【ブライトンのカマ】最凶の敵?
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■シリーズシナリオ
担当:刃葉破
対応レベル:11〜lv
難易度:難しい
成功報酬:13 G 3 C
参加人数:8人
サポート参加人数:4人
冒険期間:01月25日〜02月01日
リプレイ公開日:2008年02月02日
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●オープニング
男が一人、立っていた。
男の立ち姿は逞しく、輝いていた。
男が立つ地は、全てが焼け果てた地。
男が振り向く。そこに笑みを浮かべながら。
「ふふん、来たわねん」
「ジョニー! ジョニィィィ!!」
「マイケル、ジョニーはもう駄目だ!」
そう叫びながら取っ組み合いをしているのは2人の男、鎧や剣などを装備している事から騎士だと伺える。彼らはブライトン騎士団所属の騎士だ。
マイケルと呼ばれた方の騎士は人目を憚る事無く涙を流しながら必死に前に進もうとしているが、それをもう一人の騎士に取り押さえられているのが現状だ。
そう、マイケルの視線の先には彼の戦友であるジョニーが‥‥居た。だがジョニーは己の力では‥‥立っていない。
「ふふふん、これが男の友情というものかしらん。美しいものねん」
「お、俺に構うな! 逃げろぉー!」
ジョニーは今、ある男に捕まっていた。
その男はこの寒空に関わらず全裸で、装着しているのは褌だけだ。体つきは逞しく、今までに現れた変態達とは比較にならないレベルの筋肉をつけている。まるで鳥の巣のようにモジャモジャしている異様な量の金の髪の毛を頭に頂いていた。更に全身どうも光っているように見えるが、それは何かヌルヌルとした液体が彼の体を覆っているからであり、それが日の光を受けて輝いているというわけだ。
彼の名はカマール―――ブライトンを騒がせる変態組織ブラッディペインのリーダーである。
カマールはジョニーを後ろから抱きしめるように捕まえている。訓練を積んだ騎士とはいえ抜け出せない程の凄まじい力のようだ。
「でぇもぉ、やっぱり友情よりも美しいのは―――愛情よねぇん♪」
「な、なん―――!?」
ぶっちゅううううううう☆
―――只今、非常にお見苦しい場面があった事を深くお詫び申し上げます―――
「ジョニィィィィ!!!」
「なんてこった‥‥! あれじゃジョニーは‥‥」
「くそっ、ジョニーはこれから幸せな日々を送る筈だったんだぞ! あいつ、この作戦の前に『俺、この戦いが終わったら結婚するんだ』って言いながら指輪を見せてくれたんだぜ!?」
「ジョニーめ、必ず戻ってくるって言ったのに! だから一人で突っ込みすぎるなと言ったんだ‥‥!」
「最近、ジョニーも腕が上がってきて、結構活躍してたのによう!!」
「何故だ、何故ジョニーなんだ!?」
その理由は彼ら自らが語っているような気がする。
どさり‥‥。
それはジョニーが解放され、地に崩れ落ちた音だった。
既にジョニーを縛める者はいない。だが顔から生気が消えうせたジョニーは自ら立とうともせず、ただ地面に倒れ伏せる。
「さぁ、次はあなた達の番よん♪」
「ひぃ――!?」
イヤにツヤツヤした笑顔を騎士達に向けるカマール。それを見た2人の騎士はただ恐怖しながら後退する。――彼らにカマールに立ち向かう勇気は、無い。
「よーし、今よ! 突撃ぃ!」
「あらん?」
しかして、次の瞬間。今まで隙を窺っていたのか、後ろに下がっていた数人の騎士がカマールに向かって走り出す。騎士達は全員女性、対カマール用に編制された小隊だ。
今までの経験則から、カマ達は男性に対しては強かったが女性に対してはそうでもなかった。だからこのような小隊が組まれたわけである。
彼女たちは、カマールの元まで駆け寄ると、微妙に嫌そうな顔をしながら――剣が汚れるのがだ――剣を振るう! それは男の騎士達に決して劣るものではないものであったが‥‥。
「ふふん、まだまだね」
「えぇー!?」
次の瞬間、吹き飛ばされたのは女性騎士達の方であった。悠然と立ったカマールの手には先ほどまで持っていなかった物が握られている。
「そ、それは‥‥!?」
「ふふん、エロスカリバー‥‥知ってるわね?」
「どこから取り出した―――ガク」
女性騎士達の意識が無くなったのを見届けると、カマールはエロスカリバー――抜くと脱ぎたくなる魔力が宿っている剣――を自分の頭の髪の毛の中に収納していく。その様子から察するに鞘は持ってないらしい。色んな意味で頭は大丈夫なのだろうか。
「あなた達が私に勝つ為に足りないもの――それは、情熱思想理念頭脳気品優雅さ勤勉さ―――そして何よりも――はっちゃけが足りないわん!!」
残った2人の騎士は、カマールがおいしくいただきました。
「全滅!? 12人の騎士が、3分で全滅ですって!?」
言いながら机をバンと叩きつけながら椅子から立ち上がるのは、ブライトン領主ライカ・アムテリア。彼女は自分の護衛の騎士ではクウェル・ナーリシェンから報告を聞いていた。
先日、ブラッディペインの親玉であるカマールがブライトン内にいるという情報を得、調査の結果、カマールの居所が判明した。それはブライトン内にある火事で全焼して何も残らないとある屋敷跡‥‥の隣にある家に潜んでいた、というものだ。
ブライトン内にいるという事で、動かせる騎士団を動かしたのが‥‥この結果である。
「まぁ、全滅とはいっても命に別状があるものは一人もいないがな。‥‥男達の精神的なものはともかく」
「くっ、やはり騎士団じゃアレを倒す事は不可能なの‥‥!?」
「となると、やはり‥‥冒険者に任せるしか無いのか」
●リプレイ本文
●燃え尽きた地で
「どうやら来たようね♪」
カマールが待っていた。
そしてカマールに立ち向かう為集まった勇者達!
「僕はキャメロットの戦士、僕には英国の血が流れているんだ! この勝負、負けるわけにはいかないんだ、絶対に! それが(自称)英国の英雄・葉っぱ男の誇り!」
彼の者の名はレイジュ・カザミ(ea0448)。服を全て脱ぎ、股間に葉っぱ一枚だけの格好をする事から付いた渾名は葉っぱ男。今はまだ服を着ているが、彼の腰にぶら下げられた剣は―――。
「僕も腹くくらないとね、男だし。これを乗り越えられれば、立派な役者になれるかもしれない」
彼の者の名はシュヴァルツ・ヴァルト(eb0529)。彼の今の姿はふりふりふりるのついたワンピースだ。そんな彼は多感な年頃の13歳。将来がちょっと心配だ。
「今までの戦いに、ついに終止符を打つ時が来たか‥‥!」
彼の者の名は雷瀬龍(eb5858)。河童の忍者である彼は、だがそれを連想させる格好ではなく、頭に鉢巻を巻き、背中に『悪』と書かれた法被を着て立っていた。その体と顔つきは、数多くの修羅場(色んな意味で)を乗り越えた漢の顔だ。
「もはや、死して屍拾うもの無い。我が屍を超えて言って貰う気持ちで、決戦に臨もう」
彼の者の名はロッド・エルメロイ(eb9943)。彼が身に着けるもやはりジャパン製の越中褌。そんな彼の背後にはローブで覆われた謎の巨体が控えている。出番も無いのでぶっちゃけるが、彼のゴーレムであるアルフォンソだ。
そう、この4人の男達こそが、カマールに立ち向かう―――
「‥‥‥哀れな生贄、といったところでしょうか」
「って待てぇ!?」
ぽつりと呟いたのはサクラ・キドウ(ea6159)だ。それに男性陣4人全員が振り向いて突っ込みを入れるが、サクラは気にとめる事なく華麗にスルー。
「ふふふ。狼でも子羊でもどっちでもいいわよん? ヤるか、ヤられるか、ゾクゾクしちゃうわん♪」
そんな様子を見ながら、かもぉ〜んと手招きしながら言うカマール。
バチバチィン!
と、そんなカマールの頭に向かって突如突き刺さる雷光! 何事かとそちらを見てみれば。
「変態のカマに導かれて、画家の赤っ鼻るどるふ参上! 最初に言っておくわ。あたしの絵は、か〜な〜り〜上手いわよ」
トナカイの毛皮で作られた、赤い鼻が特徴的なデザインであるまるごとるどるふを着込んだチョコ・フォンス(ea5866)が右手をカマールに向けていた。彼女がライトニングサンダーボルトの魔法を、挨拶代わりに叩き込んだのだ。
「ふふぅん、最初からクライマックスでグーね。もう私もフィーバーしちゃっていいかしらん? 答えは聞かないけどぅ♪」
魔法を食らったカマールの元々もじゃもじゃ超サイズの髪の毛は、焦げた上に更にもわっと増量しているが、カマール自体はダメージを大して気にしてない。
「ええい、ブライトンのカマは化け物か?」
「あれ、今の声は‥‥?」
カマールの余裕っぷりに戦慄する声がどこからか聞こえる‥‥が姿は見えない。声の主はオグマ・リゴネメティス(ec3793)の筈だ。アレナサーラ・クレオポリス(eb2874)が辺りを見渡すが、見つける事はできない。
「ふふふ、では始めましょう?」
ニヤリと笑いながら冒険者達を見るカマール。
きっと彼にも分かっているのだろう。結果はどうあれ‥‥これが最後の戦いだと。
「私は‥‥夕焼けに舞う華麗な蝶。ラストバトルは『カマール、大地に立つ』よん♪」
●けつせん――じゃなく決戦!
「さて、今回は‥‥場所が場所なだけにこっそり隠れて覗き見は無理ですね。堂々と見ますか‥‥」
と、サクラがマイペースに観戦してる中、戦いの火蓋が切って落とされる!
笑みを浮かべるカマールに、まず立ち向かうはレイジュ!
「貴方がカマールさんだね。話は全部聞いているよ。サドンさんとアムソンさんが、ブラッドペインを英国中に広げようとしていると言ってた。だが!」
くわっと目を見開くと同時、一気に服を全て脱ぐ! 勿論股間にはいつも通りの葉っぱが一枚だ。更に腰につけていた剣を鞘から抜く――その剣はエロスカリバー!
すると、レイジュの股間部分にピンクの靄が発生する。エロスカリバーの効果だ。股間についていた筈の葉っぱが風にのってどこかへ飛んでいくが‥‥つまりはそういう事だ。
「僕の身に代えても! 祖国英国は僕が守り抜く! 生まれ育ったキャメロットを渡してなるものか! さあ、僕と勝負をするんだ。武器は同じ、あとは実力だけ。僕とてただの戦士じゃない、これまでだって沢山の変態を倒してきたんだ、変態退治には自信がある!」
「ふふふ、意気込みは良し、ねぇん☆」
嬉しそうな笑顔で、対するカマールも髪の毛の中からエロスカリバーを引き抜く! やはり股間にはピンクの靄が、そして彼の褌もまた風に乗って飛んでいく。
「チャァンス! そしてゲェット!」
と、チョコが飛んでいく褌を華麗にゲット。まるごとるどるふを着ているからとはいえ、中々勇気があることである。
さて、カマールが剣を抜いたのを見たレイジュは、エロカリバーを構えて走り出す!
「葉っぱがないからって葉っぱ男じゃないとは言わせないよ? 僕は形だけの男じゃない。そして貴方はキャメロットに向かった所で活躍出来ない‥‥なぜなら、キャメロットには‥‥すでにこの僕がいるからさ!!」
「言うじゃなぁいの、坊や!」
「いくよ! 愛と怒りと悲しみのスタンアタァァック!」
レイジュのエロスカリバーによるスタンアタックがカマールに炸裂する! 狙いはピンクの靄の中だ!
「よし、この手ごたえ‥‥やったか!?」
「それはどうかしらん?」
「な、何ぃ!?」
確かに手ごたえはあった。間違いなく攻撃は当たったのだ。
だが対するカマールの顔は―――笑顔のまま。
「ほーっほっほ。ここの鍛え方が違うのよん、鍛え方が☆ そぉれお返し!」
今度はカマールによるエロスカリバーの攻撃。やはり狙いはレイジュと同じように。勿論レイジュは回避しようとするが――間に合わず。
カキン☆
「潰された‥‥僕は潰されたのか」
「レイジュゥゥゥゥゥ!!!」
倒れるレイジュに向かって泣き叫ぶような声をかける男性陣。前かがみになっているのは、彼らもまた痛みを理解できるものだからだろう。
「レイジュさんの仇は‥‥取る! 無能だとかは言わせない!」
次に立ち上がる生贄――じゃなくて戦士はロッドだ!
「あらん、貧弱な体つきだけど大丈夫なのん?」
「心配してくれなくても結構。戦いは力だけではない!」
言いながらロッドが指とパチンと弾く。それと同時に、カマールの足元から円柱状に炎が吹き出す!
高速詠唱のマグナブローだ。
「これならやったか―――何ぃ!?」
炎に包まれるカマール。だが、次の瞬間炎の中から出てくるのは、焼け焦げながらも嬉しそうな顔のカマールだ。
「これがあなたの愛の炎というやつねん♪」
「それだけは違う!」
どんどん近づいてくるカマールに対して、後退しながら指パッチンを連発してマグナブローで燃やそうとするロッド。‥‥だがカマールは怯むことなく。
「可愛がってあげるわねん☆」
「ぐはっ」
合掌。それしか言えないだろう。
「『やったか!?』はやはり禁句のようだな」
次なる戦士は龍だ。その手には何も持たず、拳で勝負をするようだ。
「いくぞ! フタエノ―――アッー!?」
カマールの元へと走り出すと、必殺の拳による一撃を決めようとした龍だが、カマールの今まで以上に素早い攻撃が龍の一部にピンポイントにヒットする!
「ごめんね、それ以上やらせちゃいけない気がしたの♪」
「お、おぉぉ‥‥」
倒れ伏す龍。だが、その目はまだ闘志を失ってはいない――!
「おぉぉ―――■■■■■――!!」
まさに声にならない叫び。だがそれ故に彼の本性が表されているようだ。
龍は立ち上がると、懐から新巻鮭を取り出して構える!
「あらん、それで私に立ち向かうつもり?」
「■■■■■――!」
雄たけびを上げながら、凍った鮭を振り回すだけの攻撃――攻撃といっていいものなのかどうか。
その様子はまさに狂戦士‥‥いや鮭戦士というのが相応しい。
勿論、あのカマールがそんな攻撃で倒れるわけもなく、的確に急所への攻撃で反撃をしてくる。
しかし、龍は倒れず、12回もの攻撃を受け止め‥‥そして。
「お‥‥あぁぁ‥‥」
13回目の攻撃で遂に龍は倒れる。燃え尽きた様子で涙を流しながら。
「こんなところねぇん」
「ちょっと待って!」
「あらん?」
龍を倒したカマールがポーズを決めると、その次に響くはチョコの声だ。何事かと思って見てみれば、チョコが用意しているのは画材。
「あっ、動いちゃだめよ! そこっ、体のラインいいわ、おっけ、ぐっ、よ! でも、それはぶらぶらさせちゃいけないわ」
「あらあら。私の美貌もツミねぇん♪」
必死な様子でカマールをスケッチしているのだ。描かれて悪い気はしないのだろう。カマールもノリノリでポーズを取る。
「もっと近づいてもいいかしら?」
「えぇ、どうぞ」
より詳細に書き込むため、カマールのすぐ目の前まで来て絵をひたすら描き続けるチョコ。
じっくりと観察する彼女の目が、靄に包まれた股間に止まる。
「どうしたの?」
「‥‥‥」
無言で見続けるチョコ。と、チョコの手が不意に伸びていき。
ピン☆
「はぅあ!?」
「あ、ついやっちゃった‥‥」
何を思ったのか、チョコのでこぴんが炸裂したのだ。いきなりの不意打ちに、エロスカリバーの攻撃にも耐えたカマールもちょっと悶絶。
「ごめんごめん、もうやらないわ」
「んもう!」
‥‥2人の仲が良いように見えるのは気のせいだろうか。
と、そんな和気藹々とした雰囲気に突っ込んでいく1人の勇者。シュヴァルツだ。
ふりるのついたワンピースを着たうえで、どこからか取り出した薔薇の花を口にくわえると、小指を立てポーズを取る。
更にうるうる潤んだ瞳でカマールを見つめ、頬をピンクに染めると―――。
「デザートに僕を食べてみる?」
「もぅちろん!」
カマールが引っかかるのは道理であろう。その気になれば普通の男も引っかかりそうな気がするが、この少年の未来が心配になる。
カマールが勢いよく抱きしめると同時、勢いよく服を脱ぎ捨てるシュヴァルツ!
「僕も、一皮向けた大人に成長するんだ!」
「あら、その為に脱いでくれたのん?」
「そういう意味じゃないよ!」
裸に褌一丁となった格好のシュヴァルツを見てますます興奮した様子で抱きしめるカマール!
「うわぁ、すごくヌルヌルする!」
「天然ものなのよ?」
「ちょっと気になってた事教えてくれてありがとう! でもお願いだから勘弁して! コアギュレイト! コアギュレイト!」
その状態で高速詠唱でコアギュレイトを唱えまくるシュヴァルツ。だがカマールは動きを止めず、シュヴァルツの体へと手をはわせていく。
「コアギュレイト! コアギュレイト! コアギュレイト――」
「あらん?」
ようやくそれが効果を表したのは、シュヴァルツの精神が灰のように真っ白になった頃だった。
「大人になるって、こういうことを言うんだね‥‥」
絶対に違う。
●決める!
シュヴァルツの捨て身のコアギュレイトにより、やっと生まれた大切なチャンス。
勿論それを逃す手はない。
「唸れ雷鳴、迸れ、殺意! 一撃命脱、シューティングポイントアタァック!」
カマールの背後から飛んでくるのは一本の矢! それがどこに突き刺さったかは明言しないでおこう。
放ったのは今までインビジブルホースの力で透明になって隠れていたオグマだ。
それと同時に、今まで倒れていた戦士も再び力を取り戻す!
「うおおお!!」
まず立ったのは龍だ。妙にイヤらしい雰囲気だが、気絶している間に夢でも見てたのだろうか。
『緑の肌‥‥潤う‥‥』だのわけのわからない妄言を呟きながら、鮭を構えてカマールに向かって、殴打!
次に立ったのはロッドだ。
「堕ちろカマール、忌まわしき悪夢と共に!」
彼もまたカマールの元まで走り出すと、ほぼ白兵戦の距離で一つの魔法を唱える。ファイアーボムだ!
「カマ力の源さえ断てれば、奇跡の連携攻撃よ打ち砕け!」
勿論、カマールだけでなく、ロッドも龍も巻き込んで燃える事となるのだが。そこはそれ。
爆炎の後に立つのは髪の毛が完膚なきまで燃えているカマールだ。
「私の美しい髪が!」
「カマールさんの、ちょっとイイとこ見てみたいー♪」
と、そんなカマールに追い討ちをかけるようにスクロールを広げるオグマ。スクロールに書かれている魔法はファイアーボム。
「さぁ、これも愛の試練よ、頑張ってね」
その場に倒れている男性陣を気にする事なく撃つオグマ。ここに鬼がいる。
「そろそろ出番でしょうか‥‥」
すると、今までずっと見ていただけのサクラも剣を抜き、カマールへのとどめの一撃を刺す為に動こうとする――が。
「な‥‥なんでこの剣がここに‥‥。く、しょうがないです‥‥」
その手に握られていたのはエロスカリバー。出発前に友人に剣をすりかえられたようだ。しかし、武器がそれしかないのには変わりないので、サクラはいそいそと防具と服を脱ぐ。なんというサービスシーン。しかしその場の男性陣は全員ある意味壊れちゃってるので意味が無かったり。
「恥の気持ちを力に変えて‥‥今必殺の‥‥金突き‥‥」
頬を真っ赤に染めながら、カマールへの攻撃を敢行するサクラ。すごく棒読み口調だが、ある意味決まってはいる。
「突っ込みどころが多すぎて、どこに突っ込めばいいか分からなかったじゃないですかー!」
更にアレナサーラのサンレーザー!
「これで最後!」
オグマの放つ矢が、一斉攻撃がカマールへと決まる!
「あぁ‥‥良い戦いだった‥‥わ」
全ての攻撃を受け止め、満足した顔で倒れるカマールだった。
●終結
戦いが終わり、カマールはブライトン騎士団に連行された。
「ふふ‥‥。でも私が倒れても、きっとまた新たなカマが現れるでしょう」
それはカマールが連行される時の最後の言葉。
「カマール‥‥私たち、友達よね‥‥? きっと私の絵であなたの事後世に伝えてみせるわ!」
去っていくカマールを見送りながらのチョコの言葉は聞かなかった事にしよう。
「これは‥‥かつて食べた味と同じ‥‥あれ以来再現できなかったこの味は‥‥涙の味だったのか‥‥」
泣きながら焼け焦げた鮭を齧っているのは龍だ。ある意味、一番頭の具合が心配な男である。
「ラストカマ‥‥手ごわい相手でした‥‥。あ、私の記憶は抹消でよろしく‥‥」
「何かあったのかい?」
「あ、レイジュさんは倒れてたから知らなかったんですよね。凄かったんですよ。何せ――」
「アレナサーラさん、それ以上言うと‥‥‥ね?」
こうして、ブライトンに住む男達に安寧の日々が訪れたのであった。
―――少なくとも、今は。