【対抗試験】先生にヘプタゴン!

■シリーズシナリオ


担当:姫野里美

対応レベル:フリーlv

難易度:普通

成功報酬:0 G 39 C

参加人数:5人

サポート参加人数:-人

冒険期間:10月23日〜10月26日

リプレイ公開日:2005年10月28日

●オープニング

 妖精王国の後処理がようやく落ち着き、秋も深まってきた頃、パープル女史は、教室に入ってくるなり、こう宣言していた。
「というわけで、妖精王国も平和になったことだし、予告してた通り、ハロウィン前にテストをやるわよっ!」
「うぇーーーー!!」
 無論、どこの世界の学生でも、テストとか試験だとか言うのは、毛嫌いされるもんである。ぶーつぶつと文句を言う生徒達に、パープル女史はこう怒鳴りつける。
「御託は終わってから言いなさい。今回は、ちょっとしたゲーム形式にして、そこの小次郎センセのチームと勝負するんだから、皆、気合を入れて行くこと!」
「ふぁーい」
 一度言い出したら、なかなか聞かない女史の事、文句を言うより従った方が賢いやり方である。ひっくり返す事には文句言わないんだから。
「せんせー。勝ったら、ハーブティ馬車のジュース、おごってくれるー?」
 と、生徒の一人がそんな事を言い出した。
「えー‥‥と。一杯くらいなら良いわよ」
(「いくら賭けたんだ!?」)
 普段なら却下を食らう話だが、今回は、小次郎氏と、全員に奢ってもお釣りがくる金額を賭けているらしい。
「とりあえず、ルールは今から言うから、みんなしっかり覚えて行きなさいよ!」
「うはーい」
 そんなわけで、準備が進められ、対抗試験が開催される運びになったのだった。

「って、何であたしがこーなってるのよ!!」
 数日後、会場で『賞品』とプレートぶら下げたパープル女史。右腕固定され、おまけに、非常に脱ぎやすい服装になっている。
「我慢しろ。俺だって負けたら女装なんだから!」
 小次郎先生には『罰ゲーム』とかかれたプレート共に、女物の衣装が添えられていたり。
「さて、問題です!」
 賞品連中に発言権はないらしく、司会役はさっさと話を進めてしまうのだった。

『海外の諸事情』
問:イスパニアでは日射病を避けるためにシェスタと呼ばれるある事をしやがりますが、それは何でしょう?
問:神聖ローマ帝国で、魔を払うものとして食されているものは?
問:ジャパーンの首都は?
問:ジャパンの下着として名が知られている褌ですが、ボクの現在着用している(恥)『白褌』の越後屋での販売価格は?
問:その立地を由来とする、学園都市ケンブリッジの異称は何か。

『ケンブリッジ諸事』
問:ケンブリッジギルドのギルドマスターの名前を答えよ。
問:FORの校長の性別を答えよ。
問:三大学園の中で、一番古くから建っている建物はどれか。
問:学生食堂のメニューにあるリコリスティ、これと同じ金額でグレープジュースは何杯注文出来ますか?

『イギリス王国の歴史』
問:アーサー王は幼少の頃、その出自が明らかにされておらずある騎士様の元で育てられておりました。その騎士様の名は?

『教師芸能』
問:ボク等の「コジローさん」は当然なはずの有る呼び方をされると、とても照れてしまいます。さてその呼び方は?
問:小次郎先生がジャパン語を話せる様になったのはいつ頃?
問:小次郎先生が『使用出来る』魔法は?

『学問研究』
問:精霊魔法火に優位に対処できる属性があります、それは何ですか?

「それでは‥‥。先生に‥‥ヘプタゴン!!」
 なんだかゲームの様相を呈してきたが、それでもテストは開始されるのだった。

●今回の参加者

 ea0050 大宗院 透(24歳・♂・神聖騎士・人間・ジャパン)
 ea4675 ミカエル・クライム(28歳・♀・ウィザード・人間・ビザンチン帝国)
 ea8110 東雲 辰巳(35歳・♂・ナイト・人間・ジャパン)
 ea8484 大宗院 亞莉子(24歳・♀・神聖騎士・人間・ジャパン)
 ea8785 エルンスト・ヴェディゲン(32歳・♂・ウィザード・ハーフエルフ・フランク王国)

●リプレイ本文

「それでは、ただいまより対抗試験ヘプタゴンを開催したいと思います」
 司会のユリア・ブライトリーフが開始を宣言する。その傍らには問題を書いた木の板が幾つも転がっていた。
「なんで、相手チームの子が、最初に出題やるのよー」
「仕方ないだろう。くじ引きなんだから」
 問題を読み上げる間、ぶつぶつと文句を垂れるミカエル・クライム(ea4675)を、エルンスト・ヴェディゲン(ea8785)が嗜めた。世の中、運も実力のうちとは良く言うが、一番くじは、他のクラスの生徒にとられてしまったのだ。
「では、全員セーブと言う事ですので、各自一斉に、回答を‥‥どうぞ!」
 ユリア嬢の声に、いっせいに回答ボード(木の板)を出す生徒達。皆、『昼寝』ときちんと書いてある‥‥はずだったが。
「残念でした。3名が不正解ですー」
 東雲辰巳(ea8110)と、大宗院透(ea0050)、大宗院亞莉子(ea8484)が、そろって違う回答を出している。ジャパン人の彼ら、いかにイギリスで生活しているとは言え、海外の諸事情については詳しくないようだ。
「だってぇ、海外なんてぇ、行ったことないって言うかぁ、わかんないってカンジィ」
「シェスタをしゃせた‥‥」
 肩をすくめる亞莉子に、とりあえず駄洒落を言ってみる透。一瞬、寒い風が吹きかけた会場を、ユリア嬢は冷や汗を浮かべながら、次の問題へと移行する。
「では、マジカルシードの50%が答えられた問題です。神聖ローマ帝国で、魔を払うものとして食されているものは?」
 正解は、ニンニク。だが、それまで順調だったミカエルに、間違いを表す音楽が鳴る。
「あ、あれ? 葱って神聖な植物じゃなかったっけ」
「それは一部限定だ。馬鹿者」
 エルンストがそう言ってツッコミを入れた。素でボケたのか、それともわざとなのか、ミカエルの回答ボードには、思いっきり『葱』と書かれていた。ちなみに、ニンニクは漢字で『大蒜』と書く為、明らかに間違いである。
「‥‥セーブ」
 そのエルンスト、くじの順番で、コール役となったようだ。こう言った場面は苦手なのか、余計な事は何も言わず、一言だけそう告げる。
「おぉっと、勝負に出たようです。果たして正解は!?」
 まさか、間違える奴は居ないだろうと考えたらしい問題は、『ジャパンの首都は?』と言うものだ。
「え、首都って江戸じゃないの? 月道繋がってるじゃない」
「首都=月道というわけじゃない。ジャパンの首都は京都の方だ」
 勘違いしていたらしいミカエルに、エルンストがコール席からツッコミを入れた。確かに、政治の実権は江戸が握っているが、首都は京都だと、図書館にあるジャパンの関連書物にも書いてある。
「と言うわけで、エルンスト先生に罰点1ポイントですねー」
 この問題、他には東雲が江戸と記入した後、それを二重線で消して、京都に修正していた。セーブ崩しを狙ったようだが、実は正解していると言う不思議な現象である。ちなみに、ジャパン人の透は無論正解。しかし、同じくジャパン人である亞莉子が、江戸で不正解なあたり、ミカエルが間違えても仕方がない問題なのかもしれなかった。
「では、次の問題です」
 この時のコールは、小次郎チームの生徒。指定されたのは、エルンストだ。問題は、『ジャパンの下着として名が知られている褌ですが、ボクの現在着用している『白褌』の越後屋での販売価格は?』と言うもの。読み上げられた瞬間、小次郎先生が恥ずかしそうな顔をしてたのは、気のせいではあるまい。
「注目の答えは!?」
 ユリア嬢が、彼の回答ボードをオープンさせる。と、そこには予想通り、何も書いていない。
「当たり前だ。そんなもの知るか」
 仏頂面のエルンストがそう言った。あまりにバカバカしい問題なので、答える気を失ったらしい。しかし、そのせいで彼には、罰点2が加算されてしまう。
「えぇとぉ‥‥」
 次にコールとなった亞莉子ちゃん、一生懸命平静を装いながら、他の回答者たちの様子を探る。バレないように、髪の毛をアップにし、きちんと冒険者学校女子制服で挑んだ彼女だったが、ここまでの正解率の悪さで、すでに地が浮き出てしまっている。
「大丈夫かな? 亞莉子ちゃん」
「どうでしょうか‥‥」
 心配そうなミカエルに、透は半ば諦めた表情だ。ちなみに問題は『ケンブリッジギルドのギルドマスターの名前を答えよ』と言うものだ。
「じゃあ‥‥セーブで」
「安全策にでましたね」
 とりあえず、簡単な方向を選んだらしい亞莉子。ユリアがそう言って、各自の回答を、一斉にオープンさせる。まぁ、張本人が目の前にいるので、間違えないだろうと言うのは、ある意味正しい選択‥‥の、筈だった。
「ああっ」
 全員が驚いた表情を浮かべる。他の生徒が、全員『ユリア・ブライトリーフ』と名前を書く中、それを消して、『エイミー・ストリーム』と書いた奴が1人。
「セーブ崩し成功だな」
「あぁん、くやしぃ〜」
 ぷぅぅっと頬を膨らませる亞莉子に、東雲がにやりと笑ってそう言った。
「さて、では次は東雲さんですね」
「うーむ。あんまり考えていなかったな‥‥」
 で、次はその東雲の出番だ。そこへ、もはや賞品である事に開き直ったパープル女史から一言。
「東雲。ここで負けたら、しばらく出入り禁止にするわよ」
 かつて、司会や回答者ではなく、賞品から圧力がかけられた事があっただろうか。いや、ない。
「く。レディの肌は見たいが、出入り禁止にされるのはもっと困る。だが、この程度の問題なら、多分分かるだろう。セーブ」
 その圧力に屈してしまった東雲さん、『FORの校長の性別を答えよ』の問題に、流石にお偉いさんの性別くらいはわかるだろうと予測し、そう宣言したのだが。
 残念そうな音楽と共に、東雲に思いっきり『罰点1』と記される。
「あれは不可抗力です。亞莉子さんが覚えているのは、先生の噂話だけですから」
 透が無表情のままそう言った。当の亞莉子さんは、興味がなさそうに、鼻歌なんぞ吹いている。ケンブリッジに来て間がない為、お偉いさんの事は良く分からないようだ。
 数問経過した後、回答者席を見回してみれば、どの生徒にも、罰点が1〜2がついていた。
「お前ら、正解率悪すぎだ」
「エルンスト先生だって、人の事言えないじゃない」
 説教魔なエルンストに、ミカエルがそう答える。ちなみに、彼女には全くついていないが、エルンストには既に2ポイント加算されていた。
「さて、最初の犠牲者は‥‥って、確かもう1人出てましたっけ」
 ユリアが、そう言って、罰3ルームに、顔を向ける。と、照れくさそうに手を振るエイミー・ストリーム嬢に隠れるようにして、縮こまっているハーフエルフのアルヴィンくんがいた。まだケンブリッジ圏内から出た事がない彼、海外の諸事情で、惨敗を喫してしまったらしい。
「さて、次は相手方ですから、気を引き締めて行かないと」
 今度は、相手の手番である。問題は、『三大学園の中で、一番古くから建っている建物はどれか』と言うものだ。
「これは、当然知っている問題でしょうからねぇ」
 パープル先生側の対応は様々である。透のように、ひたすら表情を消して書き込む者もいれば。
「一番古い建物か‥‥。こっちにきて、あまり時間が立っていないからな‥‥」
 自信がなさそうな表情を浮かべる東雲がいたり。
「たぶん、あってると思うけど‥‥」
 こくびをかしげているミカエルの姿もある。そうして、それぞれの回答が揃った頃、相手の出してきた答えは『セーブ』。ケンブリッジだから、知っていて当然と言う判断らしい。
「おっと、意外ですね。東雲さん以外は不正解です」
 だが、蓋を開けてみれば、フリーウィルと書いた東雲以外は、全員『マジカルシード』と書いてある。そして、その上に大きく赤×印も。
「マジカルシードの方が歴史がありそうだけど、建物の方は、フリーウィルの方が古いのよ」
 パープル女史が、『良く分かる解説』とか言いながら、説明をする。学校自体の歴史と、建物の歴史は、イコールではないそうだ。
 その結果、ここまで最低の正解率を記録していた亞莉子が、問答無用で、罰点がついてしまう。
「あぁん、やっぱりぃ」
「さようなら、亞莉子さん」
 彼女、『いきたくなーい』とばかりに、イヤイヤをするものの、透にあっさりと見捨てられ、罰3ルームへ強制連行。
「果たして、次に×3ルームに移行するのは、一体誰でしょうか。それでは、次の問題です」
 次のコールは、小次郎先生側だ。問題は『アーサー王は幼少の頃、その出自が明らかにされておらずある騎士様の元で育てられておりました。その騎士様の名は?』と言うものである。
「そんなの全然わかんないってカンジィ」
「僕、こう言うのなら分かるんですけど‥‥」
 罰3ルームの亞莉子、ジャパン人なので、問題外にわからないらしい。だが、一方のアルヴィンは、国内の事なら大丈夫とばかりに、そう呟いている。だが、ここで1つ問題が起きた。
「あれ? これは‥‥」
 正解は『エクトル卿』。そこへ、エルンストが『エクター卿』と書いていたのだ。確かにそうとも読める為、どちらか判断つきかねるユリアさん。
「審議が必要のようですね。少々お待ち下さい」
 そう言うと彼女は、ごそごそと、正解のチェックへ入る。見ている方も不安になる中、パープル女史が、こう言い出した。
「あーもう、うっとおしいわね。名前違うんだから、間違いにしちゃいなさいよ」
 いい加減、右腕固定された格好が、嫌になってきたらしい。
「そ、そうですか。と、言う事で、エルンスト先生。残念ながら失格です」
「‥‥ち」
 見えない圧力をかけられて、哀れエルンスト先生、罰3ルーム行き。まぁ、元々数合わせのつもりだった彼、それほどショックではなさそうだったが。
「ごめんなさい。本当は僕がもう少し頑張らなくちゃいけなかったのに‥‥」
「お前のせいじゃない」
 早々と引き上げるはめになったアルヴィンが、申し訳なさそうにそう言うものの、エルンストは短くそう言ってくれる。
 問題は、次のジャンル『教師芸能』に移っていた。
「ここは‥‥こうだな。レディに対する問題じゃなくて良かった」
 そう呟く東雲。今頃は、小次郎先生のチームが、パープル女史のあだ名をコールして、ライトハルバードの一撃を食らっている頃だ。罰3ルームでは、ここだけは完璧な正解率を誇る亞莉子が、悔しそうにしている。
「あたしね‥‥。えぇと、落とすのは‥‥」
 コールはミカエル。ヘプタゴン指定は、東雲だ。一瞬、顔を曇らせる彼に、ユリアが回答ボードをオープンさせる。しかし、そこにあったのは!
「ど、どうして正しい答えを書いてるのよー‥‥」
 えー! と不満顔のミカエル。見ればそこには、『メイドさん』と記入されたのが線で消され、『小次郎先生』と言う正解が書いてある。
「いや、メイドの方が照れるかなーと」
 本人は、セーブ崩しのつもりだったらしい。これで、ここまで無傷だったミカエルにも、罰点1がついてしまった。そんなわけで、紆余曲折の結果、東雲に罰点2がついてリーチがかかり、残りの問題が1問となる。
「ふふふ。ここは私の腕の見せ所ですね」
 コールは透。最後の問題は、『精霊魔法火に優位に対処できる属性があります、それは何ですか? 四大精霊・その他の精霊から選択して下さい』と言うものだ。隠密技能に長けた彼、ちょっとした仕草で、相手の動揺を見抜くのは得意中の得意である。
「では‥‥東雲さんに、ヘプタゴン!!」
 その彼が選んだ相手は‥‥やはり東雲。彼が不満そうな顔を浮かべる中、回答ボードがオープンさせられる。
「あー‥‥。やっぱり」
「俺はレディの警護係だ。魔法なんぞ知るか」
 間違いだった彼、それを自分の仕事のせいにしてしまっていた。これで、東雲が罰3ルーム送りとなり、競技は終了となる。
 そう言うわけで、パープルチームに生き残ったのは、ミカエルと透になるのだった。

「いぇーい☆ せんせー、あたし勝ったよー」
 ひしっミカエルに抱きつかれて、椅子の上でバランスを崩すパープル女史、そこにミカエルはそれっとばかりに、こう言った。
「どっちか片方なんて、小次郎が許しても、あたしが許さないわよ。えい」
 左わき腹下の着脱用紐を、思いっきり引っ張る彼女。抵抗しようとしたパープル女史を、後ろから亞莉子が押さえつけている。結果、お肌がさらしものになった。
「透は見ちゃダメってカンジー」
 大騒ぎに鳴る中、どさくさ紛れに、透に背中から抱きついて、目を塞ぐ亞莉子嬢。
「お前も見ない方がいい。だいたい、東雲。気になる相手の肌を見たいからと言って、人前でと言うのはどうかと思うぞ」
 一方では、アルヴィンを背中に隠しながら、エルンストが、東雲に説教を垂れている。自分で見る甲斐性がなくてどうする。と言うわけだ。しかし、そう言う彼だって、既にアルヴィンくんの裸を見てしまっているのではあるが。
「別に、裸見るのは、人前では二度目だし。ほら、とりあえず替えの服だ。色が紫じゃないが、勘弁しろ」
 問題発言を口にしつつ、東雲はしれっとして、持ち込んでいた荷物から、ある服を差し出す。自分の服は、ミカエルに取り上げられてしまっている為、パープル女史は、とりあえずそれを着たわけだが。
「って、これ、どこで手に入れてきたのよ、あんたは!」
「借り物だから汚すなよー」
 にやにやしながらそう言う東雲。身に付けたそれは、貴族の屋敷で、奉公に上がっているお嬢さん方が、よく着ている服だ。微妙に仕様が違うのは、おそらく演劇用の衣装だからだろう。その隙に、こそこそと逃げ出す小次郎氏。
「ちょっと待ったぁ!」
 だが、そこはミカエルが許さない。他のチームも、同じ意見らしく、魔法を使って引き止めてくれた。そんなわけで、捕獲された小次郎氏に、ミカエルが、演劇用の華国服を出しながら、こう告げる。
「せっかく衣装も用意されてるんだし、使わないのは勿体無いわよね」
「私が女装の指南をして差し上げます」
 透が、自慢の変装技術を駆使するように、荷物の中から、お化粧用の紅小鉢を取り出す。
「ここは公平に多数決で決めよう。十河殿に、コイツを着て欲しい人、挙手」
 東雲が、間を取る様に、そう提案してきた。だが、手を上げたのは、殆ど全員である。
「と、いうわけなので、覚悟するように!」
「うぎゃあああああ」
 多数決。満場一致。と言うわけで、小次郎先生は、半ば強制的に女装をさせられてしまうのだった。無論、全員後でエルンストから説教を食らったのは、言うまでもない。