【ワラウモノ】天使のような死者
|
■シリーズシナリオ
担当:MOB
対応レベル:7〜11lv
難易度:難しい
成功報酬:4 G 96 C
参加人数:9人
サポート参加人数:2人
冒険期間:10月12日〜10月19日
リプレイ公開日:2005年10月20日
|
●オープニング
命あるモノにとって、死は‥滅びは決して逃れられぬもの。例え、それがアンデッドであろうとも、体が朽ちてしまえばそれは死である。
もう二度と元には戻らない。逃れられぬ以上、いつか来るものだ理解していても、目の前に事実として存在していたとしても、心揺さぶられる事無く受け入れられるほど、人は強く出来ていない。
「行方不明なんだ」
彼女はそう言っていた。まるで、強調するかのように。そして、今は‥
「アタシが遺跡とか行きたかったのは、未知なモノに惹かれていたんじゃなくて、もしかしたら‥生きていてさ」
生きているかもしれない、もう一度会えるかもしれない。受け入れず、可能性に縋る。それは、その人が失われたモノをどれだけ大事に思っていたかの裏返しなのだから。
そんな事があった依頼が終わり、ドレスタットへと冒険者達が戻ってきてから数日が経過した。
「どういう事だ! シヴ、研究を続ける事が出来ないとは!」
「‥私にも分からん。いや、理由についての心当たりがあると言えばあるのだが、ともかく、リッド卿からの援助は今後一切出ないそうだ。代わりに、そのアーティファクトは自由に持っていっても構わないそうだ」
リッド卿から出されていた遺跡探索の依頼。予想外のトラブルに見舞われたものの、なんとか‥というより幸運にも死者を出さずに依頼は無事に目的を達成し、今はその成果である古代の技術やアーティファクトについて、確認と研究が行われている。
だが、それはもう『行われていた』と言うのが正しいのだろう。
「心当たり‥だと? 一体どんな理由なのだ。今まで遺跡の探索を行ってきたのは、全てこれを手に入れる為では無かったのか!? それが、急にもう必要無いなどと‥どうやって納得しろと言うのだ!」
「落ち着け、シヴ。それを今からリッド卿へと確認しに向かう所だ。向こうに行けば、その理由は良く分かるだろう」
もう二度と元には戻らない。逃れられぬ以上、いつか来るものだ理解していても、目の前に事実として存在していたとしても、心揺さぶられる事無く受け入れられるほど、人は強く出来ていない。まだ生き続けれるかもしれない、まだ同じ時を過ごせるかもしれない。受け入れず、可能性に縋る。それは、その人が失われていくモノをどれだけ大事に思っているかの裏返しなのだから。
「もういい、もういいんだ‥」
ただ呆然と、壁に掛けられた一枚の天使の絵を眺めているリッド卿。その光景はあまりに‥あまりにも、起きてしまった事実を、その事情を知る者へと雄弁に語っていた。
「リッド卿‥。‥事情の説明を、お願いします」
シヴはそれだけを言った。あれだけ興奮していたモリスンも、この場に来るまでにリッド卿が何故遺跡の探索を行わせ、この世に生き続ける為の方法を求めたのかを聞いていたので、今はただ黙って待っている。
「死んだのだ、彼女が‥。だから、もう必要無い‥」
もう初老の歳であるリッド卿が、彼女‥壁に掛けられた天使の絵のモデルになった女性を見初めたのは数年前。貴族からの誘いを断われる庶民は居ない、それに彼女自身もリッド卿に魅かれていた。既に息子へと領内を任せ、悠々自適に‥時に子供のようにも思える行動をする。傍から見れば、親と子以上に歳の離れている事が偏見を抱かせるが、彼等は確かに互いを愛し合っていたのだ。
そして、彼女は倒れた。
「互いさえ居れば他に何も要らないと、そう思い始めた矢先だった‥」
誰も、彼女を救う手段をリッド卿の下へと持ってこれなかった。
彼女が病に倒れてから、リッド卿は人が変わったかのように遺跡の探索を行い始めた。そして、ついに一つの遺跡に希望を見つけた。だが、その希望はあまりにも多くの障害に阻まれ、雇っていた探索隊も依頼を拒否するまでに至る。病は彼女の体中を冒していき、ついには寝たきりになってしまっていた。
「容態が急変したと‥。それで向かったが、もう‥」
そして、更に数日後‥事件が起きる。リッド卿の息子、ランドの治める地において、殺人事件が立て続けに起こり始めたのだ。狙われたのは、いずれも身体の頑強は人物ばかり、冒険者も数名含まれている。それだけならまだしも、その死んだ者達がアンデッドとして活動を始めたというのだ。
●リプレイ本文
●事象には、それが起こる理由がある
「あの遺跡特有だけど遺跡から出ることもできるのか、探索した事が藪蛇になっちゃったのかなぁ‥」
今回の依頼の犯人、それが遺跡に居たデビルと思われる存在の仕業だろうという予想を受けた冒険者達。依頼が起きるまでの経緯を聞けば、やはりその予想に間違い無いと思える。その遺跡への探索依頼をこなしたレオン・バーナード(ea8029)は、自分達が探索を行った事が、今回の事件を引き起こすキッカケになったのではないかと危惧するが‥
「これまでにも探索は行われていたから、拙者達が原因というわけではないのでは?」
石動悠一郎(ea8417)が言うように、探索を行った事が原因では無いだろう。
「あたしが見つけた、アーティファクトを持ち出したから‥ってわけでも無いよねぇ」
フォーリィ・クライト(eb0754)が言っているアーティファクトは、その場所を見つけた後はすんなりと入手出来た。もし相手にとって大事なものならば、遺跡でもう一戦交える事になっていたはずだし、今回のランド卿領地内での事件をわざわざ起こす必要もない。
「何か‥必ず何か理由があるはずですわ、何としてもそれを掴まなければ‥」
ルメリア・アドミナル(ea8594)は、確信にも似た思いを持っていた。
そう、物事が起きる背景には必ず理由がある。相手の正体はあくまでも『デビルと思われる存在』、その行動や性格からしてそうとしか思えないというだけで、何もその証拠となるものはない。そして、相手の目的は全くの不明。ただ目の前の出来事に対処していくだけでは、気づいた時には手遅れになっているのかもしれない‥。
「グラキさん‥これを受け取って下さい」
そう言いながらシエル・サーロット(ea6632)は、グラケルミィ・ワーズにコマドリのペンダントを手渡した。
「ん‥? なんだ、これ?」
それは、雄のコマドリが意匠化されたペンダント。シエルが身につけている方の雌のコマドリが意匠化されたものと合わせて、一つになるようにデザインされているものだ。そして、シエルは更に言葉を続ける。
「残酷なお願いをする事を許してください。‥もう助からないのなら。グラキさんには次にルドナスさんと出会った時、躊躇わずに‥」
「ああ、斬って‥いや、アタシの場合はぶった斬って、かな。大丈夫、今度はやってやるさ」
だが、その言葉をシエルはまだ信じる事が出来ない、これまでに何度も同じ依頼をこなしたシエルには分かっていたのだ。普段は強気なグラケルミィだが、二人で居ると少し甘えというか‥依存したがるような感じがしたりする。内心では誰より知り合いを失う事を恐れているのだろう、保存食の不備等に対して怒るのは、それが理由なのかもしれない。
(「死んだ人には勝てない、というのも聞きますけど‥」)
先に歩き始めたグラケルミィを追って、シエルも仲間と合流しに向かう。リッド卿が隠匿しているという、今回の依頼で赴く村。少し前にドレスタットへと戻って行った利賀桐まくるが集めてくれた情報では、今までに被害にあった者は、一目で冒険者と分かるような人物ばかりだったという。
●イニシアチブ
「そっちはどないやった? 藤咲はん」
「村はまだ平和そのものですね。このまま、何事もないのがある意味一番なんですけど‥」
「でもそれだと、いつまで経っても相手を捕まえられないしねえ」
クレー・ブラト(ea6282)、深螺藤咲(ea8218)、それにフォーリィは、囮として先行している悠一郎、セシル・クライト(eb0763)、キシュト・カノン(eb1061)を追いながら、同時に逆に自分達が襲われないように警戒しながら行動していた。
「リッド卿のとこに行った人達の方は、上手くいってるんやろか?」
館には騎士が常駐しているという話だが、今回は相手が相手なので、騎士が遅れを取る可能性だってある。
「‥ダメでしたわ。誰にも会いたくないそうで‥」
「ただ、シヴさん達に教えていただいた女性の墓は、館の近くにあるようですが‥」
話をしていれば何とやら。その館に向かっていた冒険者達が戻ってきたが、どうやらあまり収穫は無かったようだ。女性の墓の位置も、リッド卿からの希望で誰にも教えないで欲しいとの事だった。
「まあ、大きくない村だし、探そうと思えば探せるかな」
リッド卿に関する心配事項はそれだけではない。聞けば、その女性は病死だったという。それはつまり、『全く外傷の無い死体』だという事。もし、相手にアンデッド化され操られたら、それこそ生きているかのように振舞われる可能性が高い。
「囮の監視と、墓の位置を特定する班に分かれておいた方が良いかもしれませんわね」
「‥だな」
「まだ相手は仕掛けてこないようだな」
村について半日、悠一郎は未だ何のアクションも取ってこない相手に、少し焦りを感じ始めていた。
「リッド卿の館の方はどうだった?」
「残念と言うべきか‥特に変わった点はありませんでした」
キシュトに問われセシルが答えるが、その答えの中にも何も事態を進展させる要素は無かった。相手のこれまでの犯行地点から、次の犯行地点を予測して先回りしているので、自然と待つ事になる。
「相手の狙いがはっきりとしてないと、待つ方が逆に辛いですね‥」
こちらが、待ち構えている‥有利な立場であるはずなのに、仕掛けるか仕掛けないか、その最後の一線の選択権は相手にある。やがて日が暮れ、夜が明けた時、それが相手が仕掛けてきた時だった‥。
●混然たる群れ
(「「やられた‥!」」)
その朝、村はざわめきたっていた。深夜の間に、十人弱の村人が忽然と姿を消したのだ。冒険者達も警戒していなかったわけではないが、ただこっそりと人を攫われては悲鳴も何も無いので気づきようがない。
「な‥嘘だろ‥!?」
そして、攫われた村人達は、犯人が事前に用意していたのであろう他のアンデッド達とともに、村へと戻ってきたのだ。それだけに留まらない、そのアンデッド達がやってきた方向は‥
「こっちの先には確か‥」
「例の女性の墓が‥!」
どうやら今現れているアンデッド達は、普通のズゥンビのようだ。動きも遅く、冒険者達にとって脅威ではない。
「くそっ、こうなったら‥」
「仕方ありませんね‥」
両の手に武器を構えるセシルに、魔法の狙いを定めるルメリア。村人達には悪いが、死んでしまったものは戻らない。確かに大都市の教会に駆け込めば助かる事もあるが、普通の村人に蘇生の為の献金など出来ようはずもない。
「ちょっと待って下さい! 何だか、その‥敵意が疎らです!」
そんな二人に続いて、臨戦態勢を整える冒険者達の中で、藤咲だけがある異変に気づいた。
「敵意が‥疎らというのは?」
「良く分からないんですけど、そのこっちに敵意を持ってないのが混ざっているというか‥」
冒険者達の中で、藤咲だけであったが殺気関知に優れていた者が居たのは幸いだった。大急ぎでルミナスはライトニングサンダーボルトではなく、ブレスセンサーを唱える。
「確かに‥、息をしている者としていない者が居‥」
その結果を仲間に伝えようとした瞬間、ズゥンビの群れの中から一部が冒険者へと襲い掛かった。
「くっ、この‥!」
「チッ! バレたと気づいたら早速これか!」
レオンとキシュトは、それぞれの手に持ったシールドで相手の攻撃から仲間を庇う。
「この速さは‥!」
「遺跡に居たアンデッドと同じだな! やはり一連の事件の犯人は、あいつに違いない!」
シエルはすぐさまオーラパワーをグラケルミィの得物に付与し、悠一郎は初撃を行ったアンデッドに続いてこちらに仕掛けようとしていたアンデッドにソニックブームを放ち、その出鼻を挫く。
「んもう! 一体どうなってんのよ!」
「生者のフリをするアンデッドだけでなく、生者にアンデッドのような振る舞いをさせるなんて‥」
更に続いてフォーリィがソニックブームを放つ。その隣では、シルバーダガーの二刀流で敵を切り刻むセシルの姿があったが、ズゥンビ相手に手数で攻めるのは有効ではない。
「下がりなさいセシル! あんたの戦法は、ズゥンビ相手には相性が悪いわ!」
「でも義姉さん‥!」
「冷静さを欠いたら‥そこで負けだぞ!」
セシルに襲い掛かろうとしていたアンデッドを、キシュトがシールドで弾き飛ばす。
「こいつらは、おいら達に任せておきなって!」
「セシル! お前は、変な状態になっている村人達をここから遠ざけてくれ!」
「お願い、セシル!」
レオンとグラケルミィ、それに義姉のフォーリィに促され、セシルはアンデッドとの戦闘を中止して村人達の避難へと回る。心の内は少し複雑だったが、義姉に言われてはセシルもそれに従おうと思ったのだ。
「しかし、一体これはどういう事だったのだ?」
「デビルハンド‥っちゅうヤツかもしれへんなぁ」
なんとかアンデッド達を打ち倒し、一息をつく冒険者達。悠一郎の疑問に答えたのはクレー、デビルハンドという魔法は、それが付与された腕に触れるとズゥンビのようになってしまう黒の神聖魔法だ。
「それより、墓の方が心配ですわ‥」
「この分だと、もう相手に手を打たれちゃった後でしょうね‥」
シエルとルメリアの言う、例の女性の墓。こうなった以上、向かわなければならないだろう。リッド卿は女性の死によって塞ぎ込み、誰にも墓の近くへと近づく事を許していなかった。冒険者達は昨日、墓の位置を探し当てていたが、墓守の騎士に追い返されていたのだ。
●天使のような死者
「皆さん必ずここまで来てくれると思ってましたよ」
そんな言葉を吐くのは、こちらに後ろ姿を向けたままの女性。
「‥随分と余裕だな」
万全の体制を整えている冒険者達に対し、その態度は明らかに舐めきっている。
「ええ、貴方達は、絶対にこの私を攻撃出来ないのですから♪」
「何をワケの分からない事を‥」
特に、相手が何かの力で守られているような感じは受けない。周囲にアンデッドを伏せさせてでもいるのかと思ったが、周囲は疎らに草に覆われており、掘り返したような痕はただの一箇所だけ。
「コレ、なーんだ? 分かりますかぁ? 特に‥そこの後ろに控えた御仁」
「‥!」
冒険者達が振り返ると、そこには騎士達に護衛されながら弱々しく立つリッド卿の姿があった。そして、悪魔の言葉を語る女性の手元には、白い玉が一つ。もしかすれば、見た事のある者も居るかもしれないが‥
「それは‥デスハートンの玉!?」
長年、生と死に関する事を追ってきたリッド卿には、自然と天使や悪魔に関する知識も蓄えられた。そう、あの白い玉はデビルがデスハートンという魔法によって奪った、生命力そのものの塊。
「察して頂けましたか? 私はですねぇ‥貴方に取引を持ちかけようと思いまして♪」
「取引‥だと?」
「ええ♪」
「いけない!」
「リッド卿、デビルの言う事になんか耳を貸しちゃダメだ!」
だが、冒険者達の制止の声は効果無く、リッド卿は目の前にいる天使のような死者の言葉を、ただ待っていた。
「簡単な事です。この娘を生き返らせてあげようというのです、体を蝕む病を取り除いた状態でね♪」
「な‥!?」
「ほ、本当か!?」
流れるように語られる言葉。デスハートンによってワザと殺し、腐敗の進まないアンデッドと化する事で、その体を保存。そして、その間に、この娘を完全に治癒する手段を用意しようというのだ。デスハートンの玉を定期的に体に戻せば、娘の魂がこの世界を離れてしまう事もない。そう、囁かれる。
「ええ、で‥その見返りなのですがね?」
デビルとの取引、代償として要求されるのは‥
「私が居た遺跡に関する調査結果を全て破棄。誰も、もう来れないようにして欲しいんですよ♪ いやあ、寝床は静かであるに限るとは思いませんか?」
‥それだけ、なのだろうか?
(「違う‥! それでは、今回の事件を起こした説明がつかない‥!」)
ルメリアが思考を巡らせる。それは、他の数名の冒険者も同じのようだ。ただ、この取引だけをするつもりならば、何故殺人事件を次々に起こしたのだろうか? 必ず、その理由は存在するはず。だが、答えに至れた冒険者は誰も居なかった。
事件が起きれば、それを解決すべく動く者が居る、統治された土地というものはそういうものだ。デビルも、デミヒューマン達がどんな文化を持っているのかは知っている。だが、このデビルと思わしき犯人は、解決すべく動いた騎士達を避けていた。
つまり‥
「クレーさん、しっかりして下さい!」
「お前ぇ! 義姉さんに何をした!!」
この相手の狙いは、最初から冒険者。
「さあ? 何でしょうね?」
惚けた様子で肩を竦める。その後ろでは、フォーリィと同じようにクレーが蹲っていた。少しの間、娘のアンデッドが手をかざしていたと思ったら、急に二人が苦しみだしたのだ。何かの魔法を詠唱したような様子は無かった。
「聖職者、それに‥そこのハーフエルフ。特に貴方はイイ‥♪ ハーフエルフでありながら、その‥明朗なる、強さ‥とでもいいましょうか? 誰より生きようとしている強い方だ、だからこそ貴方は贄に相応しい♪」
目的を達したのか、早々に立ち去ろうとする相手を止める者が居る。
「待てや、てめぇ‥!」
斧を強く握り締めるその冒険者を一瞥し、しかし余裕の態度は崩さない。
「いいんですか? それで私を斬ったところで、何も変わらない‥いや、悪くなるだけですよ?」
「‥そうだな。その娘を斬ったところで、お前自身は何も傷つかない」
悠一郎が憎憎しげに呟く。そう、今ここで戦ったところで、ただ娘が生き返る可能性が0になるだけ。本体である相手自身は、何一つ困る事なくこの場から逃げ去れるのだ。それが分かっていては、リッド卿の一縷の望むをわざわざ断つような真似も出来ない。
「油断していましたわ。最も恐れるべきは、結末ではなく‥」
「思いを利用され、ずるずると悪い方向へと向かわされる事‥」
戻らなくなってしまえば、それは割り切る事も出来る。だが、戻る可能性がある、そう‥それが例え僅かであっても、それが例え人の道から逸れる手段を取る事になろうとも、その事が人の心に隙間を作る。そして、そこに入り込むのがデビルだ。
‥そんな事は判っている。
「今は退きます。でも、あなたは必ず倒します‥!」
‥許せない。ただ、その思いだけが冒険者達の中で渦巻いていた。悪く言えば執念、その思いは負の思いかもしれない。だが、誰も歩まぬ地を行く者ならば、それが何よりも大きな力を生む事も知っているだろう。