●リプレイ本文
●うさみみ☆くえすと #2 ●うさぎの勇者
「今度こそ、伝説のうさぎさんがいるといいですね」
リーラル・ラーン(ea9412)さんが、手でうさみみの真似をしながらソフィーちゃんに話しかけました。
「うん! ぜったいに伝説のうさちゃんがいるのー!」
ソフィーちゃんもリーラルさんと同じく手でうさみみを作り、ぴょこっと可愛く飛び跳ねました。
その愛らしい様子にみんなは笑みを浮かべましたが、ラディス・レイオール(ea2698)さんだけは彼女の姿を見て何やら思案しているようでした。
「やっぱり、まだ狙ってるのですね。癒し系ウィザード」
少々呆れながら呟くラディスさん。
「そうなのー! ボクは癒し系ウィザードを目指してるのー!」
(「やっぱり、この子は『ねこみみ』の方が似合う気がする」)
元気いっぱいに答えるソフィーちゃんを見て、そう思うラディスさんでした。
「『勇者なうさぎ』なんていう大層な生き物がいると聞けば、学者として行かない訳にはいくまい。『変態調査員』こと、ロート・クロニクル。今回もイロモノを求めて参加だぜ!」
ロート・クロニクル(ea9519)さんが力強く叫びました。
「で、今回は退治しちゃっていいんだよな?」
「退治しなくちゃなのー! そーしないと、近くの村の人も困るのー!」
「一応、確認させていただきますが、捕獲は必要なのでしょうか?」
ソフィーちゃんがロートさんの問いに答えると、ロゼッタ・メイリー(eb0835)ちゃんが続けて質問します。
「素材が手に入ればいいのー」
「と、いう事は‥‥やっぱり、うさぎさんの耳を切ってしまうのですね‥‥」
ソフィーちゃんが返答すると、リーラルさんがちょっと痛そうな顔をしました。
「でも、退治しなくてはいけないとなれば、全力でいかせていただきます」
「あぁ、そうだな‥‥今回はうさぎの勇者! 相手にとって不足はないぜっ!!!」
リーラルさんが気を引き締めると、劉蒼龍(ea6647)さんも強そうな敵が相手ということで気合を入れます。
「そうですね‥‥そのままにしておくと兎さん、村人さんや旅人さんに怪我をさせてしまうかもしれないですし‥‥退治しないとです〜」
アリエス・アリア(ea0210)さんはちょっと可愛そうと思いながらも、被害が出る前にうさぎさんを退治しなくてはと考えます。
「『伝説のうさみみ』‥‥何だかすっごい素敵な響き‥‥。あたしもその実物をこの目で見てみたいっ!」
「うん。今度こそ、伝説の生まれる瞬間が見られる、かな?」
隣ではシャフルナーズ・ザグルール(ea7864)さんとユウン・ワルプルギス(ea9420)ちゃんが『伝説のうさみみ』についてお話をしていました。
(「そういや、兎は好戦的らしいけど‥‥耳とか切れたような奴ばっかりなんじゃないかなぁ‥‥」)
『伝説のうさみみ』と聞いて、そう考えた蒼龍さんですが、ソフィーちゃんには内緒です。
だって、せっかく強い相手と戦えるチャンスなんですもの。
*
ら〜らるんるん〜ら〜♪
うさぎさんがいる平原に向かう冒険者の皆さん。
リーラルさんの楽しげな歌に合わせて、和やかに目的地へと向かいます。
「ごはんわすれたらダメなのー!」
「ご、ごめんなさい‥‥」
でも、アリエスさんはソフィーちゃんに怒られていました。
どうやら、ごはんを忘れてきたようです。
仕方が無いので、ごはんを余っている人から借りて、今度キャメロットに戻ったら買って返す事になりました。
シャフルナーズさんは村で情報収集をしていました。
ついでにロバさんを少しの間、村人さんに預かってもらいます。
「平原の真ん中に兎の群れが住み着いているみたいだね。その中に首狩り兎が2、3匹程いるみたいよ」
村人さんから聞いた話を説明するシャフルナーズさん。
「この前も、村の狩人さんが首狩り兎に襲われたそうだよ。かなり、すばしっこいみたいだから、気をつけないと」
「よ〜し!!! 俺とどっちがすばしっこいか勝負だっ!!!」
うさぎさんの話を聞いてますます燃え上がる蒼龍でした。
「危ないですから、私達が戦っている間は平原に近づかないようにお願いします」
ロゼッタちゃんは平原に近づかないように村人へ注意を呼びかけています。
こうして、準備を整えた冒険者のみなさんは、首狩り兎さんのいる平原へと向かいました。
「これだけ草が生い茂っていれば、魔法で操って絡みつかせる事は可能だね」
ユウンちゃんは平原の植物を観察していました。
強そうなうさぎさんと正面から戦うのは危険と考えたユウンちゃんは、魔法で植物を操って仲間を援護するつもりです。
「首狩り兎は一体、どこにいるのでしょう」
周囲を見渡すラディスさん。
「いました。あそこです」
ラディスさんは少し遠くのほうに1匹うさぎさんがいるのを発見しました。
「あのうさぎさんが『首狩り兎』さん‥‥ですか?」
リーラルさんもその方向を見ました。
でも、その時です。
うさぎさんは気配を感じたのか、ぴょこんとその場を立ち去りました。
「あ! 待てっ!!!」
蒼龍さんがうさぎさんの後を追います。
すると‥‥
「うわっ! いたっ!」
追いかけていくと、そこにはうさぎさんの群れがいました。
10匹程うさぎさんがいるでしょうか‥‥その中に、あからさまに目付きの悪いうさぎさんが3匹、冒険者の皆さんを睨みつけています。
「勇者なうさぎって、あのうさぎのことなのか」
「あれはまた‥‥随分と悪い顔をしたうさぎだね。凶悪な面構え、と言っても良いんじゃないかな」
ロートさんとユウンちゃんがそのうさぎさん‥‥『首狩り兎』さんを見て呟きます。
「今のうちに‥‥皆さん、気をつけて下さい」
ロゼッタちゃんは蒼龍さんとシャフルナーズさんにグットラックを使いました。
「さて、いよいよ暴れうさぎ退治だね」
シャフルナーズさんはフェイスガードを装着し、ショートソードを構えます。
「かわいそうですけど‥‥」
アリエスさんもロングボウに矢を番えました。
その様子を見てなのでしょうか、うさぎさん達も冒険者の皆さんに向かって襲い掛かります!
「ソフィー、うさぎを足止めするぞ!」
「わかったのー」
ロートさんとソフィーさんは向かってくるうさぎさんにストームを放ちました。
暴風が次々とうさぎさんを吹き飛ばしていきますが、目付きの悪い『首狩り兎』さんは暴風に耐えながら、冒険者の皆さんを睨んでいます。
「さすが、勇者なうさぎだ。是非、研究してみたいもんだな」
ロートさんは感心したように言いました。
「それじゃあ‥‥これでどうかな」
ユウンちゃんはプラントコントロールで草を操り、『首狩り兎』さんを拘束しようとします。
でも、『首狩り兎』さんは絡み付こうとする草を素早く避けてしまいました。
「魔法を唱えますので、近くにいる方はどいてください」
リーラルさんはアイスブリザードを唱えました。
魔法の吹雪が『首狩り兎』さんを襲います!
「今がチャンスです‥‥兎さん、ごめんなさい」
アリエスさんが『首狩り兎』さんの脚を狙って矢を放ちました!
矢は見事に命中です!
「動きが止まりましたね」
ラディスさんが続けてウォーターボムで狙い撃ちです。
これだけの攻撃を一度に受ければ、さすがの『うさぎの勇者』も耐えることはできませんでした。
ラディスさんの魔法を受けて、『首狩り兎』さんの1匹は動かなくなりました。
「よーし! 勝負だっ!!!」
蒼龍さんと『首狩り兎』さんの一騎打ちです!
戦いは‥‥まったくの互角でした。
すばしっこさは若干、蒼龍さんが上回るものの、『首狩り兎』さんも負けてはいません。
「くっ! 強い!」
蒼龍さんは『首狩り兎』さんの爪で引っかかれて怪我をしてしまいました。
「危ないです!」
蒼龍さんの首目掛けて襲い掛かろうとする『首狩り兎』さんに、ロゼッタちゃんがホーリーを放ちます。
「よしっ! これでどうだっ!!!」
チャンスとばかりに蒼龍さんがナックルを叩き込み、辛うじて『首狩り兎』さんを退治することに成功しました!
もう1匹の『首狩り兎』さんと戦っているのはシャフルナーズさん。
「確かに、ただのうさぎじゃないようだね」
シャフルナーズさんは攻撃を避けて、フェイントアタックで的確に命中させていく戦法で『首狩り兎』さんと戦っています。
攻撃を受けて徐々に弱ってく『首狩り兎』さん。
そして、止めの一撃を受けて『首狩り兎』さんは倒れてしまいました。
「大丈夫ですか?」
蒼龍さんの怪我をリカバーで癒すロゼッタちゃん。
冒険者の皆さんは、何とか『首狩り兎』さんを倒すことに成功しました!
*
「やっぱ、このうさぎを飼うのって無謀?」
「首ちょきんされてしまいますよ?」
ロートさんが『首狩り兎』さんを飼育できないか尋ねますが、リーラルさんは冷静に答えます。
「そうだよなぁ。『変態調査員、首狩り兎の飼育に失敗。首を刈られて死亡』なんてキャメロットに広まったら大変だ」
ちょっと残念そうな表情をするロートさんでした。
「わーい! うさちゃんの勇者の『みみ』が手に入ったのー! これで『伝説のうさみみ』が作れるのー!」
傍ではソフィーちゃんがおおはしゃぎです。
冒険者の皆さんのおかげで『伝説のうさみみ』の素材が手に入ったのですもの。
「『伝説のうさみみ』かあ‥‥良いなあ。ねね、ソフィーちゃん。『伝説のうさみみ』が出来たら、あたしにも一度だけで良いから付けさせて貰えないかな。一度、それ付けて踊りを踊ってみたいんだけど‥‥ダメ?」
シャフルナーズさんがソフィーちゃんにお願いします。
「一度だけならいいよー! ボクもその踊りを見てみたいのー!」
快く承諾するソフィーちゃんでした。
【第2話・おしまい】