謎の温泉教団の温泉宿 近江編1

■シリーズシナリオ


担当:

対応レベル:フリーlv

難易度:普通

成功報酬:1 G 1 C

参加人数:8人

サポート参加人数:-人

冒険期間:06月21日〜06月29日

リプレイ公開日:2005年06月29日

●オープニング

●謎の温泉教団の温泉宿 近江編1
 謎の温泉教団は、八百万の神を信仰する宗教団体である。
 温泉には神が宿り住んでおり、温泉に入ることが神様の恩恵を授かることを教義としている団体である。
 温泉に入るための礼儀作法には厳しいがそれ以外はおおむねざっくばらんである。
 彼らは温泉寺に住み、檀家の者達おも温泉へといざなう。
 温泉寺の裏はもちろん露天温泉である。温泉に入り身体を癒し、心を癒し、平和に生きてい
こうと言うのが彼らの考え方である。
 現在露天風呂(岩風呂)を掘り広げ、沢山の信者やお客さんに対応するために増築している。

 石灯籠の明かりの中でのんびりと温泉に入るのが彼ら流のやり方だ。
 温泉脇には屋台が数軒並んでいる。甘酒や蜜柑酒、よく冷えた瓜、馬肉のすき焼きや新鮮な果物なども売られている。

 夏の味覚の鮒寿司を看板に、甘酒を片手に塩煎餅を楽しむ人達、近江名物のソバ粉で作ったソバ団子に甘美の声を上げる者達、鯨肉のステーキ丼を笑顔で頬張る人達。近江自慢の近江牛の鋤焼き頬張り満面の笑みをあげる物達、謎の温泉教団の温泉宿は温泉を楽しみながら竹のせせらぎと食欲を満喫する人達でいっぱいであった。
 無論温泉と女体を楽しむ者達も多い。
 うら若き乙女によるマッサージのサービスを堪能することも出来るサービスも好評をきしている。

 だが、現在の温泉教団はまだ客を呼べる状態ではない。
 清流と竹林に囲まれた、人里離れた古寺を改築した古宿。今まさに大工や職人達が、新たな温泉教団の温泉宿を作るために梅雨の雨にも負けじと宿の部分を建てているのである。

 温泉教団に属する者の殆どが全国(っと言っても殆ど江戸だが)から続々と集まり建築を手伝う。有る者は大工であったり、有る者は鳶職であったり、あるものは農民だったりする。
「江戸よりはせ参じました。教団員の灰神楽舞(はいかぐら・まい)です」
「同じく花鳥風月(かちょう・ふうげつ)です」
 温泉教団の凸凹コンビも江戸から到着したようだ。

「皆さん遠路はるばる温泉宿の為に集まって頂いて感謝の極みです。まだ温泉宿の建築も半ばですが、何とか露天風呂の方は完成して、後はお湯を張るだけになりました。これを記念して、少々早いですけど、花見宴会と行きましょうか?」
 温泉宿の女将、彩花の言葉にみんな喚起の声をあげる。
 ちなみに花見とは、温泉から望むことが出来る『藤の花』である。

 では、私は冒険者さんに依頼を出してきますね。
こうして近江での新しい温泉依頼が発生した。

『温泉宿の建設を手伝いつつ、花見宴会を盛り上げてください』
である。

●今回の参加者

 ea0299 鳳 刹那(36歳・♀・武道家・人間・華仙教大国)
 ea0547 野村 小鳥(27歳・♀・武道家・人間・華仙教大国)
 ea0758 奉丈 遮那(32歳・♂・忍者・人間・ジャパン)
 ea2948 如月 妖乱(34歳・♀・浪人・人間・ジャパン)
 ea5209 神山 明人(39歳・♂・忍者・人間・ジャパン)
 ea9181 巽 咲夜(41歳・♀・浪人・人間・ジャパン)
 eb1559 琴宮 葉月(41歳・♀・志士・人間・ジャパン)
 eb2127 字 冬狐(28歳・♀・陰陽師・人間・ジャパン)

●リプレイ本文

●謎の温泉教団の温泉宿 近江編1

 近江に引っ越してきた謎の温泉教団の温泉宿。引っ越してきたと言っても住まいにしている民家が一軒。その回りにテントをいくつも張ってテント村状態。
 6割方完成してるのは露天風呂である。後は屋根を付けたり岩風呂にするために色々と外装を整備しなければ成らないが、お湯を張れば入れる状態であり、小さな池くらいある広々とした湯船は絶景である。まぁ土地が広いだけが売りなんだけどね。

「テルテル坊主を作ろうなんて、遮那さんも小洒落た事を考えるわね」
 鳳刹那(ea0299)が奉丈遮那(ea0758)の発案を元にテルテル坊主を作る。
 白い布で作り赤と緑の布を着せて、稲穂をほうきに見立てて付けて持たせる。
 それが何を意味しているのか分からないが、奉丈遮那と共に鳳刹那はテルテル坊主を作っている。

「あ、灰神楽さんと花鳥さんもお久しぶりです。お元気そうですね」
 建築現場にお茶を運ぶ野村小鳥(ea0547)。不意に見かけた2人に声をかけてみた。
「おっ、久しぶり。まぁ私たちは温泉教団の裏の顔だからお久しぶりで当然だけどね」
 灰神楽舞がそう言って微笑する。
「そうそう、温泉教団の敵を屠るのが我々の仕事。取りあえず殴ってから考える」
 花鳥風月がそう言って微笑する。
 温泉教団の荒事は彼女たちが対処担当である。
 彼女たちもお茶を頂きにんまり微笑む。

「この石はこっちに持ってくればいいのかな?」
 力仕事を買って出た神山明人(ea5209)は、石運びをさせられていた。
 岩風呂に使う岩、ひき石などを運ばされている。それを専門家らしいおじぃちゃんが一生懸命指示をだし、右に左に運ばされる。

「お洗濯‥‥お洗濯‥‥皆さんのお着物をお洗濯‥‥」
 字冬狐(eb2127)が働いている人達の服の洗濯を買ってである。っが、職人達は着たきり雀に似たような物で、洗濯物は少ない‥‥代わりに大量の汗ふき手ぬぐいとおしぼりの選択を任された。
 50本近い手ぬぐいをじゃぶじゃぶと洗濯板であらう冬狐。
「がんばってますかぁ?」
 彩花がそう言って覗き込む。
「がんばってます。私に出来ることはこんな事しかないんで」
 冬狐がそう言って彩花に微笑みを返す。
「私たちの宗派では神様の為に何かご奉公をしようとか、ご奉仕しようって考え方は余りなくて、温泉に入るときの諸注意や、同門への助力がメインだから、こうして同門が困ってるときは、みんなで助け合うのが習わしに成ってるの♪ だからがんばって♪ きっとみんな良いことあるよ」
 そう言って彩花が彼女の額に優しくキスをする。

●露天風呂 
 藤の花の花見。石灯籠に照らされて夜の闇に一際生える藤の花。
 石灯籠の数が足りず、まだ暗がりも多いが、それでもご満悦な花見である。
「たらららら〜♪」
 巽咲夜(ea9181)が伴奏を口ずさみながら、石灯籠の明かりに照らされて、一枚一枚服を脱いで行く。
 いわゆる現代的な表現をするならストリップショーである。
「はーい、続いて3枚目〜♪」
 ほぼ全裸の状態に成りながら踊る巽咲夜。
 男性客の注目の的である。
「んふふ〜、どうしたの〜? 恥ずかしがる様な年でもないでしょ〜?」
 巽咲夜が奉丈遮那に対して優しく微笑む。
「もしかして、経験無いのかしら〜? じゃあ‥‥お姉さんが教えてあげましょうか〜?」
 そう言って奉丈遮那にゆっくり近づく巽咲夜であったが、それをラリアートで倒すバカ一名。けたたましい爆音の後にもの凄い水柱があがる。
「いやぁ今の良かったぞ。まぁ呑め呑め」
 一升升(いっしょうます)で一気に巽咲夜の口の中に酒を流し込む花鳥風月。一気に胃の中に大量の酒が流れ込み、一気に酔いが回る巽咲夜。そのまま彼女は意識を失う。
 すっかりお持ち帰り状態に成ってしまう巽咲夜。酢蛸の様にぐにゃぐにゃだ。

「そろそろ‥‥戦も始まるみたいだし‥‥のんびり出来る時に‥‥してた方が‥‥良いの、かな‥‥」
 如月妖乱(ea2948)がどぶろくに頬を赤らめながら、ほうっと彩花に寄りかかる。
 彩花がそれに寄り添うようにして身体を預ける。
 だが、彼女の指は、妖乱の身体を優しくはい回り、彼女の太ももを優しく刺激している。
「‥‥大丈夫、みんなには分からないように、触って上がるから‥‥」
 そう言って彼女の指は閉じられた彼女の太ももの内側へ、そして上へ上へと歩んで行く。
「‥‥声は出しちゃダメよ‥‥みんなに気づかれちゃうから‥‥」
 彩花の肩に唇を押し当て、必死に声を殺す妖乱。やがて、彼女の中の何かがはじけ、彼女はふぅっと意識が抜けてしまう。
「妖乱ちゃんものぼせちゃったみたい。花鳥さん、彼女を向こうで寝かせてきて上げて」
 彩花に言われて、花鳥が妖乱を抱きかかえ、ベンチに運ぶ。彼女の顔はすっかり満ち足りていた。

「ささ、どうぞ呑んでください」
 琴宮葉月(eb1559)が男性客にお酒を注いで回る。
 温泉教団のしきたりに乗っ取って、お湯に入る時は全裸であるが、彼女は一応浴衣を着て歩いている。風呂に入るときには全裸、風呂から上がったら浴衣。それが温泉教団のモットーである。

 しかし、冬狐はそのもっとーに反し全裸である。
 もっともへそから下は湯に浸かっているので見えない。
 彼女は自らの胸を左手で隠し、右手にお酒を持って器用にお酌に回っている。
「はぁ‥‥やっぱり混浴でも何も着けてはいけないのですね‥‥」
 せめて男性陣に見られぬ様にと手で隠しながら彼女はお酌をして回った。

「ささ、2人とも。ついでばかりじゃなくて、ご自分もお上がりなさいな」
 彩花がそう言って琴宮葉月と冬狐に杯を渡す。内側が赤く、外側が黒く塗られた1合が入る杯である。

「まずは温泉に宿る神様に、今我々が健康であることを感謝し、悠久(ゆうきゅう)の平和と永久(とわ)の健康を祈りつつ、乾杯」
 そう言って彩花も自らの杯に酒を入れ一気に飲み干した。

 温泉には神様が宿っている、温泉の神様は温泉を通して、人の病や怪我を癒してくれる。そんな神様に感謝し、酒を呑み、唄い、祭る事で、神様に感謝の意を表す。それが温泉教団である。

「藤のお花もこうして月明かりで見ると綺麗ですねぇ」
 ほぅっと頬を赤らめて冬狐が花に見とれている。
 そして何を思ったのか、湯からあがり、舞を舞い始めた。
 月明かりに照らされた彼女は、先ほどの巽咲夜とは異なるが、やはり男性陣の、そして女性陣の注目を集めていた。

 ひとしきり舞い踊ったあとに、彼女も酔いが回ったのか、静かに眠りについた。

「皆さん京都に来てから、疲れが溜まってる見たいですね。こんなに簡単に眠ってしまうなんて‥‥、仕方有りません。私が皆さんを徹底的にマッサージして差し上げましょう」

真夜中の温泉宿に女性達の黄色い悲鳴がこだまする。
それはうれしさのあいまった複雑な悲鳴でありました。