発展途上英雄!!〜食糧救出作戦〜
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■シリーズシナリオ
担当:久条巧
対応レベル:2〜6lv
難易度:普通
成功報酬:1 G 87 C
参加人数:6人
サポート参加人数:-人
冒険期間:09月15日〜09月21日
リプレイ公開日:2004年09月19日
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●オープニング
──事件の冒頭
それは突然の来訪者であった。
一人の男が、大勢の人で賑わっている冒険者ギルドに姿を現わした。
そして静かにカウンターに向かうと、御存知『薄幸の受付嬢』に話し掛けた。
「ボンジュール、マドォモアゼェェェルゥ。今日は仕事の依頼にやって来ました」
何処かで聞いたことのあるような声。
だが、羽根飾りのついた帽子に表情の見えない仮面、そして派手なマントを身に付けている為、それが誰なのかは判らなかった。
「あの‥‥そのようないでたちでは、依頼をお受けしかねます。何か身分の判るものを‥‥」
そう告げたとき、男は懐から一つのペンダントを取り出して、そこに記されている紋章を見せる。
「あ、は、はい、これはこれは‥‥」
突然狼狽する受付嬢。
「ちょっと正体を知られると不味いのでね。とりあえず依頼書を書かせていただきます」
そう告げると、羽根ペンを手に、達筆で依頼書を書きあげる。
「ふぅん。あ、失礼しました。これは、完全な極秘任務なのですね‥‥」
そう呟く受付嬢。
「ええ、あの『秘密結社』の連中に正体が知られると、後々動きづらくなりますからねぇ‥‥とにかく、このノルマン、ひいては世界平和の為に活動する組織を作るため、優秀な人材を私の元に‥‥あ、こちらに送ってください‥‥」
そう告げると、男は羊皮紙に地図を一枚差し出すと、マントを翻して立ち去っていった。
男の依頼は次の通りである。
とある秘密結社の陰謀から、世界を救うための英雄募集。
敵の組織の全貌は今だ掴めず。
だが、奴等の魔の手は、確実にこのノルマンに侵攻しつつある。
奴等の陰謀を暴き、世界に平和を取り戻して欲しい。
なお、秘密結社の連中は何処に潜んでいるか判らないため、依頼を受けた諸君には、正体を知られずに活動するための『専用防具』を支給する。
各員がお互いの顔が判らなくならないように、『専用防具』は『レッド、ブラック、ブルー、イエロー、ピンク、ホワイト』の6色に着色させて戴く。
以上、諸君の検討を祈る。
──そして
「こ、これは完全に趣味よねぇ‥‥あの御方に、このような趣味があったとは‥‥」
そう呟きながら、受付嬢は掲示板に依頼を張付けた。
●リプレイ本文
『魔法戦隊ノーヴァンリッター』
──チュドーン(ファイヤーボム)
〜♪〜
英雄夢見て、旅に出た
僕らを呼ぶ声あれば、何処でも行きます、参ります
依頼があれば東へ西へ
仕事迅速 即解決
『全てを丸く治めましょう‥‥』
光溢るる世界に 潜み続ける数多の闇
闇より民を護る為 今こそ起て ノーヴァンリッター!!
六つの正義よ今 旋風となりて走れ
六つの希望よ今 閃光となりて闇祓え
不屈の闘志を胸に秘め 行け 我らのノーヴァンリッター!!
海を割るんだ(船落ちるってば!)
山を裂くんだ(近所迷惑だろそれは!)
多少無茶でも気にするな 走れ走れ 発展途上な英雄たち♪
多少無理でもやってみろ 行け行け 発展途上の英雄たち♪
(いや無理!ドラゴンとタイマンなんて無理ですからッ!いやー!(泣))
謎が謎を呼び謎のまま。謎は永遠に謎で謎爆発!!
謎が謎を呼び謎のまま。謎は永遠に謎で謎爆発!!
魔法戦隊(チャチャチャッ)ノーヴァン〜リッタ〜ああーーーってか。
〜♪〜
ふぅ。やれやれ。
●ということで〜ここからが本編〜
──とある村
そこは食糧の奪われた村。
村人達は交流のある近くの村に事情を説明し、多少だが食糧を分けてもらっていた。
そこに向かっている冒険者一同は、これからの事について細かい相談を行なっている。
『取り敢えず、ここから先の村の様子を細かく調べるのが先決だろう?』
それはフーリ・クインテット(ea2681)。
イギリス語で横に座っている相棒のサクラ・クランシィ(ea0728)にそう話し掛けている。
フーリはゲルマン語は全く駄目なため、サクラに訳して貰っているようである。
「‥‥ということで、相棒は、今回の依頼で村の可愛い女性をゲットしたいらしい‥‥ん? ふむふむ。イギリスよりも、このノルマンの方が美女が多くて最高な気分だそうだ」
あ、サクラが異訳している模様。
「私達は、これから困っている人々を助けに向かうというのに、なんと破廉恥な‥‥おお神よ、この哀しい咎人に慈悲を与えたまえ」
サクラの異訳を聞き、天を仰いで十字を切るのはウィル・ウィム(ea1924)である。
「でもさぁ。村人の食料奪うって‥‥せっこいことする秘密結社だねぇ〜、僕の知ってる某結社は旗立てて領地を自称するぐらいだから‥‥それに比べると随分あこぎだね」
そう話しているのはエル・カムラス(ea1559)。
「そうですねぇ。確かに食糧を奪うっていうのはぁせこいって感じぃ、っていうか台所事情?」
リュリュ・アルビレオ(ea4167)がエルの言葉に相づちを打つ。
「まあ、まずは現場の調査からだろうな。そこから手掛りを探し出し、食糧が隠されている場所を探し出す。村人の為に何とかしなくては」
リスター・ストーム(ea6536)が皆にそう諭すように呟く。
が、心の中ではこんな感じ。
(秘密結社と言うからには、やっぱり騙されて連れてこられた美女とかがいそうだな。そして無理矢理幹部にされていたりして‥‥ソコに生まれる禁断の愛!! 最終的には俺様の愛の力で更正させて‥‥ぐふふっ)
よし、更正してもらおうじゃないか。
そんなこんなで現地に到着。
●村の調査〜無敵の嗅覚?〜
──ベースキャンプ
まずは活動拠点となるベースキャンプの作成。
んで、完成(早っ)。
ちなみにベースキャンプには『せいぎのひーろー、まほうせんたいのーばんりったぁのひみつきち』という看板まで作られている。
ちなに専用防具はまだその中。
──村の中にて
一行は打ち合わせの後、彼方此方に聞き込みを開始した。
まだ冒険者達は専用防具を付けていない。
核心に触れるまでは、まだ普通の冒険者のままなのであろう。
エルは村の中の小さな酒場で、酒を呑みながら村の酔っ払いたちと意気投合。
「熊のような人間?」
「ああ。巨大というほどでもないが、熊だったな。ただ、その手は人間のようだったし、背中に巨大な剣を背負っていたしな‥‥」
いきなり良い情報。
「ふぅん。熊ねぇ‥‥」
そう言いながらも、エルはさらに酒を呑む。
つまり、これが怪人?
ウィルは被害者である村の食糧庫の管理人に話を聞きに向かっていた。
「6名程の人間ですか?」
「ええ。いきなり現われては、そのまま扉を壊して飛込んできまして。皆同じ様な姿で、顔が判らないように『笑った表情の仮面』を付けていました」
つまり、こっちは戦闘員?
「その連中はどっちに?」
敵らしき情報を得て、ウィルがそう問い掛ける。
「この先の獣道を‥‥」
「獣道ですか。その先には何かありますか?」
「何もない筈‥‥あ、確か、今は使われていない古い建物があります。昔の村長の作った建物らしいのですが、不便な場所ですし、その村長が死んでしまってからは使われていない筈ですが‥‥」
つまり、今回の敵のアジト。
──倉庫前
「クンクンクンクンクン」
四つん這いになって匂いを嗅いでいるのはリスター。
何かの匂いを捜しているのだが、残念ながら匂いの嗅ぎ分けはできなかった
「完全に気配を隠しているか‥‥」
パン!! 左掌に拳を当てて悔しそうな表情。
「そっちはどう? っていうかぁ情報公開?」
そのリスターの元に、リュリュが駆けつける。
彼女もこの倉庫近くで聞き込みをしていたのだが、これといった手掛りは得られなかった。
「駄目だ!! 奴等はどこに消えたんだ!!」
その言葉の後、二人の足元にスカーンとナイフが突き刺さる。
それには羊皮紙が縛り付けられている。
「何?」
リュリュがそれを手に取り、開く。
中には『スクランブル』の文字が書き記されていた。
──物蔭
サクラは全員の行動を、物陰で腕を組んで見守っていた。
「フッ。成る程な‥‥ウィル達は情報を集めたか‥‥」
そしてスクランブルと書かれた羊皮紙をナイフに縛り上げると、リュリュ達に向かって投げていたようである。
あんた、渋いよ。っていうかズルいよ。
●輝け!! 発展途上英雄!!
──古い建物
「ふっ。これであの村の食糧は全て頂いた。あの村の人間達は、このままだと餓死してしまうだろう。その前に奴等は他の村や街へ移動する。そうすれば、この村は我々『シルバーホーク』のものとなる!!」
中央ホールに山のように積まれている食糧。
その前で、覆面をした一人の忍者がそう呟く。
ピシッとしたボディーに密着するスーツ、あちこち切り取って繋ぎあわせたようなレザーアーマー。
どうみても、あんたが女幹部って奴ですか。
「さて、そろそろ仕上げと参りましょう」
彼女の手前で、熊が口を開く。
その熊の口の中に人間の顔があるということは、あんたそれは熊の着ぐるみかあぁぁぁ。
「うむ。シルバーバロン殿も我々の成果を待っている、頼むぞソードベアー、そしてスマイリー達よ!!」
手にした鞭をピシィッと鳴らし、熊さんの後ろの仮面の者たちにそう叫ぶ女幹部。
「ヴェェェェェイ」
なんつー声出すんだアンタら。
っていうか、凄い名前だな。
「そこまでだっ!!」
突然建物の外から声がする。
──ドゴォォォォォッ
激しい怒号と同時に、扉が吹き飛ぶ。
扉の蝶番の部分にフーリーがウィンドスラッシュで切り込みを入れる。
そこに向かって、全員で同時に飛び蹴りを叩き込んだのである。
「何者だっ!!」
女幹部がそう叫ぶ。
その場には、全身をピシッと隠すボディースーツに身を包んだ5人が立っていた。
顔にはレザーヘルムを改良したマスクが被られ、胸許と腕には同じくレザーアーマーを切り取って作られたパーツアーマー。
シフールには体に優しい全身布仕様。
そして色とりどりの色彩を放ち、その場に立っている。
──さて、そろそろいくか。
「不埒で無茶な悪行三昧、セーラ様の名の元に、あたしたちが許さないっ」
その声はリュリュ。
拳をギュッと握り締め、目の前の幹部達に突き出す。
「灼熱のレッド!!」
そして御決まりのガッツポーズ。
「蒼き月光に導かれ‥‥我、その名の下に一条の光とならん」
その言葉と同時に空中に羽ばたく。
そしてくるりと回転すると、飛び蹴りのようなポーズ。
声から察するにエル。
「蒼蝶のブルー!!」
そして同じくガッツポーズ。
「正義の風が俺を呼ぶ‥‥」
その場で力強く構える。
どうみてもその姿はパワーファイター。
その声はサクラの様だが、口許からはイギリス語。つまりフーリ。
「閃光のゴールドイエロー!」
しかも色塗り変えているし。
「正義の名のもとに参上。貴方がたの所業‥‥たとえ天の神々が許そうとも、私たちが許しません!」
静かに立ち、組んでいだ右腕を敵に伸ばし、指先をビシッと向ける。
声から察するとウィル。
「天啓のホワイト!!」
「天呼ぶ、地呼ぶ、俺を呼ぶ、美女を愛せと俺を呼ぶ!!」
ああっ、これだけは勘弁。
クネクネと体をよじらせ、前モッコリのスーツでそう叫ぶリスター。
「歪愛のピンク!!」
そして鶴のポーズ。
「参上!! 魔法戦隊ノーヴァンリッター!!」
そして全員がポーズを取る。
「おのれ、スマイリー達よ、やっておしまい!!」
女幹部が、笑いの仮面を付けた戦闘員にそう叫ぶ。
「ヴェェェェェィ」
まあ、雑魚は放っておいてと。
「あいつは俺に任せてくれ!!」
ピンクが女幹部の元に駆け寄る。
「おっ姉っーさーん!! 俺様と禁断の愛を深め合おーう」
鞭を振りながら叫ぶピンク。
だが、女幹部も鞭を唸らせて、その鞭を払い落とす。
「お姉さんではないっ。私は、シルバーホーク様の右腕。『謎の公儀隠密御庭番衆筆頭』、その名も」
──チャキーン
ビシッとキメポーズ。
「シスター・オニワバン!!」
ああ、もう何がなんだか。
本物の公儀隠密がきたら、あんた瞬殺だよ。
そんなこんなで戦いは続く。
雑魚のスマイリー如きに遅れを取るノーヴァンリッターではない。
あっさりと蹴散らすと、そのまま熊怪人と対決となった。
だが、いい所まで熊怪人を追い詰められたのだが、最後の詰めが決まらず逃げられてしまう。
「ほーーっほっほっほっ。覚えていらっしゃい、ノーヴァンリッター!!」
捨てセリフを残し、シスター・オニワバンもその場から走り去る。
「逃げられた? っていうかぁお約束?」
レッド、悔しさの拳を握り締めて天を扇ぐ。
「ふっ。今の君達には決定的な力が足りない‥‥」
ブゥンと近くの樽が人の姿に変わる。
「ブラック!! それはどういう事だ!!」
ブルーが叫ぶ。
「今回の戦い、蔭から見させてもらった。君達は決定的なチームワークが欠けている。そう、一撃で敵を倒す必殺技がないのだ」
ブラックのその言葉に、全員が言葉を失う。
「考えるんだ。君達の中には、まだ未知の力が眠っている筈だ‥‥」
そう告げると、ブラックは立ち去った。
未知の力って、魔法か?
ブラック美味しいとこ取り。頼むから手伝えよ。
●そして〜戦闘後〜
──冒険者街の小さな酒場
そこは最近になって作られた酒場。
元々は雑貨屋だったらしいが、とある貴族がそれを買い取り、酒場を作ったのである。
ノーヴァンリッター達のアジトでもあり、暇なときはここにいる事もあるようだ。
「はーーっはっはっはっ。色々と大変だったねぇ」
仮面を付けた酒場のマスターがそう呟く。
ってその派手な笑い。
あんた、ここで何してるの?
これだから道楽貴族は‥‥。
「でもぉ、無事に食糧は取り戻したしぃ。っていうかぁ大願成就?」
その言葉の意味はちと違う?
「おっ、集まっているね」
そこにサクラ遅れて登場。
『助かった。これで会話が繋がる』
そうイギリス語で呟くフーリ。
「ん? あの女幹部いい尻しているなって? また随分とムッツリスケベだなぁ」
ああ、また異訳しているし。
「うわ、最低っ。ていうか超変態?」
リュリュはプイ、とそっぽを向く。
「決定的な力かぁ。マスター、この近くに採掘場あったかな?」
いきなり特訓モードかよ!!
「そうですね。彼等を悪の道から更正させるのも私達の務めです」
ウィル、綺麗に纏めたな。
そんな中、リスターが天井を見つめながらボーーッとしていた。
「ああ。オニワバン。いい乳していたなぁ‥‥俺達がみっちりと再教育してあげなくては‥‥」
リスター、妄想爆発中。
EDはどうした?
〜続く!!