闇に煌く光3
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■シリーズシナリオ
担当:マレーア4
対応レベル:8〜14lv
難易度:やや難
成功報酬:4 G 98 C
参加人数:7人
サポート参加人数:-人
冒険期間:07月22日〜07月27日
リプレイ公開日:2007年07月29日
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●オープニング
●嘘つき少年の話
父さんと母さんが男の子を拾ったのは、今から十年前だったって聞いてる。川辺で見つけたそいつはずぶ濡れで、何があったのかひどく怯えてたそうだ。どこか俺と面差しが似てて、見捨てる事が出来なかった、って笑ってた。
その日から、そいつは俺の家族になったんだ。俺は良く覚えてないけど、そういう事らしい。だって物心ついた時から、トビーは弟で、一緒だったんだ。
二年前、父さんが死んでもそれは変わらなかった。母さんは懸命に働いて、俺とトビーもそれを支えた‥‥支えようと、してたんだ。だけど、ムリがたたって母さんは倒れた、倒れてしまった。
薬を買う金もなく、それどころか日々の糧にも事欠く生活。そのギリギリの中で、俺は思い出した。母さんが大事にしまっていた、ある物。それはトビーが身につけていたという、ペンダントだった。いつかトビーの家族が見つかるかもしれない、そう言って大切にしまわれていた、それ。変な模様みたいなのがついたそれは、俺の目から見てとても、高そうだったんだ。
だから、俺はそれを金に換えようとして‥‥そして、あの女の子に出会った。女の子はそれをどこで手に入れたのか、聞いてきた。俺は「拾った」と答えた。ペンダントを見つめる目が何か、怖かったからだ。
女の子はそれから、ある取り引きを持ちかけてきた。条件を飲めば、母さんを助けてくれる‥‥言われて俺は、頷いた。
それが誰かを‥‥エリシアという人を傷つけるものだと聞かされても、決意は変わらなかった。母さんの為なら、母さんとトビーとの毎日の為なら、何でもすると、何でも出来るとそう、思ってたんだ。
‥‥エリシアさんに、デュボワ男爵家の人達に実際に会う、までは。
●孤独なお姫様の話
「‥‥別に命まで取ろうと思っていたわけではないわ」
エリシア・デュボワ男爵令嬢を狙っていたメイドは、渋々といった風に口を開いた。
「ケガをさせたり体調を崩させたり、脅かしたかった‥‥思い知らせたかったのよ」
それでも、瞳には強い意志の光がある。
「財産目当てで、アンディ様に取り入った罪深い女‥‥そのせいであの方がどんなに心を痛めたか」
大切な主の為に、あの寂しい寂しい可哀相な子の為に。
「あの方にはアンディ様しかいないのに‥‥」
誰かを想い誰かの為に。だけど、それは時として‥‥。
「今日は私のお従兄様の話をしてあげるわ」
庭の手入れをしていたトビーは、嬉しそうに声を弾ませた少女に目を細めた。
大きな大きなお屋敷に、ミラルダは一人で住んでいる。正確には、昔からの数人のメイドがいるが‥‥やはり、そこには雇用関係がある。自分と兄のように、本音をぶつけたりケンカしたり笑い合ったり、そういうのはなくて。
広い屋敷はひどく、静かだ。
「お従兄様はとても優しくてとてもカッコ良くてとても素敵で‥‥」
でも、「お従兄様」の事を話すミラルダはとても、嬉しそうだ。彼女には感謝している。薬と栄養のある食べ物で、母さんは少しずつ元気になってきている。兄ちゃんはちゃんと、「お仕事」出来てるだろうか? 簡単な仕事だって言ってたから大丈夫かな? でも、兄ちゃんは意外と詰めが甘いからなぁ‥‥ちょっと心配だよ。
トビーは考え込んでいる。だけど、ミラルダは気づかず一方的に喋り続けている。
「私はお従兄様と結婚して、ずっとずっと一緒に暮らすの。幸せになるのよ」
夢見るように語るミラルダの声が、静かな静かな庭に溶ける。何故か何故だか、トビーはその姿を少し、悲しいと思った。
●リプレイ本文
●大切なモノ
「簡単に冒険者だってばれちゃうなんて僕もまだまだだなぁ」
事情を話し終え、唇を噛み締め俯いたノイル‥‥いや、フィリクに届いたのは、そんなテュール・ヘインツ(ea1683)の声だった。責める響きではない、ごく普通の声音に、思わず顔が上がる。
と、そこにあったのは、テュールのいつもの、今までと同じ笑顔。
「あ、でも仲良くしたかったのは本当だよ、‥‥それと試すようなことしてごめんね」
「俺‥‥俺こそ、ごめっ‥‥ッ!」
張り詰めていた糸が切れた。泣きじゃくるフィリクの肩を、天野夏樹(eb4344)がそっと支えた。
「辛かったよね。お母さんを助ける為だとしても、信じてくれる人達に嘘吐き続けるのは」
男爵家の人達をだましていたのは悪い事だ、と夏樹は思う。それでも、事情を知ってしまったら、こんな風に後悔している様子を見てしまったら、正面きって責める事は出来なかった‥‥だから。
「安心して、私達もお母さんとトビー君を助けるのを手伝うから。でも、嘘吐いてた事は確かだから‥‥男爵様にはちゃんと謝りに行こう?」
フィリクはこくん、頷いた。
「今回の件は、主が直接貴方達に指示を出したの?」
一方。問うたリーン・エグザンティア(eb4501)に、主犯と思しきメイドのメリーはきっぱりと頭を振った。
「お嬢様は関係ありませんよぉ。私が勝手にやった事ですぅ」
「それで貴女達だけでなく、主も罪に問われることを考えた上で?」
「全ては私の独断‥‥この子達もフィリクという子も、私に脅されて仕方なく手を貸しただけですわぁ」
リーンに答え、メリーは静かに微笑み。
「ッ!‥‥止めなさいっ!?」
その透明な笑み。リーンは咄嗟にメリーの頬を張った。一人責任を取って舌を噛もうとした‥‥多分、間違ってないから。
「動かないで下さい」
「はいはい、暴れないでな〜、カワイイ顔に傷つけたくないでしょ?」
色めき立つ他のメイドを、本多風露(ea8650)が刀で、ルクス・ウィンディード(ea0393)がモップで制する。
「そっちの姉さんもな。これ以上つまらない事したら、本当に怒るぞ」
ポンポン、モップで肩を叩きながらのルクスに、メリーの肩から力が抜けた。
「ミラルダさんのこと、好き?」
そしてポツリと落ちてきたリーンの質問。視線は床に落としたまま、小さく小さく頷いた。
「じゃあ貴女は死んじゃダメ‥‥ミラルダさんを悲しませちゃ、ダメよ」
リーンは膝をついて、メリーの肩に手を置いた。
「雇用関係とは別に、大切に思う気持ちがあるのなら‥‥今回は間違えちゃったけど、それはきっと彼女と貴女の支えとなるから」
願いと励ましを、込めて。
「フィリク君」
男爵に対面したフィリク。夏樹に促された少年は、懸命に言葉を紡いだ。謝罪を軸にした、今までの事情。
「彼も凄い後悔してます。此処まで大きな騒ぎにはなってませんし、後の始末も騒ぎにならないように私達も協力しますから、どうか寛大な処置をお願いします」
深々と頭を下げたフィリク、夏樹も必死でフォローを入れる。
「‥‥しかし」
「家柄的な噂を考えるのであれば、身内だけの話で済ませるのが一番かと」
渋い顔の男爵は、ルクスがボソリと呟くと慌てて首肯した。
「騒ぎを大きくしたくないのはこちらも同じだ。これ以上の手出しがないなら、それは別に‥‥」
「それについてですが」
ここで口を挟んだのは、ルエラ・ファールヴァルト(eb4199)。
「ミランダさんに諦めさせれば何とかなるかもしれません」
要は事をいかに迅速に収束させるか、なのである。
「メイドの処分は一任しますが?」
「処分‥‥いや、ミラルダ嬢が手出しを控えてくれれば、それで」
「そうですか。なら、事件の全容を知る者はデュボア男爵とアンディ殿、エリシア様の3人のみに留めるべきと思います」
騒ぎが大きくなれば、デュボワ男爵家やランクス子爵家の名にも傷がつく‥‥何より、子供達も巻き込まれるのだ。
それは事を荒立てたくない、男爵とも一致する。
「分かった。後の事は、君たちに任せても‥‥?」
「はい。但し、フィリク君の家族を保護する為にも、ミラルダ嬢と対面する必要があるでしょう」
ルエラは仲間達や男爵と、その為の手はずを整え。
「それから、一つお願いがあるんだけど‥‥」
そして、テュールはある思いを抱いて、男爵にある「お願い」をしたのだった。
●箱庭の対決
「アンディさん、嘘をついてごめんなさい」
愛犬達と風露と共にアンディを訪ねたギルス・シャハウ(ea5876)は、先ず謝った。神様にもごめんなさい、だ。
(「でも、多くの方の幸せな未来のためなら嘘もあり‥‥ですよね〜」)
と心の中では思ったりもするが、とにかくアンディに説明したわけである。
「それで男爵家としても、僕達冒険者としても、事を大きくするつもりはないんです」
「但し、それは彼女が罪を認め、反省する事が前提です」
風露の言いたい事を悟ったアンディは、直ぐに承諾した。
「分かりました。一緒に参ります」
やや青ざめた顔を引き締め、
「どうぞよろしくお願いします」
ギルス達に頭を下げた。多分それは、従妹を思って。
「お従兄さま!」
バレンシャ男爵邸。アンディの訪問を知ったミラルダは、それはそれは嬉しそうに笑って。けれどその笑顔は、アンディに寄り添うエリシアと同行するギルス達、そして、メリー達を認め、凍りついた。
「話は聞いたよ、ミラルダ」
「お従兄さま、私はそんな‥‥何も‥‥」
身体を震わせ、頭を振る小さな少女。14歳という年齢よりも、随分と幼く見えるその姿。駆け寄りたい様子のメリー達を止め、リーンは思う。
(「ああっもう! 認めるわ、認めますとも。私は彼女を嫌いきれていないわ」)
した事は確かに許されない。だけど、大好きな従兄に嫌われまいと、必死で取り繕うとするその姿は哀れで。
「何も知らなかったと、シラを切るつもりですか」
その傍ら。静かに静かに、風露が呟いた。けれど、違う。その声は凍えていた。その眼差しは鋭い光を放っていた。
実は風露は怒っていた。今回の事を引き起こしたミラルダに。リーンや夏樹が同情的な中、筋を通す性質の風露は、犯罪紛いの行為を起こしたミラルダを許してやる気はなかったのだ。
「自分はあくまで関与していない、メイド達が勝手にやった、と」
笑みが深まる。含んだ危険と共に。
「なら、そんなメイドは‥‥いらないですね?」
シュッ、風露の手が閃く。目にも留まらぬ速さで抜かれた刀が、その切っ先が、メリーの首へと真っ直ぐ飛ぶ。
「‥‥ッやめてっ!?」
瞬間、顔面蒼白になったミラルダが叫び‥‥切っ先は、メリーの首に到達する寸前でピタリと止まった。
「何故です? このメイド達はあなたの顔に泥を塗った咎人なのでしょう?」
「‥‥違ッ」
「何が違うのです?」
アンディに嫌われる恐怖、メリー達を見捨てられない気持ち‥‥葛藤は瞬き数度ほどだった。
「‥‥たしが望んだの‥‥その人がお従兄様に相応しくなくなれば、って‥‥」
「それで人の弱みに付け込み、親子の情を踏みにじったのですか?」
「だって私にはお従兄様しかいないのにっ!」
悲痛な悲鳴があがる‥‥が。
「身内がいなければ、幸せを奪う資格があるのか?」
そこに厳しさを含んだ声が投げかけられる。モップを装備したまま、それでも常に無く表情を引き締めたルクスだ。
「世の中理不尽だろうけどな、孤独と戦っていかなきゃなんねぇんだよ。人間は!」
一喝すると、ふと表情を緩める。
「恋とか愛の表現は自由だが‥‥表現法を間違えると嫌われるのが関の山だぜ」
「そうだよ! こんなやり方でライバルを蹴落としても、きっと後悔する。本当にアンディさんを想うなら、正々堂々と勝負しなきゃダメだったんだよ」
後を次いだ夏樹は、諭すように続け。
「もし、貴方が同じ事をされて、他の女がアンディさんと一緒になったとしても、その人がアンディさんに相応しいだなんて思えないでしょ? それと同じ。それに、アンディさんが、今の貴方の姿を見たらどう思うか、貴方なら想像出来るでしょう?」
ゆっくりとちゃんと心に届くように、丁寧に言葉を重ねた。
「貴女はまだ若い。まだ先がある。今に希望を見いだせなくても、いつかきっと見つけることが出来る。それまで支えてくれる人も、いる」
リーンが指し示したのは、心配そうに見守るメリー達。確かにミラルダを思う者達。
「あ‥‥」
「大好きな人と一緒になれなくて‥‥それは僕には分からないくらい辛いんだって分かります。でも、アンディさんのことが好きなら、優しさをいっぱいもらったなら、同じように優しさを返してあげて下さい」
テュールの言葉に、瞳がアンディに向けられる。優しい眼差しで頷いてくれる、大好きな従兄。それから、その横で同じ眼差しでこちらを見つめてくる、憎かったはずの女性。その、従兄と良く似た優しい笑顔。
「うっ、うぅっふえっ‥‥」
「寂しさと云うものを知っているはずのあなたが人の心を弄ぶとは許し難い事です。本来なら斬って捨てるところです。しかし、生きて償う事を命じます」
そうして、最後に風露は言うと刀を仕舞い、泣き崩れるミラルダに背を向けたのだった。
●開かれし扉
「まぁミラルダさんも反省したようですし〜」
すすり泣く声が小さくなったのを見計らい。ギルスは広い屋敷を見回し、ふと提案した。
「一度、見聞を広げるために修道院や女性貴族学校へ入学してみてはどうですか?」
途端、濡れた目を大きく見開くミラルダ。ついで、反論しようとしたメリー達をギルスは目で制し、にっこりと笑んだ。
「ミラルダさんにとって、これまで世界が狭過ぎたのではないでしょうか〜」
「だけど私、外に出た事なんて‥‥」
「だからこそ、ですよ。新しい事をたくさん知って経験する、それは怖いけれど同時に楽しい事でもあるんですよ〜」
にこにこにこ、笑むギルス。ミラルダは躊躇いながら、最後には小さく頷いた。
「そうしたら私もなれるかしら? お従兄様やあの人みたいに」
「ええ、きっと」
「フィリクくんはもう、ペンダントの意味もそれを持っていたトビーくんのことも分かってるんでしょ」
一方。母と弟の無事を確かめ安堵していたフィリクの肩は、テュールの言葉に震えた。
「‥‥うん」
唇を噛み締める。自分のやるべき事を、知っているから。
「あのね。これからどうなるか分からないけど、きっとトビーくんが一番迷うし混乱すると思うんだ。それを支えてあげられるのはフィリクくんだけだから、頑張ってねお兄ちゃん」
言葉に力を込める。頑張れ、励ましを込めて‥‥それでも。
「頑張れない時は、僕でよければ相談でも愚痴でも泣き言でも、聞いてあげるからさ」
フィリクは泣き笑いみたいな顔で頷いてから、弟を真っ直ぐ見つめ、話を始めた。母と弟に、『ノイル』の‥‥トビーの本当の『家族』の話を。
「良かったわね、ト‥‥ううん、ノイル」
呆然とするトビー‥‥ノイルに笑んだのは、フィリクの母だった。
「ご両親とお姉さんが生きてて、ずっと案じていた。それはとても幸せな事よ」
フィリクの母は、痩せた手で育てた子供の手を握り締め。
「わたしはもう大丈夫、フィリクだって‥‥あなたは帰るべき場所に帰りなさい」
何度もそう、諭したのだった。
「えっ、ルクスさん辞めちゃうんですか?」
「皆と会えなくなるのは、すげぇ寂しいけどな」
デュボワ男爵邸。親しくなったメイドさん達に囲まれたルクスは、アンニュイな笑みを刻み。
「そうそう。色々あって、本物のノイル様が見つかったんだ。俺の分まで、良くしてやってくれよ」
メイドさん達の耳元に、囁いた。
「それと、もしかしたら‥‥」
「お母様、ノイルよ。フィリク君のおかけで、見つける事が出来たの」
奥方には、フィリク母子がノイルを拾った事。事故で記憶喪失になったフィリクが、ペンダントを持ち偶然この屋敷に来た事。記憶が戻り、本物のノイルの居所が判明した、と説明した。
「あなたがノイルなのね。フィリク君も、ありがとう」
奥方に抱きしめられ、ノイルは戸惑い気味、フィリクは居心地悪そうで。
「良かったわね、エリシアさん」
「はい」
それを見つめ、笑みを交わす夏樹とエリシア。
「あの、男爵様。フィリクさんとお母さんをここに置いていただくわけにはいきませんか?」
「身元保証人が必要なら、私がなります」
その中、風露とルエラが男爵に嘆願した。フィリク達とトビーは家族だった。いや、見ている二人には分かった。彼らは今も家族なのだ。例え血が繋がっていなくても、共に過ごし積み重ねた日々が、彼らを家族にした。
「トビーさんはノイルさんだった‥‥ですが、いきなり環境が変わったら、ノイルさん自身も戸惑い心細い思いをするかと思います」
「それに、フィリクも母君も、とても正直で良い御仁です‥‥それは素直に成長したご子息を見れば、分かっていただけるはずです」
家族を、互いを思い合う家族を離れ離れには、したくなかった。
「テュール君にもお願いされたし、人手も足りなくなるしな」
「男爵、ハッキリ言わないと」
「うっうむ‥‥君達さえ良ければ、我が家に来て欲しい。君や母君は我が息子にとっても我々にとっても恩人‥‥大切な人なのだから」
テュールにからかわれた男爵は照れたように言い、風露とルエラは顔を輝かせた。
「でも‥‥」
ルエラ達の心遣いは、ノイルにとって嬉しいものだった。勿論、フィリクにとっても。ただ、本当にそれを望んで良いのか‥‥少年達は心を揺らして。
「あんたの兄さん、あんたの話をしてた時どんな顔してたと思う? すごく優しい顔してたよ」
そんなノイルに、ルクスはこっそり囁いた。大切なら、離れるなよと。だから二人の少年は、互いを見つめてから、嬉しそうに照れくさそうに笑った。
「エリシアさんとアンディさんも無事に結婚させるみたいですし、事が収まって良かったですね〜」
家族が増えるのは嬉しい事です、ギルスにリーンが笑顔で頷いた。
「ええ。エリシアさん達には幸せになって欲しいわ‥‥それから、ミラルダさんにも」
未来は分からない。彼らがどうなっていくのかも、ミラルダがちゃんと自分の足で立てるようになるのかも何もかも。
「きっと大丈夫よね。あの子達には、大切に思い支えてくれる人達がいるのだから」
それでも、リーンもギルスも願わずにはいられなかった。子供たちに、あの家族に、幸せな未来が訪れる事を。