魔法少女は振り向かない。

■シリーズシナリオ


担当:

対応レベル:2〜6lv

難易度:普通

成功報酬:2 G 24 C

参加人数:10人

サポート参加人数:-人

冒険期間:02月07日〜02月13日

リプレイ公開日:2005年02月16日

●オープニング

 とある所に一人の魔法少女に憧れる一人の女の子がおりました。
 彼女の名前はシーマ・グリューネワルト、親しい友人からは由美(ゆみ)ちゃんと呼びます。それは彼女の本名が葉月由美(はづき ゆみ)だからです。
 彼女はとある志士の家に生まれました。彼女の家には嫡男が折らず、女性では有りますが、彼女は家を継ぐことが定められておりました。
 厳格なお父様から剣術と精霊魔術、それに武芸や学問を教わる毎日ですが、それでも魔法少女に成りたいという夢は捨てきれず、日々魔法少女に憧れていました。

 そんなある日の事、シーマ・グリューネワルトはお父さんに呼び出されました。
 お父さんは葉月家当主であり、神皇家にお仕えする志士の家の主(あるじ)です。
「由美よ。お前も今年で数え年で12になる。ソロソロお前にも我が葉月家の次期当主としての自覚を持って接して欲しい」
 お年玉をもらって意気揚々の由美であったが、仰々しいお父様の物言いに頭を下げて話を聞いた。
「そこでお前に試練を与えよう。今よりオマエは冒険者と成って百鬼夜行を倒して参れ。路銀と装備はこちらで用意しよう。見事100の鬼を倒した暁には晴れてお前を我が葉月家の当主として認めよう。‥‥何か必要な物は無いか? 何でも用意してやるぞ?」
 厳しい中にも娘思いの過保護な部分が見え隠れするお父様。葉月由美は目をランランと輝かせながらお父様に応える。
「何でも良いの? 何でも? じゃぁ魔法少女のローブと踊り子の衣装一式。それに魔法少女の枝と獣耳ヘアバンドが欲しいな〜♪」
 世界が一瞬白かった。
 何処の世界に武者修行の旅に出ようとする娘が魔法少女アイテムを欲しがるだろうか。
「ばっ、馬鹿者。そう言う物が欲しいのなら、自力で手に入れなさい。お金は用意してあげるから。お父さんは悲しいぞ」
 うわずった声で娘をしかるお父さん。それ以前にそんな物ポンポンと今日明日に用意出来る訳がない。

 こうして前代未聞の猫耳の魔法少女志士が武者修行に出ると言う壮絶なお話がスタートした。

「さて、お金ももらったし馬ももらったし、取りあえずは江戸に出て見聞を広めようかしら‥‥。魔法少女に成るためにはどうすれば良いんだろう‥‥」

 こうして、江戸の冒険者ギルドの門を叩いた彼女は、一緒に冒険に出てくれる仲間を集うため、そして魔法少女に成るための見聞を広める為に、彼女は冒険者ギルドへと足を一歩踏み入れたのであった。

今回の依頼:『猫耳魔法少女に成りたいので、皆さん色々教えください♪』

●今回の参加者

 ea2034 狼 蒼華(21歳・♂・武道家・人間・華仙教大国)
 ea2775 ニライ・カナイ(22歳・♀・神聖騎士・エルフ・ロシア王国)
 ea5480 水葉 さくら(25歳・♀・神聖騎士・人間・ジャパン)
 ea5980 大宗院 謙(44歳・♂・侍・人間・ジャパン)
 ea9355 十六夜 熾姫(26歳・♀・忍者・人間・ジャパン)
 ea9789 アグリット・バンデス(34歳・♂・ウィザード・ハーフエルフ・イスパニア王国)
 ea9853 元 鈴蘭(22歳・♀・武道家・ハーフエルフ・華仙教大国)
 ea9916 結城 夕貴(27歳・♂・浪人・人間・ジャパン)
 eb0084 柳 花蓮(19歳・♀・僧侶・エルフ・華仙教大国)
 eb0094 大宗院 沙羅(15歳・♀・侍・ハーフエルフ・華仙教大国)

●リプレイ本文

●魔法少女は振り向かない

 江戸から半日ほど離れた海に面して宿場町のとある料亭。美味しい河豚を食べさせてくれる宿屋。いや、旅籠と言った方が良いのだろうか。その広間を借りて、10の冒険者と依頼主はふぐのお刺身に舌打ちしていた。ちなみにこの後はふぐ鍋とふぐの雑炊が出て来る予定である。
 ちなみにココだけの話だが、トラフグではなく、サバフグを使っているのは抜群に秘密である。
「魔法少女に必要な物。魔法少女に大切な物。マズはそれを教えて下さい。」
 葉月由美がそう言ってにっこり微笑む。

 狼蒼華(ea2034)が葉月由美に話をする。
「私は黒子としてお仕事させてもらいます。それと魔法少女には『しゃべる謎の小生物』の捕獲が必要なんじゃねーの?」
 葉月はその言葉にメモを取る。『魔法少女には謎の小生物が必要』っと
「でも黒子って何ですか? 何をお手伝いしてくれるのかよく分かりませんが?」
 葉月はそう言って首をかしげた。

「猫耳魔法少女を目指したいと? 生憎と私も詳しく知る訳ではないが、神の与え給うた折角の機会だ。共に一から頑張って行こうではないか。ジャパン格言にも『三人寄れば饅頭のひれ』という言葉もある。何か得体の知れない物も、皆で協力すればいずれ分かるという意味だ(自信たっぷり)‥‥そういう訳で(?)皆で猫耳魔法少女になろう。つまりは戦隊だな」
 ニライ・カナイ(ea2775)が葉月由美に説明する。
 葉月はそれに首をかしげている。どうやら戦隊と言う物をよく知らないらしい。
「魔法少女も基礎は大事。早朝の走り込みに始まり、発声訓練、口上練習、本番でかみかみでは困るからな。決めポーズは10回×5セットだ。腕の角度が甘い。指先までしっかりと意識して! 視線は命だぞ。(体育会系ノリ)」
 その言葉は何となく分かったらしい。
「はい、唄や踊りなどは小さい頃から勉強してますから大丈夫だと思います。戦隊と言うのがよく分かりませんが。魔法少女の集団を作るんですか?」
 そう言って葉月由美は疑問符を投げかけた。

「い、依頼内容の『魔法少女に成りたい』とは、どういった意味なのでしょう‥‥?
‥‥す、すみません、なにぶん私も未熟なもので‥‥。」
 水葉さくら(ea5480)が葉月由美に質問をする。
 葉月はそれににっこり笑って応える。
「諸外国には魔法少女と言うのが居るみたいです。魔法を使う女の子で可愛い事が条件みたいですが、私も詳しいことは分かりません。でも可愛い服を着て、魔法のステッキを持って魔法を唱えるのは、少々憧れています。私もそんな可愛い娘になりたいと思っています。そこで皆さんに色々協力していただき、魔法少女に成るためにはどうすればいいのか?
魔法少女に必要な事、必要な物は何なのかを教えて頂こうと思ったんです」
 そう言っては好き由美は悪びれずにっこり笑った。

「シーマ殿、猫耳魔法少女は動物と会話ができると聞く。私が動物と話す方法をご伝授しよう」
 大宗院謙(ea5980)が動物との会話術を教えようとしている。
 ダガそれはオーラの技の一つである為、葉月由美には理解出来る許容範囲ではなかった。
 彼はそれをネタに葉月をナンパ技能(化粧)で大人っぽい女性風にメイクする。
 元が整った顔立ちの為、多少のおしろいや紅でも彼女はかなり可愛く、色っぽく整った。
 それはそこに集まった面々が女性でありながらどきりとする程の色っぽさであった。

 ふぐ刺しをのんびり食べる面々。次第にお酒も入りほろ酔い加減で説明会はつづく。

「魔法少女には普通の姿から魔法少女への変身や登場の際の登場位置や決めポーズ、魔法少女時の名前やそれを相手に名乗る時の口上が必要だね」
 そう言って説明するのは十六夜熾姫(ea9355)葉月はそれにうんうんと首を縦に振る。
「魔法少女の服の上に一瞬で脱げるように細工をした普通の着物を着る事で、好きな時に一瞬にして魔法少女姿に早変わり出来る様にして、変身を演出してみてはどうか」
 そう言って彼女が説明すると、葉月は目をランランと輝かせてそれのメモを取った。
「分かりました。一回り大きな着物を用意してみます」
 葉月はそう言ってにっこり微笑んだ。

「魔法少女に必要なものはコスチューム、前口上、武器、必殺技、その他諸々‥‥まぁここら辺は基本だ、よくおさえとけ。後は、だ。チラリズム、これ重要!(ぇぇ」
 アグリット・バンデス(ea9789)の言葉に葉月が自らの着物の裾をはだけさせる
「こうですか? 色っぽいですか?」
 着物の裾から見える足は12才とは思えない色っぽさを放っていた。
いや、子供以上大人未満の未発達の果実が見せる色っぽさである。
 アグリット・バンデスが思わずごくりと生唾を飲み込んだ。

「魔法少女と言うのは、優しくて、言葉遣いが丁寧で、おっとりしていて灰汁のないキャラに見えて、実は腹黒いという(悪戯心が強い)と言うのもはどうでしょう?」
 元鈴蘭(ea9853)が葉月由美に説明する。彼女の計画上、彼女に腹黒いと言うキャラを演じさせるのはいささか問題がありそうである。
 当の葉月も何をして良いのかがよく分かっていないらしい。

「‥‥猫耳魔法少女…楽しそうですね‥‥くす(微笑)。どうせなら皆で目指しましょう‥‥。最近の魔法少女は集団で色分けして悪と戦うのです‥‥。」
 柳花蓮(eb0084)の言葉に葉月由美はビックリした表情で質問する。
「そうなんですか、魔法少女は悪と闘うんですか‥‥」
 闘う事なんてこれっぽっちもを思っていなかった彼女にとってそれは衝撃の事実だった。
「つまりお父様が百鬼夜行を倒してこいと言ったのは、遠巻きに私に魔法少女に成れって事だったんですね。ありがとうお父さん。まさか私の気持ちをそんなにも理解していてくれたなんて。由美は立派な魔法少女に成って返りますよ」
 もの凄い勘違いが更なる勘違いを生む。
 こうしてまた新たな伝説が生まれようとしていた。

「今の流行はやはり、笑いや。シーマも芸人を目指せば、自然に魔法少女となれるはずや」
 大宗院沙羅(eb0094)の言葉に葉月由美が首をかしげる。
 彼女の想像している魔法少女とは根本的に何かが違うのか、いやそうではない。
 お笑い芸人に成るほうほうが分からないのである。それはそうであろう。

「魔法少女に必要なアイテム。ステッキ、衣装、敵、強敵と書いて『とも』と呼ぶライバル、マスコット。これが一つでも欠けたら魔法少女じゃありません! お色気も必要! 例えコビにコビようとも萌える野郎共を萌(燃)やし尽くすのです!」
 結城夕貴(ea9916)の言葉にメモを取る葉月由美。
 結論として必要な物を一つ一つ順番に手に入れていくコトした。

 料理も進みふぐ雑炊を啜りながら皆で検討会を進める。次回にはマズ衣装と小動物を用意しようと言うことで話はまとまった。それまでに葉月は決めぜりふとお色気をお勉強しておくことになった。

 激しくも愛らしい魔法少女への道は続いていく。それは少女が大人に成るステップなのかもしれない。(そんなわけはないのだが‥‥)