【シャーリィレポート】巻き込まれて迷宮
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■シリーズシナリオ
担当:久条巧
対応レベル:6〜10lv
難易度:難しい
成功報酬:4 G 65 C
参加人数:8人
サポート参加人数:5人
冒険期間:11月26日〜12月06日
リプレイ公開日:2005年12月02日
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●オープニング
──事件の冒頭
ちょっと前・・・・
そこはとある屋敷。
──パチッ
静かに瞳を開くブランシュ。
「あ・・・・わたし・・・・いきてる・・・・」
そう呟くと、ブランシュはゆっくりと身体を起こし、周囲を見渡した。
そこにはヘルメスやアンダーソン、見知らぬアサシンガール達といった面々がいた。
「おはようブランシュ・・・・ようやく生き返ったわね・・・・」
そのヘルメスの言葉に、ブランシュはようやく状況を理解した。
再び生き返ってきた。
その喜びが、ブランシュの身体を駆け巡る。
「そう・・・・生き返ったんだ・・・・」
ぎゅっと両手で自分の身体を抱しめる・・・・
──サワッ
と、身体に馴染まない服。
ゆっくりと立ち上がり、クルッと一回りして、ブランシュは真っ赤な顔になる。
「へへへへ・・・・ヘルメスさん、このウェディングドレスは一体・・・・」
「貴方の彼氏からのプレゼントでしょう? 石化した貴方に着せていたみたいよ・・・・」
そう告げると、ヘルメスは小さなヌイグルミだけをポン、とブランシュに手渡す。
「彼氏・・・・ほーちゃんは彼氏なんかじゃありません。大体、あの人は私が殺すんだから。こんな余計な事している暇があったら、もっと強くなって欲しいものよっ・・・・大体なによ、この悪趣味なドレス、この私にこんなものを着せるなんてどうかしているわよっ・・・・」
プイッと後を振り向き、ブランシュは手渡された人形をじっとみる。
(ほーちゃんだ・・・・)
ギュッとそれを抱しめる。
その光景をヘルメスはちらっと見ていた。
「さてと・・・・紹介するわ、貴方の新しい妹達よ。それと、ブランシュ、貴方のコードネームも変更するわよ」
「変更ですか? それは構いませんけれど・・・・」
そう告げたブランシュに、ヘルメスはボソッと一言。
「ツンデレラ・・・・それが今日から貴方のコードネームよ」
その名前にどんな意味があるのか判らないが。
本能でブランシュはヘルメスに哀願した。
「それだけはいやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
「ふっふっふっ。もう遅いわ。貴方は今日からツンデレラよっ!! さあ、とりあえず屋敷の掃除をして貰いましょうか!! その後は食事の準備、やらないといけないことはいくらでもあるわよっ」
其の日、夜遅くまでブランシュの泣き声が聞こえていたことはいうまでもない・・・・
意地悪妹もいっぱいいるしねぇ。
●そして本題〜こっちのほうが短いってどうよ?〜
「では、今回もアビス攻略の為の依頼という事でよろしいのですね?」
そこは冒険者ギルド。
薄幸の受付嬢が、シャーリィ女史にそう確認していた。
「はい。今度こそはあの迷宮を突破したいのですよ・・・・私の先生でもあるミハイル教授が突破できなかったいわくつきの迷宮ですから・・・・」
そう告げると、シャーリィはそのまま冒険者ギルドを後にした。
●リプレイ本文
●さて
──パリ、ロイ考古学研究室
「まったく・・・・こうも難しい解読作業は久しぶりぢゃよ・・・・」
「まったくぢゃ。そもそも、ワシまでミハイルと一緒に解読作業をすることになるとはのう・・・、ミハイル、すまんがそっちの文献を貸してくれ」
御存知考古学チーム、ミハイル教授とロイ教授の奇蹟のコラボレーション。
ほーちゃんに頼まれて、ロイ教授はミハイル教授と共に文献の解析作業を行なっている。
そのついでに、ロイ教授はミハイル教授の監視も頼まれていたらしいが、解析が始まった二人にはそんなことはおかまいなし。
「それでだ。これは仮にの話として聞いて欲しい」
そう話を切り出しているのはフィル・フラット(ea1703)。
今回の目的地であるアビス、そして情報のみが先行している破滅の魔法陣について、フィルは教授達に話を聞くためにやってきていたのである。
「例えばだ。紋章剣が魔法陣の贄になっている状況でオーブを破壊すると紋章剣がどうなりそうか、それに新しい停止方法の当てが出てきていないか」
その問いには、教授二人がこう呟く。
『そりゃあ、紋章剣の魔力が消滅するぢゃろうなぁ・・・・。新たなる停止方法といってものう・・・・』
そのまましばし調査を続行。
「なら、あの迷宮の『攻性障壁』の突破に関していい知恵が無いか?」
「あれは手を出さないほうが無難ぢゃのう・・・・わしの時にもあった奴じゃな・・・・ワシらは手を出しておらぬからのぅ・・・・」
それ以上の進展はない。
そのまま一行は其の場をあとにした。
──そして
「うむむ、この部分、ワシの研究室の本が必要ぢゃな、ロイ、ちょっと取ってくる」
「ああ、とっとといってこい・・・・」
解析モードに入った二人には、すでに他のことは見えていないもよう。
まあ、そんなこんなであの事件が起こったわけですな。
──カトリーヌ宅
「うわ・・・・ごうていなのー」
「カトリーヌさんのご自宅って、実は資産家でしたのね・・・・」
レン・ウィンドフェザー(ea4509)とシャルロッテ・ブルームハルト(ea5180)の二人は、カトリーヌの元を訪れて力を貸してもらおうと交渉にやってきていた。
だが、当のカトリーヌが行方不明となっているという事実を家人に伝えられ、やむなく断念。
「最後に向かった場所がわからないから・・・・どうしようか?」
「うー、とりあえず、みんなのところにもどるのー」
ということで、こちらも合流。
──停車馬にて
「アンタ、ついに独立したのか・・・・」
目の前にあるニ台の『ファルコン号』。
その側で話をしていたアンタ・バッカーとハン・フォードに、無天焔威(ea0073)がそう話し掛けていた。
「ああ、ようやくな。とりあえずは当面、冒険者相手の仕事になると思うし。で、今回はどこまでだ?」
そう告げるハンに焔威は今回の目的を告げる。難無く交渉は成立し、冒険者一行は『ファルコン号』で目的地であるプロスト領へといざ出発。
●アビス手前〜ディープロード〜
──アビス・生者の門
「これが、死者の門の手前に落ちていた鎧です・・・・何者かが、死者の門を通っていったという事実はこれで確認できますが、私達ではここを通り抜けることはできませんから・・・・」
ディープロードがアリア・プラート(eb0102)とグラン・バク(ea5229)にそう伝える。
アリアはディープロードに、ここ最近になってここを訪れたものがいないかどうか訪ねていた。
「生者の門から一人。女の子が突破してきましたよ・・・・そのままぼろぼろの服で、どこかにふらふらといってしまいましたけれど・・・・」
「少女・・・・アサシンガールか」
そう頭を捻るグランに、ディープロードが一言こう告げた。
「ああ、確か・・・・があがあって、アヒルの物真似をしていましたねぇ・・・・」
そう告げるディープロードの言葉を、グランはとりあえず心に留めておく。
その少女良く知っている者が冒険者にはいる筈だから。
「それと、アビス最下層にあるらしい破滅の魔法陣ですけれど、私の元にはそれらをどうこうするという情報はありませんね。もし知っていたなら教えますし、そもそもここを開放はしませんから・・・・」
「まったくだな。まあ、ここから先はあたいたち冒険者の出番だ、大船にのっていて構わないぜ」
アリアがディープロードの背中をバンバンと叩く。
かくして一行は、準備を整えるとディープロードに突入した。
●迷宮突破は生き地獄〜トラップが問題です〜
──第35階層
ミハイル教授の話を推測し、さらにアリアがテレパシーを駆使しつつ一行は幻影の回廊を突破。本来ならば存在しない壁を発見し、さらなる地下へと進んでいったが。
「うっわー」
広い回廊。
白と黒の四角い石がはめ込まれているその回廊は、床のそれぞれの石が上下していた。
尤も高いところでは天井へと届き、それは瞬時に床へと戻る。それがあちこちで起こっていたのである。
──コンコン・・・・バギッ
床を長い棒で調べていたフィルも、瞬時に棒がへし折られる。
「テレパシーもここじゃあとどかねーぜ。普通のギミックだとおもうぜ?」
アリアもお手上げ。
魔法による調査が一通り行われたが、コトセット・メヌーマ(ea4473)のほうから一つ言葉が零れる。
「白が下がると黒がせりあがる・・・この法則は不変として・・・・せりあがる条件はと・・・・・」
革鞄からごそごそと保存食を取り出し、乾燥したパンを千切って放り投げる。
──バン・・・・ギギギギギギギキ
パンの落ちた床が瞬時に天井に伸びた。
そしてゆっくりと降りていく。
「何かが乗った後の反応は早いですね。でも、それが戻るときの速度は半減・・・・」
ハルカ・ヴォルティール(ea5741)が静かにそう告げる。
「つまり。こういうことか?」
コトセットが白い石にパンを放り投げる。
それは瞬時にせりあがり、ゆっくりと降り始めた。
その瞬間、コトセットは下がっている最中の白い石に飛び乗ると、そのまま元いた場所に戻ってくる。
「降りきるまでは反応しないと。この法則でいくしかないが、かなり難しいな・・・・」
それでも、石の配置によって速度が違う事も突き止めたハルカとコトセットのおかげで、どうにかそこは突破。
しかし、そこから先のトラップだらけの回廊で、一行は予想外の時間を費やされる事になってしまった。
●運命の時間〜タイムリミット〜
──第97階層
トラップの処理でこれほどまでに時間が費やされるとは、一行は予測していなかった。
それでもどうにか最下層らしき近くまで降りてきた一行だが、その回廊にたどり着いた瞬間、アビス全体が冷たい雰囲気に包まれる。
「・・・・まだたどり着かない・・・・フィル、どうなんだっ!!」
そう叫ぶコトセット。
扉に仕掛けられたトラップが複雑な上、必要な道具が足りない。
力任せに破壊するにも、『攻性障壁』に護られている扉は破壊できない。
まさに、今の一行にとっては最悪のシナリオとなった。
そして突然、空気が暖かく感じたとき、全員の意識がスッと消え始め。
(いけないっ!!)
咄嗟にシャルロッテはヘキサグラム・タリスマンを手に意識を集中する。
「まさか・・・・発動したのかよっ!!」
焔威がそう叫ぶと、手にした紋章剣に意識を集中する。
そしてグランもまた、ある覚悟を決意して紋章剣を発動。
──ヴゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン
ふた振りの紋章剣。
それを同時に構えると、フィルに向かってどうじに叫ぶ!!
『離れろっ!!』
──バジバジバジバジバジバジッ
二人の意志の力をも増幅し、紋章剣はさらに鋭さをました。
そしてその二人の一撃で、扉は完全に分断された。
だが、グランと焔威はかなりの傷を受けてしまう。
──ヒュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ
その刹那。
一行の後ろの回廊から、大量の光が流れてくる。
扉の向う、目の前の回廊に向かって、幾千もの魂が、光の筋となって流れていった。
「は、はつどうしたのーーーーーーーーーーっ」
絶叫するレン。
そして一行の意識が尽きかけていったとき、シャルロッテの手の中のタリスマンが発動。
──ヴン!!
一行を聖なる結界で包む。
その効果なのか、一行の意識は突然元に戻った。
「聖なる結界なら・・・・身を護れるのですか・・・・」
そう告げるハルカに、者ル炉手は頭を左右に振る。
「判りません。ですが、私達は助かりました・・・・」
そう告げて、一行は最後の回廊を突き進む。
残された時間は、タリスマンの発動タイムの1時間。この間に破滅の魔法陣を止めなくてはならない。
地上までは最短でも3日。
すでに、一行には先に進むしか道はなかった・・・・。
●ファイナル・カウントダウン
──残り5分
最後の回廊に突入して、敵ガーディアンはまったくといってよいほど見当たらない。
いや、正確には魂を失った抜け殻のみがあちらこちらに転がっており、生きたものは存在していなかったというところであろう。
そしてついに最後の回廊を抜けると、一行は目の前に広がる広大な空間にたどり着く。
ただし、光はない。
まったくといってよいほどの闇。
松明の光さえ、そこでは力を発揮しない。
その闇の中に、魂は吸収されていった。
魂の光の筋が闇に突き刺さる。
その刹那、魂からは幾重もの悲鳴が響いてくる。
辛さ
苦しさ
無念
なにも判らずに吸われていった者たちの悲鳴が、闇を更に大きくさせている。
「畜生っ!! 洒落にならねーじゃんかよっ」
素早く印を組み韻を紡ぐアリアだが、ずぐに印がほどけてしまう。
これ程の闇に対して、抵抗する手段をアリアはもっていなかった。
もし目に見えていたならば、アリアは贄を奪取していただろう。
だが、そこに広がるのは発動した魔法陣、破滅の闇。
自ら封印したシャドウボムですら、その闇を吹き飛ばす力はない。
──残り4分
指を咥えてみているだけしかできないのか?
今は魔法陣のフィールドでどうにか自分達を守っている一行。
だが、闇の中に突入したとしても、このタリスマンのフィールドでは瞬間に潰されてしまうだろう。
「せめて・・・・私にホーリーフィールドが使えたら・・・・」
それならば、まだ強い力を持つ結界を生み出すことができる。
だが、シャルロッテには使えない。
「せめて・・・・」
アリアは一つの賭けにでる。
韻を紡ぎ、テレパシーを発動させる。
キーワードは贄。
生きているものならば意志は繋がる。
幾つかの賭けというのは、そこまでの距離。
もしテレパシーが届かなかった場合、そこまでの距離は15m以上。
そして届いた場合、今の場所から贄までの距離は15m以内。闇までの距離が5m、つまり闇の向う10mに、贄は存在する・・・・。
──ビシィィィィィッ
「掴んだぜっ!!」
テレパシーは届いた。
言葉は返ってこないが、アリアは感覚を掴んだ。
「距離10m以内、ここから扇状のどこかに、贄は存在するぜっ。つまりそこが中心だっ!!」
その言葉で十分。
そして最後の賭けに乗るのはこの二人。
──ヴゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン
ふた振りの紋章剣が発動。
そして闇の向こうで共鳴する三つの紋章剣。
「どっちだ?」
「俺は二つのほうをぶっ壊す、グランはもう一つを頼む」
そう告げると、二人は紋章剣を構えた。
「ち、ちょっとまて、どうするつもりだっ!!」
フィルがそう叫ぶが、コトセットは焔威にフレイムエリベイションを、アリアはグランにレジストメンタルを施した。
「あとすこしでこのけっかいもしょうめつするの・・・・だったら、さいごのかけにでるの・・・・」
レンも決意したらしい。
すべては二人に握られていた。
ゴクリと息を呑む一行。
そしてシャルロッテもコクリと決意すると、タリスマンを中心に、全員が闇に向かって走り出したっ!!
──のこり2分
闇に突入した瞬間、シャルロッテはタリスマンを抱しめて意識を集中する。
すこしでも結界の力を強く。
本来はそれほどの力をもっていないヘキサグラム・タリスマン。
但し、ここの破滅の魔法陣に対しては、勝手が違っていた。
そのシャルロッテに手を延ばし、レンとハルカ、アリア、コトセットも魔力を注ぎ始める。
──ヴゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン
共鳴のみを便りに、グランと焔威は何かを探す。
そして二人同時にタリスマンから飛び出した!!
瞬時に二人の身体をオーラが包む。
紋章剣が二人を即死から守ったのである。
それでも意識を集中しないと、魂は肉体から引き剥がされる。
(剣が熱い・・・・これが・・・・)
焔威の紋章剣が熱くなる。
そして共鳴を便りに、焔威は溶けてなくなりつつある意識の中、それを探し出した!!
「ディンセルフよっ、力を貸してくれっっっっっっ」
──バッギィィィィィィィィィィィィィィィィィン
鋭く叩きつけたディンセルフの魔剣。
贄であったふた振りの紋章剣と共に、ディンセルフの魔剣もまたくだけ散る。
それが、その剣の運命。
──バジィィィィィッ
そして焔威に向かって振りかざされた一振りの紋章剣を、グランが受止めたっ!!
やがて闇が薄くなる。
そこは破滅の魔法陣の中心である。
其の場には、紋章剣を携えた剣士が立っていた。
「ダース・・・・肉体を捨てて、なぜその姿になってまで・・・・」
目の前にたたずむ、紋章剣を手にしたアンデット。
それにかつてのダースの意志を感じ取ったグラン。
それこそが、暗黒面に落ちたものの末路。
──ヴゥン・・・・ヴゥゥン・・・・
むやみに振回す紋章剣を、グランは簡単に避けていく。
「・・・・そうまで生にしがみつくか・・・・」
──ジュッ
そのままグランはダースだったものを分断。
瞬時にその魂はくだけ散った・・・・。
「戻ろう!! 地上にっ!!」
フィルの叫びで一行は地上へと戻る。
だが、そこは屍の転がる、生なるものの存在しない土地となっていた・・・・。
一行は失意を胸にパリへと帰還する。
少なくとも、贄の破壊で魔法陣は停止する。
それを伝える必要が、一行にはあった。
──そしてベースキャンプ
対魔獣兵団最前線。
そこには大量の墓が作られている。
墓碑には良く知っている大量の名前。
そしてそこには誰もいない。
マスター・オズたちの姿も、そこにはなかった。
失われた紋章剣。
破滅の魔法陣は発動し、近隣の者たちの命を奪っていった。
この冒険、失ったものが大きすぎる・・・・。
〜Fin