【ゴーレムの眠る地】氷の棺

■シリーズシナリオ


担当:刃葉破

対応レベル:6〜10lv

難易度:難しい

成功報酬:5 G 40 C

参加人数:7人

サポート参加人数:5人

冒険期間:03月23日〜03月30日

リプレイ公開日:2009年03月31日

●オープニング

 ピチャン‥‥。
「うぉ、つめたっ!?」
 唐突にその身を震わせる男性。その肩には水滴が一滴垂れていた。
 男が何かと思い視線を真上に向けると、どうも天井から水が漏れていたらしい。続けて視線を足元に向けるとそこには水溜りができていた。
「道理で水の匂いがすると思ったら‥‥しかし、寒いなおい」
 ぶるりと体を震わせる男。今はもう3月だが、男が感じている寒さは真冬のそれだ。
 何故なら男が今いる場所は――極寒の洞窟だからだ。
 地形の問題か、それとも魔法的な何か力でも働いているのか‥‥。洞窟の中は氷点を遥かに下回るそれである。男が面倒くさがってバックパックの整理をしなかったお陰で防寒着を着込めたのだが‥‥それがなければどうなってたことやら。
「まったく‥‥火の次は氷、ってか?」
 男の名はジョージ・サカモト。フランク王国出身のファイターだ。
 彼は3ヶ月程前に冒険者達に手伝ってもらい、ゴーレムが守護するとある遺跡を攻略した。
 その遺跡のあった場所はピースヘイヴン。キャメロットから南へ行ったところで、ブライトンの近くである。
 そして彼は今もピースヘイヴンに‥‥正しくはピースヘイヴンにて新しく見つかった洞窟の中にいた。
 ジョージが以前攻略した遺跡で見つけたもの。それは、地図のようなものであった。
 それに書かれていた言葉は古代魔法語であった為、彼には読む事ができなかったが、その地図がピースヘイヴンの地形を記している事には気づく事ができた。
 よって、今こうして地図に書かれていたポイント―――入り口を巧妙に隠されていた洞窟―――を探索している、というわけだ。
 ちなみに地図に書かれていたポイントは1つだけではなく、他にもあったが‥‥まずはここ、ということだ。
「‥‥しかし、これも自然の洞窟‥‥ってわけじゃなさそうだな」
 そう言ってジョージは手袋越しに壁に触れる。直接触れると皮膚が壁にくっつく恐れがある為だ。
 ジョージが見る限り‥‥とはいっても洞窟にそんなに詳しいわけではないのだが、洞窟には人が手を入れたと思われるような跡があった。
 前に探索した遺跡と同年代のものと考えれば相当の年代物の筈だが‥‥それでもこうして残っている辺り、やはり何らかの力が働いているかもしれない。
「それならこの寒さも納得できるんだがな‥‥」
 針で刺すような寒さがジョージを襲う。防寒着を着ていてもこれなのだ。生半可な寒さではない事がよく分かる。
「これで水でも被った時にゃたまらねぇなぁ」
 と振り返り、先程の水溜りを見る。
「‥‥‥‥?」
 何か、違和感を感じた。
 しかし、どうせ大したことではないだろうと、彼は歩を進める。

 そして、彼は見た。
「部屋に出たと思ったら‥‥お約束、な」
 彼の目に映るもの。それは巨人‥‥そう、ゴーレムだ。
 しかもウッドゴーレムやストーンゴーレムのようなよく話に聞くようなものではない。
「こんな所だからもしや‥‥とは思ったがなぁ。まさか本当に氷とは」
 氷―――そのゴーレムは氷で出来ていたのだ。さしずめアイスゴーレムといったところか。
 遠目での判断だが、単純な戦闘力でいえば恐らく前回戦ったラヴァゴーレムより格段に落ちるだろう。
 しかし、問題はそのアイスゴーレムが複数存在することであった。通路から覗く限り4体はいるように見える。
「‥‥しかもおまけつき、ときたか」
 更に部屋のくるくる回るように飛ぶ4本の鉄の剣―――そう、剣が飛んでいた。
 彼は思い出す。フローティングソードと呼ばれるコンストラクトがいたような‥‥と。
「ちっ、仕方ない。これはまた冒険者の手を借りるとするか‥‥」


 後日、キャメロットギルドにジョージから依頼が持ち込まれる。
 それは氷の洞窟にて待ち受けるアイスゴーレムとフローティングソードを倒し、その奥に何があるかを確かめる事。
「それにしても‥‥前回の依頼から随分間が空きましたね?」
 依頼を受理した受付係の青年が、ジョージに問う。
「ん? あー、まぁ、リヴァイアサンの騒動やら色々あったからな」
 実は侍を目指している男、ジョージ。
 弱き人々を守るのは当然だと考えている故にそのつもりはなかったのだが、ちゃっかり武勲を積み重ねているのであった。



「ふん‥‥できれば俺が抑えたい所だが‥‥。さて、上はどう動くか‥‥」

●今回の参加者

 ea0640 グラディ・アトール(28歳・♂・ナイト・人間・イギリス王国)
 ea3486 オラース・カノーヴァ(31歳・♂・鎧騎士・人間・ノルマン王国)
 ea5635 アデリーナ・ホワイト(28歳・♀・ウィザード・エルフ・イギリス王国)
 eb5299 エレイン・ラ・ファイエット(27歳・♂・ウィザード・エルフ・ノルマン王国)
 eb5451 メグレズ・ファウンテン(36歳・♀・神聖騎士・ジャイアント・イギリス王国)
 eb7208 陰守 森写歩朗(28歳・♂・レンジャー・人間・ジャパン)
 eb8106 レイア・アローネ(29歳・♀・ファイター・人間・イスパニア王国)

●サポート参加者

ティアラ・フォーリスト(ea7222)/ 若宮 天鐘(eb2156)/ クリスティアン・クリスティン(eb5297)/ ヒルケイプ・リーツ(ec1007)/ ディラン・バーン(ec3680

●リプレイ本文

●何が眠る?
 ピースヘイヴンにある洞窟の攻略‥‥これが今回冒険者達への依頼である。
 しかし、今、3人の冒険者はピースヘイヴンではなくキャメロットの図書館にいた。
「未踏の遺跡に古代魔法語の文献‥‥実に興味深い話だね」
「古代の文献が読めるんですのねぇ♪ 楽しみですわ」
 エレイン・ラ・ファイエット(eb5299)とアデリーナ・ホワイト(ea5635)のウィザードコンビだ。
 彼らは2人ともが持つ古代魔法語の知識を使い、前回ジョージが手に入れた文献‥‥そして図書館で見つかった文献も解読しよう、という事だ。
 既にピースヘイヴンに向かったジョージから事前に受け取った文献を、2人でヒエログラフィカを使いまわしながら解読していく。
 そして最後の1人、陰守森写歩朗(eb7208)が解読結果を書き取っていく。
「ん‥‥ここはどういう意味だと思いますか?」
「そうだね‥‥。こっちに書いてある事と合わせて考えると‥‥こうかな?」
 エレインとアデリーナは古代魔法語に関しての知識に非常に優れている為、その2人が協力する事で解読はどんどんと進んでいく。

「解読結果は‥‥こんなもんか?」
 2人の解読が終わったのを見て、森写歩朗は自分が書き取った結果に目を通す。
 とはいえ、文献自体の経年劣化などで、読み取れなかった部分があったのだが‥‥その部分を除いた結果だ。


 古代の時代――とはいっても、何年前かはさすがに読み取れなかった――ピースヘイヴンの地ではゴーレム開発が盛んに行われていた。
 開発されたゴーレムは何か(解読不能)を守護する為に、それぞれ各遺跡に配置される。
 ゴーレムが守護する何かは、大いなる力(と思われる。詳細は解読不能)に繋がるものである。
 どうやらラヴァゴーレムは開発されたゴーレムの中でも相当に戦闘力が高かったタイプのようで、その為に最重要文献であるゴーレムが眠る遺跡を記した地図を守護させたらしい。

 ラヴァゴーレム――ある程度高い戦闘能力を得ることが出来たが、望む数値には届かず。プラン中止。
 アイスゴーレム――詳細は別項に記す。プラン中止。
 クリスタルゴーレム――詳細は別項に記す。プラン中止。
 コーラルゴーレム――詳細は別項に記す。(解読不能)との融和性を期待したが。プラン中止。
 (解読不能)ゴーレム――詳細は別項。やはりプラン中止。
 ブランゴーレム――回収済み。
 (解読不能)(解読不能)
 (解読不能)(解読不能)
 (解読不能)――封印決定。


「‥‥‥これは、何だろう? 何を作っていたんだ‥‥?」
「大いなる力‥‥?」
「プラン中止? 今配備されているゴーレムは『結果』ではなく、『過程』‥‥なのか?」

 そして、何かの開発日誌だろう。1枚の文献にはこう書かれていた。
『平和を守る為の力とならん事を。そして、この力が望まれるような争いが起こらない事を‥‥切に望む』

●水溜り
「おー、来た来た」
 文献解読を終えた3人がそれぞれの移動手段で急いでピースヘイヴンの待ち合わせ場所に行くと、そこにはジョージを始めとした冒険者達が既に集まっていた。
「それにしてもアイスゴーレム‥‥ですか。どのようなゴーレムなのでしょう」
「なぁに、アイスゴーレムの特性は知らないが、大抵人型の戦い方は決まったものだ」
 集まった時にジョージからある程度話を聞いていたのだろう、メグレズ・ファウンテン(eb5451)がアイスゴーレムについて思案したところ、オラース・カノーヴァ(ea3486)が余計な心配は不要だと笑いながら言う。
「腕で殴られたら避けるか受ければいい。人型である以上、突拍子も無い攻撃はせんだろうさ」
「それは‥‥確かに。むしろ怖いのはそれ以外の要因、か」
 オラースの言葉を聞き、グラディ・アトール(ea0640)は頷きながら視線を洞窟のある方角へと向ける。
「人型では無い敵のフローティングソード。そして‥‥洞窟の仕掛け、か」
「俺が行った時は特に仕掛けなんて無かったけどなぁ‥‥。水溜りにちょいと違和感を覚えたぐらいで」
「―――水溜り?」
 ジョージのその言葉を聞いた冒険者達に疑問ができる。
 極寒の洞窟で、何故水が凍らずに水溜りができているのか‥‥と。
 レイア・アローネ(eb8106)がその疑問に対しての推測の答えを出す。
「水‥‥なんだろう‥‥。あれだろうか、魔法で急激に冷やした遺跡‥‥。なら崩れやすいという事か?」
 気をつけよう、と頷くレイア。生き埋めになるのは勿論ごめんだ。
「水溜りがごく最近できたものなら、洞窟に入った時点でなんらかの影響が出てきたと考えるべきか?」
「洞窟内の気温が上がったからかもしれないな。最近侵入者もあったことだし」
 森写歩朗の推測に、エレインが自分なりに補足を説明してみる。
 先程のレイアの言葉と合わせて考えてみると、温度を上げすぎると崩落の危険性がある洞窟‥‥ということになる。細心の注意が必要だろう。
「‥‥何があるか分からない。みんな、できる限り用心して行こう」
 グラディのその言葉に、全員がこくりと頷くのであった。

●極寒洞窟
「寒っ! なんだこの寒さ!?」
 目的地の極寒洞窟。そこにたどり着いた全員の始めの感想がそれであった。
 確かに、防寒服を着ていても少々辛くなるほどの寒さだ。炎の指輪といったマジックアイテムを持っているオラースやレイアにとっては耐える事ができるようだが。
「これは‥‥慎重に行きたいが、かつ時間をかけすぎるのも厳しいところだな」
 ジョージの言う通り、防寒服だけで耐えれる寒さにも限界というものがある。時間をかけすぎると動くことも厳しくなってしまうだろう。
「幸い、壁は結構丈夫のようだしね。崩壊の危険は思ってたよりも少なそうだ」
 とエレインがそう言うのは、洞窟に入ってすぐの壁にライトニングサンダーボルトを撃ったからである。特に壊れる様子も無かったからだ。‥‥とはいえ、氷で覆われてるとはいえ、土や石で出来ている以上、壁にライトニングサンダーボルトがまともに通用する事はまず無いのだが。
「‥‥‥これ、は?」
 アデリーナがサーチウォーターを発動させた所、彼女の表情が曇る。その表情に不安を覚えた冒険者達が彼女に何があったのかを尋ねる。
「いえ、なんでしょう‥‥か。この洞窟を取り巻くように水がある‥‥? これは流れているのでしょうか‥‥凍らないよう?」
 その言葉に冒険者達は気づく。

 ―――水を使ったトラップがあり、ジョージが見つけた水溜りというのはそれから漏れたものだ、と。

 冒険者達は洞窟の中を進んでいく。トラップに気をつけながら、しかしあまり時間をかけすぎないように‥‥と。
「‥‥あれか」
 先頭にいたレイアが、前方の水が滴り落ちる様子に気づく。
「自分が調べよう」
 罠があるのが分かっている以上、このまま行くわけにはいかない。罠に関して一番知識がある森写歩朗が1人だけで水溜りに近づき、周辺を調べる。
 床を調べ、壁を調べ、天井を調べ‥‥そしてもう一度床を調べ、彼は得心がいったように頷く。
「成る程‥‥」
「何か分かったのですか?」
 と、メグレズが近づこうとするのを森写歩朗は咄嗟に手で制す。
「ちょっと待った! ‥‥特にメグレズさんは」
「はい?」
 森写歩朗は皆のところに戻ると、調べた結果を報告する。
「簡潔に言ってしまえば罠があった。‥‥どうも重さに反応するタイプのようだな」
「重さに?」
「まぁ、この洞窟の主が通る為にも1人程度の重さじゃ発動しないってやつだな。複数人で一気に通ろうとすれば、その重さで発動する」
「1人だけの侵入者だったら、この先のゴーレムで追い返せるから別にいい‥‥って事か」
 グラディが実際にゴーレムを見て引き返したジョージを見ながら納得する。
「どうやら、発動すると水が天井から流れ込んでくるようだな。恐らくは‥‥どこかに流されるような量ではないと思うが」
「大した罠じゃないのだな」
 と、オラースは言ってから、自分の発言に首を傾げる。
「―――いや待て。こんな所で水を被ったら」
 何度も言うようだが、彼らがいる場所は極寒の洞窟。そんな場所でもし水を被ってしまったら‥‥?
 衣服は寒さから身を守るという用を為すことが出来ず、体力はどんどん寒さに奪われ―――下手をすれば死ぬかもしれない。
「なんつう‥‥。ともかく1人ずついけば大丈夫ってことでいいんだな?」
 ジョージの言葉に森写歩朗はこくりと頷く。
 こうして冒険者達は1人ずつ慎重に進む事で、そこの罠を回避する。
 ちなみに、ジャイアントであるメグレズは1人でも非常に罠が発動する可能性が高かった為、フライングブルームを借りて、その場を乗り越えたのであった。
 また、アデリーナがそこの水溜りに対してパッドルワードでの質問を行ってみたが、そこから分かるのは森写歩朗の言う罠がある事ぐらいであった。

●氷人形
 罠を乗り越えた冒険者達。彼らが進んだ通路の先に、ついに開けた広間が顔を見せた。
 メグレズのデティクトアンデットによると、その場に不死の存在‥‥コンストラクトが8体存在するのが分かる。
 確かに、遠目に氷でできたゴーレムがいるのが見える。尤もその場から動かずに立っているだけではあるが‥‥。
 それを見て、当初の予定通り1体ずつ通路まで誘き寄せる為、森写歩朗が1人広間に入る。
 パキパキ‥‥‥!
 床の氷が割れるような音がする。アイスゴーレムが起動したのだ。‥‥それも4体全て、だ。
「っ!」
 4体全てが‥‥いや、それだけでなく天井近くを浮遊していたフローティングソードもどうやら森写歩朗を侵入者と認識したようだ。
 侵入者を排除すべく、動き始める!
 勿論、それを許す冒険者達ではない。通路に誘い込むことが難しいのであれば、広間にて撃破するだけ。
 メグレズを先頭として、冒険者達は広間へと広がる!
 ‥‥と、グラディは広間に入る前にアデリーナへと一言声をかける。
「母さん、無理はしないでくれよ」
「えぇ、分かっています」
 グラディの言葉に笑顔で返すアデリーナ。2人は親子ではないが、母親のように慕っている友人関係なのだ。

 戦闘が始まった‥‥が。
「む‥‥‥」
 オラースはアイスゴーレムの拳を難なく盾で受け止め、お返しにと振るった剣がアイスゴーレムを一撃で粉砕する。
「妙刃、白狼!」
 同じく、メグレズのカウンター攻撃で、もう一体のアイスゴーレムは簡単に粉砕される。
「なんだ? アイスゴーレムは‥‥大した強さじゃないな」
「ジョージ、そっちに惑わされるな!」
 一撃で粉砕されるアイスゴーレムを見て拍子抜けた様子のジョージだが―――尤も2人の攻撃力が半端ではないのも大きな要因だ――そんな彼を戒めるようにレイアが声を飛ばす。
 その直後であった、彼の頭上からフローティングソードが一直線に落ちてきたのは!
「んなっ!?」
 レイアの言葉もあり、なんとかぎりぎり避けるジョージ。そして地面に突き刺さったフローティングソードの横っ腹を思いっきり叩くような勢いで剣を振るレイア。
 パキン!
 大きな罅が入り、更に一太刀を入れると、フローティングソードは完全に真っ二つに折れてしまった。
「‥‥むしろこっちの方が厄介かもしれないな。先に潰しておくか」
 レイアに言われるまでもなく、グラディはフローティングソードを優先して狙っている。
 とはいえ、空飛ぶ敵に彼の振るう鎚は届かず、敵が攻撃する為に近づいてきたのを狙う形となっていた。
「くっ‥‥!」
 彼の力量ではフローティングソードの攻撃を避ける事は難しい。しかし、それでも装備を固めた彼は何とかそれに耐えて反撃を繰り返す。
「でやぁっ!」
 ガキィン!
 レイアのように剣を破壊する技術を持っていない為、威力が全て敵に伝わったとは言いがたいが、それでも十分効いている。目の前の意思を持つ剣を完全に粉砕する。

 こうしてアイスゴーレムを1体残し、残る敵全てを粉砕した冒険者達。残ったアイスゴーレムはメグレズとレイアが受け止める形を取っている。
「今のうちに奥の調査を!」
 アイスゴーレムが倒される事で何かのスイッチが入る事を危惧した冒険者達は、今、森写歩朗、エレイン、アデリーナ、そしてジョージを洞窟の奥へと向かわせる。先に調査する為だ。

●氷のメダル
 奥に入った者達を待ち受けていたのは氷の棺であった。
「‥‥こいつは?」
 ジョージが見た中にあったのは―――メダルらしきものと文献。ラヴァゴーレムが守っていたメダルとほぼ同じようなものである。
「こっちの文献は‥‥アイスゴーレムの開発に関する事と、この洞窟の仕様に関する事のようですね」
 アデリーナとエレインがジョージから渡された文献にざっと目を通す。

 アイスゴーレム――鉱物ではなく、氷を材料にとは思ってみたが‥‥思った以上に性能は低かった。しかし、(解読不能)の属性が水であったならば‥‥いや、言っても仕方の無い事か。(解読不能)の素材には不適合と判断する。

「傷んでる部分が読み取れれば‥‥何だ‥‥? 七‥‥いや、違うか?」
 何とか解読してみようと試みるが、やはり無理であった。
「とりあえず、こっちの資料によればアイスゴーレムを全て破壊しても何もないようだし。戻って、ゴーレムをなんとかしよう」
 彼らは広間に戻り、アイスゴーレムとの戦闘を終わらせる。
 その後、奥の部屋に再び行ってみた所、やはりそれ以上の成果を見つけることはできなかった。

「‥‥これが大いなる力に繋がる何か、なのか?」
 ジョージは自分が手に入れた2つ目のメダルを見ながら考える。
 この先に、何が待ち受けているのか‥‥‥と。

●影
「‥‥ふぅむ。余計な障害が無くなったお陰で調べやすくはなったが。さて‥‥調べたい資料も大方取られたか」

「とはいえ、こちらが握っている以上のものは無いと思うが‥‥そろそろ俺も動いてみるかね」