そして優駿〜ノルマン最速の馬が勝つ!!

■シリーズシナリオ


担当:久条巧

対応レベル:11〜lv

難易度:普通

成功報酬:5

参加人数:7人

サポート参加人数:-人

冒険期間:04月28日〜05月07日

リプレイ公開日:2007年05月05日

●オープニング

──事件の冒頭
 駆けめくる心地好い風。
 春。
 競馬村にも、いよいよ危機が訪れていた。
 次のレースについて、ずっと続けられていた審議。
 そして競馬村で、その審議の結果が発表された。

「ノルマン競馬は、今回のレースで1度中止、『あいつ』が収まったら、再び再開することになりました!!」
 カイゼル卿が、集っていてる貴族や馬好き閑人達にそう宣言した。

『あいつ・・・・』

 競馬村から、ちょっと外れた村にまで侵食している『破滅の魔法陣』。
 あの侵食速度から、来月にはこの村が呑み込まれているという事だ。
 苦汁の選択。
 だが、危険を犯してまで、レースを続けるわけにはいかない・・・・。



──ということで冒険者ギルド
「なんと!! 今月で一度中止ですか?」
「ええ。ですが、公式では無く、別の場所が見つかるか、もしくは破滅の魔法陣が収まったら、再び再開しますよ・・・・」
 受付嬢のエムイ・ウィンズと話をしているのは、やはりカイゼル卿。
「うーむ。で、今月は『サツキ賞』ですよね? 一番速い馬が勝つっていう!!」
「ええ。まあ期待してください」
 そう告げて、カイゼル卿はスラスラと書類にサインをして、その場を後にした。
「早いうま・・・・『最強のキングズ』?」
 そうボソツと呟くエムイ。
 はたして、どんな結果になることやら・・・・。



●残り開催スケジュール(破滅の魔法陣終了より再開・告知を待て)
第4戦:『ノルマン・ディービー(2400m)』
第5戦:『マーシーズカップ(1200m)』
第6戦:『ノルマンオークス(2400m)』
最終戦:『カイゼルカップ・春(3200m)』
第3戦:『サツキ賞(2000m)』

●今回の参加者

 ea0828 ヘルヴォール・ルディア(31歳・♀・ファイター・人間・ノルマン王国)
 ea1662 ウリエル・セグンド(31歳・♂・ファイター・人間・イスパニア王国)
 ea3338 アストレア・ユラン(28歳・♀・バード・シフール・ビザンチン帝国)
 ea5817 カタリナ・ブルームハルト(33歳・♀・ナイト・人間・ノルマン王国)
 ea6282 クレー・ブラト(33歳・♂・神聖騎士・人間・神聖ローマ帝国)
 ea8078 羽鳥 助(24歳・♂・忍者・人間・ジャパン)
 ea8216 シルフィーナ・ベルンシュタイン(27歳・♀・ナイト・エルフ・ノルマン王国)

●リプレイ本文

●運命が駆ける
──春・シャルトル地方・ノルマン競馬村
 ノルマン春G1・サツキ賞。
 今回のレースは、プロスト領にあるノルマン競馬村特設コース。
 楕円形の草原コースで、距離は2000mの長距離。
 言い伝えでは。
 サツキ賞を制する馬は、最速の馬。
 それゆえ、馬の持つ気質がすべてを物語る。
 だが。
 運命はかくも残酷であった・・・・。


──ディービー厩舎
「走れそうか?」
 心配そうに厩務員に問い掛けているのはヘルヴォール・ルディア(ea0828)。
 先日のレースでの失速、それがずっと気になっていた。
「特におかしい所は見えないのですよ。スタミナが落ちたという所もなく。脚回りも問題なし・・・・」
 厩務員が再度チェック。
 だが、やはりおかしいところは見受けられない。
「この前の走りを見ていましたけれど、やはり後半の失速の原因が見受けられないのです・・・・ですが、現在はどこもおかしい所はありませんし、普通にレースにも出られますよ」
「そうですか。色々とありがとうございました・・・・」
 そう家告げて、ヘルヴォールは『斬新・ユニバース』の手綱を引きながらコースに向かう。
 調教メニューは大筋決定、ただし全体の八割程度に押さえ、集中力を持続させる方向で・・・・。
「これが最後のレースになるかもしれないのだから・・・・頼むわよ」
 そう告げて、最後の追いきりを始めるヘルヴォールであった。


──カイゼル厩舎
 調子は万全。
 調教もある程度進んだ日、ウリエル・セグンド(ea1662)は『深きインパクト』を連れて外に走りに出た。
 遠くから、破滅の魔方陣の見える場所へ。
 その森の中を、ゆっくりと警戒しつつ。
「アレのせいで・・・・休止・・・・人をすって大きくなって、人の楽しみも奪って‥‥ん、休止に入ったら‥‥俺も‥‥あれ対策の依頼を狙うよ」
 そっと告げるウリエル。
──キョト!!
 ふと、『深きインパクト』の耳が立つ。
 そしてしきりに周囲を見渡すと、ゆっくりと方向転換を始める。
「どうした‥‥」
 そう告げつつ、ウリエルも手綱を握る。
──シュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ
 突然森の奥から、白い霧が吹き出す。
 それは周囲の木々に触れると、それらを次々と枯らしていった‥‥。
「破滅の魔方陣の!! 『深きインパクト』っ!!」
 素早く鞭を振るうウリエル。
 そして『深きインパクト』もまた、そのウリエルの動きに反応した。

──だが‥‥

「‥‥速い‥‥まるで森に入った者を襲う‥‥魔物か‥‥まさか!!」
 そう叫ぶと同時に、『深きインパクト』が失速!!
「破滅の魔法陣が‥‥生きている‥‥駄目だ、ここで止まったら‥‥死ぬぞ!!」
 既に霧はウリエルと『深きインパクト』の半身を覆う。
 徐々に力が抜けはじめるが、どうにか森を抜けると、そのまま二人は村まで戻っていった。
 

──オークサー厩舎
「ほな、大丈夫なんやな?」
 『太陽のカーニバル』の背中を撫でつつ、アストレア・ユラン(ea3338)が厩務員にそう告げる。
「ええ。脚腰もしっかりしていますし、特に問題はありませんね‥‥今回もいい所までいけると思いますよ」
 その厩務員の言葉に、アストレアも満足して羽根をパタパタと羽ばたかせる。
「ウッドチップ‥‥用意してあるん?」
 そう問いかけるアストレアに厩務員も肯く。
「軽く併せましょう。今回はそっちのほうがいいでしょう」
 そう告げて、厩務員が奥から連れてきた馬。
 それは『レディエルシエーロ』だった‥‥。


──プロスト厩舎
 タッタカタッタカタッタカタ♪〜
 軽快にコースを駆け抜けるのは『漆黒のシップ』とその背中に乗るカタリナ・ブルームハルト(ea5817)。
「うん、いい調子。この娘はやっぱり芝地がいいよね‥‥」
 一気にゴール前直線まで出ると、そこから全力で走り出す『漆黒のシップ』。
 すでにカタリナとの息もぴったり、そのまま一気にゴールを抜ける。
──パンパンパンパン
「ふう。いままでで一番いい走りですね」
 そう告げるのはプロスト辺境伯。
「ええ。このレースでしばらく休みになるのは残念ですけれど、まあ、がんばります!!」
 そう告げると、そのままカタリナはゆっくりと走り出した。


──オロッパス厩舎
「新しい蹄鉄やな‥‥」
 クレー・ブラト(ea6282)は久しぶりに訪れたオロッパス厩舎の人たちに軽く挨拶を躱わした後、愛馬である『風のグルーヴ』の元にやってきていた。
「ああ。古代ローマが軍馬にはかせていた奴だ。古い石碑から解読して作った代物だな。蹄はこれで護られる‥‥」
──ガキィィィィン
 軽くて鋳鉄を打ち鳴らしつつ、鍛冶屋がそう告げる。
「体調はよさそうやし、ちょっと走ってくるで」
 そう告げると、クレーはひらりと『風のグルーヴ』に跨がる。
 そしてゆっくりと走り出すと、クレーは『風のグルーヴ』の調子を体で感じとった。
「本当にいいかんじやな。明日からはスタートダッシュと軽い走りこみで調整や‥‥」
 そう告げて、クレーは軽く慣らしで走る。
 そして翌日から、『風のグルーヴ』はレース前の調整に入った。


──マイリー厩舎
「もう1度‥‥」
 いよいよ始まった『天国のキッス』の調教。
「了解‥‥」
「次は、もっといい走りをしてくれよ‥‥」
「さて、それじゃあスタートに向かいますか‥‥」
 そう告げつつ、厩舎付きの苦可憐騎手達が、それぞれの馬をスタートに向かわせる。
 そして最後尾から、羽鳥助(ea8078)が『天国のキッス』に跨がってついていく。
 まだ実力がはっきりとしていない『天国のキッス』。
 その力を見る為に、羽鳥は他の馬との併せ調教を行なっていた。
 ちなみに併せに使われた馬は全部で4頭。
 順に『最強のキングズ』『全能なるプロイ』『最高のウィーク』『不思議なモーション』。
 実に豪華絢爛な併せである。
「御願いします!!」
 気合十分の羽鳥。
 はたして結果はでるのだろうか‥‥。


──アロマ厩舎
「とくに問題はなし。いつもどおり干し草の食いもいい。問題はないですね」
 厩務員の言葉に耳を傾けつつ、シルフィーナ・ベルンシュタイン(ea8216)は『怒りのトップロード』の手入れをシていた。
「ありがとうございます。調教スケジュールですけれど、坂路と併せを中心にしていきたいのですが」
 そのシルフィーナの言葉に、静かに肯く厩務員。
「では、坂路の使用申請を出しておきましょう、併せに使う馬はこっちでチョイスしておきますね‥‥」
「よろしく御願いします。あ、併せは私の馬を使いますので、坂路だけで‥‥」
 その言葉に促き、厩務員がその場をあとにする。
「さて、それじゃあ始めましょうか‥‥」
 そう告げると、シルフィーナは颯爽と『怒りのトップロード』に跨がり、コースに向かった‥‥。


●なんで私が〜ブランシュの私に乗る?〜
──スタート地点
 レース当日。
「さて。今回もこっそり辛い修行から逃げてきましたブランシュです。ではパリ開催第3戦の説明です。今の所一番人気は『深きインパクト』。あの脚筋に期待している人は多い筈!! 続いて二番人気は『天国のキッス』。賭けの受付はそちらの帽子の男性の所へ。オッズは右の掲示板をご覧くださいだっ!! それではっ」
──スパァァァァァァァン
 突然ハリセンを顔面に叩きつけられ、マスター・オズにズルズルと引きずられていくブランシュ。
 当然だな‥‥。


──パパラパーララーー
 各馬一斉にスタートラインに到着。
 そして今回のレースの主催者である7貴族から、まずはプロスト辺境伯が代表として前に出て挨拶。
 そしてそれが終ると、各馬一斉にスタートラインにつく。
「それではっ。よーーーい、すたーーーとっ!!」

 各馬一斉にスタートしました。
 先頭は『漆黒のシップ』。壮快な走りを見せています。
 続いて2番手は『風のグルーヴ』。続いて『天国のキッス』『怒りのトップロード』『太陽のカーニバル』『斬新・ユニバース』『深きインパクト』と続きます。
 トップと最後尾の差は3馬身。
 ペースはやや早めという所でしょう。

「‥‥いい感じに、前が見える‥‥」
 ヘルヴォールは後方から相手の動きをじっと見る。 
 若干他の馬がスタートでいい出方をしてみせた為、『斬新・ユニバース』は予想外に後方となってしまった。
 だが、それより後方で走っている『深きインパクト』。
「‥‥駄目だ‥‥本調子じゃ‥‥ない‥‥」
 遠乗りから戻ってから、『深きインパクト』の調子が戻らない。
 そのため、レースに出てみても今ひとつ走りに切れが無い‥‥。


残り1600m
状況に変化無し

残り1200m
状況に変化なし

残り800m
状況に変化あり

 ここでとうとう『深きインパクト』が失速。
 前を走る『斬新・ユニバース』との差をどんどん広げはじめた。
「もう無理だね‥‥これ以上は‥‥」
 そう告げつつ手綱をゆるめるウリエル。
 だが、『深きインパクト』は遅れつつもずっと走りつづけた。


残り600m
全ての馬がここから仕掛けはじめた。

「‥‥このまま逃げきって見せるっ!!」
 『漆黒のシップ』に跨がり、鞭を振るうカタリナ。
 だが、すぐ真横を『太陽のカーニバル』の手綱に『ぶら下がった』アストレアが駆けている。
「このっこのっこのっ‥‥」
 鞭はもう握られていない。
 『太陽のカーニバル』が勝手に走っているのである。
 そしてその直ぐ後ろをクレーの『風のグルーヴ』と羽鳥の『天国のキッス』が駆けている。
「このまま抜くで!!」
「‥‥いい感じになってきましたね。そろそろ全力でいきますよ!!」
 ここでさらに加速を始めた『天国のキッス』!!
 大外に逃げてからぐいぐいとトップとの差を縮めていく。
 

残り300m
さらに変動あり

「取ったぁぁぁぁぁ」
 競り合いに勝ち、トップに出たのはアストレアの『太陽のカーニバル』。
 そしてすぐ後ろを『漆黒のシップ』、さらに後方で『風のグルーヴ』と『天国のキッス』が競っている。

 そして駆けてきた馬が2頭。
「このままっ!!」
 シルフィーナの『怒りのトップロード』の鬼脚がようやく極まった!!
 そしてヘルヴォールの『斬新・ユニバース』もまた、加速を始めたが‥‥。


──そして
「ごぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉる。『怒りのトップロード』大逆転!! 優勝は『怒りのトップロード』。二着は『太陽のカーニバル』、相変わらずの馬任せ戦法!!」

1着:『怒りのトップロード』
2着:『太陽のカーニバル』
3着:『斬新・ユニバース』
4着:『風のグルーヴ』
5着:『漆黒のシップ』
6着:『天国のキッス』
7着:『深きインパクト』

 壮快なウィニングラン。
 ゆっくりとコースを走りつつ、観客に手を振るシルフィーナ。
「最高ですわ」
 その後ろを、『太陽のカーニバル』の鞍の上でぐったりとしているアストレア。
「もうあかん‥‥」
 そして、他の馬達はそれぞれの厩舎へと戻っていく。
 次にレースが復帰する其の日まで‥‥。


──カイゼル厩舎
 その夜。
 『深きインパクト』が倒れた。
 原因不明の衰弱。
 クレリック達が必死に魔法による手当を施すも、『深きインパクト』の体力は戻らなかった‥‥。


●神聖歴1001年秋G1・全成績(1着−2着−3着)
『太陽のカーニバル』  1−1−0
『漆黒のシップ』    1−0−0
『怒りのトップロード』 1−0−0
『深きインパクト』   0−1−0
『天国のキッス』    0−1−0
『斬新・ユニバース』  0−0−3
『風のグルーヴ』    0−0−0