『謎の温泉教団の温泉宿10』

■シリーズシナリオ


担当:

対応レベル:フリーlv

難易度:普通

成功報酬:0 G 97 C

参加人数:15人

サポート参加人数:-人

冒険期間:05月06日〜05月16日

リプレイ公開日:2005年05月14日

●オープニング

●温泉教団西へ
 相変わらずの説明で申し訳ないが、謎の温泉教団は、八百万の神を信仰する宗教団体である。
 温泉には神が宿り住んでおり、温泉に入ることが神様の恩恵を授かることを教義としている団体である。
 温泉に入るための礼儀作法には厳しいがそれ以外はおおむねざっくばらんである。
 彼らは温泉寺に住み、檀家の者達おも温泉へといざなう。
 温泉寺の裏はもちろん温泉である。温泉に入り身体を癒し、心を癒し、平和に生きていこうと言うのが彼らの考え方である。
 石灯籠の明かりの中でのんびりと温泉に入るのが彼ら流のやり方だ。
 温泉脇には屋台が数軒並んでいる。甘酒や蜜柑酒、よく冷えた瓜、馬肉のすき焼きや新鮮な果物なども売られている。

 春の味覚のタケノコご飯を看板に、甘酒を片手に塩煎餅を楽しむ人達、山の清流で取れた虹鱒を使った鱒寿司に甘美の声を上げる者達、鯨肉のステーキ丼を笑顔で頬張る人達。野生の黒豚の肉で作った焼き豚(串焼きの様な物)を頬張り満面の笑みをあげる物達、謎の温泉教団の温泉宿は温泉を楽しみながら紅葉と食欲の秋を満喫する人達でいっぱいであった。
 無論温泉と女体を楽しむ者達も多い。
 うら若き乙女によるマッサージのサービスを堪能することも出来るサービスや、真夜中に女性従業員の入浴を覗くことが出来る覗き部屋なども好評で連日連夜客足の絶えない状況が続いている。
 竹林の温泉の中では竹のニオイ香しく温泉を満喫することが出来る。温泉宿としては大繁盛を納めていた。連日連夜の満員御礼に嬉しい悲鳴は鳴りやまなかった。
 そして順風満帆。遂に温泉宿の専用の宿屋(別館)が建築され、お客の入りも前とは比べ物にならないほどの入りに成っていた。
 さらに増築された温泉で楽しむ戸棚風呂(足湯と蒸し風呂の両方が楽しめる湯)も好評で、近くの村々からのお客さんで活気溢れている。

 そして、その温泉教団の女将、彩花は、有る決意をして西の地を目指していた。

●新天地への挑戦
 一枚の図面を相手に彩花は悩んでいた。
 京都方面に、広くて、安くて、交通の便が良くて、隔離された土地がある。
 しかも、水の便もよく、米が旨い。温泉まで湧いている理想の場所である。
 交通の便が良く、隔離された場所など、離れ小島(無人島)しかあり得ないのだが、そこは京都からたったの丸2日でいける場所である。(船を使うけど)
「これ、誰も人が住んでない場所何じゃないの? 近くに村はあるの?」
 相談相手の挿す地図を見るとすごいド田舎の様にも見える。その場所とは‥‥
「いえいえ、港町の人口は5000人ほどの大変栄えた町ですよ。木材や竹材、それに石材も調達がし易く、その他の食材や資材や人間の輸送移動は船で行えますし、港から徒歩一時間程。しかもこの広さでこの値段と言うのは他にはぜったいありえまえん」
 一番引っかかってるのはそこである。土地があり得ないくらいの広さで使用量が無料なのである。どう見ても詐欺臭い。
「これ、いくら荒れ地だと言っても安すぎるよね? 何か裏があるんじゃないの?」
 彩花の言葉に相談役が応える。
 ほぼ400mの正方形(約5万坪)の土地の使用量が殆ど無いに等しい値段なのである。
 うまい話には何か裏がある。詐欺と思われても仕方がない。
「実は今回の温泉教団の温泉郷建設には町奉行様、観光奉行様が非常に興味を示して折りまして。謎の温泉教団の温泉郷を中心に、観光地として町が発展してくれるならば、協力援助を惜しまないと言う事に成りまして‥‥。そのために土地代や材木代を破格で提供してくれると言う事でございます」
 拾う神有れば捨てる神有りとはこのことである。
 今ある温泉教団の温泉宿を売ることで数十倍の広さの土地が得られるのである。
「分かりました。しかし、実際の所はこの目で見てみないと分かりません。交通の便、土地の善し悪し、食べ物の味、それに温泉にも入ってみないことには」
 そう言って彩花はにっこり微笑んだ。
「では、移転は保留。まずは視察と言うことで、私はお奉行様にお伝えしておきます」
 そう言って彼はぺこりと頭を下げた。

●そして‥‥
 お供を連れて新天地候補地の視察をすることに成りました。
 場所はまだ伏せられていますが京都から船含めて2日でいける場所だそうです。
 料理はおいしく、魚介類、牛肉、野菜、の全てをそこそこ取りそろえることが可能らしい。
 土地代は破格、木材代も破格で用意してくれる様だ。
 移動に必ず船を使わなければ成ら無い隔離された場所。っと言うのが欠点なのですが、専用の小型船を1隻用意してくれるらしいです。

旅のスケジュール
 江戸 → 大阪 → 京都 → 現地視察 → 京都で解散

●今回の参加者

 ea0299 鳳 刹那(36歳・♀・武道家・人間・華仙教大国)
 ea0547 野村 小鳥(27歳・♀・武道家・人間・華仙教大国)
 ea0758 奉丈 遮那(32歳・♂・忍者・人間・ジャパン)
 ea1151 御藤 美衣(27歳・♀・浪人・人間・ジャパン)
 ea2948 如月 妖乱(34歳・♀・浪人・人間・ジャパン)
 ea5209 神山 明人(39歳・♂・忍者・人間・ジャパン)
 ea5943 鬼子母神 豪(31歳・♂・浪人・人間・ジャパン)
 ea8333 ティアナ・クレイン(30歳・♀・レンジャー・人間・イギリス王国)
 ea8674 橘 命(20歳・♀・武道家・エルフ・華仙教大国)
 ea9181 巽 咲夜(41歳・♀・浪人・人間・ジャパン)
 eb0356 高町 恭也(33歳・♂・浪人・人間・ジャパン)
 eb0494 高町 恭華(30歳・♀・浪人・人間・ジャパン)
 eb0654 レイヴァン・クロスフォード(28歳・♂・ファイター・ハーフエルフ・イギリス王国)
 eb1110 ジェイル・フェイシス(36歳・♂・ファイター・ジャイアント・フランク王国)
 eb2127 字 冬狐(28歳・♀・陰陽師・人間・ジャパン)

●リプレイ本文

●謎の温泉教団の温泉宿10
「さぁ皆さん京都にようこそ!! それじゃ現地に向かうわよぉ」
 京都に船で付いた一行は休む間もなく東へ東へ。
 大津港で36人乗りの大型屋形船に乗って出発する。
 日没‥‥6時頃に船に乗って、現地に着くのは朝の9時を予定している。
 風に寄って異なるがほぼ半日〜一日かかる。
「さて、料理の準備が出来ております。皆さんごゆっくり船旅をお楽しみください」
 近江観光協会の係員(侍)に手を引かれ、彼らは琵琶湖で一番大きな屋形船で、現地に向かいつつ、船遊びを楽しんでいた。
「私他人にこうして接待受けるのは初めてかも」
 謎の温泉教団温泉宿女将の彩花が、京の芸者さんにお酌をしてもらって頬を赤らめる。
「ささ、彩花さま。私のお酌も受けて下さいな」
 鳳刹那(ea0299)が彩花の杯にお酌をする。
琵琶湖で釣れたての魚の天ぷらを頂きながら、頬をぽうと明るくする彩花。
「それじゃ刹那さんにもご返杯を」
 差しつ差されつ酒を頂いている二人。
「船で移動ならお客さんは疲れなくて良いよね? 魔物とかはどうなのかな?」
 野村小鳥(ea0547)が芸者に質問する。
「へい、近江も北部と西部は山岳地域成れば、魔物も多くおります。特に有名なのは‥‥あの比叡山に住む、酒呑童子と。蓬莱山に住む鐵でしょうかねぇ?」
 屋形船の窓、西側に見える山脈、比叡山と蓬莱山を指さして芸者は答える。
 琵琶湖の西側は魔物が蔓延る特別な場所。北側は未開の場所だと言う。
 そして温泉教団はその未開の北側開拓の為に行くのだという。
「お酒はさほど辛くなく、それで居て悪酔いはなく、米所と言うだけあっておいしいお酒よ?」
 小鳥にお酒を勧める彩花。小鳥もその杯を受け取って酒を呑み始める。
 奉丈遮那(ea0758)が角の方で芸者を口説いている。
 イヤ、実際には口説いているのではなく、聞き込みであるが。
「えっ? モンスター出没の危険や変な言い伝えですか? まぁ京都・琵琶湖で有名なのは、比叡山と蓬莱山。それに琵琶湖では巨大な蟹なんかも言い伝えというか、迷信として有名ですなぁ。雨が降る月の無い夜は巨大な蟹が捕れる事があるんやね」
 コマメに聞き込みをする奉丈遮那。聞き込みする度に、芸者の酒を受けなければいけないのが、大変である。
「天ぷらがおいしいですね」
 ティアナ・クレイン(ea8333)が琵琶湖に釣り糸を垂らして、釣りを楽しむ。
 釣れた順番に天ぷらにしているようだ。

 酒を呑み、どんちゃん騒ぎを起こしながら、船は目的地に進んで行く。流石に飲み比べでは彩花に勝てず、小鳥も遮那も勝てなかった。
 気が付くと二人は同じ毛布に包まって、一緒に寝ていたりするから驚きである。
「おはようお二人さん夕べはお楽しみでしたね?」
 鳳刹那に膝枕をして、優しく髪を撫でながら、目を覚ました二人に彩花は優しく挨拶する。

●現地到着
「広いけど‥‥何にもない所だね?」
 如月妖乱(ea2948)が彩花と共に当たりを見回す。
 港から歩いて30分。さらに 鬱蒼とした森を10分ほど歩くとひらけた場所に飛び出した。
 そこは山を削り取ったかのように平らで平べったい。
 っと言うか、それ以外の場所は坂道で木が鬱蒼と生えている。
 元に何か建っていたのだろうか、整地はされているが、合掌造りのばかでかい民家が一軒あるだけである。
「雪‥‥沢山‥‥降るのかな?」
 妖乱の質問に首をかしげる彩花。確かに京都は京都盆地で寒いと聞くが‥‥。
「これだけの土地が農地として使えない。怪物が出ると言うイメージを返上して、観光名所にしたいと言うのであれば、破格の値段は納得だな」
 神山明人(ea5209)がそう言って踏み固められた地面を確認する。
 元は神社仏閣だったのだろうか、それとも農村だったのだろうか。建物を壊して平地にしてしまったんだろう。
 これを掘り起こして土地を寝かせ、畑として使えるようにするには3〜5年はかかるだろう。
 しかも場所が琵琶湖より高いので水を引くのが大変だ。まぁ近くに河があるので飲料水には問題ないが。まぁそれならっと観光協会は温泉教団に目を付けたのかも知れない。
 温泉の源泉らしい場所から竹を使ってここまでお湯は引かれている。
 おそらく源泉は山の少し上の方なのだろう。
 ここで河の水と混ぜほどよい(やや温い)温度にして岩風呂に注ぎ込まれている。
「お花とか植えたらもっと華やかに成るかしら?」
 橘命(ea8674)がここに来る石段を見つめながらそう言った。
 山には檜を基本にした樹木が生え渡っている。杉は殆ど見あたらない。
 桜や梅、藤なんかを植えれば、もう少し華やかに成るかも知れない。
「そうね、アヤメなんかを植えるのも良いかも知れないわね」
 彩花がそう言って橘の言葉に相づちを打った。
「みなさ〜ん温泉の近くでは滑りやすいですから、走ってはいけませんよ〜」
 巽咲夜(ea9181)が引率っぽく回りを指導する。
 特に走ってる人は居ないが、みんなはしゃいでいる。
 既に服脱いで飛び込んでいる人もいる。
「今日は引率がいますから、私が先にお湯もらっても大丈夫ですよね?」
 とっぷりとお湯に浸かる彩花。やや温めだが、温度は調節すればいい。それよりも温泉の効能が気になる。
「このお湯、臭く無いけど大丈夫なんだろうか? 浸かり心地は悪くないが」
 高町恭華(eb0494)が彩花と一緒に温泉に浸かっている。硫黄臭くないことを指摘しているのだ。岩風呂と言っても5人も入れば満帆に成ってしまうような狭さである。これは拡張が必要である。
「臭くない温泉もありますから、そんなに気にすることはありません。問題は入り心地です」
 ばちゃばちゃと温泉の中で手をうごかし、足を動かし、そして飲んでその湯を確認する。
「取りあえず合掌家屋を仮宿舎にして、建物を建て増ししたり、温泉と言うか、湯船を掘ったりしないとあきませんなぁ‥‥‥‥取りあえず恭也さんも汗かきましたやろ? いっしょにどないですか?」
 屏風の向こうで警護している高町恭也(eb0356)に彩花が話しかける。
「いや、警護が有りますから、それに女性陣の中に入るわけにはいきません」
 恭也は穏便に断ろうとする。
「あら? でも、レイヴァンさんはご一緒してますよ?」
 その言葉に驚いて屏風の向こうを覗き込む恭也。だが、そこにレイヴァンの姿は無い。有るのは全裸の彩花と恭華だけである。
 恭華が顔を真っ赤にして恭也をにらみつける。
「う・そ♪」
 彩花はそう言って笑いながらウインクを飛ばした。

「それじゃ改めて失礼するさね」
 レイヴァン・クロスフォード(eb0654)が改めて呼ばれてお湯に入る。
 高町恭也も入って4人で湯を楽しむ。
 恭華も彩花の影に隠れてお湯には浸かっているが、二人とは目線を合わせない。
「しかし、これだけ広いと蝋燭の明かりじゃ、はじっこが見えないさね」
 レイヴァン・クロスフォードが絶景かなと言う感じで当たりを見回す。
 蝋燭の明かりが届く範囲は限られている。
 届かない所は闇である。
 テレビゲームの様に、明かりを付ければ昼間の様に明るくなるわけではない。
 ちなみに彩花が壁に成っているので恭華の身体を拝むことは出来ない。

「あの‥‥男性陣があがりましたら、お湯を頂きますので、お声をかけてください」
 字冬狐(eb2127)が屏風の向こうからコッソリ顔を覗かせる。
 しかし4人とも一向に出るよしはない。
「いやぁもうしばらくかかると思うよ? 男性陣と恭華ちゃん、どっちが長くお湯に浸かってるか争ってるみたいだし」
 そう言って彩花がにっこり微笑む。
 先にお湯から上がった方が身体を見られるサバイバルバトル。
 白熱したデットヒートを見せている。

 ‥‥2時間後、どろーゲームで3人ともゆでだこに成って介抱される。
彩花は何故か元気である。

「琵琶湖が目の前では新鮮なお魚が手に入りますねぇ。淡水魚ですけど」
 字冬狐がそう言って一人のんびりとお湯につかる。
「うん。そうね。サケ、マス、コイ、ふな、なまず、あゆ、かわむつ、わかさぎ、うなぎ、どじょう、えび、かに、すっぽん何かが有名らしいわ。特にふなは鮒寿司に成るくらい名産らしいわね」
 彩花が付け加えて言う。
「それと竹林が近いしタケノコとかも今が旬よ? お肉は近江牛が有るみたい」
 彩花はそう言って手ぬぐいと浴衣の入った籠を持ってきた。
 字冬狐がそれを受け取る。
「私もご一緒させてくださいな?」
 御藤美衣(ea1151)がそう言ってお湯の中へどぼんと飛び込んだ。
 彩花の眉毛がひくつくが、今日は穏便に何も言わない。
「まぁお湯良し、酒よし、魚よし、肉よし、最大の問題点はモンスターか。比叡山も蓬莱山も全然遠くて関係ないけど、こっから西は未開の土地なんでしょう?」
 美衣の言葉ににっこり笑う彩花。
「そうよ。観光奉行の他に『町奉行』も力添えって事は、開拓兵の休息の場として使って貰えるって事何じゃないの? まぁ余り高いお金は払って貰えないでしょうけどね」
 そう言って彩花は微笑んだ。
 要するに兵士を休める場所を民間に建てさせようって腹なのだろう。
「利用される代わりにこっちも利用するわ。それで温泉教団の繁栄があるなら‥‥ね?」
 そう言って彩花はにっこり微笑んだ。

●そして
 多数決の結果移住が決定した。
 そしてその日のウチにそんな彩花の元に一通の手紙が届いた。
「何か温泉教団のお仕事が入ったわ」
 彩花がそう言って手紙を読む。
「何でも、新撰組三番隊が屋形船使いたいんだって、それと温泉の手配をして欲しいんだって」
 何で新撰組三番隊が温泉教団の船使って船遊びして、温泉宿利用するのかよく分からないが、取りあえず京都での初以来が入った。
「っで? それは何時からなんですか?」
 彩花に対して小鳥が質問する。
「えーと、明後日から!!」
 あまりの事に参加者一同ぶっ倒れた。読んでる彩花本人も目を丸くしている。
かくして唐突ではあるが温泉教団番外編、三番隊と一緒に温泉旅行は始まったのであった。

‥‥今からでは登録は間に合わないと思うが。