【晴明失踪】 探しモノ は ありますか?

■シリーズシナリオ


担当:からた狐

対応レベル:5〜9lv

難易度:難しい

成功報酬:4 G 40 C

参加人数:6人

サポート参加人数:-人

冒険期間:03月24日〜04月04日

リプレイ公開日:2006年04月02日

●オープニング

 陰陽寮陰陽頭・安倍晴明が失踪‥‥から一転。自宅でその遺体が発見された。
 それと同時に晴明の妻・梨花が屋敷から失踪。状況からしてこの件に関わっている事は容易に知れたので、役所もまたその行方を追う事となる。

 そして、捜索から数日。梨花の目撃情報があった。
 何でも、京から一日歩いた辺りで、風呂敷包み一つだけを手にして山陽道をひたすらに西に向かっている姿が目撃されたのだ。京都から逃げているのは明らかだった。
「なにやら急ぎの用が出来たが、事を騒がせたくなくこっそりと出て行きたいような事を仰ったので、手を貸しただけ。そのような裏があったとは露とも思わなんだな」
 渋面を作り、そう語るのは陰陽師・蘆屋道満。たまたま現場に居合わせ、梨花の逃亡に手を貸したのを、その時忍び込んだ冒険者が見ていた。
「江戸に用がある為、すぐにまた船で旅立つ事になるのが心苦しいが‥‥。まぁ、その前に陰陽頭殿に見つかったのは喜ぶべき事か」
 最後の方は、誰が聞いても白々しい。
「今度何時戻るかは分からんが、その時までに解決してればよいな。もっとも、安倍殿が復帰したらこの程度の事あっという間に決着をつけるのだろうがな」
 ふん、と鼻を鳴らし、嫌味たっぷりな口調で告げる。
 ともあれ、彼女はすでに京都を出てしまっていた。情報があったのが少し前の話だから、今ではさらに遠ざかっているだろう。
 勿論女の旅だ。追いつく事も出来るだろうが、京都から出た時点でつまりは京都の治安の及ぶところではなくなってしまった。よって役所による彼女の捜索は打ち切られた。

 のだが。
「こっちは放置する訳には行かないよなぁ」
 ギルドに集められた冒険者達を前に、ギルドの係員はそう告げる。
 晴明の遺体は無事に見つかり、今は寺院で組成されてる最中。とはいえ、それに絡んだ神剣紛失はまだ目処が無い。
 晴明宅に預けられた草薙の剣。それが紛失した件についてはまだ公にはしていない。
 公言すればそれこそ軍を率いてでも、血眼になって関連していると思しき梨花の行方を追うには違いないが、それをすると晴明は勿論、秘密裏に託した貴族たちもまた何らかの処罰を受けるだろう。
 平織公が暗殺されたり、薩摩藩が妙な動きを見せていたりとこの所大きな事件が続く。そんな中で政界の動きが変われば、それは京の屋台骨が揺らぐ危険もあった。
「まぁ、そんな訳で。まだ死んでる旦那にも頼まれた事だし。続けての神剣捜索、よろしく頼むわ」
 ギルドの係員は軽くそう言い放った。

●今回の参加者

 ea4138 グリューネ・リーネスフィール(30歳・♀・神聖騎士・エルフ・ビザンチン帝国)
 ea4870 時羅 亮(29歳・♂・侍・人間・ジャパン)
 ea6154 王 零幻(39歳・♂・僧侶・人間・華仙教大国)
 ea8904 藍 月花(26歳・♀・武道家・ハーフエルフ・華仙教大国)
 eb2041 須美 幸穂(28歳・♀・陰陽師・人間・ジャパン)
 eb3824 備前 響耶(38歳・♂・浪人・人間・ジャパン)

●リプレイ本文

「出発点で敵を見誤ってしまったな。しかも死体が見つからなかった尤もらしい理由、屋内での殺害を失念するとは」
 世間的には失踪、その実死んでいた晴明は、密かに幽霊となって彷徨っていたりもしていた。故に晴明自身からの依頼によって、冒険者は死体探しをしていた訳だが、その結果に備前響耶(eb3824)は苦渋で顔を歪めていた。
「残るは神剣だけど‥‥また難しそうだね」
 同じく顔を顰めているのは時羅亮(ea4870)。
 死体が見付かって万々歳と行きたい所だが、晴明からの依頼は一つではなかった。死亡時に彼が預かっていた神剣が屋敷より紛失していたのだ。
「胡乱な者の手に渡れば日本を根底から揺るがす事件となりかねぬからな。‥‥これまでの状況からして、疑わしきは奥方の梨花殿と蘆屋殿のお二人」
 捜索時における奇妙な態度に加え、晴明の死体発見から梨花は姿を消している。そして陰陽師・蘆屋道満はその梨花と不義密通の疑いがあった。
 だが、告げた王零幻(ea6154)に藍月花(ea8904)が首を傾げる。
「確かに神剣は屋敷にあった痕跡があり、奥方がそれらしい物を持って出て行くのをグリューネさんがみてますわ。けれど、その後の捜索において見かけられた奥方は小さな風呂敷のみという話。とすれば、道満様の手に渡っていると考えるのが自然では?」
 目で問われたグリューネ・リーネスフィール(ea4138)が困ったように返す。
「彼女が何かそういう物を持って出たのは確かです。その後の事は正直分かりかねますので、決めてかかるのもよく無いでしょうけど。――とにかく、私は梨花殿を追わせてもらいます」
「ああ、奥方は任せた。一刻も早い帰りを祈る」
 励ます響耶に笑いかけると、グリューネはすぐに支度にかかった。
「私も、少々調べ物をしてから後を追わせてもらいます。――本当に、余計な事で下を巻き込まないで欲しいですね」
 須美幸穂(eb2041)が軽くぼやく。
 神剣は果たしてどこにあるのか。今こそ正念場である。

「さすが陰陽頭の屋敷。魔法の品も豊富だ」
「ですが、やはりここには無いようですね」
 神剣がまだ残されている可能性を考慮して、零幻と幸穂は晴明の屋敷も捜索していた。
 零幻はミラーオブトルースを使って魔法の品を識別しながら見て回ったが、さすがというべきか、水鏡に映った品はあちらこちらで白い輝きが浮かび上がった。もっとも、その中には剣と思しきものは無い。
 幸穂もムーンアローを放つがそれは我が身を傷つけるばかり。それを確認すると、幸穂は梨花の後を追った。

「役所ではそれらしい物があった話は聞かなかったね。後、安倍様を殺した凶器も見付かってないって」
 捜査状況を確認してきた亮。が、役所の方では状況からして犯人は奥方とほぼ断定。その奥方が京から出たとあってすでに事後処理へと移っていた。
「まぁ、神剣の話自体向こうには話してないのだから、気をつけてなくて当然だがな」
 同じく検非違使に話を聞きに行った響耶が嘆息つく。
 こういう時に役に立つのが京都見廻組という肩書き。入ったばかりの新米と言えば、先達面してあれこれ話したがる者も組織にはいる。うまくそういう者を捕まえてあれこれ訊ねてみると――事件の多さに頭を抱える羽目になった。
 結局、捜査が早々と切り上げられたのも、犯人の逃走に加えて当の被害者も蘇生するのだし、ならば長々と関わらず他の事件の処理をせねば手が間に合わぬという意味合いが強そうだ。
「凶器だが、どうやら大型の刃物で背中から一突きらしい。剣の類は屋敷に幾つかあったが、遺体の傍にあった跡が凶器を置いていたと考えられているな」
 そして、梨花が持っていったと。
「蘆屋殿が怪しいという見解も出ているには出ていたが‥‥。結局、晴明殿が失踪というか殺害された時期はまだ江戸にいた訳で、直接の犯行は無理。梨花と手を結ぶ材料はほとんど無いからな」
「確かに。酒場で聞かれた証言もかなり以前のものだし、その記憶も少々あやふや。阿部殿の屋敷でも奥方と道満を結ぶ証拠は出てこなかったしね」
 空を仰ぐ響耶に、くたびれたとばかりに亮も肩を揉む。
「今回、道満様が江戸に行かれるのは江戸の凶を祓うが為。鎮護、守護、月道の整備などなどその力を振るう場は多いわね。何らかの儀式に神剣を用いる為に使うのか、源徳様に献上するのか」
 思案していた月花だが、ふとその口元が緩む。
「いずれにせよ。家の周辺で梨花殿らしき姿が目撃されてるし、何かを家に放り込んでいたらしい話も聞けてるわ。後は証拠の品さえ無事に見付かれば大丈夫、なんだけどね」
 言って、道満の家を仰ぎ見る。
 晴明の屋敷に比べると、極ありふれた民家でしかない。人を雇う気配も無く、故に手入れも行き届いて無いのか、外から窺うだけで中が荒れているのが分かる。
「蘆屋さんには、今のような京には貴方のような有能な陰陽師の力が必要なんだ〜とか言ったら、江戸行きは伸ばしてくれている」
 その時の事を思い出してか。亮がくすりと笑う。零幻や幸穂も各々説得や残る口実を作るよう画策し、結果、道満は江戸行きを少し後回しにしている。
 が、情勢が悪いのは江戸もまた同じ。また京は神皇家のお膝元で、任せるべき陰陽師も見付けやすい。なので、足止めはせいぜい数日といった程度だろう。
「ただ、逆に言えば何時この家に戻ってきてもおかしく無い。あまりのんびりと捜索はしていられないよ」
「何かあった時は手助けもするがな」
 忠告する亮に、響耶も笑って告げる。
「幸穂さんの話では屋敷にもなさそうですが‥‥、まぁ念の為に家捜しと参りましょうか」
 晴明宅で試した事を幸穂はここでも試している。が、結果は同じ。どこにあるのかその手がかり求め、月花は隠身の勾玉を握り締め、蘆屋宅へと忍び込んだ。
「そうだね。梨花と道満の繋がりも見つけたい」
 神妙に頷くと亮もまたその後を追い、響耶が周囲を警戒してからさらに後に続いた。

「この国では、浮気不倫は重罪と聴いた記憶が有るのですが‥‥」
「あら。惚れた相手と一緒になるのに、罪を恐れる必要があるのかしら?」
 宿の一室。グリューネが問いただすと、梨花はあっさりと告げて笑う。
 足取りを追い、時折ミミクリーで犬に化けてどうにか彼女の居場所を突き止める事が出来た。京からはかなり離れた小さな宿で、梨花は逃げも隠れもせずに冒険者たちと向かい合っている。
 どこか人を馬鹿にしたような態度は、観念しているのか、捕まる覚えなど無いとでも言いたいのか。
「とにかく、お話を聞かせてもらえませんか? 何があったのか。何故こうなったのか。一体神剣はどうされたのです?」
 小さく嘆息つくと、グリューネは改めて問いかける。
 部屋の隅には小さな風呂敷包みが一つ。梨花の手回りの物が入っているのが見て取れるが、それだけ。他に荷物は無く、やはり神剣は彼女が持っている訳でもなさそうだ。
 が、今度はだんまりを決め込むのか、梨花は答えない。静かに笑みを浮かべ、ただそこにいる。
「晴明殿から貴女のお話は伺ってます。少なくとも晴明殿は貴女を大切に思っていらっしゃいます。なのに、何故貴女は‥‥」
 情に訴えてみるも、変化は無い。幸穂が小さく息を吐いた。
「何をお考えなのかは存じませんが、不満があるなら直接当人に言えばよろしいでしょうに。それでどうなるかは、貴女が一番ご存知でしょう」
 きっぱりと言い切るその語尾は強い。
「そうね。ようく知っているわ。貴方たちより詳しいでしょうね」
 梨花が軽く吹き出す。先よりさらに笑顔を強め――けれど、その目は全く笑っていなかった。
「貴方たち、魔法は使うのかしら? ご存知の通り彼は使うわ。敵を屠り、魔物を操り、精霊を呼び寄せ、人の心すら変えてしまう。――だったら私のこの考えも、実は彼が仕掛けて操られたものじゃないと言えるのかしら?」
 いきなりの言葉に、二人揃って目を丸くする。
「そう、なのですか?」
「違うわ。少なくとも私はそう思ってる」
 思わず訊ねたが、返答は早かった。そして、やけにきっぱりと断言している。
「京を守らねばならない時に、守るべき神剣で命を失うなど意味は無いもの。だから殺したのだけれど。彼が望んでいないなら、それは確かに私の考えだったという訳でしょう?」
 同意を求められて、返答に困る。
「もしや、蘆屋殿に近付いたのも同じ理由ですか?」
 思いついて、月花が訊ねると相手はあっさりと頷いた。
「そうよ。向こうは向こうで思惑はあったのでしょうけど。――でも駄目ね。やっぱり彼から逃れたとは思えない」
 ふと顔を俯ける。そうしただけでやけに寂しげで‥‥疲れている表情になった。
「ずっと疑っていた。私は本当に私の意志で行動しているのかと‥‥。死んだ後もびくびくして、落ち着く時なんてなかった。挙句に噂で聞いたわ。彼、蘇生させるのですってね」
「報復をされるとでも?」
「そんな事じゃないわ。蘇生されるのが分かってたなら、死なんて怖れるのかしら? 私は私の意志で動いたつもりなのに、やっぱり彼に動かされてたんじゃ無いかしら? 何をしても無駄と」
 そして深い溜め息をつく。そこにはもう笑みなど無く。
 論理的に考えると矛盾だらけである。ありえない事だが、彼女がそう感じているのなら仕方が無い。
「剣は‥‥どちらに?」
「蘆屋様の屋敷に放り込んだわ。後は知らない。蘆屋様は必要としていそうな品だったし、あの人はそれを望みそうに無かったからそうしたのだけど。それ以上、興味は無いわ」
 聞きたい事を聞いて、グリューネたちは黙り込む。なんともしこりの残る話ではあったが。
「とにかく京に戻りましょう。晴明殿との事は‥‥お二人にお任せしますが」
「そう、ありがとう。でももう駄目ね。彼が何を言おうとも、私が私の心を信じられないなら、他の誰をも信じられない。――そもそも彼を愛していた事すらあったのかしら。それももう分からないのに‥‥」
 窓を開けると、遠く空を見遣る。全てを吐露して、そこにあるのは抜け殻のようだ。

「何だ、またおぬしらか。用件とは何だ? そろそろ江戸に行かねばならず、わしとて忙しいのだ」
「安倍晴明殿の奥方・梨花殿より、剣を預かっておられるはず。それを御返還願いたい」
 陰陽寮にて、道満に面会願う。そっくり返っている親父に、零幻に亮、そして慌ててまた京に戻ってきた幸穂が礼を取る。
「はて、何の話やら」
 率直な物言いに道満の眉がぴくりと動く。だが、そこは年の功。動じず、そ知らぬふりを通す。
「まず、梨花さんが失踪した日、貴方の屋敷付近に彼女がいたのが目撃されている。加えて、その梨花さんも見付かり、彼女の口から貴方と不義を重ねていた事や剣の行方を聞いたけど? そして、晴明様殺害にはその剣が使われていると‥‥」
 亮が重ねるが、向こうはやはり動じない。
「男女の仲だ。他人が余計な口出しをすべきではないが、晴明が遺体で発見され、おぬしが京に戻り、梨花殿は行方を消した。その上で梨花殿の仲が世に知られれば、どのような風聞になるものやら」
「寝取られ亭主と笑い者になるのは晴明よ。あのすました顔に泥を付けられるなら、面白い話だ」
「だが、おぬしも笑い者の片棒になる訳だ」
 笑う道満に、零幻は構わず話を続ける。途端、相手の笑みが消えた。不愉快と言いたげに顔を歪めて、一同を睨む。
「何が言いたい?」
「ですから、剣を返していただきたいのです。その代わり、こちらも蘆屋様の安倍様殺害への関与は無かった事にします」
「わしは何もしておらん!!」
 かっと頭に朱を上らせると、恫喝して立ち上がる。だが、それをさらりと零幻は素通りする。 
「問題は世間がどう見るかだ。自分らの要求を受け入れてくれるのであれば、一般に知られる事はあるまい」
「うぬぬ‥‥」
 静かに告げる零幻に、道満は強く歯軋りしている。
 それから考える事しばし。冒険者たちが見守る中、道満は鼻息も荒く吹き飛ばすと、
「‥‥確かに。あの日屋敷に戻ってみると、何やら剣が一つ放り込まれていた。何事かとは思ったが、よく出来た剣であったしな。何かに使えると失敬した品がある」
 言って、寮内に用意された江戸行きに纏めた荷の中から一振りの剣を取り出す。
「これの事なら持って行くがいい。不要な疑いをかけられるのは適わん」
 差し出された剣を、零幻が手に取る。ずしりとした重さは、ようやくという実感を沸き立たせた。

「確かに、草薙ですね。ありがとうございます」
 冒険者ギルドの奥。揃った冒険者たちから剣を受け取ると、安倍晴明が顔を綻ばせる。
 生気の通った肌は透ける事無く。地に足つけてそこにいるのを、複雑な思いで一同は見遣る。
「しかし、道満の手に渡り江戸に運ばれていたなら、危うい所でした。今回の件は私の不徳から起きた事。皆様には多大な御迷惑をおかけして深くお詫び申し上げます」
 草薙の剣を丁寧に仕舞うと、晴明は深々と頭を下げる。
 京より出てしまえば、追う事は難しい。そうなると紛失した事実をいつまでも隠しておく訳にもいかない。重大事を起こした責任を追求されれば、晴明始め関与した高官貴族の異動・辞職も必須。そうなれば開いた席に入るのは、恐らく今最も力を持っている藤豊派。また、源徳に剣が献上されればそれがどう使われるか分からない。ただ、いずれにせよ政局が一気に変わったに違いない。
「無用な争いが避けられたのは良き事。だが、もうこのような事は無いよう気をつけていただきたいものだ」
 分かってはいたが、改めて説明を受けて零幻が疲れきった顔で苦言を述べる。
「それで‥‥奥方はどうするのです?」
 恐る恐るとグリューネが訊ねる。生憎不義を重ねたという証拠はよほど慎重に動いていたのか見つける事は叶わなかった。が、本人の証言がある以上、無いと葬る訳には行かない。
「離縁するしか無いでしょう。事件自体はなかった事にしてもらいましたが、それで元通りに出来る筈もありませんからね」
 微笑みながら晴明は告げる。
 きっかけは何時の頃やら。梨花自身すら覚えが無く、ただ少しずつしこりは積もり、疑念は凝り固まる。自身を疑い他人を疑い、その原因が自分にあるのだと知れば離れるのは当然か?
 まぁ、その結果をとやかく言う者は誰も無く。
「もっとも、道満に関しては別に考慮しなくてもよかったかと思えますけどね。何だったら責任全部擦り付けて野に追放もできましたのに」
「いや、それはちょっと‥‥」
 心底残念そうに告げる晴明に、一同頭を抱える。
 各個の思惑はそれぞれあれど、探し物は無事に見付かったのだ。ひとまず世は平穏無事、らしい。