【ブライトン】レミエラを持つ野盗
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■シリーズシナリオ
担当:刃葉破
対応レベル:11〜lv
難易度:普通
成功報酬:6 G 66 C
参加人数:7人
サポート参加人数:1人
冒険期間:08月01日〜08月08日
リプレイ公開日:2008年08月09日
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●オープニング
キャメロットから南へ3日程行った所、ドーバー海峡に面している場所にとある都市があった。
ブライトン。
ライカ・アムテリアという女性を領主に持つその地域は最近、色々と厄介な問題が起きていた。
今回の事件も、その厄介な問題であり―――――
「うーん‥‥?」
ブライトンは領主の館。執務室で書類に目を通しながら頭を捻っているのは部屋の主でもあるライカだ。
彼女が目に通しているのは最近ブライトン周辺で起きた事件などを纏めたものである。
とある組織が暗躍していた頃に比べて大分平和なったのであるが‥‥最近、また事件が起きはじめているのである。
とはいっても、盗賊が行商人を襲ったり‥‥などといったものであり、通常なら騎士団を派遣すれば済む事ではある。
諸所の事情で、現在ブライトンの騎士団は再編中なのだが、盗賊程度なら何の問題もなく撃退できる筈‥‥なのだが。
「気になるわね」
「何がだ?」
ライカの呟きに応えたのは、彼女に付き従うようにしている護衛の騎士クウェル・ナーリシェンだ。
クウェルの疑問に答えるようにライカは書類に書いてある気になるポイントを上げていく。
「行商人も馬鹿じゃないから、護衛などを雇ってたんだけどね。その護衛を打ち倒して奪う‥‥盗賊というより強盗かしら。ともかく、生き残った者の話によると、その戦闘時で盗賊達は全員どこかしらにレミエラらしきものをつけていたらしいわ」
「レミエラか。だが、そう珍しいものじゃないだろ?」
――――レミエラ。
ある時、突然この世界に齎された技術。
素材であるガラスと合成するアイテムを専用の魔法陣で合成し、マジックアイテムを生成する技術である。
様々な組織がこの技術を研究しているが、冒険者などがレミエラを手に入れようと思えばエチゴヤに頼りっきりなのが現状だ。
しかし、今までのマジックアイテムとは違い容易に生産でき、一般人には高価であるが、ある程度金を出せば手に入る。
よって冒険者達を始め、多くの戦いを生業としている者達が所持している。‥‥それは盗賊なども例外ではないだろう。
そう、クウェルの言う通りレミエラは珍しいものではないのだ。
「‥‥そうなんだけどね。でも‥‥うーん‥‥」
ライカには何か引っかかるものがあるのだろう。理屈ではなく、恐らく直感のような何かで。
だが、それを言葉にする事ができないので、どうするか逡巡しているのだ。
「ま、騎士団もまだ万全に動かせるってわけじゃないし、こういう時は冒険者に任せたらどうだ?」
「クウェル、あなた時々いい事言うわね」
「時々かよ!?」
こうして、冒険者達にレミエラを持つ盗賊達を討伐する依頼が出される事となる。
「へへっ‥‥あいつら、やっぱり思った通りに暴れてますぜ?」
「人間というのは力を持てばそれを振るう。‥‥は、何と御しやすい事か」
――――何かの予兆であるのかもしれない。
●リプレイ本文
●出発
イギリスは南に位置する都市、ブライトン。
その街中にて合流するはライカ・アムテリアからの依頼を受けた冒険者達である。
「で、どういった情報が集まったかを整理してみようか」
話を切り出すのはプラチナ製の高価な装備に身を包み、更に仮面で顔を隠しているマナウス・ドラッケン(ea0021)だ。名声がある上、何度かこの地に訪れてる身として、野盗に警戒されないようにするためだ。
各自の移動手段を用意して早めにこの地にたどり着いた冒険者達は情報収集をしていた。ちなみにマナウスは装飾品などを仕入れてそれを売り盗賊が狙いやすくする、といった工夫をしている。収支はマイナスだが、仕方ないだろう。
「生存者の方々からお話を聞く事ができたのですけどぉ」
野盗に襲撃されたが生き延びる事ができた者たちからの聞き出し‥‥エリンティア・フューゲル(ea3868)、空木怜(ec1783)、マロース・フィリオネル(ec3138)の3人がその役目を負っている。マロースのメンタルリカバーを使っての精神的ショックからの回復もあり、難なく話を聞く事ができた。
「まず、警戒すべきだろうソニックブーム使いは最低でも1人は居たそうだ。レミエラの力かどうかは分からないが」
ソニックブーム。格闘戦の技術を持つ者による貴重な遠距離攻撃だ。だが、それもレミエラの力に頼れば本来修得していなくても使用可能になる現状である。警戒するのも当然だろう。
「レミエラが犯罪集団に流出するとは、エチゴヤも落ちたものだな」
レミエラのせいで余計な面倒が増えたとばかりに真顔で嘆くはアンドリュー・カールセン(ea5936)だ。現在レミエラをまともに生産できるのはエチゴヤなのだから彼の嘆きも分からないものではない。
「基本的に装備は軽装らしいですぅ。ただ連携は取れているらしいので注意が必要ですねぇ」
「ふむ‥‥気をつけた方がいいですね」
集まった情報を整理して、念頭に置くルーウィン・ルクレール(ea1364)。
「しかし面倒事が絶えないな、ここも。そういうのを呼び込む何かがあるのか?」
「さてね、どうだか。‥‥ま、何にしろそろそろ出発した方がいいか」
以前よりこの地に関わっていた怜としてはまたこのブライトンで起きる問題の原因が気になるのか。だが、それを知りたければ事件を解決するしかない‥‥ということで、マナウスが皆に出発を促す。
「では、その前にお化粧といきましょうか」
言いながらマロースが取り出すは変装の為の道具。自分を行商人、ほかの者を護衛に扮させて盗賊達を釣ろうという作戦だ。
そんな彼女の一番の視線の先はジークリンデ・ケリン(eb3225)。とにかく有名人である彼女は今回のメンバーの中で一番変装が必須と言える。
「確かに‥‥私を見て逃げられても困りますしね」
こうして、マロースによるお化粧タイムが始まるのであった。
―――やはり女性はこういう時盛り上がるのが普通なのか、楽しそうに見えたがそれはそれ。
全員の変装が終わり、冒険者達はブライトンを発つ。
「使い道を考えぬ力など、例え超越技能だろうと無駄にして災厄だ」
マナウスのその言葉は――――何に向けられた言葉だろうか。
●光晶
ブライトンを出発して数刻。
とある森に差し掛かろうというか、その時。
「‥‥皆さん、狙われてますぅ」
そう告げるはエリンティア。彼が事前に発動していたブレスセンサーの効果により、数人の集団が冒険者達に近づいている事に気づいたのだ。
その言葉を聞き、各員心の中で警戒態勢を強める。
――――近づいている。
周囲の茂みのざわめく音‥‥普段ならあまり気にしない音だが、敵が近づいている事を知っている以上、つい反応してしまう。
そして、野盗達が姿を現す。
「よぉー、兄ちゃん達ちょっと待とうや」
数は‥‥8。周囲を取り囲むように、だ。各々がダガー等の軽い武器をちらつかせているのが目に映る。
「俺たちとしてもスムーズに進む方がいいんで警告させてもらうわ。‥‥荷物置いていけや?」
「断らせてもらいます!」
自然と一行の中で最前に立っていたマナウスが普段とは違った様子で答え‥‥もちろんNO。
だが、野盗たちはニヤついた笑みを止めない。
「あーあー‥‥後悔しても知らねぇーぞ?」
野盗達が、襲い掛かる!
敵の動きは素早い。装備が軽装だからだろう。
あっという間に距離を詰め、一番前に出ているマナウスに斬りかかる!
「ヒャァッハー!!」
まるで何かにとりつかれたかのような凶暴さを前面に出し、ダガーを振るう野盗。防御の事はまるで考えていないバーサーカーのような攻撃はしかし、回避しようとしたマナウスの動きを捉え、鎧の隙間へとダガーを滑り込ませる!
「ぐっ‥‥はぁっ!」
食らいはしたがカウンターの一撃により、敵の胴を大きく薙ぐ―――が、一息つく間もなく別の2人が一斉に襲い掛かる!
素早さと手数に任せた連携攻撃。これに対処するにはやはり素早い動きができるものが複数人前に立たなければ厳しいのだが、現状それは無理だろう。
回避しようにも複数からの攻撃はさすがにかわしきれず、所詮はダガーとはいえ鎧の隙間へと突き刺す連続攻撃によりマナウスの傷は深くなっていく!
「はぁっ!」
対してルーウィンの攻撃は基本的には力任せである。相手が格下だからこそ、一対一ならそれで問題はないが、彼に襲いかかる数は2。やはりルーウィンの体にも深い傷が刻まれていく。
「‥‥何です? 武器が‥‥!」
ルーウィンが目の前の敵を見ると、持っている武器が見えない。持っている筈なのに、だ。
そして見えない持っている筈の武器を敵が振るうと、ルーウィンの体に傷が刻まれる。‥‥武器を見えにくくするレミエラ、そしてその状況を活かした野盗の奇襲だ。
「‥‥ふん」
アンドリューは槍を前に突き出して牽制しつつ、敵の攻撃を避ける事に専念する。2人を相手によく持っている方だろう。しかし、それもいつまで持つか。
しかし、前衛が敵を集めているという事は後衛が自由に動けるということである。
この隙を活かして、冒険者達は魔法を発動させる!
「聖なる壁よ!」
怜が発動させるはホーリーフィールド。仲間達を守る結界を張る! 更に!
「戒めよ‥‥アグラベイション!」
高速で発動させる魔法は敵を拘束し、動きを鈍らせる魔法。状況的に厳しそうなマナウスが当たってる敵を対象に発動させる!
「ちぃ‥‥邪魔だ!」
後衛を邪魔に思ったのか、機を伺っていた敵の一人が剣を振るい――その時、剣につけられていたレミエラが光り――衝撃波が発せられる!
その衝撃波はホーリーフィールドに阻まれるが、ホーリーフィールドも砕けてしまった。
「眠るがいいですぅ」
スクロールを広げるはエリンティア。スリープの魔法が発動し、敵を一人、眠らせる。
無力化に成功した事はしたが、普通に寝ているだけなので下手に刺激を与えると起きてしまうのに気をつけるべきだろう。
「貴方は―――石になったことがありますか?」
「何‥‥?」
同じくスクロールを広げるジークリンデ。彼女の場合はイリュージョン‥‥石化して動けなくなるという幻を見せているようだ。それに引きずられて動けなくなってしまう盗賊。
「神の戒めよ‥‥!」
マロースは自分から最も近い敵の一人に対して高速でコアギュレイトを発動させ‥‥動けなくする。
今回、戦った野盗達は戦闘技術はレミエラ込みで確かに中々のものであったが、総じて魔法に対する抵抗をあまり持たなかったのが弱点だっただろう。
こうして、後衛の者達が一発で無力化できる魔法を持っている以上、一人、また一人と地に伏していく。
最後の一人が無力化される。
前衛の者達が負った傷は決して軽いものではないが、治癒できる仲間がいる以上、とりあえずは安心といったところか。
こうして冒険者達は8つのレミエラを回収する事に成功した。
●何が潜む
倒れた野盗達は捕縛されてから、医者である怜の治療を受けてから更に尋問をされていた。
「貴方達が手に入れたレミエラ、誰から貰ったのか教えていただけませんか?」
ジークリンデがスクロールを広げる。それはリシーブメモリー‥‥他人の記憶を知る魔法だ。
「こがらなおとこ」
「小柄な男? 貴方達がエチゴヤで作ったのではないですね?」
「あぁ、違う」
それが事実かどうか。リシーブメモリーで入手したからには嘘ではないだろうが。
「詳しく教えてもらおうか? ‥‥喋らなければ石になってもらってもいいが」
アンドリューの言葉に合わせるようにストーンの詠唱を始めるジークリンデ。石化する幻を見せられた野盗は、あれが現実になるのは御免だと必死の形相で話す。
「でも本当にそれくらいなんだよ! 小柄なおっさんが急にアジトに現れて、レミエラを格安で譲ってくれて‥‥。俺達も怪しいとは思ったんだが、レミエラ自体は本物だったから」
「何故自分達に‥‥とは思わなかったのか?」
「思ったし、聞いたさ! だが、詮索しないのがレミエラを譲るって条件だったから。‥‥無理矢理奪うより、ここで繋がりを持った方がうまいってリーダーが判断して」
「成るほど‥‥」
尋問が進んでいくなか、マロースは周囲の警戒‥‥それも普通ではない警戒をしていた。
デティクトアンデットを使い、更に石の中の蝶を注視‥‥つまりはデビルに対する警戒だ。
「‥‥‥え?」
一瞬。
一瞬だが―――石の中の蝶が羽ばたいた、ように見えた。
その事を仲間達に告げる。
「何が潜んでいるか分からない以上、早く、領主さんとこへ帰ろう」
怜の提案に異を唱える者はいない。
冒険者達は警戒を続けながら森を抜け‥‥無事ブライトンへとたどり着いた。
ちなみにジークリンデがライカに地図を借りて、バーニングマップの魔法でレミエラ製造所を特定しようとしたが、無理だったようだ。
メェー。
山羊の鳴き声がどこかで聞こえた。