踊る猫耳巫女6(最終回)

■シリーズシナリオ


担当:

対応レベル:1〜5lv

難易度:普通

成功報酬:1 G 48 C

参加人数:6人

サポート参加人数:-人

冒険期間:04月13日〜04月19日

リプレイ公開日:2005年04月20日

●オープニング

●あんころ餅が食べたいよ
 江戸から北東に3日ほど。小さなお山がありまして。猫神様を祭っている祠が有りました。
 お山は猫神様に守られている‥‥と、地元の村々の人は、そう口を揃えて言います。
 山は村人達に沢山の幸を与えてくれます。木の実、魚、キノコ、薪、そして‥‥。
 山の麓には猫神様を信仰する小さな神社が存在しました。そして、そこには一人の美しい巫女が存在しました。
 彼女の名は五月(さつき)。猫神様を信仰する猫耳巫女です。
 猫神様の声を聞くことが出来る唯一の存在です。
 今日も今日とて五月さんは神社で飼っている黒猫のミーコちゃんと御神酒を飲んでほろ酔い気分で猫耳音頭を踊っています。神様から御神託が下るのを待っているのです。
 黒猫のミーコちゃんも腰ミノと猫サイズの褌を付けてフリフリ踊っています。
 これだけでも村の名物に成るんじゃないかと言うくらいの一芸です。

それは有る晴れた日の事でした。
猫耳巫女様は相変わらずと言った感じでのんびり楽しく一日を過ごしておりました。
朝はお布団の中でゴロゴロ。昼はポカポカの縁側でゴロゴロ。夜はおこたでゴロゴロ。
一日中ゴロゴロしていた巫女様ですが、ふとおはぎが食べたく成ったりする甘い物に飢えたアバンチュールな乙女だったりします。
本場のおはぎを食べようと思うと、京都まで行かなければ成りません。
冒険者雇ってチョット行ってくるって距離では無いのです。

数日、彼女の中でおいしいおはぎが食べたい日々が続きました。

そんなある日、一人の猫耳巫女見習いの少女が彼女に言いました。
「五月さま。村の事は気にせず、行ってきてください。後のことは全部私が引き受けますから」
 一人の少女が五月の前に申し出た。彼女は五月の元で3年間喰っちゃ寝‥‥もとい、巫女の修行をしている娘である。
「それじゃ‥‥ちょっとだけ‥‥行ってきても良いかな? み〜こちゃんと一緒に‥‥」
 そう言って五月は照れくさそうに微笑んだ。

「おいしいおはぎを食べるため、京都まで食べ歩きツアーを慣行したいと思います。我と思わん甘党の猫耳信者の方は一緒にいってみませんか? ただいま参加者募集中です」

●今回の参加者

 ea6656 ラヴィ・クレセント(28歳・♀・ジプシー・人間・エジプト)
 ea7278 架神 ひじり(36歳・♀・志士・人間・ジャパン)
 ea9852 シャスール・サリア(24歳・♀・レンジャー・ハーフエルフ・イギリス王国)
 eb0938 ヘリオス・ブラックマン(33歳・♂・ナイト・人間・イギリス王国)
 eb1534 鬼堂 龍臣(36歳・♂・浪人・ジャイアント・ジャパン)
 eb1967 綾峰 瑞穂(28歳・♂・陰陽師・人間・ジャパン)

●リプレイ本文

●踊る猫耳巫女6
「この船に乗っていれば、キョウトにいくんのですぴょん? ところで、キョウトってエジプトより遠い? 」
「残念ながらこのお船は大阪止まりです。大阪からは京都だめ歩くです。残念ながら京都は海に面していないので」

 場所は江戸を離れた船の上、会話をするのはウサギミミエジプトジプシーラヴィ・クレセント(ea6656)と猫耳巫女様。
 ごっそり買い占めてきた江戸でのおやつ300文分をひっさげて向かうは大阪経由京都行きである。目指すはおいしいおはぎ(あんころもち)を食べる為に。
(厳密にはこしあんだったりつぶあんだったり中に入っている物が餅米だったりお餅だったりでおはぎ・あんころ餅・ぼたもち等呼び名が分かりますが、猫耳巫女解釈によってすべてあんころもちとさせていただいております)
「私はおやつを薔薇薔薇饅を300文分買ってきたのですぴょん」
 ラヴィ・クレセントがそう言ってごっそり出したのが紅白饅頭60個である。
「えーと、お船で3〜4日はかかるから固くなるよ?」
 猫耳巫女様にツッコミを入れられるラヴィ・クレセント。
「しかし、おやつ代が300文とは切ないのう。どうせ金もあることじゃし3両分位買っても文句を言われることもないと思うが‥‥」
 巨大な猫のぬいぐるみでの登場は架神ひじり(ea7278)
 京都福袋まるごと猫かぶりである。
「いや、3両って300文じゃなかったっけ?」
 お煎餅を分けてもらいながら、そろばん片手に計算しなおす猫耳巫女とラヴィ・クレセント。どこから持ってきたのやら、猫耳巫女様のそろばんは上のタマが2つ下のタマが5つ付いている。
「16進数のそろばんだぴょん。初めてみたぴょん」
 何に使うのか分からないが、取りあえず不思議な猫耳巫女様専用謎そろばん。
ちなみに架神ひじりのおやつはお煎餅である。
「京都のおはぎ、たのしみですねぇ」
 猫耳巫女さま持参のいなり寿司をつまみながら、シャスール・サリア(ea9852)がのんびりと海を見つめる。
「むにゃむにゃ。ぐー。もう食べられません‥‥」
 のんびりと船の上でお昼寝するのはヘリオス・ブラックマン(eb0938)
 ポカポカ春の日差しにお船の上はとても温かい。
 しかもどこから持ち出したのか猫耳巫女さまの用意したハンモックに揺られ、船に成れない面々でも陽気にお昼寝可能だったりする。
「ヘリオスさんもすあま食べる?」
 江戸の和菓子すあまを昼寝を楽しむヘリオスの口の中に押し込む猫耳巫女様。
「むがむぐ、ごっくん。‥‥そーいえば、猫耳巫女さまはあれだけ食べて良く太らないねぇ?」
 ヘリオス・ブラックマンの言葉に巫女様がにっこり微笑み答える。
「見えない所でかなり身体動かしてますから。猫耳ダンスとか占いとか‥‥」
 猫耳ダンスがどんな物かは分からないが、占いも体力を使うんだろうか。
「巫女殿に聞いていただきたい話があるでござる」
 そう言って語り始めたのは鬼堂龍臣(eb1534)。何か真剣な面持ちである。
「拙者、実は、誤って船に乗ってしまったのでござる‥しかも二度も!! 一度目は、京都散策をしていたときに、物珍しさも手伝って、ふらふら〜と‥‥二度目は、京都の依頼がなかなか取れない故、江戸に帰ろうか迷っているうちに、またしても‥‥‥‥京都では魑魅魍魎が溢れ返ってえらいことになっていると申すに、うろうろと海を彷徨っているのは、これぞまさに魍魎の呪いゆえか!? ともかく、拙者、急ぎ京都に戻り、魑魅魍魎どもに一泡吹かせてやらねば、気が治まらないでござる!」
 鬼堂龍臣の言葉を聞きながら、八卦盤(風水盤)を使って占いをする。
「手柄を立てようと焦ってはダメです。初夏の風に誘われて、依頼は取れると占いにも出ています。‥‥お船が好きなら琵琶湖で乗るとok何処まで行っても遠くへは行けないから。‥‥信じて待ち続けることが吉。急がば回れ光は東方より来たる‥‥かな」
 言ってることは至極まともそうなのだが、猫と一緒に風水盤覗き込みながら水晶玉にじゃれつくと言う占い方は、とても怪しい。
 っというか、日本人なんだから筮竹(ぜんちく)を使うとか亀甲を使うとかもっと日本らしい占い方が有ると思うのだが‥‥。
 綾峰瑞穂(eb1967)が自己紹介を申し出て、静かに頭を下げる。
「自己紹介を‥‥まずは私から。名を綾峰・瑞穂、冒険者としては陰陽師をしております。戦闘系ではなく、補助が主だった戦術です。自他共に認める美少女顔だそうです♪」
 心の中で、後は女装が趣味ですと呟き、質問には微笑んで対応します。
「猫耳巫女やってます‥‥五月と言います。占いとか出来ます。」
 猫耳巫女様がぺこりと頭を下げる。
「エジプトからやってきたウサギ耳のラヴィ・クレセントですぴょん。語尾がぴょんなのはエジプト訛りですぴょん。占いとかできますぴょん」
 何か占い師が集まっている気がする‥‥。
「京都は初めてなのでどう言った所かというのも聞いてみたいです」
 綾峰瑞穂の言葉に旅のしおりを取り出す猫耳巫女。
「京都食べ歩きツアー入門!!」
 食べ歩きと言う言葉に架神ひじりが反応する。
「大阪でおいしいうどんを食べて、京都で京菓子を一杯食べて、奈良で奈良漬けを一杯たべて、近江で琵琶湖の鮒寿司にウナギ、鯉のお刺身なんて良いんじゃないかな?」
 その言葉を聞いて喉が鳴る。
 ごくりと言う音が喉から聞こえる。
「京都からチョット足を伸ばして琵琶湖に行けば、おいしい鮒寿司が食べられるの。鮒寿司ってのは琵琶湖にしか居ないって言われるニゴロブナを使った料理でねぇ。米などの穀物類と一緒に発酵させた『なれ寿司』のひとつで、納豆と一緒で発酵臭があるんだけど、薄切りにした鮒寿司をお口に中に入れると、ふわーっと口の中でとろけて、じわーっと塩気と酸味と旨味がお口の中に広がっていくの!! もう最高だって話だよ」
 聞いてるだけで口の中にじんわりとよだれが溢れてくる。
 西洋人や現代人なら、チーズが口の中でとろける様子を想像すればいいだろう。
 日本酒片手に食べる寿司としては最高であり、琵琶湖でしか食べることの出来ない珍味である。
「ちなみに一番おいしい旬の時期は5月って話だから、にゃんにゃかにゃかにゃか食べ盛りよぉ〜 京都の酒場でも食べれるって話だから楽しみにしてるんだにゃぁ」
 京都でも食べられると言うことを聞いて一同は胸を躍らせる。
「京都は四方を山に囲まれた土地、魚の類は干し物で無いと口には出来ないと聞く、故に生さかなは大阪まで足を運ばねばと思うておったが、琵琶湖と言う選択肢があったのじゃな」
 架神ひじりがそう言って喉を鳴らす。
「琵琶湖(近江)には蕎麦所があるから、おいしいおそば屋さんもあるの。近江牛のステーキもバターと醤油で味付けされていて絶品なの。それに米所だから甘口のおいしいお酒も一杯あるの」
 猫耳巫女様の旅のしおりを見て喉をならす架神ひじり。
 どうも近江の情報が多いと思ったら、発行が近江観光協会に成っていた。
 しかも最後のページにはグルメマップと割引券(竹製)が付いている。
「へー琵琶湖食い倒れツアー。屋形船に乗って琵琶湖遊覧船の旅。景色を楽しみながら、取れたてのお魚を天ぷらに!! 鮒寿司、シジミ汁、タケノコご飯のおいしい5月。オプションで神戸牛とおそばも楽しむ事が出来ます‥‥要予約必須!?」
 挿絵を見ながら喉を鳴らしていた架神ひじりは、予約しないと食べれない事に気が付いた。それだけ人気の旅行プランなのである。いや、船で琵琶湖一周しつつご飯食べ回るだけだけど‥‥。
「11名様で予約してあるよ? もっと人が一杯来ると思っていたから‥‥」
 その言葉を聞いて、五月の手をがっしりとつかむ架神ひじり。
「私たちお友達だよね? ね?」
 すっかり琵琶湖食べ回る気満々の架神ひじり。
「さて、それでは景気づけに踊りましょう?」
 ラヴィ・クレセントが踊る。
 猫耳巫女様が踊る。
 綾峰瑞穂が踊る。
 猫のみーこちゃんも一緒に踊り出す。
 心躍る京都あんころ餅食べ歩きツアー。

 おいしい物いっぱい、幸せいっぱいである。