ!」
事前に作ってきた『きつねみみ』と『きつねのしっぽ』みたいなアクセサリーを身に付けたシャフルナーズさんの合図で、職人さん救出大作戦の始まりです。
「兎耳は可愛いですよねー。私は兎耳さんのほうが好きです」
「うさぎさん♪ うさぎさん♪ にゃんこさんよりうさぎさん♪」
「兎さんのほうが可愛いです。だから、ほら。『まるごとウサギさん』を着てるんですよ」
「うさぎさん‥‥ふわふわ♪」
いつもよりテンションの高いエスナちゃんは、『まるごとウサギさん』を着たリーラルさんに抱きついたりしておおはしゃぎ。
「えーっ!? みんな、わかってないなー。これからは『き・つ・ね・み・み』の時代だよっ。見てこの『きつねみみ』。素敵でしょっ?」
シャフルナーズさんはクルクルと踊りながら『きつねみみ』みたいなヘアバンドをアピール。
「『ねこみみ』なんて時代遅れですよね」
「『ねこみみ』? あー、そんなのもうダメダメだよねー。もう既に使い古されたネタって感じ?」
「やっぱり、にゃんこさんよりうさぎさんです♪」
小屋の前で『にゃんこ仮面』を挑発するように大騒ぎのお嬢様方。
「『うさみみ』こそ素晴らしい。『ねこみみ』なんか最低だ!」
とどめに一声、ロートさんの罵声が響きます。
これだけ騒げば、小屋の中にいても聞こえない訳がありません。
「誰だ! 『ねこみみ』を侮辱するヤツはっ!」
「ドン!」と扉を蹴り開けて中から出てきたのは『にゃんこ仮面』とその仲間達。
「出てきたようだね、『にゃんこ仮面』」
ユウンちゃんはサイコキネシスで、飛び出てきた『にゃんこ仮面』の『ねこみみ』を取り上げてしまいました。
「うわっ! 何だ!」
「君の『ねこみみ』への愛は本物じゃない。それを証明するよ、『にゃんこ仮面』!」
屋根の上から「ビシッ!」と『にゃんこ仮面』を指すユウンちゃん。
「おのれぇ! お前ら、やっちまえ!」
怒った『にゃんこ仮面』は部下に指示しますが‥‥
「自分のエゴのために他の方に迷惑をかけるなんていけません!」
「うわぁ!」
リーラルさんが素早くアイスブリザードを唱えました。
「隙有りっ!」
「ぐわっ!」
蒼龍さんは屋根の上から急降下飛び蹴り!
「へっ、大したことねーじゃんか」
顔面に蹴りを食らった部下は吹っ飛ばされてしまいました。
「出てきたわね。仲間には指一本触れさせないよっ!」
シャフルナーズさんはフェイントアタックで攻撃します。
「ソフィー、いくぞ!」
「わかったのー!」
ロートさんとソフィーちゃんはストームで『にゃんこ仮面』達を吹き飛ばします。
「はぅぅ‥‥こ、凍ってください!」
エスナちゃんはアイスコフィンで部下を氷漬けにしてしまいました。
「ひぇぇ! 助けてくれー!」
「逃がしませんよ」
ラディスさんはアイスチャクラで部下達をやっつけていきます。
『うさぎの勇者』に勝った冒険者の皆さんにとって、『にゃんこ仮面』達は敵ではありませんでした。
その頃、アリエスさんは裏口か小屋に侵入して、職人さんを救出していました。
忍び足で静かに小屋の中を探索するアリエスさんでしたが、『にゃんこ仮面』達は全員外に出ていた為、中には職人さんだけでした。
幸い、職人さんは怪我もなく無事です。
*
「にゃんこ仮面! あなたがそうやって暴力や脅しで自分の派閥広げる行為は、動物耳を愛する者全員に対しての侮辱行為ですよ。そして、純粋な少女の思いを踏み躙る行為は人としてあるまじき行為です」
冒険者の皆さんに倒された『にゃんこ仮面』達は、ロープで縛られて地面に正座させられました。
そんな『にゃんこ仮面』達をラディスさんが厳しく叱り付けます。
「ホント言うと、あたしもねこみみは嫌いじゃない。だからこそ、ねこみみを付けた人がこんな事するのは許せないし‥‥哀しいよ。ねこみみもうさみみもきつねみみも、みんな同じ獣耳仲間じゃない? どうして仲良く出来ないの?」
シャフルナーズさんも『にゃんこ仮面』達に自分の思いを訴えかけました。
「猫耳が可愛いのはわかります。でも、世の中には他にもいっぱい獣耳があるんですよ? 犬耳も兎耳も猫耳も熊耳も全部可愛いとは思いませんか? 私は全部好きですよー」
ラディスさんに怒られて俯いている『にゃんこ仮面』達にリーラルさんは『にこっ』と優しく微笑むように言いました。
「そうだね。ねこみみもうさみみも、同じ獣耳。争う理由など、最初からどこにもないんだよ」
リーラルさんの言葉にユウンちゃんも頷きます。
「もう、こんな事はしないと誓うのなら許してやるけどよ。どうなんだ?」
「「「「はいっ! もうしませんっ!」」」」
ロートさんが尋ねると『にゃんこ仮面』達は声を揃えて、もう悪いことはしないと誓いました。
「今後、何か悪い事でもしたら、タダじゃすまないからな」
「「「「へ、へぃ‥‥」」」」
蒼龍さんが念を押すと『にゃんこ仮面』達はペコリと頭を下げます。
「反省しているようだね。じゃあ、これは返そう」
ユウンちゃんは取り上げた『ねこみみ』を、『にゃんこ仮面』の頭にポンと乗せました。
そして、開放された『にゃんこ仮面』達はどこかへと姿を消しました。
「さて、職人さんも無事ですし、『伝説のうさみみ』を作っていただきましょう」
「わーい! ついに『伝説のうさみみ』が手に入るのー!」
リーラルさんは『伝説のうさみみ』の素材が入った袋を職人さんに渡しました。
そして、暫くして‥‥
「うん。よく似合ってるじゃないか、ソフィー君」
「伝説のうさみみ‥‥ソフィーさん‥‥似合ってます」
ユウンちゃんとエスナちゃんが『伝説のうさみみ』を付けたソフィーちゃんを見て感想を口にしました。
「ソフィーさん、兎耳が似合いますね。どうか、素敵な癒し系ウィザードになってくださいね?」
「うん! ありがとうなのー!」
リーラルさんはちょっと嬉し恥ずかしの表情のソフィーちゃんを優しく抱き寄せました。
「うさみみ‥‥やっぱり‥‥ダメ? ‥‥はぅぅ」
イースター・ラビットの人形を抱きしめたエスナちゃんが職人さんに上目遣いで何かを訴えかけますが‥‥残念ながら、その願いは叶う事はありませんでした。
「あの‥‥お願いがあるのですが‥‥」
続けて、職人さんにアリエスさんがお願い事をします。
「実は‥‥ちょっと因縁のある熊鬼がいるのですが、もし今度あったのなら知り合いの人と協力して倒し、『まるごとバグベアさん』を作りたいのです。そのようなものを作れる職人さんをご存知でしたら、紹介していただきたいのです」
アリエスさんの願いを聞いて、職人さんは難しい顔をしました。
「残念だが、そのような目的で物を作る職人などおらん。我々はみんなが喜ぶ姿が見たくて物を作り続けてきた」
そう言うと、職人さんは『伝説のうさみみ』を付けて大喜びのソフィーちゃんを見つめました。
「どんな因縁があるのかは知らんが、そんな事で自分の生きてきた歴史を残そうと思うのは己の為にならんぞ‥‥」
職人は続けます。
「最近は‥‥苦労してアイテムを手に入れる喜びをわからぬ冒険者が増えたのもじゃ‥‥ここにおる冒険者はそんな事はなかったようじゃがの」
そう呟くと、職人さんは窓の外の景色を眺めました。
職人さんの視線はどこに向けられていたのでしょうか‥‥。
その夜。
小屋の外では焚き火を囲んで野外パーティが開催されました。
約束通り、ソフィーちゃんから『伝説のうさみみ』を借りたシャフルナーズさんが月明かりを照明に、幻想的な踊りを披露しました。
その美しい踊りを見ながら、冒険者の皆さんは食事をしたりして疲れを癒します。
冒険者の皆さんの協力で、無事にソフィーちゃんは『伝説のうさみみ』を手に入れる事ができました。
ありがとうございました!
【うさみみ☆くえすと・完】