魔法少女は振り向かない。2

■シリーズシナリオ


担当:

対応レベル:2〜6lv

難易度:普通

成功報酬:1 G 69 C

参加人数:10人

サポート参加人数:-人

冒険期間:03月13日〜03月18日

リプレイ公開日:2005年03月22日

●オープニング

 とある所に一人の魔法少女に憧れる一人の女の子がおりました。
 彼女の名前はシーマ・グリューネワルト、親しい友人からは由美(ゆみ)ちゃんと呼びます。それは彼女の本名が葉月由美(はづき ゆみ)だからです。
 彼女はとある志士の家に生まれました。彼女の家には嫡男が折らず、女性では有りますが、彼女は家を継ぐことが定められておりました。
 厳格なお父様から剣術と精霊魔術、それに武芸や学問を教わる毎日ですが、それでも魔法少女に成りたいという夢は捨てきれず、日々魔法少女に憧れていました。

 ある日を境に、彼女は魔法少女に成るために家をでて、この江戸近郊で見聞を広めていた。(本当はチョット違うけど)

「魔法少女〜♪ 魔法少女〜♪ 魔法少女って何だろ〜♪」
 鼻歌交じりに魔法少女について研究をする自称シーマ・グリューネワルト(葉月由美)。
今日も今日とて魔法少女と呼ばれたいお年頃なのである。
 家からの仕送りで木賃宿を借りて、今日も今日とて魔法少女を研究する。取りあえず魔法少女に成るためには沢山の課題が有るようである。
「取りあえず一つ一つクリアしていかないと‥‥まずはどんな魔法少女になるかだよね?」
 前回の魔法少女会議では魔法少女は魔法少女戦隊を作って戦わなければいけないらしい。それでは一体どうやって何と戦えば良いのだろうか?
 前回はその辺をふくを食べながら考えたので、今回は鮟鱇鍋(あんこうなべ)を食べながら考える事にする。
「え〜とまずは何と何のために戦うか‥‥かな。他にも意見があれば受け付けるって事で‥‥」

 そんなこんなで彼女は冒険者ギルドに依頼を行った。『魔法少女に必要なアドバイスをして下さい』である。

●今回の参加者

 ea0119 ユキネ・アムスティル(23歳・♀・ウィザード・人間・イギリス王国)
 ea2034 狼 蒼華(21歳・♂・武道家・人間・華仙教大国)
 ea3358 大鳳 士元(35歳・♂・僧兵・人間・ジャパン)
 ea8087 楠木 麻(23歳・♀・僧兵・人間・ジャパン)
 ea9355 十六夜 熾姫(26歳・♀・忍者・人間・ジャパン)
 ea9789 アグリット・バンデス(34歳・♂・ウィザード・ハーフエルフ・イスパニア王国)
 ea9853 元 鈴蘭(22歳・♀・武道家・ハーフエルフ・華仙教大国)
 ea9916 結城 夕貴(27歳・♂・浪人・人間・ジャパン)
 eb0062 ケイン・クロード(30歳・♂・ナイト・人間・イギリス王国)
 eb0084 柳 花蓮(19歳・♀・僧侶・エルフ・華仙教大国)

●リプレイ本文

●魔法少女は振り向かない。2

Q1『貴方の考える魔法少女って何ですか?』
A1『魔法が使える女の子で、綺麗な服を着てアイドルみたいな存在だと思います』

 江戸から北東に約半日、チョットした宿場町と言うよりは江戸の町はずれと言った方が良いだろう。江戸で朝一番に集合してテクテク歩いてお昼過ぎに到着する宿屋さん。
 大きな広間を一つ借り、一泊3食付き(+温泉が楽しめる)でのお泊まりキャンペーン。
 お昼から豪華に茨城沖(現在の)から取り寄せた鮟鱇(あんこう)を一匹使った鮟鱇鍋。
 ご飯を食べながらのおしゃべりの後夕食。夜中までおしゃべりしつつ(各自ここで個々にお風呂)朝ご飯を食べてから解散になります。

「それでは皆さんいただきまーす♪」

 昼食、待望の鮟鱇鍋を囲んだお食事。葉月由美ちゃんの号令で待望の鮟鱇鍋の昼食が始まる。さらにお刺身の盛り合わせなどが着いて豪華絢爛きわまりない。

「シーマ姉ちゃんにプレゼント!!『しゃべる謎の小生物』は手に入れることが出来なかったのでマスコットにウサギさん人形と狸さん人形を!!」
 狼蒼華(ea2034)が、食事の席が和やかになると、江戸で買ってきた人形をプレゼントした。手を入れて遊ぶ指人形のたぐいだ。
「取りあえず本当の小動物を手に入れるまで代用としてね」
 狼蒼華が照れ隠しに鍋をつつきながら笑みを浮かべる。
「おいおい、それじゃ常に誰かがその人形を動かしてなきゃダメじゃないか?」
 大鳳士元(ea3358)が狼蒼華の人形にツッコミを入れる。
 狼蒼華はそう言われると、どこから持ってきたのか、黒子の服を取り出して、二人に見せた。
「だいじょうぶ。まかせて」
 常に黒子として付き従う予定なのだろうか。
 大鳳士元は困惑の色を隠せない。
「そうそう、必殺技。やっぱり必殺技と言ったら魔法系か打撃系になるんじゃないかな? 由美ちゃんはどう思う?」
 大鳳士元の質問に由美がすこし考える。
「魔法と剣の同時必殺技って言うのが出来れば良いなって考えているの。見た目も派手だし良いんじゃないかなと」
 そう言って由美はにっこりと笑った。

「魔法少女と言ったら、定番は愛とか正義とか、人々の幸せの為に戦うというのが定番だね。この場合、何と戦うかは‥‥何の為に戦うかによって変わってくるから、まずは何の為に戦うかを決めた方がいいよ」
 十六夜熾姫(ea9355)が戦う定義着いて話を戻した。
 お鍋と一緒にお酒も振る舞われているため、会場は結構な盛り上がりになっている。
「そこが難しいところ何ですよ。私剣術とか魔法とかの練習は小さい頃からやってますし、嫌いじゃないです。でも他人と争ったり、他人を傷つけたりするのは苦手で‥‥みんな仲良しで幸せに慣れれば良いな‥‥っと思ってますから」
 そう言って十六夜に葉月由美はにっこり微笑んだ。
「まずは冒険者ギルドでこれはと思う依頼をこなしていって、名声を広めていけばみんなも魔法少女と認めてくれるし、そうなれば魔法少女に助けてもらいたいって指名が来るよ。それにお父さんの百鬼夜行を倒して来いっていう命令にも違反しないしね」
 十六夜が付け足す。そう忘れてるかも知れないが、彼女は百鬼夜行を倒してこいと言われて家を追い出されたのである。
「うん、でも山里や村に現れる鬼退治なんて私に出来るかな」
 そう言ってお鍋をつつく箸を止め、チョット冷静に考えてみた。

「服装についてなんだが、実際戦隊を組むやつからアドバイスをもらうのが一番。チラリズムは重要だぞ」
 アグリット・バンデス(ea9789)の言葉に葉月由美が首を縦に振る。
「そうですよね。やっぱり服装は重要ですよね? ひらひらの可愛いお洋服で颯爽と登場して魔法でぽわわ〜んと‥‥アイドル的存在に成りたいですよね?」
 そう言ってにぱっと笑ってからすこし考えた。
「でも、チラリズムって何ですか? お尻とか太ももとか見せた方が良いんですか? お行儀悪くないですか?」
 そう言って彼女は着物の裾を左右に開きたくし上げる。無論下着は着けていない。下腹部ギリギリまでたくし上げられた着物の裾が、真っ白で細身の彼女の足を、あわやと言う所まで見せつけている。
「あぁうん。チラリズムだから、ちらっとねちらっと。しまってしまって」
 そう言って顔を真っ赤にしてアグリット・バンデスが両手をパタパタと仰ぐ。

「私の技はオーラによる勇気の向上とスープレックスが売りなんですけど、シーマ様はどんな技にしたいですか?」
 元鈴蘭(ea9853)がシーマの必殺技について考える。シーマもすこし考えてから腰の小太刀を抜いて見せる。
「私に出来るのは、お父様に教わった剣の技と精霊魔術がすこしだけ‥‥でも魔法少女シーマ・グリューネワルトとしては、森とか自然とかそう言うなんて言うか‥‥大自然のお仕置きみたいな技が欲しいな‥‥っと思ってるんです」
 そう言って葉月由美はにぱっと微笑んだ。

 ケイン・クロード(eb0062)がモクモクと鍋をつつく。それはもうチョット季節の遅い鮟鱇鍋を、この季節最後の鮟鱇鍋を腹一杯に閉まっておこうと言う。そんな気持ちで胸一杯にしてくれるような豪快な食べっぷりで鍋をつついている。
 それに見とれる葉月由美。
 おいしい物をおいしそうに食べている。それだけで幸せになれる。
 お鍋をつつきながらの作戦会議にしてよかったなーっと思う彼女。
 そして、次回は何を食べながら相談しようと考える彼女。
 結局食べ物から離れないのはまだ彼女が子供だからかも知れない。

「『人々の笑顔を見る為、もしくは守る為に戦う』これが正しい魔法少女の戦う理由ではないかと思います‥‥。人より『可愛く・賢く』人にない力を授かったのは何の為か‥‥。
戦うだけなら普通の戦士!! 魔法少女となったからには、その上をいかなければダメなのです。困っている人を助け、更にその人達が私達を見て「可愛い/綺麗/格好良い」と思い心和ませる状態に持っていきませんと『魔法少女』の称号は貰えない、私はそう思います」
 柳花蓮(eb0084)の力説に葉月由美がうんうんと首を縦にふる。
「んじゃつまり、戦う癒し系アイドルを目指すって事だよね!! ok分かった」
 何がどう分かったのかよく分からないが、葉月はそれで納得していた。

 食事が終わり日も暮れて、月が最も高い位置にあるころ。
 一部の人達を除いて、たらふく食べてお酒を飲んだ一同はぐっすり大広間で雑魚寝をしていた。

「ふぅ疲れましたねぇ」
 温泉の脱衣場で服を脱ぐ結城夕貴(ea9916)。沢山の人に酔ったのか、一日中の論議に疲れたのかは分からないが、疲れた身体を癒すべく、夜中の温泉に足を運んでいた。
 やはり、温泉の醍醐味と言えば手を伸ばし足を伸ばして入ることが出来る湯船である。江戸の銭湯などでもたっぷりのお湯に身体をつけられる所はみられるが、大都市では極端に少ない。大抵は蒸し風呂だったり、戸棚風呂だったりする‥‥みたいだ。

「さて、ゆっくりさせてもらいましょうか」
 湯に首まで浸かり、ふぅと安堵の息を漏らす結城夕貴。ふと、脱衣場の方からワイワイと言う女性の声が聞こえてくる。
 この時間なら誰も入ってこないであろうとたかをくくっていたのだが、誰かやってきたようだ。
「あっ‥‥えーと‥‥結城夕貴さんですよね。お疲れ様でーす」
 ガラガラと露天風呂に入ってきたのは葉月由美と楠木麻(ea8087)である。
 楠木麻は手ぬぐいで胸から下‥‥下腹部までをきわどく隠している。
 金色の髪に蒼い瞳の細身の少女‥‥。身長は150程‥‥体重30キロほどだろうか‥‥は凹凸の無い身体は由美と良い勝負である。
 一方一緒に入ってきた葉月由美。手ぬぐいをたたんで頭の上に乗せているだけで胸も下も隠していない‥‥身長は130弱‥‥体重は25〜30くらいだろうか? やっぱり凹凸の無い身体‥‥っと言うよりは無い乳ツルペタ少女っと言った感じだ。お尻も胸も申し訳程度にしか膨らんで居ないのが、湯煙越しに結城夕貴の瞳にハッキリと写った。
「あっ‥‥えっ‥‥あっ‥‥えと」
 耳まで顔を真っ赤にする結城夕貴。そんな彼を尻目に彼女はお湯を浴びるとどぶーんと湯の中に飛び込んだ。楠木麻も静かに湯を浴び、静かに湯船の中に入る。
「良かったねぇ楠木さん。女の子だけだから気兼ねしなくて‥‥」
 そう言って楠木麻に話しかける葉月由美。
「そうですね‥‥あっ良く男性に間違えられますけど、こう見えても僕は女性ですから、安心して下さいね。結城さん」
 そう言って手ぬぐいで汗を拭きながら楠木麻が結城夕貴の隣に寄り添うように座る。
「そうだよ。女の子だけなんだからそんなに緊張しなくて良いんだよ‥‥ね?」
 そう言って葉月由美が結城夕貴の対面に座った。透明のお湯を通して彼女の身体がゆらゆらとではあるが夕貴の目に入る。
 目をそらそうとすると、隣にも女性がいる。
 どうした物かと思いながらすこし考えた。
 そう言えば彼は宴会の席では女装していた。
 ひらひらのドレスを見せる為に自ら来て衣装の話をしたり、エプロンドレスでメイドさんみたいな格好までしていた。無論酒の席の上での余興であるが。

 おそらく二人は彼の事を女性だと勘違いしているのであろう。
 目のやり場に困りながら、どうした物かと考える結城夕貴。
 完全にのぼせ上がってるが、先に上がるわけには行かない。上がれば男性だと言うことがばれてしまう。特に下半身が、とんでも無いことに成っているので出るに出られない。

「大丈夫? お顔が真っ赤だよ? のぼせちゃった?」
 お湯の中からざぱんと身体を半分出して、葉月由美が結城夕貴のおでこに自分のおでこをくっつける。そのとたん、結城夕貴の視界には葉月由美のふくらみかけの胸がドアップで一杯になった。
 ゆでだこの様に顔を真っ赤にする結城夕貴。湯当たり限界顔を真っ赤にしながら、前屈みの状態になる結城夕貴。
「大丈夫? 湯当たりしたの? それともおなかが痛いの? 見せてみて?」
 そう言って結城夕貴の下腹部に手を伸ばそうとする葉月由美。
とても見せられないし、触らせる事なんて出来ません。
「いや、大丈夫‥‥です。大丈夫ですから‥‥心配しないで‥‥ください!!」
 しどろもどろに成りながら何とか葉月の伸ばした手を制する結城夕貴。

「そう? 本当に大丈夫? 私たちはそろそろ上がるけど一緒にあがる?」
 目の前には湯の中で立ち上がり、全裸の少女が目の前にいる。
その傍らでそろそろ上がると言った感じで楠木麻もお湯から上がってこっちをみている。
 結城夕貴は前屈みの状態で湯に首まで沈み、一緒に上がろうと手を引っ張る葉月由美に必死で抵抗しながら、湯から上がる二人を見送った。

 彼がお湯から上がって部屋に戻ると、葉月由美はフリフリのローブ(法衣)に身を包み、スタッフ(杖)片手にひらひらと踊っていた。
 ユキネ・アムスティル(ea0119)のお古の衣装を貸してもらって、魔法少女と言うよりも、魔法学院生徒と言った感じの衣装を楽しんでいる。
「欲しいので有れば、両方とも差し上げますよ。他にも衣装とかアイテムが欲しいのであれば、おねだりすれば、誰かくれるかも知れませんよ?」
 そう言ってユキネ・アムスティルがポーカーフェイスな微笑を浮かべる。
「うん、ありがとう。でも今は借りておく事にする。‥‥誰か私にお洋服プレゼントしてくれたら良いねぇ〜。そしたらほっぺにチューくらいしちゃうんだけどな〜」
 そう言って法衣を来てクルクル回りながら踊っている葉月由美。
 もちろんスカートの下に下着などは着けていない。めくれ上がったら見えてしまうのが難点である。

「一緒にお風呂に入った女の子って‥‥あなただったんですか‥‥」
 ユキネ・アムスティルが冷たい視線で夕貴を見つめる。
 無論夕貴は女の子と言う程若くは無い。だが、良く年を待ちが得れるのは確かだ。
「あなた確か女装の男なんじゃ‥‥」
 ユキネ・アムスティルの言葉を大声を出して制する結城夕貴。
 彼は彼女に弱みを握られてしまった様である。