謎の温泉教団の温泉宿 近江編2

■シリーズシナリオ


担当:

対応レベル:フリーlv

難易度:やや難

成功報酬:0 G 84 C

参加人数:10人

サポート参加人数:-人

冒険期間:07月28日〜08月05日

リプレイ公開日:2005年08月05日

●オープニング

●謎の温泉教団の温泉宿 近江編2
 謎の温泉教団は、八百万の神を信仰する宗教団体である。
 温泉には神が宿り住んでおり、温泉に入ることが神様の恩恵を授かることを教義としている団体である。
 温泉に入るための礼儀作法には厳しいがそれ以外はおおむねざっくばらんである。
 彼らは温泉寺に住み、檀家の者達おも温泉へといざなう。
 温泉寺の裏はもちろん露天温泉である。温泉に入り身体を癒し、心を癒し、平和に生きてい
こうと言うのが彼らの考え方である。
 現在露天風呂(岩風呂)を掘り広げ、沢山の信者やお客さんに対応するために増築している。

 石灯籠の明かりの中でのんびりと温泉に入るのが彼ら流のやり方だ。
 温泉脇には屋台が数軒並んでいる。甘酒や蜜柑酒、よく冷えた瓜、馬肉のすき焼きや新鮮な果物なども売られている。

 夏の味覚の鮒寿司を看板に、甘酒を片手に塩煎餅を楽しむ人達、近江名物のソバ粉で作ったソバ団子に甘美の声を上げる者達、鯨肉のステーキ丼を笑顔で頬張る人達。近江自慢の近江牛の鋤焼き頬張り満面の笑みをあげる物達、謎の温泉教団の温泉宿は温泉を楽しみながら竹のせせらぎと食欲を満喫する人達でいっぱいであった。
 無論温泉と女体を楽しむ者達も多い。
 うら若き乙女によるマッサージのサービスを堪能することも出来るサービスも好評をきしている。

 だが、現在謎の温泉教団の温泉宿は、江戸から近江の田舎に引っ越したために、急遽建物などを建築中である。
 清流と竹林に囲まれた、人里離れた古寺を改築した古宿。今まさに大工や職人達が、新たな温泉教団の温泉宿を作るために梅雨の雨にも負けじと宿の部分を建てているのである。

「苦節2ヶ月。突貫工事のおかげで、やっと建物の本館が出来上がりました。これを気に営業と布教に入りたいと思います。一人でも多くのお客さんを得るために、一人でも多くの人を布教するために、今まで以上にがんばってください」
 温泉宿の若女将、彩花はそう言って教団員の皆に頭を下げた。
 皆から拍手があがる。
「それでは、今回、宿の完成をお祝いして、はるばる遠くから旧友が駆けつけてくれました。ご紹介しましょう。紫陽花さんと謎の褌(たふさぎ)隊の皆さんで〜す!!」
 彩花がそう言って後方を指さすと、太陽を背にして本館の上に40人ほどの怪しい集団が。

 どこまでも抜けるような青い空。ドーンとそびえる白い雲。夏の暑い照りつける太陽。
そして、どこまでも突き抜けるような筋肉美の漢達と、どーんとそびえるふんどし。夏の照りつけるような太陽と暑苦しい集団のの光景。
 太陽を背にして、腰に手を付け笑っていた集団は一斉温泉へと飛び込んだ。
「天呼ぶ、地呼ぶ、人の呼ぶ、お湯に入れとオレを呼ぶ、謎の褌隊参上!!」
「「とう!!」」
 40の水柱があがり、40人が水面に浮かぶ。
「いや、だから、温泉には飛び込んじゃダメだってあれほど‥‥」
 人の話を聞かないのは、半年経っても変わらないようである。
「そう言えばずっと見かけなかったけどどうしてたの?」
 いらぬ質問に、フンドシ一つ。サラシ一つでご登場の紫陽花がそれに答える。
「うむ。新人は寒いので休暇を取らせた。ベテラン人は寒稽古で雪山に籠もっていた。戻ってみれば温泉教団が引っ越したと聞いたので、追ってきたのだ」
 相変わらず口調でからから話す紫陽花。極上の黒絹に色取り取りのアジサイと金糸で刺繍させた縦に円錐螺旋巻きの殻を背負ったカタツムリのフンドシを閉めた、この謎の褌隊の分隊長である。

「まぁ紆余曲折は置いて置いて、褌隊の皆さんと冒険者の皆さんに温泉教団の宣伝をして、お客さんを呼んできて欲しいのです。余り無茶はなさらないで下さいね」

 そんなわけで、冒険者と褌隊が共同で温泉教団の宣伝をして客の呼び込みと接待をするという、なんとも不思議な依頼が発生するのであった。

●今回の参加者

 ea0299 鳳 刹那(36歳・♀・武道家・人間・華仙教大国)
 ea0547 野村 小鳥(27歳・♀・武道家・人間・華仙教大国)
 ea1151 御藤 美衣(27歳・♀・浪人・人間・ジャパン)
 ea2948 如月 妖乱(34歳・♀・浪人・人間・ジャパン)
 ea5209 神山 明人(39歳・♂・忍者・人間・ジャパン)
 eb0106 灰色 狼(20歳・♀・武道家・ハーフエルフ・華仙教大国)
 eb0494 高町 恭華(30歳・♀・浪人・人間・ジャパン)
 eb1559 琴宮 葉月(41歳・♀・志士・人間・ジャパン)
 eb1759 イリス・ブラックマン(30歳・♀・ナイト・人間・イギリス王国)
 eb2127 字 冬狐(28歳・♀・陰陽師・人間・ジャパン)

●リプレイ本文

●謎の温泉教団の温泉宿 近江編2

神の宿る場所がある。
神の宿る水がある。
神と人が触れ合うたまり場がある。

温泉。それは神が人間に与えた奇跡。
温泉。それは神と人間が触れ合う憩いの場所。
温泉。傷を癒し、疲れを癒し、心を癒してくれる神の聖地。

 温泉教団宣伝部隊は、そんな神の宿る温泉を少しでも村人に理解して貰い、温泉教団に入信してもらうのが今回の仕事だ。

「あははー♪ 今回は彩花姐さんだけじゃなく、紫陽花姐さんみたいな素敵な方もご一緒で感激ですねぇ♪ 温泉宿も、やっと立派な本館が出来て、活動にも気が引き締まります♪」
 鳳刹那(ea0299)が宿の準備を進めている。いつ客が来ても良いように、スリッパを揃え、食事を整え、部屋の準備を整えて待ちかまえる。
 その間に彩花は温泉の準備に余念が無かった。
「すいません。里芋の皮むき誰か手伝ってくださいな〜?」
「は〜い」
 神山明人(ea5209)が女の子が一杯の台所でせかせかと里芋の皮むきをする。
 この時代の京都にジャガイモとサツマイモは無い。
 芋と言えば、山芋と里芋がメインである。
 そして芋料理は大事なメニューの一品だ。

「えーと、私接客をしようと思いますので、経営術と接客術のいろはについて教え願いますか?」
 灰色狼(eb0106)が彩花に教えを請う。彩花は静かにそれに応える。
「接客の仕方は一応基本があるから、教えられるけど、経営学が色々大変なんだよ。大きく纏めると3つ。1.ありったけの無意味を集めて意味を持たせる。2.右の物を左に動かしてお金を貰う。3.時と場所を考えて付加価値を付ける。かな? 例えば小魚一匹では料理に成らないけど、沢山集めたら料理になる。佃煮や煮付けにしたら美味しい。酒の肴にしたらなお美味しい。ってね。値段は手間賃と手数料を多少乗せる程度に運営すると、言うのが温泉教団のやり方なんですけどね」
 そう言って彩花はにっこり微笑む。成るほど、やり手なのだというのが伝わってくる。
一代で江戸に温泉宿を築き上げ、その経営手腕を買われ、町奉行や観光奉行から1地区の開発を任されるほどの腕前なのだから。

「よーし、それじゃ私はガンガン呼び込みをするぞぉ」
 イリス・ブラックマン(eb1759)がそう言って腕まくりして外に出ようとするが、寸前の処で彩花に呼び止められる。
「あの‥‥来る途中に山道昇ってきたから分かると思いますが、ここって元々古寺だったんです。村から一段高くなった山の中腹にあるんで、呼び込みじゃなくて、お客さんの手を引いて石段を連れてきて貰えますか?」
 確かに村に隣接する鬱蒼とした森の中に有る緩やかな石段を登ってきた。
 っと言ってもゆっくり昇って10分ほどの山道である。
 石段も1m置きにちょこちょこ有るだけで階段と呼ぶほどの上り坂でもない。
 それでもそこをなん往復もすることになれば大変である。
しかし、元気120%のイリスにとってそれはまさに打って付けの仕事であった。
「了解!! 一杯お客さん連れてくるね!!」
 そう言って温泉教団の半天を来たイリスは元気いっぱいに飛び出していった。

 野村小鳥(ea0547)が温泉教団の薄い絹のタンキニ風湯浴み着に袖を通し、お客の呼び込みを行う。男性客釘付けだが、太陽光線がガンガン着物突き抜けて身体に当たっているので日焼けしそうである。
「あう‥‥やっぱりこの格好は色々と問題あるようなー‥‥。着替えようかな‥‥」
 男性客の視線釘付け状態で内心参っている野村小鳥。一緒に客を呼び込んでいる御藤 美衣(ea1151)は同じ服装で日傘を差している。
「温泉教団ってやっぱり男性客が多いのかしら? 女性客や家族客を呼び込むにはどうしたら良いんだろう? やっぱり団体割引とか必要かしら?」
 色々考える美衣ちゃんは、日傘クルクル回しながら呼び込みである。
 ちなみに傘には温泉教団と抱えているし、小鳥ちゃんが持っている幟にも温泉教団の文字がきざまれている。
「は〜い、温泉教団の温泉宿が新しく新装開店致しました。皆さん振るってご参加くださ〜い」
 そう言って温泉教団の勧誘をする2人。
 まるで説法をするお坊さんの様な忙しさだ。
「そろそろ‥‥交代の‥‥時間」
 如月妖乱(ea2948)がやっぱり湯浴み着をきて、背中に幟を立ててやってくる。
『健康に、美容に、八百万の神の温泉を』っと書かれた幟と、褌娘と褌男が数名。手桶に水を入れて打ち水しながら付いてくる。
「暑い夏を乗り切るために打ち水を!! 体力が無くなった身体を癒すために温泉を!!」
 そんな決め文句で現れたのは紫陽花。相変わらずの褌とサラシと言う出で立ち。彩花を大きく上回る飛び抜けた大きさの胸をひっさげて、珍しくまじめに仕事をしている。
「今回は‥‥暴れないんだ?」
 如月妖乱の質問に、紫陽花は不思議そうに答える。
「別に私たちは暴れるのが趣味ってわけじゃないぞ? いつでも何処でも褌姿。海や川が有ったら飛び込んで水柱の高さと度胸を競うってのが売りなだけで‥‥」
 っで、前回は温泉に一斉に飛び込んで怒られた訳だが‥‥深さが足りないのに高いところから飛び込むし。
「ここじゃ飛び込む場所も無いし、褌姿で打ち水するくらいしか仕事が‥‥な」
 やり場の無いやる気はあるらしいが、取りあえずガマンしてるらしい。
「っと言うわけでここは、私と妖乱が引き継ぐから、小鳥たちは宿で休んできて良いぞ」
 高町恭華(eb0494)がやっぱり同じ衣装でやってくる。
 既にすっかり温泉教団の制服に成りつつあるようだ。

「ささ、一杯どうぞ」
 字冬狐(eb2127)がお座敷でお客さん相手にお酌をして回る。
 鮒寿司や魚の団子の味噌鍋料理(つみれという)などをつつきながら、清流で冷やした冷や酒で一杯。
 酒飲みにはたまらない状況である。
 無論彼女一人で接待している訳でもない。琴宮葉月(eb1559)も一緒に接待をしている。
「琵琶湖で取れた魚のお刺身、小魚と山菜の天ぷら。後は‥‥彩花さん蟹料理は?」
 琴宮葉月の言葉に胸を張る彩花。
「まかせてぇ。今朝近江で取れた蟹の中で一番大きいのが手に入ったのよ!! ほら!!」
 彩花の言葉を待っていたのか、イリスが巨大な蟹の爪を部屋に持ち込む。

 ‥‥あり得ない。常識的に考えてあり得ない。なぜならその爪は一つ1m程の大きさをしていたからだ。
「ちゃんと茹でて有りますから、お醤油でお召し上がり下さい」
 そう言って蟹を進める彩花。
 捕まえたときは、オマールエビの様に漆黒で神秘的な身体を持つ巨大なカニだったそうな。
 無論煮ちゃえば赤くなるのだが。
 っと言うか、近江の田舎者にオマールエビなんて言われても分からない。

●一晩の営み。
 客の入りはそれほど良くは無かったが、旅人や娯楽を求める村人には、そこそこ人気が有ったようだ。
 一仕事終え月が真上に来てからが、従業員の入浴時間である。
 みな、蝋燭を明かりを手に湯へと向かう。
「褌がりがり褌が〜り♪ 褌がりがり褌が〜り♪」
 褌隊の皆さんも温泉教団の温泉に片隅で温泉を楽しんでいる。
 入浴用の褌に着替えたんだとか、お風呂に入るときに全裸でなきゃダメだとか大論争。結局、褌を付けたまま湯船には入らないが、お風呂場には入っても良いという結論で決着している。

「あのぅ。彩花さん。またマッサージして貰えますか?」
 小鳥の言葉に微笑を浮かべる彩花。
「良いわよ。久しぶりに気持ちよくして、あ・げ・る」
 そう言って小鳥を縁台に横に寝かせ、全身を軽く指圧とマッサージ。身体の肉が軟らかく成ったら、胸を優しく優しくなで回す。
「珍しいわね? 小鳥ちゃんから頼んでくるなんて」
 彼女の胸揉みには定評がある。巨乳慣れるというもっぱらの噂だ。嘘か誠か真実は不明だが。
 ‥‥、ジットリと全身に汗をかく、小鳥が甘い息を吐き出す。15分‥‥彼女にしてはがんばった方であろう。彼女はそのまま気を失い、ぐったりと眠りにつく。

「彩花さん。ここって博打場は作らないの?」
 湯の中から彩花に声をかけるのは美衣。彩花は少し考えて応える。
「そうねぇ。美衣ちゃんは欲しいと思う? 例えばどんなのが良いのかしら? 花札? それともカタツムリレースとか?」
 彩花の言葉に少し考える美衣。
「くじ引きとか、的当てくらいなら作っても良いわよ? 出来れば全裸で楽しめるのをお願い」
 そう言って彩花は苦笑した。

「あの‥‥私のも‥‥その‥‥かわいがって‥‥ください」
 小鳥のマッサージが終わり一息つく彩花。
 そんな彩花におねだりする妖乱。
「まぁ今日はみんな積極的ね。おねぇさん嬉しいわぁ」
 温泉のお湯の中で。
 竹で出来た敷物の上に妖乱を座らせると、その背中に覆い被さるようにくっつく彩花。
彩花の胸が妖乱の背中に押しつけられるような状況で。後ろから回された手が、妖乱の胸を優しくマッサージする。
「気持ちいい?」
 彩花の言葉に全身ピンク色に頬を染めながら、妖乱が応える。
「はい‥‥きもち‥‥いいです」
 はたから見ると、温泉に仲良く入っている女性が2人と言った感じだろう。だが、お湯の中では、彩花の左手は妖乱の胸を優しく揉みほぐし、彼女の右手は妖乱の太ももを優しく撫で‥‥指を這わしている。
「お湯の中で身体を揉むと疲れも抜けるらしいわよ? 今日は沢山立ち仕事をしてくれたし、足もマッサージしてあげるわね?」
 そう言って彩花の両手が妖乱の太ももの内側を優しく揉み始める。
 優しく徐々に膝から足の付け根に移動しながら‥‥。
「恭華ちゃんもおいで〜、一緒にマッサージしてあげる」
 そう言って恭華を呼び寄せる彩花。
 妖乱を左に抱き寄せ、恭華を右手に抱き寄せる。
 彩花の左手が妖乱の下腹部を、右手が恭華胸を優しく揉みほぐす

「三人にとも仲が良いんですねぇ?」
 何も知らずにひょっこり入ってくる。イリス・ブラックマン。
 暗がりの温泉の中で、三人仲良く寄り添ってお湯に入ってる‥‥様に彼女の目には映っている。
「そうなのよ。2人とも甘えん坊で‥‥ね?」
 彩花がそう言って指の動きに強弱を付ける。
「あっ‥‥う‥‥うん。久しぶりに‥‥会えたので‥‥」
 裏返った声で恭華が応える。声が震えているのを必死に殺している。
 妖乱は必死に唇を噛み締め、甘い声が出ないようにガマンしている。
「(彩花さん‥‥ダメ‥‥こっち見てますよ‥‥)」
 イリスの目線を気にしながら、恭華が必死に小声で彩花に耳打ちする。
「大丈夫よ‥‥2人が声を出さなければ♪ それに、別にやましいことしてる訳じゃないし‥‥ね?」
 激しくはせず、優しくジリジリと入浴マッサージを続ける彩花。2人は甘い声を漏らさないようにするだけで必死である。
 唇を噛み締め、彩花に爪を立て必死に堪え忍ぶ2人。激しい長期戦の上、すっかりのぼせ上がってしまっている。
「お二人様湯当たり追加〜♪」
 小鳥の隣に2人が並んで休むことになる。

「あの‥‥全裸とかは勘弁してください‥‥背中の傷とか‥‥子供の頃の虐待の跡とか‥‥見られたお客様もいい気分じゃないと思いますし‥‥私も見て欲しくは無いので‥‥」
 そう言って湯浴み着を着て湯を浴びる灰色狼。
 冬狐も腹にでかい傷を持っているのを隠しながら入っている。
「狼さん。そんなことを気にしては行けないよ。お湯の中では皆平等。武士も、魂の刀は脱衣場に置いて貰って、侍も町人も無い。みんな生まれたままの姿でお湯に入るのが一番だよ?」
 彩花に諭される狼。
 温泉教団の温泉は、手ぬぐい一つ持ってお湯に入るのもタブーとされているのだ。
「温泉は神様の宿るお湯です。手ぬぐいやら湯浴み着を着てお湯に入るのは不衛生ですし失礼です。ささ湯気でダレも見れないようにしますから、ゆっくり入っていってください」

 そしていそいそとお湯へと連れ込む彩花。

今日も今日とて温泉教団は平和である。