闇に煌く光2

■シリーズシナリオ


担当:マレーア4

対応レベル:8〜14lv

難易度:普通

成功報酬:4 G 98 C

参加人数:8人

サポート参加人数:2人

冒険期間:06月21日〜06月26日

リプレイ公開日:2007年06月28日

●オープニング

 デュボワ男爵家に10年ぶりに帰ってきた息子、ノイル。3歳の時にいなくなってしまったきり、行方不明だったノイルは記憶喪失という触れ込みで帰ってきた。
 使用人として屋敷に潜入した冒険者達は、そんなノイルが偽者である事を‥‥少なくとも何かを隠している事を察知するのだった。
 そんな中、ノイルの姉君であるエリシアが、二階の手すりから落下した。それは表向き、事故として処理された。幸い、エリシアにケガはなかった事だし。だが、冒険者達は知っている。それが、何らかの‥‥誰かの、意図によるものなのだと。
「ノイルの‥‥その、あの子のせいなのでしょうか?」
 依頼人であるデュボワ男爵は、不安な面持ちで冒険者達に問うた。対する答えは「不明」。可能性はある、だが、断定には至らない。
「あの子の‥‥『ノイル』の正体については引き続き、調査をお願いします。それと‥‥」
 そんな冒険者達に、デュボワ男爵は改めて、そして、新しいお願いをしてきた。
「もしエリシアが狙われているのなら、どうか護って下さい‥‥大切な時期、なのです」
 条件の良い、と噂される結婚話。何かトラブルが起こっている事は、周囲に知られたくはない。だが勿論、娘の身の安全は何よりも優先しなければ、である。
 デュボワ男爵は真っ青な顔で、「くれぐれもお願いします」と繰り返したのだった。


「‥‥これを」
 差し出された小瓶。それが何なのか‥‥問うほど少年は愚かではなかった。
「だけど最近、使用人の人達の目が厳しくて‥‥」
「あら、情でも移りましたの?」
 くすっ、と浮かんだ笑みは、その軽やかさとは裏腹にひどく、酷薄だった。
「良いんですよぉ、このまま逃げても」
 くすくすくす、からかうようないたぶるような微かな笑い声。少年は無言で胸元のペンダントを握り締めた。秤にかけるのは、命。だけど自分は決めている、決めてきた‥‥決めなくてはならない。
 だから。
「‥‥」
 少年は震える手で、小瓶を受け取った。

●今回の参加者

 ea0393 ルクス・ウィンディード(33歳・♂・ファイター・人間・フランク王国)
 ea1683 テュール・ヘインツ(21歳・♂・ジプシー・パラ・ノルマン王国)
 ea3486 オラース・カノーヴァ(31歳・♂・鎧騎士・人間・ノルマン王国)
 ea5876 ギルス・シャハウ(29歳・♂・クレリック・シフール・イギリス王国)
 ea8650 本多 風露(32歳・♀・鎧騎士・人間・ジャパン)
 eb4288 加藤 瑠璃(33歳・♀・鎧騎士・人間・天界(地球))
 eb4501 リーン・エグザンティア(34歳・♀・鎧騎士・人間・アトランティス)
 ec0844 雀尾 煉淡(39歳・♂・僧侶・人間・ジャパン)

●サポート参加者

ルエラ・ファールヴァルト(eb4199)/ ゾーラク・ピトゥーフ(eb6105

●リプレイ本文

●影封じ
「あまりにも不自然過ぎる事が起き過ぎる様ですね。この間の手摺りが折れた事も偶然や事故とはとても思えません」
 メイド姿の本多風露(ea8650)が装いに似合わぬ厳しい顔で言い。
「エリシアさんに怪我がなくてよかった‥‥でも狙われているのはほぼ確実ね」
 リーン・エグザンティア(eb4501)はふぅと溜め息をついた。だけどそれは直ぐに、怒りに‥‥理不尽なものに対する怒りに変わる。
「そういう形で目の前の人が不幸になるのは‥‥許せないわね」
 思い出す、エリシアの笑顔。あんなに笑顔の素敵な人が幸せになれないだなんてあってはならない、そう思うから。
「それにしても、屋敷内の手すりに細工なんてしてる以上、内部犯の可能性が高いわね」
「ええ。あの手すりは確かに少し脆くはなっていたけど、さすがに一度では切り込みを入れられなかったようね」
 滑らかでない断面図を思い出す、加藤瑠璃(eb4288)。
「私達のように、使用人として潜入しているのかしら。それともノイル君自身が‥‥」
「そもそもノイルくんを送り込んだ者の意図って何なのかしら」
 瑠璃は思考を巡らせる。
「男爵家の乗っ取りが目的なら、これからお嫁に行くエリシアさんをわざわざ傷つける意味は無いし。ということは、エリシアさんの命か、結婚の妨害そのもの?」
「今回の婚約によって、デュボワ男爵が力を持つことを嫌ったどこかの貴族の差し金とか?」
「エリシア様が死んで得をする者が男爵家の中にいるとも考えられますね」
 静かに耳を傾けていた雀尾煉淡(ec0844)が、もう一つの可能性を示唆する。
「問題は、名ばかりの男爵家を手に入れようとして誰が得をするのか、だな」
「とにかく、本当にお嬢様を傷つけて得をする者がいるのか、男爵家を狙う者がいるのか、調べなくてはだな」
 煉淡にルエラ・ファールヴァルトは頷き。
「ちなみに、内部犯行の線が強いなら、次は毒でしょう。お嬢さんの摂取するありとあらゆるものに注意を運んでください」
 そして、ゾーラク・ピトゥーフの忠告に、瑠璃もリーンも真剣に頷いたのだった。

「あ、お嬢様、その先は今掃除いたしますので、少々お待ちを」
 言いながら、瑠璃は階段を上ろうとしていたエリシアを止めた。気のせい、かもしれない‥‥でも。
(「あ、やっぱり‥‥何か塗ってあるわ」)
 手すりの光沢。瑠璃は目線で風露に示すと、小さく首肯した。その時、横のメイドが微かに顔をしかめた。
「さぁ、お嬢様どうぞ」
「あら?、この手すり汚れているようですね‥‥メリーさん、掃除しましょうか」
「えっ、そうですねぇ」
 瑠璃とエリシアを見送ったメイドは、風露の有無を言わさぬ笑顔にその顔を僅かに引きつらせた。だが、それも一瞬。次の瞬間には躊躇いも無く作業に掛かる。
 メリーというメイド、その所作を観察し風露は思う‥‥ソツが無いと。のんびり口調とは裏腹に手際はいいし良く気もつくし、ついでに妙に隙もない。
(「さて、思うように動けないこの状況で、どう出るのでしょうね」)
 思いつつ、風露は油断無くメリーの動作に目を光らせた。

「お嬢様の婚約者ってさぁ、もてたんだろうねぇ」
 同じ頃。もはや標準装備と化しているモップを手に、ルクス・ウィンディード(ea0393)は若いメイドさん達に話を振っていた。
「もてもてでしょうねぇ」
「て事はさ、恋敵とか色々いたんじゃない?」
「うん、陰口とか言われてるみたい」
「呪いの人形届いた事あったよね」
「そういえば、怒鳴り込んで来た子、いたわね」
「へぇ、そんな事があったんだ?」
 好奇心を装い問いを重ねるルクス。けれどここで邪魔が入った。パンパンと打ち合わされた手。
「はいはい皆、お喋りはそこまで。各自仕事に入らなくちゃ」
 それを合図にメイドさん達は散っていく。
「さっきの続き、聞かせてくれる?」
 その中、ルクスは一人のメイドさんを捕まえる。若くて可愛い、小鳥さんのような少女。
「いや‥‥も少し声、聞かせて欲しいな、とかって」
 ルクスはメイドさんの髪を一房すくうと、軽く啄むように口付けた。途端真っ赤になったメイドさんは、瞳を潤ませながら頷いた。

●眼差しの先
「新しくノイル様のお付を仰せつかいましたテュール・ヘインツです、以後よろしくお願いします」
 礼儀正しく挨拶したテュール・ヘインツ(ea1683)は、直ぐに「ふぅ」と溜め息をついた。
「ずっと行儀よくしてるのって疲れちゃうや。さっきも言ったけど僕はテュール、よろしくね」
 にこっ、と屈託無く笑まれ、ノイルは目を瞬かせた。
「僕としては堅苦しいのより仲良くしたいんだけど、こっちとさっきみたいなのとどっちがいい?」
「今の方がいい‥‥僕も堅苦しいのは苦手だから」
「うん。そうだ、天気もいいしちょっと庭に行こうか」
 ノイルを連れ出したテュールは、小脇に抱えたモノを示した。
「これは天界のボールで、いろんな遊びができるんだよ」
「‥‥へぇ」
 返事とは裏腹に、その瞳は興味津々、輝いている。それから暫く二人で、ボールを蹴り合ったり、リフティング勝負をしたりして遊んだ。年相応の少年の顔で、楽しそうに。
「随分と汗かいたし、着替えなくちゃね」
 頃合を見計らい、テュールはノイルの服に手をかけ‥‥ふと小首を傾げてみせた。
「あれ、痣消えてるよ」
 途端、ノイルが飛び上がった。必死の面持ちでアザを確認し‥‥ホッと安堵の息をついた。見届けたテュールは素知らぬフリを装い、笑う。
「よかった、さっきぶつけたところ大丈夫みたいだね」
「えっ、ええ‥‥」
「ウォーミングアップが済んでいるとは感心だな」
 そこに現れたのは、オラース・カノーヴァ(ea3486)だ。使用人としての肉体労働は勿論、ノイルの剣術指南役も申し出ている。
 顔を引きつらせ引きずられていくノイルに、テュールは「頑張ってね」と手を振った。

「刃を向けられたことがあるか?」
 頭を振るノイル、その構えは素人のそれ。
「切っ先をいたずらに人に向けるな。大切な人や仲間を殺してしまうぞ」
 その言葉に切っ先は大きく震え。
「適当に振り回してると、自分の武器で自分を傷つけてしまう。教えた動作以外はするな」
 オラースはビシバシしごいた。身体がへとへとになると人は自然と素が出る。取り繕う事が、出来なくなる。そうしてみるとノイルは、全くの素人だがその根性というか食いつき加減は中々だった。
「技術がなくてもベテランに勝てるものがひとつだけある。なんだ?」
「えっと‥‥勇気、とか?」
「正解は声だ。声だけは誰でも出せる。武器もったやつが大声出して突撃してきたら怖いだろ? 訓練でも声を出せ」
「はいっ」
「声が小さい!」
「はいっ!」

「もしノイルくんが偽者だったら、どうするつもりなの?」
 そんな二人の修行を見つめながら、テュールは男爵に尋ねた。
「‥‥事情を聞いて‥‥とにかく、騒ぎにしないよう穏便に」
 優しさか小心さか判別つかないそれ。だから、テュールは男爵を見上げ改めてお願いした。
「ひどい扱いだけはしないで下さい」
 ボールを必死で追い、楽しそうに蹴っていた少年。
「あの子は、悪い子じゃないから」
 今、オラースの特訓にも懸命に心を傾けている少年を見やり、テュールはそう呟いた。

「その負けん気だけは立派なものだ」
 オラースは水と一緒に、切り分けた手作りケーキを差し出した。受け取るノイルの手。その手は、剣を持った事のない手だ。同時に、貴族の手でもなかった。言うなればそれは、苦労を重ね必死で生きてきた手。
「あのさ、先生‥‥」
 ケーキを見つめたまま、ノイルはポツリともらした。
「正しい事と大切な人と‥‥先生はどっちを選ぶ?」
「騎士道とは‥‥」
 オラースは答える代わりに別の言葉を口にした。
「困難に喘ぐ弱き者には救い手を差し伸べ、自らの私利私欲のために力で他人を押さえつけようとする者には剣の力に頼ってでもこれを正す。それがウィルに求められる騎士だ‥‥総監の受け売りだがな」
 少し笑ってから、先ほどへの返答をする。
「二つに一つ、なんてそうあるもんじゃない。気づいてないだけで答えはもっとたくさんあるんだ」
 小刻みに震える肩。オラースは無言でノイルの頭をわしゃわしゃと撫でた。あるのかもしれないぞ、両方を選ぶ道も。そう、一人ではムリだとしても、一人ではないとしたら。
「ほら、食べないと俺が食ってしまうぞ」
「‥‥ははっ、美味いや、これ」
 オラースの気持ちが伝わったかはどうかは分からない。だけど、ケーキを口にしたノイルは、笑っていた。

「随分としごかれたみたいで‥‥」
 屋敷で迎えたルクスは、笑みを返すノイルに「おや」と思った。
「うん。だけと、スッキリした」
「そっか、良かったな」
 言うと、ノイルは表情を改めた。
「あんたは騎士、なのか?」
「騎士じゃないけど、まぁ似たようなモンだ」
「テュールや先生も、だよな」
 ルクスは答えず、ただモップを構えてニヤリとした。そんなルクスをじっと見つめ、長い沈黙の後で。
「‥‥お願いが、あるんだ」
 ノイルは声を搾り出すと、懐から小瓶を取り出した。

●婚約者と恋敵
「やぁ、良く来てくれたね。君がギルスさん‥‥ギルスくんだね」
 ランクス子爵の令息アンディはそんな風にギルス・シャハウ(ea5876)を迎えた。繊細な容貌と穏やかな物腰の青年だった。
「帰られた婚約者さんにお手紙を書いてはどうですか?」
 そんな風にエリシアに勧め、結果ギルスは今このお屋敷を訪問している。屋敷はデュボワ男爵邸よりもずっと大きくて、部屋も広くて‥‥調度品はどれも華美ではないけれど、高そうなもので揃えられている。
「この前のエリシアからの手紙に書いてあったよ。カワイイ友人が出来た、と‥‥あぁカワイイというのは失礼だったかな」
「はぁ、それは別に良いのですけど‥‥」
「それで‥‥」
 ゴホンゴホンと二度ほど咳払いをしてから、彼はギルスを真っ直ぐに見つめ。
「ノイル君というのはどんな子なのだろう? その、僕の事を何か言ってたかな‥‥つまり、姉様を取る憎いヤツとか嫌なヤツとか」
「‥‥は?」
 不安そうに、問いかけた。
「だからその、嫌われてないだろうか僕は‥‥エリシアの弟さんに。出来れば仲良くなりたいと思ってるし、勿論努力もするつもりだが」
 嫌いも何もっていうより『ノイル』は眼前の婚約者の事なんて全然考えてる余裕ないと思いますけど‥‥などとギルスは思うわけだが、さすがにそれをそのまま口にするわけにはいかない。
「えっと、そんな事はないですよ〜。ノイルくん良い子ですし、きっと仲良くなれると思います」
 なのでとりあえずそう告げてみると、婚約者殿はとてもとても嬉しそうに、安心したように笑った。
「良かった。好きな人の家族に嫌われるのはとても悲しい事だしね」
「そうですね。‥‥ところで、ミラルダ嬢という人をご存知ですか?」
 頃合を見計らい、ギルスは何気なく尋ねた。それはルクスが聞き出した、デュボワ男爵邸に乗り込んできた女性の名。
「うん、従妹なんだ。年はちょっと離れてるけど、お従兄さまお従兄さまって慕ってくれてね」
 その、微笑ましげな笑顔。
「そうですか‥‥ところで、返事をいただいても?」
 ギルスに、アンディは勿論と破顔した。

「ミラルダ・バレンシャ、男爵令嬢14歳。婚約者殿の従妹で、真っ直ぐとか一途と言えば聞こえがいいけど思い込みが激しくて、婚約者殿に激烈ラヴ‥‥らしいんだよねぇ」
 お屋敷の使用人さん達からも聞き込んだ所によると、とギルスはやや疲れたように笑った。
「そのミラルダ‥‥バレンシャ男爵家から潜り込んでいるメイドが三人いる。一人はあの、メリーというメイドだ」
 ルエラとゾーラクからの調査結果を手に、煉淡は告げる。勿論、三人とも馬鹿正直に申告していたわけはないが。
「で、その中の一人が昼間、屋敷の外に張り付いていたメイドと接触した」
 男爵家は案の定監視されていた、煉淡は皆の視線を受け頷いた。
「アンディさんが帰ってきたから、一気に事を進めようとするかもしれないですね」
「言い換えれば、チャンスですね。一網打尽にして、ミラルダ嬢が黒幕だという証拠を掴む為の」
 テュールと風露に、皆それぞれ表情を引き締めたのだった。


 そして。
「良い香りですね」
 いつものお茶の時間。眼前に置かれるお茶、立ち上る香気にエリシアが頬を緩め。
「‥‥どうぞ」
 給仕よろしく、ごく自然な所作でもって、スプーンでお茶をクルリとかき混ぜる煉淡。そして、黒い瞳で鋭くメイドを‥‥お茶を持ってきたメイドを見やる。その手には、微かな曇りを示した、銀のスプーン。
「お嬢様」
 瑠璃は慎重にその立ち位置を移動した。エリシアと奥方とを護る為。それが、瑠璃の役目なのだから。
「これを召し上がっていただくわけにはいかないわね」
 短いスカートの裾をヒラリとさせ、リーンは歩を詰める。お茶を持ってきたメイド‥‥件の三人の内の一人に手を伸ばす。咄嗟に引かれた手を掴み。
「スタンアタック」
 クタリと力が抜けた身体を、リーンは抱き支えた。
 ほぼ同時。メリーが動こうとした瞬間、一瞬早く風露が動いた。隠し持つ小太刀が閃き‥‥一呼吸の後、メリーが崩れ落ちる。
「御前を騒がせてしまい申し訳ありません‥‥あ、峰打ちです」
 小太刀を元の場所に戻した風露はエリシアと奥方に頭を下げると、安心させるよう付け足した。それにメリーにはまだ、聞きたい事があるのだから。
「言っておくが、俺はやさしくはないからな」
 そして、もう一人。笑みを消したルクスは、どこか酷薄に呟き。怯えた顔で後ずさった最後の一人は勿論、逃げる事は叶わなかった。
「これで良かったの?」
 一部始終を見届け、テュールは傍らのノイルを見やった。
「‥‥うん。やっぱり誰かを、エリシアさんを傷つけたらダメなんだと思う。そんなのきっと、母さんも喜ばない」
 青ざめたまま、それでも、『ノイル』は告げる。メリー達の圧力から守ってもらって、勇気付けてもらって。
「ごめんなさい、俺はノイルじゃ‥‥本物のノイルじゃありません」
 少年はエリシアと奥方、ギルス達に頭を下げた。
「嘘、ついてました。それどころか俺はエリシアさんを‥‥」
「ノイルくん‥‥ううん、キミの本当の名前は?」
「フィリク。俺はどうなってもいいんです。だから‥‥」
 フィリクは頭を下げたまま、必死に頼んだ。
「助けて下さい。俺の大事な人達を‥‥母さんと弟、を‥‥助けて」