【新撰組三番隊 番外編2−4】
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■シリーズシナリオ
担当:凪
対応レベル:6〜10lv
難易度:難しい
成功報酬:4 G 9 C
参加人数:10人
サポート参加人数:-人
冒険期間:12月27日〜01月02日
リプレイ公開日:2006年01月05日
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●オープニング
●新撰組3番隊隊員補充
自らの人生は刀で描く、それが武士と言う物である。
戦いの中に身を置く者は、常に死を意識して生活する者である。
新撰組三番隊組長の斉藤一は、刺客の手に寄って、深手を負った。
幸い怪我はたいしたことは無いと言うことであるが、大事を取って全治3ヶ月と診断されている。
名誉の負傷と言うことに成るが、大事な3番隊組長が3ヶ月不在と言うのは少々問題がある。
そこで、組長補佐の小春が組長代理を務めることになった。
「あ〜本日から3番隊組長代理に成りました小春です。3ヶ月‥‥春まで代理と言うことで、好き勝手にがんばりますので‥‥宜しく!」
新撰組三番隊隠れ詰め所にて密やかにしめやかに行われた発表。
しばらく斉藤さんは隠れ詰め所にて指令掛かり&お留守番である。
「それでは、出世祝いと最初の任務として、ふぐ料亭で朝までどんちゃん騒ぎをします。っと言うわけで斉藤さんお金ちょーだい♪」
突然な話の展開だが、これから向かうふぐ料亭には、無頼の輩が密やかに潜伏していると言う。
『新撰組』の看板背負ってそこに向かうことに寄って、彼らをいぶり出すっと言う算段である。
「正規の隊員は店の回りに潜んで貰うとして、店に入る隊員は冒険者を見繕っていきましょう。幸い斉藤さんが怪我の具合は知られていませんから、影武者を立てていけば大丈夫。怪我人の斉藤さんが店に来たと成れば、向こうも黙って帰したりはしないでしょう?」
っと言うことで斉藤一の影武者を立てて、京都の辻斬り騒動の下手人を上げようと言う算段である。
料亭には既に『三番隊が忘年会を開くから』っと言う理由で予約をしてある。
はてさて、作戦は凶と出るか吉と出るか
●リプレイ本文
●【新撰組三番隊 番外編2−4】
粉雪舞い散る夜のこと。小春ちゃんと10名の『新撰組3番隊』の面々は忘年会を開きました。
京都の端に有る料亭『笠子屋』それが今回の舞台となる宴会場である。
日が沈むか沈まないかの宵の口に彼らは予約しておいた部屋へとすいと通った。
ふぐ料理とはふく料理とも良い、福を招く食べ物であるとされている。
また古今無双の珍味にして、最高の食べ物であると唄われている。
しかし、ふぐには毒がある。
だが、その最高に美味い味を味わってみたいという一年から、みな命をとしてまでふぐを食べようと言うのである。
そんなこんなで、ふぐ料亭笠子屋も年末の良い時期に重なって金持ち達がその味を一口味わおうと足を運んでいた。
新撰組三番隊も、よい部屋を予約してそこへと足を運ばせていた。
「こちらが当店自慢のふくの刺身、ふくの洗い、ふくのシャブシャブでございます」
そう言って大きなテーブルにふく料理が並べられた。
酒も地酒の良い物が用意されている。
「さて、それでは、今年一年お疲れ様。来年もガンバロウと言うことで、かんぱーい」
小春がそう言うと直系16cm程の杯になみなみと酒を注ぎ、それを一気に飲み干した。
「これ‥‥邪魔だな。もってて」
そう言って小春が隣に居た侍に腰の刀を手渡す。
月詠葵(ea0020)はそれを受け取った。
小柄な小春の隣でやっぱり小柄な月詠 葵がちょこんと座って杯に口を付けている。
小春が刺身をいっきに5枚ほど取って口の中に放り込んだ。
目をうるうるさせながら美味しそうにふぐのお刺身を食べる小春。
「ほら、斉藤さんもたべてくださいよ」
そう言って小春が山崎剱紅狼(ea0585)扮する斉藤一に食事を勧めた。
斉藤は酒は余り口を付けない。舐める程度の酒量である。
女癖が悪い‥‥っと言うのは表向きの仮面であるが、今回はその仮面を被ることにした。
「あぁいや、すまないねぇ。利き腕の左肩をきられちまったからねぇ」
そう言ってついと包帯を見せる山崎。
今日は刀を右腰に差している。左利きをアピールするためである。
氷雨鳳(ea1057)が熱燗で身体を温める。
逆に猛省鬼姫(ea1765)は杯を口に運び、飲んでいる振りはしているが料理にも酒にも一切手は付けていない様子である。
「さくらちゃん。はい、あーん」
小春が水葉さくら(ea5480)に刺身を差し出す。
さくらがそれを口で受ける。甘いお刺身の味が口に広がる。
美味しい‥‥食べないなんてもったいない‥‥水葉さくらの頭にはそんな事がよぎっていた。
「ウチの店ではお客様にお風呂も用意させて貰ってます。混浴の露天風呂ですので、お楽しみ下さい」
女将が斉藤に温泉の話を振る。斉藤が女好きと知っているからだ。
「じゃ2手に別れてお風呂を貰いましょうか。私たちはお湯を貰ってきますから、みんなはお食事を楽しんでいてくださいな」
小春の言葉で三番隊が2手に別れた。
●襲撃1
「誘っているのだな」
雪守明(ea8428)が漬け物をを口に運びながらぽつりとつぶやく。
戦力を分散させることで、敵が襲撃して来やすい状況を作っているのである。
彼女はふぐには手を付けず、酒と米‥‥それに漬け物を楽しんでいた。
「こっちに甘鯛がある。コイツを貰ったらどうかな?」
雪守明に対して山本佳澄(eb1528)が甘鯛の塩焼きと鶏肉のささみを持ってくる。
流石に漬け物だけでは味気ない。
茶漬けにしてさらさらを腹に流し込みつつ、甘鯛をつつく。
流石に寒いので酒をついつい流し込む。
女将が酒の減っている量を調べている。5人にしてはずいぶん酒は減ったはずである。
それを判断して黒い忍び装束数人の姿が部屋を囲む。
ふすまを蹴り飛ばすようにして、賊が部屋に飛び込んでくる。入ってきたのは3名。
「新撰組‥‥斉藤‥‥家康に尻尾を振る犬が‥‥天誅!」
振り下ろされた刀を、狭霧氷冥(eb1647)が自らの肩で受け止めた。一寸ほど斬られ、刀は骨で止まる。
「残念でした」
そう言って水平に薙ぐ巨大な鎌。黒装束の男の腹が水平に切り裂かれた。
返り血が、彼女の頬と衣服を赤く染める。
急所を避けつつ、相手の攻撃を身体で受け止め、カウンターの一撃で相手を粉砕するコンビネーションの一撃である。
とまどいを見せる後方の2名。黒装束は着ているが忍びでは無く浪人物らしい。
非情さが足りない。
ミラ・ダイモス(eb2064)が日本刀「十二神刀元重」で粉砕の一撃を放つ。
相手は刀で受け止めようとするが、その刀を叩き折り、さらには相手の身体に叩き付けるような重い一撃が放たれた。
「えーい!」
リティーラン・オービス(eb2281)がホーリーを炸裂させる。
その威力はたいした物では無く、相手も面食らった顔で彼女を窺っている。
だが、それは相手の注意を惹きつけるには十分だった。
「チェストー!」
雪守明の一撃が3人目の賊を切り捨てるのに時間はさほどかからなかった。
「ありがとう」
リティーラン・オービスがそう言って雪守明に声をかけたが、既にそこに彼女は居なかった。
廊下側の障子を蹴破り、内庭に居る賊に警戒していたのである。
山本佳澄が切り倒した3人を縛り上げている。
「こちらの賊は弱いな。本命は向こうか‥‥」
彼女らはそう言って、本命である偽斉藤の安否を気遣った。
●襲撃2
「おっふろ〜♪」
「おふろ〜♪」
「おっふっろ〜♪」
小春。水葉さくら。月詠葵。の3名がそろって湯船に並んで歌を歌う。
檜で作られた大きめの湯船で月を見ながらの露天風呂。
料亭の風呂であるので、温泉が混ぜられたお湯。
風呂の広さも4m*4m程の大浴場としては、さほど大きくない湯船であるが、色女を連れての情緒的な風呂にはちょうど良い物である。
いわゆる女中さん連れ込んでHな事するためのお風呂である。
決して家族風呂ではない。
「取りあえず‥‥敵の気配は無い‥‥が」
猛省鬼姫がそう言って目を光らせる。
そんな彼女をお尻を撫でる山崎剱紅狼。
一応斉藤の振りなので仕方がない。
猛省鬼姫が悲鳴を上げようとしたが、忍び寄る賊に警戒されると行けないためにグッとそれを飲み込んだ。
「さて‥‥斉藤殿。どうやら囲まれておるようじゃぞ?」
氷雨鳳がてぬぐいを片手に構えをとる。
「さて‥‥それじゃお相手してあげますか」
山崎剱紅狼が杖代わりに使っていた桃の木の木刀を構える。
風呂場なので2人とも腰の物は脱衣場である。
そして、2人とも全裸である。それ以上に蝋燭の明かりだけの薄暗い状況である。
が、殺気関知を嗜む氷雨鳳。殺気関知のベテランの山崎剱紅狼の2人には相手の位置が読み取れた。
一気に茂みの中に飛び込む2人。
それを追う猛省鬼姫。
敵の数は3人。一人につき一人の頭である。
猛省鬼姫が賊に対して、不意打ちのハイキックを食らわせる。
相手は様子を窺っていた所に突然の攻撃である。しかも全裸の4連続攻撃である。相手に刀を抜く隙も与えないとはこのことである。
山崎剱紅狼は今回控えていた。
殺気関知を持っている彼は、女将がそして天井裏に様子を窺っていた間者が居ることを知っていた。
だが、あえて負傷した斉藤を演じるために手を出さずに居た。
そんな彼もこの闇の中なら仕事は早い。
相手は刀。こちらは木刀であるが、それでも圧倒的な実力の差で相手を制する。
猛省鬼姫が相手の刀を奪って氷雨鳳に手渡す。
流石に手ぬぐい一本では少々分が悪かったようである。
全裸の女性2人にタコ殴りに有って、賊の一人は絶命する。
●襲撃3
風呂に残っているのは小春と水葉さくら。月詠葵。の3名である。
身長150cmに満たないちびっ子3人組みである。
「新撰組三番隊! 勝負!」
槍を持った伏兵が茂みの中から飛び出してくる。
水葉さくらが隠し持っていた忍者刀でそれを受け流す。
飲みかけのお酒と料理がお湯に沈みそうになる。
「あぁもったいないもったいない」
慌ててさくらが料理を守る。
敵は一名? の様である。
月詠葵が小春から預かり持った忍者刀を抜く。お風呂まで持ってきていたのは相手に取って誤算である。
忍者刀を持ったちびっ子が2名も居るのであるから。
「ブレスセンサーがあるから伏兵が居るのは分かっておりました」
さくらがそう言って小さく微笑む。
「チョット切れ味を試してみるのです。」
月詠葵がそう言って一歩前にでる。
そんな彼への槍の一撃それをステップを踏んで避けた瞬間。彼の忍者刀の見えない一撃が槍を持った賊を襲った。
かろうじて当てることが出来るギリギリの命中力の中で、カウンターとシュライクのすさまじい破壊力が、EXポイントアタックで賊の首に炸裂した。
結果、一瞬にして賊の首は空中を舞った。
そこに小春の疾風が炸裂する。
首と胴は彼女の疾風に飛ばされ15mさきの庭先へと落ちて行く。
その忍者刀の破壊力に笑みを浮かべる月詠葵。
●そして‥‥
宿屋と賊の関係は洗い出せなかったが、新撰組三番隊を狙う不定の輩を撃退することには成功した。
河上彦斎を発見することは出来なかったが、よく考えれば斉藤さんと同様に深手を負っている筈である。彼が出てくることは無かったのかも知れない。
そしてここに新撰組三番隊 番外編1と2のめでたくも終幕を迎える。
次回より新撰組三番隊 番外編3 −小春組長補佐編− へと話は受け継がれる。