【レッツ宝探しっ!】月姫

■シリーズシナリオ


担当:深洋結城

対応レベル:フリーlv

難易度:普通

成功報酬:5

参加人数:9人

サポート参加人数:-人

冒険期間:05月26日〜05月31日

リプレイ公開日:2008年06月03日

●オープニング

 前回の月遺跡の調査から半月程経ったこの日、冒険者ギルドにティーナが訪れた。
「やあ、こんにちはティーナさ‥‥って、何ですかその荷物はっ!?」
 受付係の挨拶は、驚きの声に取って代わる。
 それ程に大仰な、ともすれば本人の身体よりも大きいのではないかと言う程の荷物を、ティーナは背負っていた。
 心なしか、その足取りはふらふらしていて。
「あ、ああ、これは精霊へのお土産や。いよいよ今回で高位精霊と対面する言うのに、手ぶらじゃ申し訳ないやろ?」
「そ、それは、別に気にするべき所じゃないと思いますけど‥‥。と言うか、無理せず荷物を降ろした方が良いですよ? でないと‥‥」

 ズゥウウウン。

 時既に遅し。



 と言う訳で、冒険者により巨大な荷物の下から救出されたティーナは、目を回しながら一冊の書物を取り出す。
 例の村から預かっている伝承である。
「え、えっとな〜、最後のエリアについてなんやけど、遺跡に入って真っ直ぐ進んだ通路になるんや。特に罠らしいものは無いみたいやから、一気に突き進むんが吉や!」
 ティーナが言うと、頷く冒険者達。
 今回行く場所は一度探索しており、途中に出て来たカオスの魔物もその際に全滅させておいた故、特に危険も無いだろう。
「これでいよいよ、『アルテ』と対面ですね」
「ええ、ここまで随分と苦労させられましたけれど‥‥。それにしても、『アルテ』さんは一体何を伝えようとして居るのでしょうか〜?」
「それは、会ってみない事には分かりませんね。兎も角、急ぎ遺跡へ向かいましょう」
 話しながら、ギルドを出発しようとする一同の後を――ずるずると荷物を引き摺って追い掛けるティーナ。
 そんな彼女に、最後尾を歩く一名はゆっくりと歩み寄り。
「‥‥ところで、お土産って何を持ってくつもり‥‥?」
「え? あ、ちょっ‥‥!!」
 彼女の制止も間に合わず、開けられる荷物の口。
 そこから出てきた物は、羊皮紙に筆記用具、そして網に罠に籠。明らかに土産では無い。

「置いていきなさい」
「‥‥はい‥‥」

 強い語気で放たれる冒険者の言葉に、ティーナは渋々と従うのであった。

●今回の参加者

 ea0163 夜光蝶 黒妖(31歳・♀・忍者・人間・ジャパン)
 ea0760 ケンイチ・ヤマモト(36歳・♂・バード・人間・イギリス王国)
 ea1466 倉城 響(29歳・♀・浪人・人間・ジャパン)
 ea3641 アハメス・パミ(45歳・♀・ファイター・人間・エジプト)
 ea8029 レオン・バーナード(25歳・♂・ファイター・人間・ノルマン王国)
 ea8745 アレクセイ・スフィエトロフ(25歳・♀・レンジャー・ハーフエルフ・ロシア王国)
 eb4286 鳳 レオン(40歳・♂・天界人・人間・天界(地球))
 eb4326 レイ・リアンドラ(38歳・♂・鎧騎士・人間・アトランティス)
 eb4333 エリーシャ・メロウ(31歳・♀・鎧騎士・人間・アトランティス)

●リプレイ本文

●アルテへ馳せる想い
「さて、これでやっと『アルテ』さんとの待望の御対面と言う訳ですね」
 遺跡の前に集う冒険者達。その中のアレクセイ・スフィエトロフ(ea8745)は、どこか高揚した様子で言う。
 それは彼女だけではなく、他の者達も同様で。
「私も上位の精霊との会うのは初めてですので、楽しみですね」
 レイ・リアンドラ(eb4326)が言うと、その隣の夜光蝶黒妖(ea0163)(以下夜蝶)も無表情で口を開く。
「うん、俺も‥‥。それにしても、罠‥‥大変だった‥‥‥ほんと思い出すだけで‥‥涙が‥‥」
「‥‥‥‥」
「‥‥なに? 泣いてない‥‥? ‥‥心で泣いてると思うんだ‥‥考えるな、感じろ‥‥」
「そんな無茶な‥‥」
 と言った感じに、かなりハイテンション(?)になっていた。
「でも、寝床を荒らした不届き者とか思われていきなり襲われたりして」
 レオン・バーナード(ea8029)(以下レオたん)が冗談混じりで言うと、思わず表情を強張らせる一同。
「まあ、今までの成り行きからして、無いとは思うけどな」
 鳳レオン(eb4286)(以下鳳)の言葉に、アレクセイは頷きながら難しい表情を浮かべ。
「しかし‥‥そもそも遺跡の由来が『村の民の祖先が、末代までの守護を祈った不可侵の聖域』と言う割には、内部の障害がかなり周到に用意された物ばかりなのが引っ掛かりますよね。まるで中に何かを閉じ込めておく為の様にも思える程に‥‥」
「そうですね〜。もしかすると、この遺跡の仕掛けは精霊さんに会う為の資格を確かめると同時に、精霊さんを外に出さない様にしておく為の物だったのかも知れませんね」
 倉城響(ea1466)の言葉に、目を伏せるアレクセイ。もしそれが本当であったとすれば、『アルテ』は遺跡の奥に軟禁されていると言う事で‥‥不憫に思えて仕方なかった。
 すると、口を開くのはアハメス・パミ(ea3641)。
「まあ、封じ込められていたにしても閉じ込められていたにしても、『アルテ』は歌を歌う事で外部の人間に訴え、結果として私達を呼び寄せたのですし。後は、『アルテ』からどんな話が聞けるか、ですね」
「ええ、最初の小精霊達の言葉をそのまま受け取るならば、恐らくは『瞳』なる物に関する情報を得る事になるのでしょう。前回までの試練を経て私達は、『瞳』を探すのに『アルテ』のご助力を受ける資格を得た‥‥という事でしょうか」
 エリーシャ・メロウ(eb4333)が推測交じりに言うと、他の者達も大きく頷く。皆が皆、同じ事を考えていた様子で。
 すると、鳳はふとティーナに目を向け。
「ティーナには残念だが、瞳自体はこの遺跡には無さそうだな。まあ、手がかりが入れば御の字だろう」
 そう言って肩を叩くが、当のティーナは口を尖らせいじけるばかり。
 と言うのも出発前、エリーシャが彼女の『お土産』の中でどうしてもと言う物があれば、村まで運んであげると申し出たのだが。
「彼女が選んだのは、いずれも下心あっての物ばかりでしたからね」
 苦笑しながら言うのは、お土産の選別を行った張本人ケンイチ・ヤマモト(ea0760)。
 と言う訳で、道中彼女はずっとこんな調子と言う訳だ。

 まあ、いざ『アルテ』と会う時には立直っているだろう。
 確信にも似た推測を胸に、一同は遺跡の中へと踏み込んで行った。



●月姫
 ――――。

 扉が開かれた瞬間、一同は言葉を失った。
 広く薄暗い室内を飛び回るのは、初回の探索の際にも姿を現した、銀髪のエレメンタラーフェアリー。
 そして、彼らの中央に‥‥‥‥『彼女』は佇んでいた。

「ようこそいらっしゃいました。私は『アルテイラ』‥‥月道の監視人を務める、月の精霊で御座います」

 月の精霊――その姿が一体どの様なものなのか、書物や口頭であるならば様々な説を聞くが、それらはあくまで想像を掻き立てるだけの物でしかない。
 だが、そこに居るアルテイラの姿は、彼らの想像していたどんな姿よりも美しく――皆の視線を釘付けにするには、十分過ぎる程であった。
「‥‥はっ!」
 誰が最初だったか、一人が我に帰って地面に跪き恭しく礼をすれば、他の者達も思い出した様に倣い、思い思いに挨拶をする。
「初めまして、お目に掛かれて光栄で御座います、アルテイラ様。私は‥‥」
 一同が次々に自らの名を名乗ると、ふとアルテイラは口元に微笑を浮かべ
「そんなに畏まらなくとも結構ですのよ。私の事も、この子達と同様に『アルテ』とお呼び下さいませ」
 そう言って、周囲をしきりに飛びまわるエレメンタラーフェアリーの内一人を肩の上に乗せるアルテ。
 すると、冒険者達も少しだけ面持ちを緩め、そして彼女に目を向ける。

「‥‥そう、俺達‥‥アルテさんに話を聞く為に‥‥ここに来たんだ‥‥。伺っても‥‥良いかな‥‥?」
 切り出したのは、意外にも夜蝶。彼女はアルテが頷いた事を確認すると、前に歩み出て。
「まず、聞きたいのは‥‥歌っていた歌の内容‥‥。最初のおどろおどろしい奴と、その後と‥‥」
「それと、歌っていた理由も伺いたいですね。地上にある村まで貴女の歌声が届く様になったのは、ある日突然の事。‥‥それには何か、理由があったのではないでしょうか?」
 アレクセイも続けて質問を投げ掛ける。それは、その二つの質問は繋がっているのではないかと言う推測故。
 すると、アルテは僅かに目を伏せ。
「‥‥以前に、こちらのフェアリー達からも少しだけお聞かせした事とは思いますが‥‥。そうです、私が歌声を地上にまで響かせる様にしたのは、このアトランティスにおいて起こり得る、恐ろしい出来事の予兆を感じ取った故なのです」
 そう切り出し、そして話し始めた。
 遺跡の奥で人の世界を見守りながら、最近になって時折とてつもなく強大で邪な力を感じていた事、それが各所に‥‥或いは人の世界にまで及んでいた事を。
 彼女は月道の監視人、月道を巡った人同士の争いが起ころうと言う時に、その仲裁をするのが役目。
 だが、もしもそこに人ではない力が介入したとなれば‥‥もはや、彼女の手には負えなくなってしまう事態にさえも陥りかねない。
 無論、その影響は月道にだけに留まらず、最悪アトランティス全土にまで広まってしまう可能性さえもある。
 そうなる前に何としても、諸悪の根源を絶って欲しい。それが、彼女の願いであった。
「ですが‥‥その為には、力も勇気も知恵も兼ね備えた、真の強者が必要なのです。それらを試すべく、地表の村の者達の祖先が築き上げたのが、この遺跡‥‥。その全ての関門を突破した皆様であれば、安心してお任せする事が出来ます」
 言い終えると、静かに目を伏せるアルテ。――かと思えば。
「ちなみに、夜蝶様のお尋ねになりました、歌の意味ですが‥‥‥‥特にはありませんの。気分による、即興歌謡ですわ」
 がくっ。
 思わず身体の力が抜ける冒険者達。
「でも、作曲なんて元を糺せばそんなものですからね。何にしても、素晴らしい歌でしたよ」
 詩人たるケンイチの言葉に、にっこりと微笑むアルテ。
「まあそれは良しとして‥‥実はもう一つ聞きたい事があるのです。それは‥‥」
「『精霊の瞳』‥‥の事ですね」
 それは、切り出したレイ以外の者達も気にしていた所。果たして、『精霊の瞳』とは何なのか――。
「それって、『太陽の瞳』の事とちゃうん?」
「‥‥『太陽の瞳』、『精霊の瞳』。呼び名は様々ですが、恐らくはそれらは同じ物ではないかと思われます。私も実際に見た事は無いので、詳しい情報は差し上げられないのですが‥‥それは邪な力に対抗し得る力をもたらす物、と伺っています」
「成程、それじゃあ『瞳を探して欲しい』と言っていたのは、先の話の延長だったのか」
 レオたんが尋ねると、アルテは小さく頷く。
「話は分かった。けれど、何も手掛かり無しでは探し様が無いからな。大体どの辺にあるとか、そこに至るまでの障害とか、競合者の存在とか‥‥分かる範囲で構わないので、教えては頂けないか?」
 鳳の質問に、アルテは腕を組んで考える仕草をして見せ。
「‥‥本当に申し訳無い事に、私自身にはほとんど情報が無いのです。けれど、もしかすると他の精霊達であれば‥‥」
 言いながら本当に申し訳無さそうな表情をするアルテに、罪悪感が湧く鳳。
 女性に優しい彼の事だ、これはかなり応えたらしく‥‥自然と、場の空気が重くなってしまった。

 ――その時。
「まあまあ。それよりも皆さん、小腹空いてませんか? 立ち話しもなんですし、食事しながら‥‥‥‥。 あら? 何故皆さん頭抱えているんですか?」
 響の空気を読んだのか否か分からない言動に、複雑な表情を浮かべる冒険者達。
 だがしかし。

「――ふふふっ」

 対してアルテの方は、先程までの憂いは何処にやらと言った感じで、何とも楽しげな表情を浮かべていた。



●月精霊との食事会
 その後、響のちょっとした手間により作られた特製保存食を囲み、一同はささやかな宴を開いた。
「これが、現代の人の食事ですか。彩りも見栄えも良いものですね」
「良かった、精霊さんってお食事をどうしているのか分からなかったので、不安だったんですよ〜。食べられないのは残念ですが、目で楽しんでもらえたら♪」
 すっかり打ち解けた様子で話す響とアルテ、その傍らでレイが以前の探索の時から持ち歩いていた蜂蜜やミルクをプレゼントすると、興味深そうに覗いていたエレメンタラーフェアリー達は喜び彼の周囲を飛び回る。食べなくても気持ちは通じるようだ。
 そしてアハメスのネトやアレクセイのサーシャと言った冒険者達のフェアリーも、輪の中に混じって飛び回っていた。
 彼らの相手をする忍犬のアーシャは、同じエレメンタラーフェアリーでも属性の違うサーシャが打ち解け易くする為にと連れてきたものであったが、どうやら杞憂だった様子だ。
「それにしても、吟遊詩人である私にとっての目標であり、夢の一つでもある月精霊の皆さんとこうした時間を過ごせると言うのは、とても喜ばしい事です」
「ええ。私も月にちなんだ名を持つ者として、月の上位精霊と会えたと言うだけでも嬉しい事なのに、この様な場を設けて頂けるとは‥‥」
 嬉々とした表情で言うのはケンイチとアハメス。そして夜の中に生きる者である夜蝶も、彼らと同様にアルテ達月精霊との一時を堪能していた。(相変わらず無表情のままだけれど)
「そうだ。もし宜しければ、お近付きの印と言う事で、一曲奏でさせて頂けますでしょうか?」
 思い付いた様にケンイチが言うと、誰しもが断る筈も無く、皆が皆彼の方を注目する。

 そして――ケンイチは奏で始めた
 愛用の「バリウス」の名を冠するリュートを手に、まるで月精霊を表現したかの様な、静かで美しく、そして幽玄な曲を。
 彼の素晴らしく心の篭もった演奏に、音楽を司る月精霊達は居ても立っても居られず、各々が様々な形で曲に乗り始める。
 そしてアルテも、変わった形のハープを手にし、彼の演奏に合わせる様にしながら奏で、そして歌い始めた。
 月姫アルテイラと、それに近しい程の演奏技能を持つケンイチ。他の者達曰く、彼等が揃って演奏する姿は、まるで月精霊二人が合奏しているかの様な光景であったらしく。
 二人の演奏は、地上の村にまで響き渡り――聴く者全てを魅了して回った。



●新たな旅へ
 翌日、地表の村の村長に遺跡内部での出来事を事細かに説明し、今まで世話になった礼を述べると、ウィルへ向けて村を発った冒険者達。
 あれから、アルテは遺跡の仕掛けを全て元通りにし(その為の仕掛けがアルテの部屋にはあるらしい)、再び奥へと通じる扉を固く閉ざすと――彼女も冒険者達と同じ様に、遺跡を後にした。
 本人曰く、遺跡の中に閉じ篭って外界を見守る時は終わりを迎えたのだそうだ。
 人である彼らにはそれの意味する所を完全に理解する事は出来なかったが、これからは彼女も自由の身となり、外を出歩く事が出来る。そう思うと、何だか少しだけ嬉しく感じられた。
 だが、余り余韻に浸っても居られない。何故なら、全ての事の始まりは、アトランティスに蠢く邪悪な力に因るものなのだから。
「その力の規模とかが‥‥明確に分からない以上、こっちも出来る限り‥‥対抗する為の準備を‥‥整えておいた方が良いね。さしあたっては‥‥『瞳』探し、かな‥‥?」
「そうですね。アルテさんは、他の精霊達に会ってみると良いと言ってました。とは言っても、彼等が何処に居るのかまでは分かりませんでしたけど‥‥」
 そう言うアレクセイが歩く度、手の中で澄んだ音を立てるのは金属製の鈴。それはアルテから、遺跡探索全体を通しての功労者へと渡されたフェアリーベルと言うアイテムで、同じ物をエリーシャも持っている。
「まあ、どの精霊も大体自分の属性に縁の深い場所に住んでるんじゃないかな? 例えば、水の精霊なら海のどこかとか」
「海か。それなら、俺も本領を発揮出来るんだけどな」
 レオたんに鳳、二人は出身は違えど同じ海の男を志す者同士と言う事で、意気投合して船舶についてなどの談義を始める。
 そんな彼らを傍目に、ふと口を開くのはエリーシャ。
「‥‥時にティーナ殿。貴女が探している『太陽の瞳』とはどんな物なのですか?」
 すると、どうにも今まで元気の無かったティーナは驚いた様に顔を上げ――そして、僅かにその表情を曇らせた。
「あ、うん。あんな、ウチが探してはる『瞳』は、どんな病気でもたちどころに治ってしまう言う物なんや。けれど、なんやアルテんの話を聞いた限りやと、当てが外れてはる気がしてならへん‥‥」
 成程、それで彼女はずっと落ち込んでいたのか。
 『瞳』と言う、彼女の探すそれを連想させる様な言葉が出ておきながら、その期待を裏切られた様な形となったのだから‥‥無理も無いかも知れない。
 すると、そんな彼女の肩に、エリーシャはそっと手を乗せて。
「大丈夫ですよ。貴女の探す『太陽の瞳』も、いずれきっと見付かります」
「そうですね。それに、アルテ様は『精霊の瞳』が具体的にどの様な物かは分からないと仰っていましたし、もしかしたらそれが『太陽の瞳』なのかも知れませんよ。もし今後も探索を続けるのでしたら、私は協力は惜しみません。約束します」
 彼女に続いて、頭を撫でながら言うのはレイ。
 すると、ティーナは僅かに俯き――かと思えば、上げられた顔はいつも通り天真爛漫な彼女のもので。
「‥‥うん、せやね! どんなお宝でも、実際どない物かは手に取ってみるまで分からないやんね! 決めた! ウチ、アルテんに言われた通り『精霊の瞳』を探すわ!」
 彼女の高らかな宣言は、アトランティスの空に響き渡った。


「‥‥ありがと、レイやん」
 そして彼の鞄の中にいつの間にか詰め込まれた一対のピアスの存在に、この時は気付く者は無く。