【新撰組三番隊 番外編2−1】
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■シリーズシナリオ
担当:凪
対応レベル:フリーlv
難易度:難しい
成功報酬:1 G 1 C
参加人数:10人
サポート参加人数:-人
冒険期間:05月17日〜05月25日
リプレイ公開日:2005年05月25日
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●オープニング
●花見に行こう!!
「組長、仕事が終わりました。花見に行きましょう!!」
斉藤一が昼寝をしていると、いきなり部屋に飛び込んで来たのは組長補佐の小春である。
組長補佐とは、3番隊では組長の下に2名存在し、数名の隊士を連れて仕事を行う役職である。
そのほかにしらべ役やら勘定役やら潜伏役やら色々な仕事の人間が存在するが、あくまでそれは仕事の分類であり、偉いわけではない。(ちなみに3番隊の構成員は十数名)
実質組長補佐は組長の次に偉く2つの班の一つを任せられている班長である。
「花見?」
斉藤が質問の意図が分からず確認をする。
「花見ですよ。花見!! 仕事が終わったら花見に連れいってくれるって言ってたじゃないですか!!」
寝ぼけた斉藤の首をつかみぐらぐらとそれを振る小春。
「しかし、梅も桜ちっちゃったしなぁ」
そう言ってぽつりとつぶやく斉藤。
「いーですよ。散っちゃって居ても!! 宴会しましょう宴会!! 3番隊全員集合で!!」
そう言って首をぶんぶん振る小春。
「いやまて、全員集合は不味いだろ? 顔が割れちゃ仕事がしづらい奴らも結構いるし、それに第一何処でやるんだ? どこかの店を借り切るとしても人目があるだろ?」
斉藤の否定など、物ともしない小春。
「何処でも良いですよ!! 京都でも大阪でも琵琶湖でも!! そだ、琵琶湖に屋形船なら人目に付かないからバッチリですよ!! 給仕も冒険者に任せれば足も付きませんよ!! 付いても切り捨てて琵琶湖に捨てれば、ばれませんよ!!」
無茶苦茶言ってる。
「分かった分かった。じゃチョット遅れたが、春の隊旅行は琵琶湖で屋形船って事で用立ててくれ」
斉藤が渋々折れる。
「分かりました。冒険者以来して、屋形船も一番大きいのを借りて、潜伏してる隊士も呼び寄せて起きますね」
いや、潜伏してる隊士を呼び寄せるのは不味いだろ。仕事中だし。
かくして、命がけの依頼が発生する。
『屋形船で宴会をするんで、給仕や盛り立てをお願いします』である。
●リプレイ本文
●アイデンティティを求めて
「皆さ〜ん。謎の温泉教団の屋形船にようこそ〜」
近江大津港にて、新撰組&冒険者ご一行さまは琵琶湖へ屋形船遊覧ツアーへ旅立とうとしていた。
まずのっけから屋形船の女将の最初のセリフがそれだった。
「小春。お前どっから船借りてきたんだ?」
斉藤一の質問ににっこり笑って答える小春。
「おききの通り、謎の温泉教団から。ほら、餅は餅屋って言いますし、一人斬りは人斬りって言いますし、宴会なら宴会に秀でた所が良いかなと♪」
悪びれる事無く、小春はそう言って微笑した。
「お前、何かあったら温泉教団と冒険者全員叩ききって船沈める気だろ? だから人知れず怪しい船持ってきただろ?」
斉藤一の言葉に小春は、さらににっこり微笑んだ。
大量の肉が運び込まれる。大量の野菜が運び込まれる。
そして、船は人間達を乗せて、岸を離れる。
「せんせー、猪取りに行った人達がまだ来てませーん」
よし。出発。
小春は鼻歌交じりに屋形船を出発させた。
「すき焼きだ♪ すき焼きだ♪ お肉♪ お肉♪」
屋形船で出されたすき焼きに箸を付けつつ、小春は幸せそうな声を上げる。
斉藤は酒を余り呑んでいない。酒を呑むと人を斬りたくなる癖があるからだ。
小春も酒を余り呑んでいない。酒を呑むと爆眠してしまう癖があるからだ。
「小春、お前志士だったよなぁ?」
斉藤の言葉に口に肉頬張りながら小春が首を縦に振る。
「八百万の神様崇拝してるんだよねぇ?」
肉喰いながらさらに小春が首を縦に振る。
「肉喰って良いんだっけ?」
小春はためらいなく首を縦に振った。
「はいはい、鯛の塩焼きが出来ましたよぉ」
氷雨鳳(ea1057)が調理場から斉藤の元に鯛の塩焼きを運ぶ。お頭付きである。
斉藤が箸でちょちょいとそれをつついて口に運ぶ。
静かに笑みを浮かべ、酒を静かに傾ける。ご満悦の様だ。
「はいはい、お口をあけてくださいな。あ〜ん」
斉藤の口に鯛の身を入れる氷雨鳳。
そんな斉藤に月詠葵(ea0020)がお酌をする。
京風の着物に袖を通し、女装した月詠葵。
そんな月詠葵にそっと肩を抱き寄せ、お尻なんか触っている斉藤。
女装に気づいていないのか、それとも知っていて楽しんでいるのかは、謎である。
「ささ、斉藤先生、私のお酌も受けて下さいな」
しなやかに、しなやかに鷹神紫由莉(eb0524)がそっと斉藤の元に寄り添い、お酌をする。
斉藤はそれをゆっくり静かに飲み干した。
「斉藤さん今日はペース早いね。じゃ鬼神丸は私が預かっておきますね」
小春がそう言って斉藤の愛刀を持って行ってしまう。
「では、ご返杯と言うことで」
今度は斉藤が鷹神紫由莉に飲んでいた杯を渡して酒を注ぐ。
彼女はそれを、くいと飲み干した。
「結構いける口だねぇ」
さらに斉藤が酒をすすめる。
料理が進む。ハマグリのおすましや煮魚など、料理が立ち並ぶ。
酒の肴と言うよりは、腹を膨らます料理と言った感じだ。
斉藤もすっかり酒が回っている。
小春もすっかり酒が回っている。
船は温泉へと向かっている。
「たいちょ〜。この人すごいすごい。剣が早い早い」
小春が山崎剱紅狼(ea0585)の首をアームロックかけた状態で引っ張ってくる。
彼はどじょうすくいの途中で引きずられるようにして斉藤の前に差し出された。
結局斉藤の前で素振りをさせられるハメになる。
「ほうほう、こりゃすごい。これならいきなり実戦に出しても大丈夫かも知れないな? なぁ小春」
斉藤さえ太鼓判を押す山崎剱紅狼の実力とは‥‥。
3番隊の隊士達は酒が入って大にぎわいだが、逆に斉藤と小春は酒が入ってゴロゴロしている。
鷹神紫由莉に膝枕をしてもらい、月詠葵を横にはべらかせて。
「俺は片桐弥助、忍びの者だ」
斉藤に挨拶に来たのは片桐弥助(eb1516)。今まで場を盛り上げる為に手品などをしていた彼だが、斉藤の前では真顔で話をしている。
「あぁ、あぁ。よろしく」
酒や料理と言うよりも、女性の膝の上を楽しんでいる斉藤。
鷹神紫由莉の膝に顔を埋め、お尻の方に手を回してる。
「こんにちは、えーと聖書の朗読をしますから聞いてください(イギリス語)」
リティーラン・オービス(eb2281)がそう言って静かに朗読を始めた。
「ふむ、バカ騒ぎも良いが。こういうのも心地良い物だ‥‥な」
斉藤が朗読をうっとりとした顔で聞いている。
「あい変わらずおなごに手を出すのが早いのう。斉藤殿。船が温泉に着いたらしいが、皆宴会で大盛り上がりじゃ。入る気配はない。斉藤殿はどうするね?」
架神ひじり(ea7278)が斉藤の元へやってくる。
彼女と斉藤は一緒に風呂に入ったことのある間柄である。
「ん〜おねぇさんが背中を流してくれるなら、一緒に入っても良いかな?」
斉藤はそう言ってにっこりと微笑む。
「ふむ、ならば、支度するがよかろう。なんなら肩を貸してやろうか?」
ひじりに手を借りて、手ぬぐい一つで風呂へと向かう斉藤
「あっ、あの‥‥私もお供して良いですか? 温泉は好き‥‥なので」
水葉さくら(ea5480)がそう言って架神ひじりに話しかける。
「それながら斉藤殿に肩を貸してやるのじゃな」
水葉さくらに肩をかり。斉藤一、架神ひじり、水葉さくら、小春の4人は、チョット温泉で一服することになった。
一方他の隊士達はすっかり酒が回って出来上がってきている。
●温泉教団推奨の温泉。
温泉と言ってもそれは温泉宿ではない。河原の岩風呂である。
脱衣場らしき物はあるが、目隠しさえ一切ない。脱衣籠と温泉の湯があるだけである。
「お酒に酔った方は本当はご遠慮願いたいのですが‥‥」
温泉教団の女将にいわれつつも、4人は温泉へと足を運ぶ。
「大丈夫、斉藤サンのは女の子くどく為の手で、そんなにお酒は入ってないから」
小春がそう言ってニパっと笑うと、ささっと服を脱いで一番に風呂へと飛び込む。
斉藤ものんびりと服を脱ぎ湯に浸かる。
架神ひじりと水葉さくらの二人が巫女衣装を脱ぎ、湯へと入る。
「この間はじっくりと見る暇が無かったが、こうしてみると案外と‥‥でかいなぁ」
湯に浸かりながら、斉藤が架神ひじりの胸をジッと見つめる。
彼女は特に隠す様子はない。堂々と胸を張って斉藤に見せびらかしているような感じさえある。
水葉さくらもやや細身で綺麗な身体をしているが、架神ひじりはおおらかな色っぽさを醸し出している。
「触ってみるかね?」
架神ひじりの言葉に斉藤は口に含んでいた酒を一気に吹き出した。
「どうしたのじゃ? おなごの肌に触れるのが始めてと言うわけではあるまい? 年の行かぬ若い男と言う訳でも無かろうに‥‥」
そう言って斉藤の手を取って自らの胸に当てる架神ひじり。
「いや、俺はこう見えても若いんだが‥‥」
そう言って斉藤が頬を赤くする。
「余り斉藤さん挑発すると、お布団の中に連れ込まれちゃいますよ〜♪」
何を見ても動じない小春。温泉の中を泳いである。
水葉さくらもついでに泳がされている。
「ふぅやっと追いついた」
陸路を猪持って追いかけてきた、山王牙(ea1774)とティーゲル・スロウ(ea3108)がようやくご到着である。既に時刻は0時を回っている時間であるが。
「ほう、美味そうなシシ肉じゃのう。お主達も風呂に入って、汗を流すが良かろう」
架神ひじりの誘いで二人も風呂に入ることになる。
少々居心地は悪い感じは否めないが。
「月を刺身に、深夜の風呂は格別ですね」
山王牙が額の汗を手ぬぐいで拭い月明かりの中で温泉を嗜む。
「なぁ、シュテンドゥルフ‥‥いや、酒天童子について何かしっているか?」
ティーゲル・スロウが質問する。小春がそれに答える。
「酒呑童子って言えば、京都の有名な鬼じゃ無いの? ウチの隊は正面から突っ込んだことはないけど、かなり強いらしいよ? 組長なら斬れますか?」
その質問に斉藤が苦笑いを浮かべる。
「まぁ、サシだと少々きついんじゃないか? そもそも俺は人外を斬るのは得意じゃないしな。そう言うことは原田くんや永倉くんの方が向いているだろう?」
架神ひじりの乳揉みながら応える斉藤。
「さて、それじゃぁせっかくのシシ肉だし、シシ鍋にしましょー」
先ほどあれほど近江牛のすき焼き(牛鍋)を食べたにもかかわらず、さらに肉に飛びつく小春。
彼らの宴会はまだまだ終わる気配を見せなかった。