●リプレイ本文
●早速ミッション〜人使いの荒さは天下一品〜
──冒険者酒場マスカレード
店内は新装開店で訪れた客でごったかえしている。
「はーい。6番テーブルサん、鹿肉のロースト、ハーブソース添エ上ガリマしたー!!」
厨房からは、威勢のよい青龍華(ea3665)の声が聞こえてくる。
でも、ちょっとカタコト気味であるが、それは愛敬。
「はいー。只今ぁ!!」
ニコニコとトレイ片手に走ってくるリュリュ・アルビレオ(ea4167)が、料理を手にテーブルに走る。
「おっ、ねーちゃんいい尻しているねぇー」
──サワッ
酔っぱらいの一人がフォルテシモ・テスタロッサ(ea1861)のおしりをサワサワ。
「あらー。お客様・・・・」
にっこりと微笑むフォルテシモ。
──サワサワ
「ここは、健全な酒場なのぢゃよっ」
と、額がヒクヒクとしてくる。
「いやいや、いいお尻じゃ。安産型だねぇ」
──サワサワ
全身がぶるぶると震えだすフォルテシモ。
「あわわわわわわ、フォルテシモさーーん。こっちのお客さんお願いしまーす」
ブチ切れ寸前のフォルテシモを呼び寄せると、別のお客の相手をお願いしている利賀桐まくる(ea5297)。
「はーい。それでは失礼しますねー」
顳かみをヒクヒクさせながら、別の客の元に移動。そして入れ違いにカタリナ・ブルームハルト(ea5817)が助平客の元にエールを運んでいくが。
──サワッ
又しても助平客は、カタリナの胸にタッチ。
「ちっ!!」
そのまま横を向いて舌打ちする助平客。
「女装男の運んできた酒が飲めるかっ!!」
ちなみにリュリュとカタリナ、ギルドからの依頼でいくつものレストランや酒場でウェイトレスの仕事をしていた為、客の捌きは見事なものである。
つまり、こういう事。
「カ・タ・リ・ナ・ボンバー3っ、日々是大安っ!!」
──ちゅどーん
あ、助平客が禁句(ぺったん胸なし真っ平ら漢女)を告げたようですな。
まあ、これも良くみる光景。
「ボクは女だぁ!! ちゃんと胸だってあるんだ!!」
そんな叫び声も聞こえてくるようですが、全面却下という事で。
恐るべし、ノルマン女傑三人衆の右腕。
ちなみに筆頭は殴りクレ・・・・いや、失礼。
仕事も一段落し、夜からの営業前には舞台の稽古が始まる。
夜はメンバー達が持ち回りで演劇を見せるのである。
●かなり凄い裏があったようで〜頑張れ神父さん〜
──ブルーオイスター寺院
まずはここに居ることの許されている唯一のメンバー、ウィル・ウィム(ea1924)が寺院に突入。
セーラの使徒であるウィルを寺院は歓迎し、院長への面会も許されたのである。
「これはご苦労様です。本日はどの様なお話しでしょうか」
ニコニコと挨拶をしてくる院長に、ウィルも丁寧に挨拶を返す。
そして直に本題に話を切替えた。
「では、単刀直入に伝えます。エドワード院長。貴方はシルバーホークに命を狙われています・・・・幸いなことに、奴等は神の領域である寺院や大聖堂、修道院などでの殺生は行ないませんが、ひとたびそこから外に踏みでると、恐らくは全力を持って命を狙ってくるでしょう。しばらくの間、私が院長の身の回りを警護し、安全を約束します」
その言葉に、院長は天を扇ぎ十字を切る。
「おお・・・・ついにシルバーホークは私の元にも・・・・」
その言葉に、なにか心当りがあるらしいエドワード院長。
「もしよろしければ、心当りの事をお聞かせ頂けませんでしょうか?」
「ええ・・・・判りました。実は・・・・」
そう告げてから、エドワード院長は静かに口を開いた。
〜〜回想
今から半月程前。
ブルーオイスター寺院に一人の若者が逃れてきた。
彼は一人の少女を抱え、この寺院に保護を求めてやってきたのである。
幸いなことに、幼い子供は受け入れているブルーオイスター寺院、少女であっても構わないと、男とその少女を受け入れたのである。
そして男の口から聞かされた真実。
少女『ティミディ』が実は、アサシンガールと呼ばれている暗殺者として『調整』を受けている最中であること。
男『キィ』はその調教を担当していた担当官であったこと。
今までに自分の犯した罪に耐えきれず、男は少女を連れて逃げたのである。
そしてどうにかここまで逃れてきたらしい。
院長は、逃げてきた男からアサシンガールと呼ばれている少女達の『調教施設』が複数あることを教えて貰ったのである。
そのまま平和な時間を過ごしていた男と少女だが、ある日、男は少女を院長に預けると、そのまま寺院の外に飛び出してしまった。
そして、数歩歩いた路上で、ムーンアローによって蜂の巣にされてしまったのである。
少女もまた、その光景を見て恐怖から逃れる為に走り出し、同じく寺院の外に出た瞬間に男と同じ末路を辿ったのである。
〜〜
「その場所を知っているが為に、院長は命を狙われていると?」
「恐らくはそうでしょう。キィ殿も私にこう告げていました。『寺院から出ない限りは、貴方の命は保障されています・・・・』と。今日は、キィとティミデイが悲運な最後を遂げてから一週間目。この事実を私は明日、王宮にある聖堂の大司祭に伝えに行かなくてはなりません・・・・」
真剣な眼差しでそう告げる院長。
「ちょっと待っていてください。ここまでの事を、仲間に伝える必要が有ります・・・・その上で、私達『王国歌劇団』が院長殿の護衛を務めさせて頂きましょう」
ウィルはそう告げると、一旦席を外して建物の外にでる。
「お話はもうお済みですか?」
入り口にハーブティーを持ってきた『アンダーソン神父』が、ウィルにそう問い掛ける。
「いえ・・・・しばらくの間は、私達が院長の護衛を務めさせて頂きます。これもセーラの使徒としての務めですから・・・・」
そのウィルの言葉に、丁寧に頭を下げるアンダーソン神父。
ただ、その瞳の中に、暗い『なにか』をウィルは本能的に感じ取っていた。
そして柵の外で待機しているサラサに合図を送ると、サラサ・フローライト(ea3026)は静かにテレパシーを発動させる。
『なにか判りましたか?』
『ええ・・・・実は・・・・』
そのまま院長から聞いたことを全て説明するウィル。
『寺院から出た時点で、恐らくは院長も蜂の巣でしょう。嫌な気配を出している人たちが、ずっとこちらの様子を伺っているような気がするのです・・・・。この件は仲間にも伝えたほうが良いでしょう・・・・』
そしてサラサ・フローライト(ea3026)は、自分の横で周囲を警戒しているチェルシー・カイウェル(ea3590)にも話を説明。
「うーーーん。今判った限りでは、4人の不審者がいるだよねー。あの建物の蔭に二人、あの建物の窓に一人、あと、そこの寺院を見て拝んでいるおじさん・・・・」
そう小声で説明するチェルシー。
確かに、サラサもその方角に注意すると、いますいます怪しい人物。
「先制攻撃しますか?」
「いや、シルバーホークでなかった場合、私達は自動的にお尋ね者だ。相変わらず暗殺については上手い連中だな・・・・」
サラサを始め、今回のウェイトレス募集に受かったンバーは、裏の仕事を受けるにあたり、ギルドの書庫を訪れてはいくつもの報告書を熟読してきたらしい。
そのやり方に怒りを感じているのはサラサだけではない。
「取り敢えず、ウィルさんが中で護衛を行なっているそうです。チェルシーさんはこのまま此処で周囲の警戒をお願いします。私は急ぎ、周辺で聞き込み調査をしている皆さんに連絡を取ってきます!!」
急いで側に停めている『旧ノーヴァンリッター号』に乗り込むと、急いで仲間たちの元に走っていった。
●そして翌日〜正午の金が鳴り響く頃〜
──ブルーオイスター寺院周辺
暗殺のタイミングはほぼ掴んだ。
敵の戦力についてはまだ未知の部分はあるものの、サラサのアドバイスではムーンアローを使用できるバードが大半と推測。
あとは、敵の居場所を掴むだけ。
そう考えた一行は、全員が変装して寺院の周囲を警戒、鐘が鳴ると同時に魔法を発動させるであろうバード達の捜索を開始していた。
「では、参りましょう」
静かに寺院入り口に向かうウィルと、院長の護衛を務めるアンダーソン神父。
──カラーーン・・・・カラーーーン・・・・
そして寺院正面入り口を通り過ぎる頃、鐘が静かに鳴り響いた。
入り口に待機している馬車。
それに乗り込むと、静かに馬車は走り出した・・・・。
──そのちょっと前
「ターゲットは4名。3名はバード、一人は・・・・少女、おそらくはアサシンガールだよ。いける?」
現地調査班として残っていたチェルシーが割り出したおおよその敵。
それを真横に立っているサラサに伝えると、サラサは周囲にて変装待機している仲間たちに次々とテレパシーで連絡を取る。
「この人数の『意識の連結』担当は、疲れるのですよ・・・・」
テレパシーで連絡を取り、全ての仲間に次々と話を送る。それを一人でやってのけるのは、サラサではの技術であろう。
『アサシンガールらしき少女はわしが引き受けよう。腕が鳴るのぅ・・・・』
フォルテシモがそう返答。
『一人は私が。バックアップは任セマシタ!!』
龍華がそう告げる。
『おなじく、一人はボクがっ。バックアップ宜しくねっ!!』
ボクっ娘カタリナもそう告げる。
『では・・・・スリングで詠唱を止めますから、バックアップ宜しくです』
まくるもそう仲間に連絡。
と、寺院正面入り口にウィルの姿が見えてきた。
『では、作戦開始っ』
素早く行動を開始する一行。
それぞれがターゲットとした相手に意識を集中、そして相手が印を組んだ瞬間、一斉にスターート!!
──ヒュウッ・・・・ドゴオッ
「はい、そこまで‥‥です」
まくるの射出したスリングが、バードの詠唱を阻害する。
──ガシィィィッ
「パイフェイッ(無駄よっ)!!」
そして別の場所では、龍華がバードに向かって殴りかかり、それを躱わそうとして詠唱を止めてしまうバード。
──ギシギシッ
「院長さんはやらせないよっ!!」
さらに、カタリナもバードに飛び掛かり『力づく』で詠唱印を止めていたる
──ガキィィィン
「そこまでぢゃのう・・・・」
馬車に向かってダガーを射出しようしているアサシンガールの正面に飛込むと、其の手に構えているダガーを素早くディザームするフォルテシモ。
「貴方・・・・何者なの?」
そうフォルテシモに問い掛けるアサシンガール。
ここで全員のタイミングがドンピシャリっ!!
『王国歌劇団、参上!!』
「パリを騒がす悪党どもめ! 徳高き司祭殿を害するなど許す訳にはいかぬ! 王国歌劇団が一人、フォルテシモが相手じゃ、かかって来るが良い!」
ああ、今回は貴方がメインなのですね。
相手も相手ですしねぇ・・・・。
そんなこんなで乱戦突入。
詠唱を阻害された専業魔法使いほど、脆い存在はない。
このバード達のほとんども、高速詠唱はマスターしていないらい。詠唱行動に入ろうとするが、直にそれも止めて懐からダガーを取り出し身構える。
「それ以上抵抗すると、手加減では済まないアルっ!!」
相手のダガーをうまく躱わし、そのまま敵の懐に飛込む龍華。
そこから全身のバネを一気に開放し、敵の顎目掛けて一気に渾身の月を叩き込む。
「龍・牙・月・閃っ!!」
龍華の必殺・龍飛翔(りゅうひしょう)である。
──ブゥゥゥゥン
そのまま直撃を受けて倒れるバードに、チェルシーがスリープを叩き込む。
「これでもう魔法は使えないねーっ。とっととふんじばってーーーっと」
ぐるぐるとバードを縄でふんじばるチェルシー。
そして猿轡をカマせて言葉も封じ、一人目ゲット。
──ビシィィッ
一方カタリナ&リュリュチーム。
激しい乱戦模様で相手を一方的に殴り飛ばすカタリナ。
──ドシュッ
だが、こちらのバードは高速詠唱タイプ。
うまくカタリナに向かってムーンアローを叩き込むが、根性と気合で抵抗する。
「ボクはオーラの鎧を纏っているんだからっ。そんなやわな魔法は聞かないよっ!!」
そのままバードをガシッと掴むと、力任せにリフティング。
そのままぐるぐると回りながら、頭上遥か遠くに吹き飛ばす!!
──ドゴゥゥゥゥゥゥゥッ
「必殺、ブルーオイスターおろしっ!!」
ちなみに、ただ投げただけ。
その落下地点で、偶然リュリュのトルネードが発動しただけ。
でもカタリナの必殺技。
そのまま手をパンパンと叩き、リュリュとカタリナガッツポーズ!!
──ドシュシュッシュッ
一方まくる&サラサチームは魔法乱戦。
必死にまくるがスリングで攻撃し、相手の詠唱を阻害。そこにサラサのムーンアローが次々と叩き込まれる。
「はぁはぁはぁはぁ。そろそろ降伏しなさいっ!!」
額から地を流しつつも、サラサはそう叫ぶ。
その横では、まくるが涙を流しつつ説得。
──ウルウル
「その傷じゃあ・・・・もう死んじゃいます・・・・降伏して下さい・・・・」
その涙ながらの説得&サラサ気迫のムーンアローにより、バードは其の場に座り込む。
「負けたぜ、お嬢ちゃんたち・・・・」
──そしてトリっ!!
「良い腕ね・・・・でも、その程度の腕は、うちの訓練生にもいないわ・・・・。つまりへぼ?」
「へぼかどうかは、わしの身体を見てからいうのぢゃ。」
デッドアライブによりダメージを限界まで軽減し、さらにカウンターアタックを叩き込んでアサシンガールを追い詰めようとしていたフォルテシモ。
だが、カウンターアタックは届かず、ただダメージをギリギリで押さえるだけとなっていた。
──ガラガラガラガラ
そして馬車が寺院前から出発する。
「ふん。この勝負は預けます・・・・貴方のことは忘れないから・・・・」
そう呟くと、アサシンガールは瞬時に印を完成させる。
──ドゴォォォッ
そしてアサシンガールの足元が爆発すると、あとには誰も残っていなかった・・・・
「ちっ・・・・逃げられたか・・・・まあよい。任務は達成ぢゃ!!」
そうつぶやくと、フォルテシモはクルスソードを鞘に修めると、そのまま静かに勝利のポーズを取る。
●そして
無事にエドワード院長は王宮内聖堂へと到着。
その護衛を務めたウィルもまた、静かに聖堂をあとにする。
その入り口で、アンダーソン神父とすれ違ったとき、ウィルは一瞬だけすざましい殺気を感じた・・・・。
──ガバッ
咄嗟に振り向いたウィルだが、そこにはすでにアンダーソン神父の姿はなく、静かに礼拝堂の方へと彼の背中が見えていた。。
「只の神父殿ではないということですか・・・・」
そして再び日常が訪れる。
〜To be continue